招き猫解説(入門編)講談バージョン


 招き猫様のお話でございます。
お時間の許す方、どうか最後まで、お付き合いを願います。
 時は今をさかのぼること三百年あまり、当時の彦根藩主、井伊忠直公が、江戸は当家菩提寺、世田谷にあります所の豪徳寺に参りました時のこと、ふっと見やりますと庭先に一匹の猫、これがまるでおいでおいでを致しますような仕草を致します。これにつられて井伊様が、猫の招きに応じまして、進み出ます。
 その刹那、井伊様を狙わんとする曲者が寺へと侵入を試みます。
 猫に招かれその場を離れた井伊様、間一髪のところで難を逃れ事なきを得ます。
 よくぞ、良くぞ招いてくれた、猫はほんに良いものよと、猫に感謝しこの地に猫塚おば建立致します。
 これがいわゆる井伊の招き猫の概略でございます。パパンパン。

 時移りまして、文明開化、巷ににわかにはやり物が次から次へと誕生いたします
江戸は今戸の〆猫もそのひとつ、かの者の夢枕になにやら神々しいお方が現れ、猫の招く姿を人形と成し、〆の文字を刻みて皆に分け与えよとのお告げが下ります。
 かくて江戸の〆猫が世に出ますと、我先にと、今日で申します所のきてぃさんのごとく大流行いたします。
 各地でこれをまねて、招く姿の猫たちが爆発的に増殖いたします。パンパン

 大正ロマンは美女に黒猫などと申します。この頃になりますってーと招き猫はもう定番商品、各地稲荷の参道や、陶器の産地は云うに及ばず、市中いずれに参りましても、招きの居ぬ地はあい御座らぬ。引き札、今日で申します所のスーパーのチラシにおきましても、商い名人と歌われました福助師匠と肩を並べるまでに相成ります。オホン(よっ、福次郎!)

 昭和に時が移ろい、ましても猫は招くよどこまでも、とその栄華を誇ります。
が、しかし、おりしも世界情勢にわかに暗雲立ち込め、わが日本国もその渦中へズズっと巻き込まれ、招きの猫も嘆きのねこへ。人形作りの皆様方もやむなく兵隊さんをばつくらにゃならぬ事態に立ち至り。フー
 爆撃、空襲でもって人の命と招き猫、哀れ灰燼と会い果てます。

 飛んできたのがマッカーサー、コーンパイプにサングラス。
 何のかんので戦後の復興、時は再び昭和の元禄、高度経済成長と公害産んだこの国と、共に再び招き猫!目覚め、目覚め~た招きね~こ。

 生まれ育ちとその起こり、招きの猫のお話でした!っ
 次回会う日をあう日を楽しみに~♪、お粗末でしたまずはこれまで。(拍手)



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