心の旅 III



目の前に赤い光が出てきて
赤い光が人の顔に変わった

頭の中にそいつの声が響いてきた
「何の為にしてるのだ?」
「解らない」
やっと会話出来た
私の頭の中へだが会話している
「このままだと死ぬぞ!」
「旨い物を食いたくないか?」
永遠に語りかけていた
いや、一瞬かもしれない
今の私には時間というものがない


いつのまにか赤い顔がいなくなっていた
身体が上下に揺れる
揺れが激しくなってきた


食事が出てこなくなっていた
身体がすごく軽い
座っているのに感覚がない
まるで宙に浮いているような感覚だった
風が吹き込んだら飛ばされていただろう
お客の訪問がない

木々のざわめきもなく
静寂の世界にただひとり
心地がよかった
もうトイレ・風呂・食事の為に身体を動かす必要もない


身体の感覚がない
私という意識だけが存在している
私は何物なのだろうか?
長い間 人間になった夢を見ていたような気がする


君は誰だ?
何故私の前で座っている?


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