現実。

私が小3か小4の時、両親は離婚。

実際にはいつ離婚していたのか定かではない。
小学校に上がる頃には、既に父親はほとんど家に帰って来なかったから。
いていないような父親。

寂しいと思ったことはなかった。
ショックもなかった。

でも・・・。

新しい父親が出来る事、苗字が変わる事・・・。
さすがにこれにはショックを受けた。

母親からそれを知らされたのは、小4の終わりだった。

「新しいお父さんができるのはどう思う?」

どうでも良かった。

だって、血の繋がった父親は、もうここに帰ってくる事も、私に会う事もないのだから。

「お母さんがそうしたいなら、それで幸せになれるんだったら、私は何も言わないから、好きにすればいい。」

私はこう言った。

涙が出た。

母親は私1人がいるだけじゃダメなんだ。
そう思った。

父親が帰って来ない事で、生活費も入れていない事で、母親が金銭的にも、肉体的にも苦しんでいたのはよく分かっていた。

だから再婚する事で、母親の負担が少しでも軽くなるなら、それでいいと私は思った。

でも、私の

「お母さんがそうしたいなら、それで幸せになれるんだったら、私は何も言わないから、好きにすればいい。」

と言う言葉の裏にはもう1つ別の意味もあった。
それは、

「再婚して父親が出来れば負担も軽くなる。それプラス、少なくとも家庭の状況を見ていてくれる人がいれば、もう母親が私に手を上げる事もそうそうないだろう。」

という気持ち。

ズル賢いかも知れないけど、自分の身を守る為には絶好の機会だと思った。

それに・・・。

新しい父親が好きなのは、私じゃなくて母親。
母親の事を好きになって再婚するんだから、私はお邪魔虫。
いらない存在だと思った。

だから父親には何も期待なんてしていなかった。

今までだって、ずっと自分の気持ちを押さえ込んで生活してきたんだもの。
これからもそうやって生きて行くつもりでいた。




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