ザ・スーパー・ポップ宣言

洋楽スーパーポップの世界

洋楽スーパーポップの世界(1)

洋楽スーパーポップの世界(1) (2) (3) (4) (5) (6) (7)

YOU CAN'T HURRY LOVE (恋はあせらず) トラックの世界 へジャンプ

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70/80年代を中心に世界中の洋楽ポップスの中からスーパーポップと呼ぶに相応しい曲を紹介していきます。

【 ポップ偏差値 75

ABBA / DANCING QUEEN '76

ABBA DANCING QUEEN.jpg

アバはビートルズと並び称されてもおかしくないぐらい数々のヒット曲を生み出し世界的ブームを起こしたスーパーグループだけど、どうも後年になってもその偉大さが語り継がれて、、、ないような気がするのが残念。まあ私自身中学生の頃は軽めのポップグループと軽く見ていたものだけれどね。当ブログでも既に数曲取り上げているけれど、スーパーポップ・グループと呼ぶに相応しい素晴らしいグループなので、リアルタイムに聞いてこられなかったようなお若い方などにも是非アバ・ワールドを骨の髄まで堪能して欲しいものであります。

「ダンシング・クイーン」は彼らの76年の、というよりポップス史上に残るヒット曲。バリー・ホワイトにも通じる70年代的青空が広がる爽快なオーケストラをバックに音壁的にエレピが鳴り響くイントロの明るい未来感。清く済みきった女性ヴォーカルがテンション・マックスで明るく快活に歌い上げるサビの壮大な盛り上がり。Aメロではトーン・ダウンするけれど、Bメロからの盛り返しぶりは流石で奇跡的なメロディラインとしか言い様が無いですね。瑞々しい女性ヴォーカルだからこその成功とも言えるでしょう。

「YOU TUBE」 でPVが見れます。また生オーケストラを入れて大いに盛り上がる全盛期の 77年のライブ・パフォーマンス も必見です。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(爽快感) ポップ偏差値合計
8
10 10 6 6 10 10 10 5 75


STYLE COUNCIL / SPEAK LIKE A CHILD '83(POLYDOR TSC1)
STYLE COUNCIL  SPEAK LIKE A CHILD.jpgSTYLE COUNCIL  SPEAK LIKE A CHILD 2.jpg
「TOWN CALLED MALICE '82」を発表し、ザジャムの初期の頃よりだいぶ垢抜けたポップな音作りを志向してきたポールウェラーがグループを解散させたのは自然な流れだったと思う。モータウンフレイヴァーたっぷりなその曲から僅か一年後、今度は更に飛躍的にポップな音作りとなったこの曲を発表し、個人的には一気にPAUL WELLERが大ブレイクした。

イギリス人の老いるのは早く、特にフレッシュさを最大の売りとすることが多いネオアコ系バンドなどと違い、77年のデビューから実に6年後になってこれだけフレッシュな曲を発表した彼の才能は凄いと思った。この後のカフェブリュー発表までが最もPAUL WELLERが輝いていた時代だと思う。

この曲を初めて聴いたのは私が憧れの東京にある大学に入学、上京し希望に満ちていた頃で、まさにその頃のフレッシュな気持ちとオーバーラップしたとても想い出に残る曲。実にタイムリーにこの曲を同時代で体験できたことは最高に幸運だった。

キャッチーなブラス、希望、肯定感に満ちた強い意思を感じさせるポールの歌声、爽快で高揚感ある女性コーラス、ポップ黄金律と呼ぶに相応しい明るく弾けた躍動感溢れるメロディとリズム。それと瑞々しいミックタルボットのオルガンの効果も絶大でそれらが一体となった厚い音の壁が素晴らしい。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(希望と躍動) ポップ偏差値合計
8
9 10 6 9 10 8 10 5 75


大滝詠一 / 君は天然色 '81 作曲大瀧詠一 編曲多羅尾伴内

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日本ポップス界の大御所の81年の歴史的金字塔。いわゆる分厚いスペクター系音壁の日本における元祖的曲と考えてもいいんでしょうか?ここで聴ける深く厚い音壁は楽器の進歩した四半世紀たった現在でも全く輝きを失う所がないのだから素晴らしい。その後山下達郎氏、岩崎元是氏といったフォロワーやご自身が20数年たってやっている物と比べても全く遜色無いのだから、その普遍的とさえ言える音造りの妙技は驚異的としか言いようが無い。

