家族編 我が父上
私は自他共に認める完璧な『ファザコン』だ。
だから、世界で一番誰が好きかと聞かれたら、
この年になっても堂々といまだ父親と答えれる。
私の父上は髪のサビシサの割りに年齢はまだ若い方だ。
年齢は５１，２歳だったはず。
容姿は『この木なんの木』で有名な小林○星を殴った様な顔。
身長１７９ｃｍ、１２０ｋｇ弱、足のサイズ２９．９ｃｍ。
座右の銘は『たなからぼたもち』
Ｍｉｎｎｉｅ家一門のキング。絶対王政ならぬ『絶対父政』の父。
我が家では小さな頃から、
『お父さん』の事を『父上』と呼んでいる。
私達にとって父上は父上だったから、
その呼び名が普通では無いと知った時はびっくりして
（ちょっと騙されてた気分もしないでもなかった）
こりゃマズい！と
ほんの少しの期間『お父さん』と慌てて呼び変えてみた事もあったけど、
逆になんだか照れくさくて、結局父上で来てしまっている。
さて世界で一番大好きな父上が一番好きな女性、それは他でもない、
母親のばばちゃまだ。
世間一般の女性からみたらちょっと『うわ～』的な、
嫌なイメージの『マザコン男』とは少し違うのだが、
とにかく自分の母親を大事にする。
父上は男男女の次男なのだが、
家業を継いだというのもあって、ばばちゃまこと母親と同居だ。
今でこそ我が家の家計は傾いてしまっているけれど、
良いのか悪いのか、外食や飲みに行くふるまいなどを見れば、いわゆる
『坊ちゃん育ち』
というのが娘の私でも良く分かる。
しかしファザコンの私がいうと思いっきり身内びいきな様だが、
父上は電化製品を扱う以外、
仕事においても遊びにおいても何でもそつなくこなす。
知らない事が無いんじゃないか？
という程色んな事を知っていて、
それでいて笑いのセンスなんかもある。
私位の年齢になると、男性としてもみれるから、
そちらの方ではその『坊ちゃん育ち』が目に付くと所があるのだが、
これだけ知識や経験が豊富で、
ユーモアがあり私がみるからに周囲から慕われているのだから、
父親としては完璧だと思う。
この父上、３６歳の時に私の母である妻を亡くしている。
３人の子供の親になりこれからという時にパートナーを失った。
悲しみは計り知れないものだったと思う。
しかし元から人の出入りが激しい我が家でもあるが、
残された私達兄弟が寂しいと感じさせる事は全く無い程楽しい思い出となる事を与えてくれた。
子供の頃は毎週末は何処かしら外出、
長いスクールホリデーには旅行、
豆まきなどの小さな行事も、
一門会として(チョット聞こえがヤバイ線だが、全く違うので あしからず）
親戚や知人の子供も皆呼んで
ウン万円分もの大量のお菓子を鬼に扮してまいてくれ、
今でもクリスマスパーティーはその一門会で毎年１００人以上がホテルに集まって、そして今でも夏、
８月の母の命日はクリスマスパーティーと同じ様に盛大に催される。
母上の一周忌の時は私達子供にそして皆に
母上の素晴らしさを知っていてもらいたい、忘れて欲しくないという事で、
その一門会の人達が、
それぞれ私の母上についての想いなどを綴った
【エッセイ】の様なものをひとまとめにし、
簡単な本らしきものを発刊してしまった
（もちろん内々だけでしか手にしてないけど）。
亡くなった母上も自分を忘れられる事もないし、さぞ嬉しいだろう。
思い出が少ない私達兄弟にとっても宝物だ。
父上だって父親である事に加え、れっきとした男性だ。
これまでお付き合いした女性もはっきりいって少なくない。
今も素敵なステディー(離婚歴のある父上よりも２つ年上)がいる。
亡くなった母上をまだ愛してる父上をひっくるめて一緒にいてくれている。
父上の事に限らずで一概には言えないけど、
離婚した男性は前妻の存在を打ち消そうとするのか
案外すぐ再婚しがちだが、
死別した男性はなかなか踏み切れないのか何なのか
すぐに再婚をしようとはしない。
まあウチの場合、未だコブ付きババ付きじゃ彼女も嫌か(^^;)
周囲から母上の生き写しまでといわれている私。
自分では良く分からないけど、それでなのか、
たまに父上は無意識に私の事を母上の名前で呼ぶ。
亡くなって１５年以上経つのにも関わらず、だ。
私も否定せずに普通に返事をする。
常に今でも彼の中には存在しているんだろう。
１０代の頃は、すべてにおいてのマナーを叩き込まれ、
門限も厳しく不満を感じた事も多々あるけれど、
今となっては感謝の気持ちでいっぱいだ。
そして、どんな時もやはり親が言う事は結局正しい。
父親を尊敬出来ない子供が最近増えている様だが、
我が家は『絶対父政』で良かった。
すべて含めて、この父上が自分の父親である事が最近何よりも幸せに思える。
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