教育基本法関連-5

「教育基本法関連」過去日記

うるとび過去日記をここに移しておきます。



最近とみに話題となっている教育基本法についての覚え書き。
私はあまりテレビを見ないし新聞も取ってないので、
今、国会でこれがどういうことになっているのかイマイチ不勉強。

でも何か違うんじゃないかな、って感じてる。
今の教育や子どもたちがおかしくなっているのは
法律のせいなんかじゃなくて、
今生きている大人のせいなのだと思うのね。
大人がきちんとしたお手本を子どもたちに示せない。
それが一番の原因だと私には思えるの。

教育基本法は日本国憲法と対になって
すばらしい理想を追求しようと策定された。
つまり、一人ひとりの人間を尊重する精神を育て、
あらゆる命が幸せに生きる権利を確立しようとするもの。

おそらく戦前の日本にはそんな精神は乏しかったでしょ?
だからこそ一人ひとりの命や幸せよりも先に
国家や家が大切にされ個人の権利なんて後回し。
一人の人間である前に
家の中での役割、国家の中での役割、
そういうものが優先されているうちにおかしなことになった。
戦争に向かうのを止めることもできなかった。
そういうことに口を出すのはいけないことだったから。

教育基本法を変えたい人たちは
たぶん国家のいうことに従順な国民がほしいんだよね。
たとえばこんな発言にそれがうかがえる。

「お国のために命を投げ出すことをいとわない機構、
つまり国民の軍隊が明確に意識されなければならない。
この中で国民教育が復活していく」

民主党の西村眞吾氏は超党派の国会議員でつくる
「教育基本法改正促進委員会」の設立総会で
教育基本法「改正」の目的をこう説明したんだって。
お国のための国民。まず国家ありき。
これって憲法改正の論調と同じよね。

義務教育についても義務教育費の国庫負担制度を廃止し、
大幅減額したうえで一般財源化して
「地方分権」の名の下に地方にマル投げしようとしているって。
それはどういうことかというと、
各地方自治体によって教育条件が違ってくるということ。
今は中学まで無償の教科書も有料になるかもしれないし、
学校への補助金も大幅に減らされて教育環境が悪化するかも。
しかも自治体の財政状況によってカバーできる範囲が違ってくるから、
教育格差が生まれるんじゃないかっていう懸念もあるよね。
でもって自治体が負担できない分は、
当然、保護者が請け負うってことになるでしょう?
となると、ここでもきっと持てる者と持たざる者との
格差が広がっていくんじゃないのかな。
これは現行の第3条の1に反するのではない?

今の時代のおかしさを教育基本法のせいにするのは
とても簡単だけど、とても卑怯なことだと思う。
問題なのは教育基本法の精神を理解せず、
実践できないでここまで来てしまった大人の方。
それを教育基本法のせいだなんて問題をすり替えている。

もう一度基本法をきちんと読み直してみれば、
改正の必要なんてないことがわかると思う。
どこに問題があるの?
愛国心の問題だって、文言にするとかじゃなくて、
本当にこの基本法が定めるような教育をしていたら、
そういう理想を目指した教育をしているのがわが祖国と、
自ずと誇りを持ち、自分の国が好きになれるよ。
そうじゃない?
変えるより前に正しく実践すること。
私はそっちの方が大切だと思うのだけれどなぁ。

あれ、今日は珍しく信毎の社説がまとも。

★★ 教育基本法 なぜ今、愛国心なのか
(信濃毎日新聞社説 4月14日)

信毎って小坂文科省大臣の御用新聞のはずじゃなかった?
でもこれが主筆の中馬氏の書いたものなら納得。
彼は信毎は護憲の立場だときちんと明言した人だから。
信毎の中では数少ない信じられる人だから。

あ、これは私の考えてることと似てる。
教育基本法が今の社会の荒廃を招いていると
そう結びつけるのは無理だと思うのよね。
ふつうに考えればそう思うのが自然じゃないかなー?

★★ 【教基法改正】荒廃は解決できない
(高知新聞社説 4月14日)

まずはともあれ教育基本法を読んでみましょう。
あとはいつものように関連リンクを載せました。

教育基本法

昭和22(1947)年3月31日 法律第25号
昭和22(1947)年3月31日 施行

われらは、さきに、日本国憲法を確定し、
民主的で文化的な国家を建設して、
世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。
この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。

われらは、個人の尊厳を重んじ、
真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、
普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を
普及徹底しなければならない。

ここに、日本国憲法の精神に則り、教育の目的を明示して、
新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

第一条(教育の目的)

教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家及び社会の形成者として、
真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ、
自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を
期して行わなければならない。

第二条(教育の方針)

教育の目的は、あらゆる機会に、あらゆる場所において
実現されなければならない.
この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、
実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、
文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない。

第三条(教育の機会均等)

1  すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を
受ける機会を与えられなければならないものであつて、人種、信条、
社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。

2  国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、
経済的理由によつて修学困難な者に対して、
奨学の方法を講じなければならない。

第四条(義務教育)

1 国民は、その保護する子女に、
九年の普通教育を受けさせる義務を負う。

2  国又は地方公共団体の設置する学校における
義務教育については、授業料は、これを徴収しない。

第五条(男女共学)

男女は、互に敬重し、協力し合わなければならないものであつて、
教育上男女の共学は、認められなければならない。

第六条(学校教育)

1  法律に定める学校は、公の性質をもつものであつて、
国又は地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、
これを設置することができる。

2  法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であつて、
自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない。
このためには、教員の身分は、尊重され、
その待遇の適正が、期せられなければならない。

第七条(社会教育)

1  家庭教育及び勤労の場所その他社会において行われる教育は、
国及び地方公共団体によつて奨励されなければならない。

2  国及び地方公共団体は、図書館、博物館、
公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法によつて
教育の目的の実現に努めなければならない。

第八条(政治教育)

1  良識ある公民たるに必要な政治的教養は、
教育上これを尊重しなければならない。

2  法律に定める学校は、特定の政党を支持し、
又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

第九条(宗教教育)

1  宗教に関する寛容の態度及び宗教の社会生活における地位は、
教育上これを尊重しなければならない。

2  国及び地方公共団体が設置する学校は、
特定の宗教のための宗教教育その他宗教的活動をしてはならない。

第十条(教育行政)

1  教育は、不当な支配に服することなく、
国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものである。

2  教育行政は、この自覚のもとに、
教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として
行われなければならない。

第十一条(補則)

この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、
適当な法令が制定されなければならない。

附則
この法律は、公布の日から、これを施行する。


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関連リンクいろいろ。

★★ 教育基本法改正の問題点

★★ 教育基本法の改悪を止めよう!全国連絡会

★★ いまこそ生かそう教育基本法

★★ 国家体制再編めざす教育基本法改悪
(小森 陽一 2002/8/20)

★★ 教育基本法関連
(うるとびフリーページ)

★★ 教育基本法を活かす県民ネットワーク@長野

★★ 教育基本法資料室
(大臣官房教育改革推進室)



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