聞くところによると海外のスペクターファンなどにも大滝詠一氏の評価は高いらしいです。音壁的側面以外でもこの曲の持つ高揚感ある明るく乾いて弾けた、そしてちょっと甘酸っぱいメロディは実に気持ち良い。音壁的アプローチは他のフォロワー達によってそれを凌駕するものも見受けられるが、この曲の持つ空気感は、その時代性もあって、再現はかなり難しいだろう。最新マスタリングされた「A LONG VACATION 20th Anniversary Edition」にはこの曲のインスト的バージョンも収録されています。

姉萌えエロゲー「ONE☆BOKU」の主題歌 「Faraway so close / 吉田裕貴」 はこの曲の影響が見受けられます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(日本版音壁) ポップ偏差値合計
9
10 10 7 8 8 10 8 5 75


楠瀬誠志郎 / CRAZY FOR YOU '92 作曲/楠瀬誠志郎 編曲/清水信之 「素晴らしい恋をしよう」収録
KUSUNOSE
この方のことは全く初耳だったんですが、山下達郎似でなかなか明るくポップなサウンドですね。能天気さではずっと上かな。全体のメロディはオールディーズだかクラシックだかはたまたジャズのスタンダードだったかで聞き覚えがある。うー思い出せない。出だしは「A NIGHT IN NEW YORK / ELBOW BONES AND THE RACKETEERS」の華やかさに通じるものが。以後展開される厚みのある音は素晴らしいですね。「素晴らしい恋をしよう」が副題的に歌詞に使われているんだけど、ちょっと気恥ずかしい。出来れば軽めの女性アイドル歌手にでも歌って欲しかった。これだけ濃いアレンジなので曲の構成ももう少しシンプルな方が良かったかな。ベースラインなどハリーラブ似ではないが、全体のドラムパターンなどから仲間入りさせてもいいと思います。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(分厚いハリーラブ) ポップ偏差値合計
10
10 8 8 8 8 10 8 5 75


【 ポップ偏差値 74

BEATLES / SHE LOVES YOU '63

BEATLES SHE LOVES YOU 1.jpgBEATLES SHE LOVES YOU.jpg

ポップスの王様と言えば文句なしにザ・ビートルズ。60年代初期にメジャーデビューして次々に飛ばした数々のヒット曲のポップ度は、当時の他のヒット曲と比べてみるとそれが異次元的な突出ぶりだったことが分かります。当時の世界中の音楽好きな若者が熱狂した大きな要因は、やはりその「突出ぶり」にあったのだろうと思います。例えて言うならば、1963年の世界にいきなり携帯電話やインターネットやテレビゲームや日本製アニメやらを持ち込んだようなもの。そりゃショックを受けるわな。

私も中学二年生になって友達の家で初めて「SHE LOVES YOU」,「I WANT TO HOLD YOUR HAND」,「PLEASE MISTER POSTMAN」を立て続けに聴かされた時は世界が崩れたかのような衝撃を受けました。当時既に洋楽を聴く下地(BCR,QUEEN,ETC.)が出来ていてさえこうだったんだから、63年当時の若者の受けた衝撃といったら計り知れないものがあったんだろうなあ。そんな体験をリアルタイムで受けられたことを心底羨ましく思いますヨ。

そんな彼らビートルズの代表曲を一曲選ぶとしたら私は「SHE LOVES YOU」。もちろん現代においても全く輝きを失わない名曲中の名曲で、この曲こそが当ブログで取り上げてきた数多くのスーパーポップ曲の始祖曲と断言してもいいでしょう。弾けんばかりの瑞々しさとスマートさ、スピード感に威勢の良さ、荒削りっぷりと生き生きとした表情のヴォーカルワーク。明るく元気でちょっと甘酸っぱいメロディ、サビの歯切れの良さ、生楽器の響きもいい。

当ブログには音壁ファン、ハリーラブ、ネオアコ/ギターポップ、ポップなアニソンから果ては電波ソング好きまで様々な方にお越し頂いてますが、それら「スーパー・ポップ」を聴き解く大前提、基礎教養としてこの曲を初めとする一連の初期のビートルズのヒット曲は必ず押さえておいてくださいネ。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(突出性) ポップ偏差値合計
9
9 8 9 7 9 8 10 5 74

