晒し場

晒し場

ことり編 プロローグ 再会


教室の中からは、小さな騒ぎ声が外へ漏れ出していた。
(はぁ、こんなんなら休むんじゃなかったよ・・・。入学式早々、風邪で休むなんて・・・。)
「では、入ってきてもらおうか。」
ガラガラガラっと扉を開け、少年は教室の中へ入った。
教室内の全生徒からの注目が集まる。そして、その表情は『驚き』であった。同年代の男の子と比べると、頭ひとつくらい小さく、線の細い体。それに、顔も端整な顔立ちをしているが、『かっこいい』というより『かわいい』と形容される顔。そして、首の根元あたりまで伸ばした・・・白い髪。
その際立った外見は、新しいもの見たさのこの状況に、うってつけの逸材であった。
「一日遅れただけだが、今日からこのクラスの新しい仲間だ。さっ、自己紹介。」
「あっ、はい・・・・えぇーっと・・・。」
言葉に詰まった少年は、集まっている視線の元を見渡した。すると、少年はほっとした表情を浮かべ、今までとは別人のようにしゃべりだした。そして、コツコツコツっとチョークの音を立てて、黒板に自分の名前を書いた。
『向井 旭』
「一日遅れただけですけど、今日からこのクラスの一員になる『むかい あさひ』と言います。これからよろしくお願いします。」
と言い、ぺこりと頭を下げた。
「じゃあ、自己紹介はこれくらいにして旭君。一応席はすでに決まっているから、あの空いてるところに座ってくれ。」
と、このクラスの担任である白河 暦が言った。
「分かりました。」
そう言い、旭は自分の席へと向かった。が、途中に彼は立ち止まり、一人の少女に話しかけた。
「6年ぶり・・・になるのかな、ことり。」
突然の旭の行動と言動に周囲は再び、驚きの視線を向けていた。
「そうだね・・・旭君、よろしく・・ね。」
「うん。」
そう言ったきり、会話は短く終わり教室内にシンとした雰囲気だけを残した。




© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: