~ 羊が空を飛べる日~
プロローグ
それは、何の前触れも無く、静かに、
そして確実に 私の心を揺れ動かす 一行だった。
ひたすら耐え抜き5年の歳月が過ぎた・・・不安と共に。
2004年1月 見慣れた文字、飾らない文章、
ただ一つを除いては。
「2月にCDがでるよ、やっとだよ」
え?!バンド?何??
高鳴る鼓動と共に すぐさま受話器を取った。
5年ぶりの電話、久しぶりすぎる会話。
会話の中で彼女が言った 「作詞 していいよ」
これが 退職を控え 2ケ月をきっていた私の不安を、
一瞬にして打ち消した全ての始まりだった。
正に神の助け
水を得た魚
受話器を置いたとたん、私はすぐさまペンを執った。
不思議な事に、文章は何かに導かれるようにスラスラと進んでいく。
言葉が頭に浮かんでは、ひたすら書き写す作業の繰り返し。
とにかく書いた。これ迄の想いを洩らすことのないように。
曲として詩を書くのは初めての事だった。
それでもサビにあたる部分は、もう何年も前から決められていたかのように
考えなしにペンが進む。
もしあの会話の中で、作詞を断られていたら、生涯思い浮かぶ事の
できない言葉だったに違いない。
そう、賽は投げられたのだ。
ビギナーズラック?
電話から2日後、初めて曲を意識した詩が完成した。
タイトルは「 火 種 」そんなに苦労はしなかった。
でもこの作品が以後の私を苦しめる事になる。
なぜなら、火種を超える作品がどうしても書けない。
次回、私の初作詞をお披露目しよう。
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