SFビートルズ漫画 僕はビートルズ 原作:藤井哲夫 漫画:かわぐちかいじ

BEATLES / PLEASE MR. POSTMAN '63



史上最高のカバーソングは?と聞かれたら「BEATLES / PLEASE MR. POSTMAN '63」と答える。古今東西様々な音楽を取り上げている当ブログ。最高の音楽の探求を毎日数時間、数十年欠かさず続けているけれど、どうやら今後これ以上のカバーソングは出現しそうもない。原曲はモータウンの女性グループMarvelettesの61年のヒット曲で、これはモータウン初の全米NO.1ヒットということにもなっている。60年代ガールグループの持つ明るさ、楽しさ、可愛らしさが伝わってくるナンバーでメロディのキャッチーさに加えて、軽やかなリズムのグルーヴ感がヒットの要因だったと思われます。

ビートルズはこの曲を63年の二枚目のアルバムの収録曲としてカバー。聴き比べて見れば一目瞭然だけど、何と言ってもジョンレノンの瑞々しく、張りのある、伸びやかで華の有るヴォーカルが特徴的。明るく高揚感のあるコーラス、メリハリ感とシャキシャキ感のあるドラムス、曲の魅力をより引き立てる明快なギターとベースの響きとバックも最高の出来。ジョンの緊迫感のあるリードに絡むポールとジョージのコーラスも臨場感と一体感が半端なく素晴らしい。サウンドを構成する要素は非常にシンプルだけど、将に「これ以上の物は無い」と言うぐらいの唯一無二、抜群のポップセンスを感じさせます。ビートルズが当時如何に突出した存在であったか、天才、奇跡、どんな表現を使っても褒めきれないぐらいの素晴らしさがあります。

ビートルズと言うと若い人には「年配の人が懐かしむ古臭いグループ」ぐらいの印象しか無いのかも知れないけど、ポップスを嗜む者には基本中の基本にして史上最高のポップバンドだということを知って欲しいものです。(史上第二位のカバーソングについては又の機会に。)

「YOU TUBE」 で聴けます。

Marvelettes / Please Mr. Postman

明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(瑞々しさ) ポップ偏差値合計
9
9 9 7 7 9 9 10 5 74


【 ポップ偏差値 73

TRACEY ULLMAN / BREAKAWAY '83
Tracy Ullman Breakaway.jpgTRACYTRACEY YOU BROKE.jpg
原曲をグっとスピードアップさせている。これでも食らえ!とばかりにふんだんに挿入されるコーラス、全編に入る手拍子、急かしまくるドラムがなんとも華やかで楽しいムード、スピード感を作り出している。ヴォーカルも早口でテンションも異様に高い。83年ということで楽器がそれなりに電子的味付けがなされているが、手拍子やコーラスの生音がそれらを打ち消し電子的味付けを感じさせないのが良い。原曲と比べるといかにアレンジが素晴らしいのかが分かる。ベスト盤などで容易に聴ける。

オリジナルは Irma Thomas '64 Jackie DeShannon作曲。オリジナルも悪くないんだけど、TRACEY ULLMAN版を聴き慣れた耳で聴くとどうにもタルく感じてしまう。95年3月12日に山下達郎SSBでオンエアされたバージョンはベスト盤などで聴ける2分38秒のものと違って、4分57秒と長いもの。これってどこに収録されているバージョンなんでしょうか?アルバムも2分38秒だったはずだから、シングル皿?7"で4分57秒ってのも変だから12"?

その後91年にCD化された83年のデビューアルバム「YOU BROKE MY HEART IN 17 PLACES」(画像3)にボーナストラックとして収録されている「MONITOR MIX」というものと判明しました。おそらく10"シングルに収録された「EXTENDED 10" VERSION」のことと思われます。

http://www.youtube.com/watch?v=x6VskqRZ6ic
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(スピード感) ポップ偏差値合計
10
10 7 10 9 7 8 7 5 73


REO SPEEDWAGON / IN YOUR LETTER '81

reo.jpg

本国アメリカではB面収録のバラード「Keep on Loving You」がシングルカットされ、ナンバーワンヒット。しかし日本では何故かアメリカとは逆にこの曲の方がシングルカット。結果日本でも大ヒット。レコード会社の選択は大成功だね。

明るく爽やかなコーラスにのって、重量感の全く無い可愛らしいヴォーカルがこれまたどこまでも爽やか。随所に使われるエレクトリックピアノがこれまた爽やかで全体として恐ろしいまでに透明度の高い作品になっている。湿度も完全に0%だね。完成度も高く非の打ち所が無い。世界中でこの時代のアメリカでしか決して作られることは無かったであろう曲。アメリカの能天気で良い面が満喫できる。なんでTVCMに多様されないのかな。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(エレピの爽やかさ) ポップ偏差値合計
8
9 10 6 7 9 9 10 5 73


山下達郎 / LOVELAND, ISLAND 山下達郎作曲編曲 '82「FOR YOU」収録
YAMASITA LOVELAND ISLAND.jpgDIAMONDS LITTLE DARLING.jpgOOTAKI YAMASITA 1.jpg
ポップな洋楽を求めて長年山下達郎のSSBを聴いてると、達郎氏自身の曲もほとんどの曲を聴いた気になってしまうが、考えて見ればこの「FOR YOU」というアルバムさえ聴いたことが無かったはず。82年当時たまに耳にしていたけど、バリバリに洋楽志向だった私は邦楽を馬鹿にしてあまりこの曲にまともに向き合わなかった気がする。最近シングル化されラジオでも集中オンエアされたこの曲をあらためて真剣に聴くと、その作りこんだサウンドが全く色褪せることなく、というか20数年たった今でも世界に通用する普遍的な何かを持った稀有な日本産ポップサウンドであることが分かる。80年代初頭の(大滝詠一/君は天然色は81年)明るい未来感や乾いた空気感、トロピカルな曲調、爽やかなコーラス、ハープ?などを盛り込んだ大仰な作りこみは実に気持ちよいです。流石ポップスおたくの達郎氏ですねえ。鈴木英人のイラストともよく合っています。

ところでこの曲に元ネタってありますか? 「TAVARES / DON'T TAKE AWAY THE MUSIC」 は76年の華麗なフィリーダンサー風サウンドで、明るく乾いた雰囲気やテンションの高さなどが共通項。サビのメロディも若干似た感じがするし出だしにハープが入ったりするところも一緒。同じアルバム収録の「HEAVEN MUST BE MISSING AN ANGEL」にもハープ風音色が聴こえるからやはりこのアルバムのこの2曲からの影響が強いのかと思ってしまうのだがどうでしょうか。 「志村香/秋風はあなた'86」 はハープを使用&テンション高めでこの曲の影響が感じられるフォロワー的作品。

上の文章を書いてからもこの曲の元ネタをずっと考え続けていたのですが、先日57年のDOO-WOP系ヒット「THE DIAMONDS / LITTLE DARLIN'」を聴いてたら「LOVELAND, ISLAND」のルーツがこの曲にあることを確信。達郎版の出だしのハープがこちらではピアノで「トルゥゥゥゥー」ってやってます。その後の歌いだしの「OH LITTLE DARLIN'」の部分が「OH LOVELAND」だね。その辺りのメロディと明るさ加減、コーラスの入れ方などからも大元ネタ決定と言っていいのでは、、、。もしかして常識でした?「YOU TUBE」で 「THE DIAMONDS / LITTLE DARLIN'」の動画 が見れます。

一方、CD「FOR YOU」(BVCK-37011)'99の市川清師氏の解説を読むと、「サンバとマイアミTKサウンドを合体させた」とこの曲を表現している。サンバってのは気付かなかったなあ。どの辺がサンバなんだろう?ベースラインなんかがそれっぽい気もするけど、この曲の元ネタになるようなサンバ曲があるなら是非知りたいところ。

更にマイアミTKサウンドってことだけど、あらためて「ROCK YOUR BABY - GEORGE MCCRAE (T.K. 1004)'74」を聴いてみるとなるほどギターの刻みやベースラインが似ている気がします。この曲をもう少しテンポアップするとかなり似る気がするなあっと「YOU TUBE」で検索したらお誂え向きに 「KC & The Sunshine Band 1974 Rock Your Baby」 なる映像がありました。うーん、確かにサウンド的に結構近いかも。是非皆さんのご意見もお伺いしたい。また、マイアミTKサウンドって良く知らないんだけど、「LOVELAND, ISLAND」の元ネタ曲、あるいは明るくオススメな曲などがありましたらどうか教えて下さい。

↓サウンドを真似た曲をご紹介頂きました。

笠原弘子 / aqua Stripe 「Ever17-the out of infinity-」

明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(乾いた空気感) ポップ偏差値合計
10
10 10 8 7 8 7 8 5 73


