風光る 脳腫瘍闘病記

ホームステイ



「中々出て来ないから心配しちゃったわよ」と気さくに話しかけてきてくれた。中々出れなかったのには訳があった。

荷物受け渡し場所でスーツケースはスグに出てきてくれたのだけれども、うさじろうが全然、出てこなかったのである。30分まっても出てこない。

「どうしよう?英語も良く分からないし、どうやって説明していいのかも分からなかった。そんな時、カウンター越しにデッカイ白い足が見えた。

「あっ、あれは、まさしくウチのうさじろうだ!」私はカウンターまでダッシュした。

うさじろうはビニール袋の中にすっぽり入れられおり、何だか可哀相な気がした。「これ、私のです」と言うとニコニコしながら返してくれた。何故、カウンターに預けられたかはいまだ不明である。

空港の外に出ると「ムアッ」と熱風が吹き付けてきた。私はジーパンを穿いてきた事を後悔した。

直接、Aさんがホストファミリーの家まで送ってくれる事になっていてトランクにスーツケースとうさじろうを押し込んだ。車で1時間、やっとの事でステイ先についた。

大柄の女性が子供二人を引き連れて家から出てきた。ミッシェルだ。子供達はうさじろうを見て喜んでいた。外側から見た感じじゃ分からなかったが家の中はとても広かった。映画に出てくる様なウチだ。

プールまで付いている。でも決して金持ちじゃなく平凡な家庭で、プールも、どの家庭でも付いていて当たり前みたいなトコロがあった。

日本の家は「ウサギ小屋」と言われる理由がよく分かった。さっそく私は部屋に案内された。一瞬言葉が詰まった。ベットがものすごいピンクなのだ。「ここで寝るのかぁ・・」とちょっと戸惑ったが「ナイスベッド!」
などど心にも無い事を言ってしまった。

夜になって旦那さまのスティーブンが帰って来た。赤毛の無口な人だった。

ミッシェル家の消灯は早く、夜の10時。私は日本でも書く事の習慣がなかった日記をつけてから床についた。





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