| 「かっぽれ」 |


| これは舞踊です。 江戸時代に、五穀豊穣を願って踊られたもので、歌舞伎ブームが下火になっていた頃「かっぽれでも踊って盛り上げてみせろ」と揶揄され、だったらやってやらぁーの売り言葉に買い言葉的な勢いで歌舞伎の出し物として取り入れたところ、これが大うけして現在に至るのです。 今回私が見たのは襲名披露の口上が午前中にあり、夜の公演では口上の変わりにかっぽれの中で襲名の挨拶を兼ねていました。 その為、普通に上演するよりも娯楽と笑いの要素がふんだんに盛り込まれていて、テレビCMのパロディーや、今回襲名する人の応援と称しチアガールに女装した歌舞伎役者さん達が現れて、チアリーディングを披露され、その美しさ(?) に、客席も大盛り上がりでした。(チアリーディングは「ワンナイ」のパロディー) このような舞踊を見ると、歌舞伎とはそんなに硬くならずに見ることの出来るものなのだな、と実感します。 子役から名優まで勢ぞろいして、坊主の姿でかっぽれを踊っているのはとても微笑ましいです。 |
| 「お染七役」 |


| これは、一人の役者が七役演じる作品で、うちの看板役者はこれだけのことが出来るのですよと言うのを示す為の作品です。 ・ 可愛らしい大店の一人娘 ・ 色気たっぷりの芸妓 ・ 落ち着きのある母親 ・ 優男の美男子 ・ 美しい狂女 ・ 凄みのある悪女 ・ 大きな屋敷の女中頭 上記七役全てを一人の役者が早代わりで演じ分けるのです。 若い娘を演じていたとおもったら、あっと言う間に老け役に早代わり。すれ違った恋仲の二人は一人の役者が演じて、すれ違った瞬間に入れ替わっている。 まるで手品のような七変化に観客は惜しみない拍手を送るのです。 お芝居の結末は上演せず、あくまでもメインの役者さんの力量を見せるお芝居で特に私が目を引いた役は、凄みのある悪女土手のお六です。 若い頃は女中として使えていた屋敷を恋仲になった男のために暇乞いして、少し悪どいことをして生計を成り立たせているお六は、姉御って感じでカッコイイのです。 女ながらの立ち回りではそのかっこよさが益々引き立ち、芝居の最後には屋号の入った番傘を持った役者をバックに、見得を切るのがなんとも言えず圧巻なのです。 私が見たときの演じては中村福助さんでした。 可愛らしい女性を演じれば、本当にはかなげで愛らしく、私の好きな女形の一人です。 |
| 「土蜘蛛」 |


| この作品の見所は、前半で地味な僧侶に化けた土蜘蛛と後半での本性を現した土蜘蛛との対比にあると思います。 有名な蜘蛛の糸を撒き散らしての大立ち回りは後半からで、前半は静寂な中で互いの殺気を押し殺したような立ち合いが行われます。 衣装は前半での地味な白と黒の僧侶装束と、後半の白地に煌びやかな銀糸金糸であしらった衣装とでは大違い。立会いも前半が一対一ならば後半は一対多と、まったく別の動きと見せ方です。 この出し物は、あまり難しい筋ではなく、土蜘蛛の精が殿様の首を取りに来て失敗し、逃げ隠れた自分の住処で大立ち回りを演じ打たれるといった、簡単なものなので判りやすく、台詞や人物背景よりも動きに注目の、静と動の動きのハッキリした歌舞伎初心者には向いている作品だと思います。 主役が打たれてしまう出し物の決まりごととして、討ち取られる直前で見得を切りそのポーズのまま幕となります。 私が見たものは三代目尾上松禄が襲名披露で演じたものでした。 |

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