【 ポップ偏差値 72

CLASH / HITSVILLE U.K. '80 SANDINISTA!収録
SANDINISTA
クラッシュ版モータウン「DIANA ROSS & THE SUPREMES / YOU CAN'T HURRY LOVE」。同トラックはスーパーポップの定番という感じですね。日本製で同トラック使用曲では「松田聖子/ハートをRock」、「原由子/恋はご多忙申し上げます」、「広末涼子 / MAJIで恋する5秒前」の3曲もいいですね。このトラックはスーパーポップの定番と言えるでしょう。(他にもこのトラック使用のポップな曲をご存知でしたら教えて下さい。)

元々パンクバンドとして始まったクラッシュだけど、このアルバムではMIKEY DREADをプロデュースに迎え、レゲエっぽい曲を数多くやるなどずいぶん多面性を持たせている。その中でもこの曲なんかはポップスの王道という感じすらする。高校生時代とてもよく聴いていた曲で、受験生だった私は英語の勉強代わりにとクラッシュのこの曲の歌詞等をノートに書き写し、授業中ずっと頭の中で歌っていたのを思い出す。

「YOU CAN'T HURRY LOVE」トラックは数多いがこの曲のドラムの弾けた感じは特にポップでいい。続けて始まる子供中心の歌声が異色で驚いたがとても良い演出だ。子供中心の歌声は感情表現が豊かでないので、いい意味で感情の抑制が効き、ちょっと寂しげな歌詞によりリアリティを持たせるという絶妙な効果を生み出している。これが泣かせるのよねー。後ろの方でそんな子供をサポートするミックジョーンズの声もやさしくていい。全体に小さく響き続ける木琴?の音も郷愁を誘って涙腺を弛ませる。とてもポップなバックなのにこれだけ泣かせる曲も珍しい。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(子供の歌声) ポップ偏差値合計
8
8 8 8 8 9 9 9 5 72


BRUCE SPRINGSTEEN / HUNGRY HEART '80
hungryheart.jpg
軽快なドラムと明るく軽快なピアノが心地よく響き渡るなか、ブルース・スプリングスティーンの掛け声も輪をかけて明るい。しかも湿りっ気ゼロ、空からの晴天声だ。歌声自体はまあ標準だがやはりバックのオルガン、ピアノ、コーラス、ドラムスなどが一体となってひたすら明るく鳴り響く感じがすばらしくポップだ。メロディもちょっと胸キュン入っててグッときますね。間奏のオルガンソロも素晴らしい出来。この曲のヒットで80年代も70年代に続いて明るい未来感を持った素敵な曲で溢れかえると思われたが結局のところはこの曲あたりを頂点とし、以後徐々に無垢な明るい未来像はポピュラーミュージックから消えていったように思う。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(晴天サウンド) ポップ偏差値合計
9
9 10 5 7 9 9 9 5 72


楠瀬誠志郎 / 君と歩きたい '92 作曲楠瀬誠志郎 編曲武部聡志&楠瀬誠志郎 「素晴らしい恋をしよう」収録
KUSUNOSE
「恋はあせらず」トラック名曲の「CRAZY FOR YOU」も収録した92年のアルバム「素晴らしい恋をしよう」に収録されている曲ですが、ここでも大ポップ大会やってます。摩天楼の満天の輝きを思わせる煌めきの分厚いサウンドは限度というものを知らず、ひたすらド派手に作りこまれてます。エコーが深めなのはドラムぐらいだけど、エレピや煌きの装飾音も満載ということでスペクター/ナイアガラ系音壁サウンドと認定してもいいんではないでしょうか?メロディはちょっと泣き節入ってますが、それでもヴォーカルの能天気な声質と相まって全体として乾燥感が感じられて良い。なかなか良く出来たメロディなので静かなバラードタイプの曲でも成功したはずだが、テンポを早め、スーパーハイテンションな曲に仕上げたその心意気、ポップ感覚にシビレます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(厚い音壁) ポップ偏差値合計
9
10 8 7 8 8 10 7 5 72


【 ポップ偏差値 71

BEATLES / PLEASE PLEASE ME '63



オーパーツとは、それらが発見された場所や時代とはまったくそぐわないと考えられる物品を指す言葉。「場違いな工芸品」という意味です。有名なところでは、アステカのクリスタル・スカルやコロンビアの黄金スペースシャトルなどが上げられます。音楽、ポップス界にもそのような不可解な曲が存在し、一部では『オーパーツ・ミュージック』として発掘・検証作業が行われています。当ブログで取り上げる第1回目は『BEATLES / PLEASE PLEASE ME』。

