ドン・愚利公の連れづれ草

ドン・愚利公の連れづれ草

秀吉の枷上下 加藤廣著 日経新聞社刊



思ったほどの面白さはなかった。

文章にも格調の高さが認められない。「頭の中が真っ白になった」なんていう記述にもがっかりした。

ミステリーの一つ目が信長の遺骸が見つからなかったという史実に対するフィクション。

襲ったのは光秀、息の根を止めたのは秀吉という設定。信長の偏狭な性格を考えれば、次は自分という危機感が秀吉にはあった。ということか。

信長は、本能寺から南蛮寺へ抜ける秘密の抜け道を秀吉に作らせた。だから上洛の際、信長は少人数で本能寺へ宿営した。

秀吉には光秀謀反の情報が事前に入っていた。秀吉は抜け道を封鎖し、井戸へ入って逃れる信長主従を配下の前野将右衛門に襲わせた。

しかし、信長の遺骸は織田家菩提寺の座主清玉に奪われる。

後は、定説どおりの三法師相続事件、大徳寺での遺骸なき葬儀、天下簒奪へ

第二のミステリーは茶々第一子懐妊事件。通説に従って父親は大野治長。懐妊が公になれば二人とも命はない。

腹の子を秀吉に押し付けるため、治長の母親(茶々付、大蔵卿局)と図って茶々は秀吉を誘惑した。しかし、生まれた子は夭折。

第二子秀頼懐妊の相手は蒲生氏郷の寵童という設定。

結局、秀吉政権誕生裏話の域を出ない。

ただ、読んで気付いたこと。信長、秀吉の人格設定が大河ドラマ「功名が辻」に生かされている。



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