風光る 脳腫瘍闘病記

治療開始



放射線を照射するまで、その準備に3時間もかかった。放射線を照射して、ちょっとでもずれると他の臓器にもダメージがでるので、そうならないように体に下書きしてそれに合わせて照射するのだ。

レントゲンを撮っては位置確認をするという作業が繰り返し何回も行われた。やっと体に下書きし終えた頃にはもうヘロヘロになっていた。

治療室はキレイで壁には、青い空、白い砂浜、やしの木などのペインティングがされていた。洋楽も流れていたので、リラックス出来る状態にはなっていた。

「じゃあ、今から治療始めますね」私の場合、脊髄全部に放射線を照射しなければならなかった為、3回に分けてする事になった。

「じぃーーーーーーーーーーーーーーーー」音が鳴っている。

「これが放射線かぁ・・・全然痛くない」治療自体は15分ぐらいで終わった。

治療室から出ると婦長さんがお迎えに来てくれていた。

「あんまり遅いんで心配しちゃったわよ、大丈夫?」
「かなり疲れた・・・」

部屋に帰ると晩御飯が置いてあったがとても食べる気力が無くすぐに寝る事にした。

夜中の3時頃、気分が悪くて目が覚めた。

「うわっ気持ち悪い・・・そっか、晩御飯食べてないし、空腹で気分が悪いんだ」と思い、ハイチュウを3~4個、口の中に入れたが全然、回復しない。

「もう、寝るしかない」と思った私は再び眠りについた。


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