ビートルズのデビュー曲はLOVE ME DOで1962年10月5日の発売、デビュー2曲目のPLEASE PLEASE MEは1963年1月11日発売。前者はチャートで17位を記録したけど、イモ臭く暗く湿った垢抜けない楽曲で個人的には全く評価できない。その僅か2ヶ月後に1位になった後者は実に洗練された楽曲で、ポピュラー音楽史上最も活躍したバンド、ビートルズの原点とも言える曲。個人的には後追いでしかないけれど、1950年ぐらいからのヒットチャートの楽曲を順に聴いていくと、このPLEASE PLEASE MEの洗練されたスマートさは将にオーパーツ。若者向けで爽やかで瑞々しく垢抜けて実にスマート&キャッチー。この時代では明らかに異質で抜きんでた存在。特にLOVE ME DOのイモ臭さと比べるとその飛躍的なスマートさの向上ぶりが際立つ。

当然の如く、この曲を含めたビートルズの初期シングルは世界中の若者の爆発的人気を得、1964年のアメリカのチャートでは、抱きしめたい、シーラブズユーなどと共に上位5曲を独占してしまうという音楽史上今も昔も他に誰も成し遂げていない快挙を達成してしまう。これは、ビートルズが悪魔に心を売って手に入れたのか、はたまたビートルズが未来の世界のヒット曲をもって1963年の世界にやってきたのか、あるいは宇宙人から譲り受けた楽曲なのか、、、等と考えないと全く説明がつかない将に『有り得ない音楽』と言えるでしょう。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーヴ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(オーパーツ) ポップ偏差値合計
8
8 9 7 7 9 8 10 5 71


参照: オーパーツ・ミュージックのすすめ

サザンオールスターズ / いなせなロコモーション '80 作曲桑田佳祐

SAS INASE.jpg

桑田佳祐率いるサザンオールスターズの最初期のヒット曲。 歌詞 に、コニー・フランシス、ドリス・デイ、シュープリームス、フランキー・ヴァリ、ビーチボーイズ等50/60年代の所謂オールディーズ・アーチストやヒット曲名がふんだんに散りばめられたポップロック。この80年代初頭は日本語詞をロックにのせるというのは難しいと言われていた時代だけど、桑田佳祐流に砕けた日本語と外来語をごった煮にした結果、うまく日本語がロックに馴染んだ好例と言えるでしょう。サウンドは原由子さんの軽快なピアノを主体としたスピード感のあるもので、爽快なフーウー・コーラスやライブ的臨場感を醸す手拍子などを加え、楽しく賑やかな雰囲気もいっぱいです。サビの威勢の良さとアメリカ西海岸に通じそうな乾燥感も桑田佳祐の持つ独特な感性の賜物って感じですね。

78年の「勝手にシンドバット」でそれまでに無い日本語ロックで衝撃デビューした彼等は、80年代初頭ぐらいまでは瑞々しさと威勢のよさを売りにとても素晴らしい名曲の数々を発表し続けました。あれから30年ほど経過した最近になって考えるのは、では一体この曲のサウンド的な元ネタは誰の何て曲なのか、ということ。オールディーズを基調として、延々とピアノが鳴り続けるところや途中転調する箇所なんかは 「ELTON JOHN / Crocodile Rock」('72) (クロコダイル・ロック)に似てるんじゃないかと思うんですけど、いかがなもんでしょうか。何れにしても 「いなせなロコモーション」 のピアノ主体の軽快なサウンドは大好きなので、この2曲のような明るく元気なポップロックをご存知でしたら是非教えて下さい。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ピアノサウンド) ポップ偏差値合計
9
9 8 8 8 8 8 8 5 71


ACE CATS / ROCKABELLA '84 「The Best Of The Ace Cats」収録

ace_cats rockabella.jpgace cats lp.jpg

ドイツのネオ・ロカビリーバンドのヒット曲。私はつい先日知りました。84年産ということですから、同じロカビリー系ヒットの「ROMAN HOLLIDAY / DON'T TRY TO STOP IT '83」と共通項を感じます。スピードのある「恋はあせらず」系の跳ねたリズムでベースラインなどにもハリーラブの影響が感じられます。出だしの明るい女性コーラスにノリのいい粋な男性ヴォーカルがイイ。ヘ、ヘイ、ヘイ!私は開始僅か10秒でノックアウトだったヨ。乾いた空気感、歯切れの良いギターカッティングに手拍子も加わりゴキゲンそのものっすね。こんなイカシた曲をこれまで知らなかった自分が恥ずかしい。個人的にどうもロカビリー系ポップには抜けが多い気がするなあ。どなたかロカビリー・ポップでオススメの曲教えてチョ!
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(恋あせネオロカ) ポップ偏差値合計
10
8 9 9 9 7 7 7 5 71


