その2。

それから間もなく、新しい父親と母親、私の3人での生活が始まる。

思っていた通り、母親の負担は軽くなり、父親もちゃんと毎日帰って来て、休みの日は家族サービスするような、いわゆる

「理想の父」

であり、となると当然私の思惑通り、母親が私に手を上げる事もパッタリと止んだ。

・・・何だ、簡単な事じゃん。

ちょっと我慢すれば、ちょっといい顔していれば、家の中では上手く行くんだ。

そんなモノなんだ。

家の事に関しては、完璧に冷めていた。
興味なんて一切ナシ。
私には関係ない事だと思っていた。

祖父や祖母、親戚に、

「良いお父さんが出来て良かったねぇ。」

と心底喜ばれた。

誰に対して言ってるの?
私が本当に喜んでいるとでも思ってるの?
何が良い事なの?

私にはさっぱり分からなかった。
みんな何も知らないくせに。

大人は勝手だと思った。
そして、信用出来ないと思った。

本当の父親だって、血の繋がった人間だって、大人は平気で裏切るんだ。

あんな大人にはならない。
あんな母親にはならない。
誰かに縋って生きようなんて、頼って生きようなんて思わない。
誰も当てになんてしない。

そう思った時、絶対結婚なんてしない、自分1人で生きていく為に、何かを身につけておかなくてはならない、と本気で思った。

再婚して2年目、きりに異父姉妹ができた。

まだ赤ちゃんだし、本当の子は可愛いのであろう、妹は大事に大事に育てられる事になる。

そうなれば当然、姉である私の面倒まで見ている暇もなかなかない。

両親との間に、適度に距離ができた。

丁度良かった。
干渉される事も、煩い事を言われる事も減っていった。

でも同時に、壁というものは益々厚くなって行く気がした。

父親・母親・妹・・・これが家族だった。

私はお邪魔虫。

この考えだけは、どうしても消す事が出来なかった。
当然、誰にも言えなかった。
祖父にも、祖母にも、親戚にも、友達にも・・・。

家にいる間は孤独感が強かった。
だからせめて、学校にいる間は、友達と、好きな人といる間だけは、楽しいと感じたかった。
孤独感から逃れたかった。

でも・・・。

中2の時、本当に仲が良かった友達に裏切られた。
クラスでは、その子を中心とする集団無視。
部活でも毎日嫌がらせを受けた。

毎朝拒否反応から腹痛になり、部活に行けば毎日過呼吸で倒れて・・・。

いじめの原因は自分で分かっていた。
片方は自分ではどうする事も出来ない理由、もう片方は、自分で持ち堪えれば、立て直せれば、何とかなりそうな理由だった。

でも、昨日まであんなに仲が良かったのに・・・。

親友だと思っていた子からも裏切られた。
人は信用するモノじゃないんだ・・・。

自分の身は自分で守るモノなんだ。

更に強く思った。




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