風光る 脳腫瘍闘病記

脳腫瘍闘病記・予兆



2006年2月、その日はいつになく念入りに歯磨きをしたあたし。いつもみたいにいい加減にしてたらその異変には気付かなかっただろう。

歯磨きをし終えて、口をゆすぐ時に口からまるで壊れた噴水の様に水が「ピュッピュッ」と出てしまったのだ。

不思議に思ったあたしは何回も繰り返し口をゆすぐ。でもその症状が治まる気配はなかった。しかも口を尖らしてみたらちょっと歪んでいたのだ。

翌日あたしは外来で通っている麻酔科のK先生にメールで相談してみた。

「こうゆう症状が出るんだけど何科に行けばいいのかな?」

「そりゃ耳鼻科でしょ。単なる顔面神経麻痺ならほっといても治るけどそうじゃない場合もあるから」と先生から返信。

受診を勧められたあたしではあったが天気が悪かったり、また自分なりに(大した事ないんだろうな~)と耳鼻科に行くのをしぶっていたがそれを知ったK先生から叱りのメールが・・

「まだ行ってなかったのか!何か飲むべき薬があるはずです、早く行きなさい!」

そこまで言われて初めて重い腰を上げたあたし。A病院へ片道30分かけて耳鼻科へ・・。

予約無しの受診だから待ち時間が長くなるんだろうな~と思っていたらそんな事もなく研修医らしき医者に呼ばれ、先生に診てもらう前にいろんな検査をする様言われた。

味覚検査、涙が出るかどうかの検査、顔面の筋肉の動きを調べる検査。聴力検査。

中でも最悪だったのがあたしの自覚症状でもある口に水を含んでの検査。研修医はおもむろに部屋にあった蛇口がら水をコップに入れてきてそれを私に渡してきた。コップを見た私は絶句。

(泡が立ってる・・水だよね、コレ・・)

「飲んでみてください」

「はい!?」(こんな水を飲むのか?)

私は一瞬ためらった。なんせ泡が立ってる水なんか生まれて初めてだ。これを飲めという。しかしNOともいえずすぶしぶ口に含んだ私。

(うわっー!!不味い!)このマズさは今までに経験した事のなかった味だった。口に含んだ水の様子を見た先生は

「はい、飲み込んでいいですよ~」

(そんな、殺生な・・)

私は死ぬ気で飲み込んだ。案の定、あまりのマズさにのた打ち回ってしまった。

「先生!これ不味い!不味いよ~!!」

その後は部屋を移動して、聴力検査。今までこんな検査した事がなかったのでそれだけでわくわくした。

ヘッドフォンをつけて音を出して、聞こえてる間はスイッチを押すという簡単なものだった。

先生に呼ばれ顔のチェック。

「はいっ、まゆを上げてみて、目をぎゅってやって、片目づつつぶってみて、」いろんな顔の表情をやらされた。恋人がいたら決して見せたくない顔である。

結果は軽い顔面神経麻痺と診断された。聴力も特に異常なし、顔面の麻痺も治りかけのとても軽いものと診断された。だから薬も処方される事もなかった。

原因はストレスと睡眠不足と言われ、出来るだけビタミンを取る様に言われた。その結果を聞きひとまず一安心。

たしかにここ2ヶ月間まともに睡眠を取っていなかった。下半身が燃える様に熱くて痛くて眠れない日々が続いたのだ。

なのでその説明に納得がいった。

念の為、2週間後も診てもう為、予約を入れてもらってその日は帰宅した。

その日から私は先生に言われた通りにビタミンを多く摂取する様になった。睡眠も出来るだけ取る様にした。

これで顔面神経麻痺も治るはずだった。少なくとも私の中ではそう思っていた。





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