ABBA / THAT'S ME '77
THATSME
この曲はアバ最大のヒットDANCING QUEENのB面の曲です。日本でのみ? A面として発売されました。また大抵のベスト盤には入っていないというどうにも不遇な曲です。世界の中で日本ぐらいでしか受けてない曲の典型でしょうか。

ピアノの早弾連打に続き空高く舞い上がるストリングスが続くイントロがスリリングでカッコいい。続いて始まるハーモニーやコーラスも実に澄んでいるので、飛行機に乗ってこれから出かける楽しみな海外バカンスをイメージさせてくれる。ピアノとストリングスは要所に配されていて曲の構成も飽きさせない。私にとってのアバのナンバーワンだが、これが隠れた名曲なんてもったいないなあ。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(イントロ) ポップ偏差値合計
6
8 10 8 7 9 9 7 5 71


PHIL COLLINS / YOU CAN'T HURRY LOVE '82

PHIL COLLINS YOU CAN'T HURRY LOVE.jpg

数あるハリーラブカバーの中でも最大の成功がこの元ジェネシスのPHIL COLLINSによるカバーだろう。この曲のヒットの最大の要因は出だしの彼の歌いだし第一声の「I need love love ...」の部分によるところが大きいと思う。原曲よりも音程が若干高め(事実?)でかなり明るい感じがしたその時点でノックアウトされた諸氏も多いと思う。そんな感じで全編が単なるコピーではなく、彼独自の解釈で歌ったことにより曲自体の持つ新たな魅力を引き出すことに成功したといったところか。それとあの元genesisのフィルコリンズが、、、という意外性も受けた一因、なんてことはないかな。コーラス含めてこちらは完全男性版というのも面白い。もちろんシンプルながらも現代的なアレンジをうまく取り入れたところも大きなポイント。私は原曲よりもこっちのバージョンの方がずっと好きだな。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(独自な歌唱解釈) ポップ偏差値合計
9
8 8 8 9 8 8 8 5 71


竹内まりや / もう一度 '84 作曲竹内まりや 編曲山下達郎
TAKEUCHI MARIYA LETS TRY AGAIN.jpgTAKEUCHI 2.jpgYAMASITA TAKEUCHI kaiken 2.jpg

英語題「LET'S TRY AGAIN」。山下達郎がサウンドストリートでオンエアしたソウルグループChampaignのTry Againが83年作で、竹内まりやの「LET'S TRY AGAIN」が84年だからタイトルはこの曲からインスパイアされたことが濃厚とみている。曲調は全然違うけどね。

軽やかなピアノの音色と山下達郎の高揚感あるコーラスで始まる明るくポップに弾けまくるこの曲はナイアガラな音壁的にも魅力いっぱいなのだが、竹内まりやの書いたメロディも甘酸っぱい胸キュンもんで素晴らしいネ。この二人のコラボレーションとしては最高傑作と言っていい。瑞々しさもこの頃がピークかな。それと時代的空気感もこの頃でしか有り得なかったという気がしてならない。山下達郎と竹内まりやのナイスな出会いによって生まれた一品。

現役ナイアガラフォロワーの第一人者、岩崎元是作品の 「小西寛子 / きっと きっと・・・」 はこの曲を元ネタにしているがナイアガラ壁音的には岩崎元是作品の方が数倍分厚く素晴らしいので「もう一度」好きな方は是非お試し下さい。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(高揚感&音壁) ポップ偏差値合計
7
9 9 7 7 9 10 8 5 71


RUBETTES / SUGAR BABY LOVE '74
RUBETTES  SUGAR BABY LOVE.jpg
74年当時どの程度ヒットしたのか分かりませんが、ここ日本では最近でも各種テレビ・コマーシャルで頻繁に使われている超有名ポップ。助走をつけて徐々に盛り上げていくコーラスから一気に甲高いファルセットが切り込んでくる出だしのテンションの高さが凄い。全体を通じて流れる爽やかで乾いた空気感、瑞々しさ、陽気でちょっと甘酸っぱいメロディはいかにも70年代中期の無垢な明るい未来感が満喫できていいネ。

