あの日の空に見たもの

あの日の空に見たもの

一章  はじまり

一章 はじまり

いつもと変わらない朝、いつもと変わらない僕。
今日もいつもと変わらぬ日常、いつもと変わらぬ一日を僕は迎えようとしていた。
「いってきます。」
学校へ登校し、まじめに授業をうける。
昼休みが過ぎ、下校の時間になるまでは、いつもと変わらない生活だった。
この後の事は誰も予測しなかった。
まさか、世界が終わる始まりになっているとは誰も…

真っ赤に染まる夕日。そしてはるかな地平線へと沈んでゆく太陽…
そして、僕は此処から記憶が途絶えた。
全てを教えてくれたのは…

真っ赤な太陽は沈んでゆく。もう二度とこの大空へは昇って来れないとも知らずに。
僕たちは歩いてゆく。もう二度と戻れなくなる道へ進んでいるとも知らずに。

空が光った。
それと同時に、太陽は永遠の闇に落ちていった。

此処は漆黒の闇。
今、僕はどこにいて、何をしているんだろう。
君は、どこにいるんだろう。
「社くん、何してるの?」
後ろを振り向くと、そこには君がいた。
「何だか分からないけど、変な空間に迷い込んだみたいだ。」
「社くんもなの?私もみんな探しているんだけどいなくって…」
僕たちが話していると、木ノ橋がやってきた。
「あっ社!月譯!こんなところにいたのか。よかったぁ…」
「木ノ橋も?」
「あぁ。どうやらみんなそうみたいだ。」
「とりあえず此処から出よう。」
そう言って三人で出口を探しながら歩いた。

暫くすると、明かりが見えてきた。
家の明かりだろうか?それとも出口の明かりだろうか…?
僕たちはその明かりを目指して歩いた。

目の前に現れたのは、今にも崩れてしまいそうなボロい家。
その家の窓から明るい光が足元へと差し込んでいるが、辺りにはその光だけが映し出されている。
後は何も無い。ただの闇、闇、闇。
「街の明かりは全て消えてしまっているのに…。どうして此処だけついているのかしら?」
「とりあえず、中の人に聞いてみないか?」
「そうだな。」
トントン、と軽く扉をたたいてみた。
中から現れたのは老人。
「何だ?お前たち、どうやってこの闇の中を抜けてきたんだ!?」
「ひたすら歩いていたら、此処にたどり着きました。」
「そうか…まぁとにかくあがりなさい。何時までもそこにいるのは危険だ。」
そう言って老人は見ず知らずの僕たちを家へ入れてくれた。

「あの…さっきまでの事って、一体なんなんですか?」
僕は思い切って聞いてみた。
「うむ、良くぞ聞いてくれた。実は、世界が崩壊しつつあるのだ。」
「…世界が…崩壊?」
「この今ある世界が無くなってしまうって事だよ」
信じられなかった。
今あるこの世界がなくなるだって…?
じゃぁみんなは、世界が崩壊する事を知らずにまださ迷い、歩いているという事なのか…!?
「とりあえず、お前たちにはこれまでの歴史を知っておいて貰わねばならん。後でそこの階段を下りて地下室へ来なさい。」
と老人はすぐそこの床を指差して言った。
「では、私は先に行っているから、落ち着いてから来なさい。」
そう言って床板を開け、地下室へ続く階段を下りていった。

「社くん、木ノ橋君、そろそろ行かない?」
「そうだね。じゃぁ行こうか。」
僕は複雑な気持ちで地下室へと向かった。
ひんやりとした空気、暗い階段…
まるで外の空気と同じように僕を包んでいる。
暫く階段を下りていくと、目の前に扉が現れた。
「ここかな…?」
「そうかもしれない。開けてみよう。」
木ノ橋が扉を開ける。
中から光がこぼれてきた。
扉の向こうに広がっていたのは、壁一面に本が並び、机の上には難しそうな書物や書類で溢れている。
どうやら老人の書斎のようだ。
「君たち、こっちへ来なさい。」
老人が手招きして僕たちを呼ぶ。
呼ばれて立たせられたのは古くて大きな本の前。
ものすごく歴史を感じる書物だが…
「君たちには、この中にある『世界の滅亡』について読んでもらう。」
そう言って老人はおもむろにその本を開き、ページを探し始めた。

 世界は一瞬にして闇に包まれ、光は二度として生まれない

 そして蠢く大地と共に崩れてゆく

 さらに天の変化と共に消滅してゆく

 世界に命授かりし時まで生き返らぬ

今起きていることと本に書かれていることが同じだった。
「そう考えると次は…大地震!?」
恐怖に震えている君の隣で木ノ橋が呟く。
「そういうことだ。もう崩壊は既に始まっておる…。もう戻れぬ状況じゃ。」
「じゃぁ、もう崩壊を待つしかないの!?」
わずかな可能性にかけて君は老人に尋ねた。
「………」
「そんな…」
絶望的だった。
「まぁ、方法が無いわけでもないが…」
この老人の一言に希望の光が見えた気がした。
「…死人が出る。」
一度差し込んだ希望の光はあっという間に消え去った。
「まぁ世界の滅亡と共にわしらも死んでゆくのだがな…」
「どっちにしろ死ぬのかよっ!!」
悔しそうに木ノ橋が言った。
世界中を犠牲にするか、自分たちを犠牲にするか…
ドンッ!ゴゴゴゴゴ・・・
大きな大きな音と地響きが聞こえてきた。
そして、終には大きな揺れが襲ってきた。
「くっ・・・!もう間に合わん!!」
「もう地震が来たのか!?」
皆が慌てて何もできない中、僕は何故か扉に手を伸ばしていた。
「外へ出てはいかん!!」
老人の声も耳に入れずに、僕は扉を開けてしまった。
ガラガラガラッ…
もの凄い勢いで土砂が崩れてきた。
「社くん!!」
僕の名前を呼ぶ君の声…




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