第二章:未知なる領域
少年は夢を見ていた。
以前いた世界の夢、周りには笑顔が溢れ、少年もその輪の中にいた。
当たり前の日常、なんて幸せなのだろう。
突如何処からか大きく低い声が聞こえ、少年を夢から現実へと引き戻した。
「叩け、さもなくば扉は開かれん」
その声と共に少年は、大きな大きな樹木の下で目を覚ました。
「すごく体がだるい、まぶたが重い」
信じられないような倦怠感が少年を襲っていた。
少年は体を起こす事もできずに横たわったまま、目には何の力もなく
かろうじて開けているのがやっとだった。
樹木の下で幾日もの日にちが、いや時間が過ぎ去っていく事だけを感じていた。
少年は生気を吸い取られたかのように横たわったまま、
どこからか聞こえる懐かしい声に耳を傾けている。
2人の声、少年の両親の声だろうか?
やがてその声も遠のき、静寂さが少年を包み込んだ。
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