「バッシュワリワリ(ワッシュワリワリ?)」コーラスの楽しい雰囲気、陽性なリードや先の切り込みファルセットなどのヴォーカル・ワークも素晴らしいけど、実はバックサウンドもかなり凝った作りでイイのです。空高く舞い上がる華麗なストリングスはもちろん、平和で幸福な音色の鐘の音、煌びやかで隠し味的グロッケン、軽やかなエレピの響きなどなど、インスト版があっても十分堪能できそうなグレイド。若干歌声にかき消されているのと音圧が低めなので、ここは是非、岩崎元是氏にWALL OF SOUNDで派手に焼き直しして欲しいところ。

なお、この曲にはROOMATES、WINK、石田燿子、布袋寅泰などによるカバーがあります。また同じくルーベッツには「JUKE BOX JIVE」という元気いっぱいなポップスもありこちらもオススメ。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ヴォーカルワーク) ポップ偏差値合計
8
10 10 6 6 8 8 10 5 71


【 ポップ偏差値 70

STYLE COUNCIL / MY EVER CHANGING MOODS (LONG VERSION) '84

MY EVER CHANGING MOODS 12.jpgSTYLE MY EVER.jpg

NEW WAVEの大きな波が一段落した84年に元THE JAMのPAUL WELLER率いるスタイルカウンシルの放ったブルーアイドソウルなダンサー。イギリス盤や日本盤LPに収録されているのはピアノの弾き語りバージョンで、12インチシングルとアメリカ盤LP(A面1曲目)にのみこのLONG VERSIONが収録されています。橋本徹監修のコンピ「FREE SOUL MEMORY」にも収録されており、如何にもフリーソウルという言葉がマッチする曲ですネ。

BLUE EYED SOULというのもちょっと古臭い言い方ですが、この当時の白人バンドがこれだけうまく黒人(ソウル)的グルーヴを取り入れた曲は斬新でした。加えてこの曲にはパーカッションを含めてラテン・ロック的色彩(フリーソウル的には「AZTECA / SOMEDAY WE'LL GET BY」が近い)も加わり、そうした様々な要素を見事に消化した大傑作曲です。

全体として感じられる洗練されたムードと爽やかさ、高揚感、疾走感と華やかさはバブル前夜の日本の若者にも大受けで、この曲の入ったアルバム「CAFE BLEU」はお洒落人間必携グッズになり、特に洋楽を好きでもない平凡な大学生にも受け入れられていました。因みに何度も入るドラムの「タカタタタッ」って箇所は「フリッパーズギター / バスルームで髪を切る100の方法」の元ネタとしても有名です。

「YOU TUBE」で PV が見れます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(ラテン・ダンサー) ポップ偏差値合計
8
7 9 8 8 8 8 9 5 70


QUEEN / DON'T STOP ME NOW '78 「JAZZ」収録

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フレディ・マーキュリー率いる世界的人気グループ、クイーンの78年のシングル曲でアルバム「JAZZ」収録。当時中学三年生だった私は新譜でこのシングル皿を買い、そのカッコ良さに痺れ、卒業文集にはこの曲の「THERE'S NO STOPPIN' ME」というフレーズを書きました(恥笑)。

いまや日本でも各種コマーシャル・ソングに引っ張りだこな大人気曲ですが、私の応援虚しく当時日本では全然ヒットしませんでした。今にしてみれば考え難いことですが、当時はロック又はロック系ポップスを「聴ける」人口はかなり少なかったし、この曲はクイーンの曲の中ではかなりハードな方なので、多大な人気を得るには、当時の多くのポピュラー音楽ファンの耳は十分には慣れていなかった。その意味では時代が追いついた名曲と言えるでしょう。

アカペラ風に静かに始まる出だしから、一気にスピードアップするポップ・ロック。Aメロ、Bメロは共に実に滑らかで流麗な黄金旋律。キーも高ければテンションも高く、更に疾走感、高揚感たっぷりなので快楽指数は高い。軽快なピアノが入ってサウンドも耳に馴染みやすいネ。途中にブレイク部分を入れ、斬れのいいコーラスとリードの掛け合いがあったり、フレディな雄たけびが入ったり、その後にブライアン・メイのギターソロが入ったりといった展開は実に密度が濃い。

「YOU TUBE」 で聴けます。
明るく元気 テンション 高揚感 疾走感 グルーブ メロディ 器楽 瑞々しさ ボーナス(疾走感) ポップ偏差値合計
8
9 8 10 8 8 7 7 5 70




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洋楽スーパーポップの世界(2)


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