晒し場

晒し場

ことり編 3話 お宅訪問?



「どうしたの?旭君。」
「・・・いや、何にもないよ。」
 ことりに尋ねられ、旭は気にされないように声を出しているが、周りは旭のあからさまにおかしな表情に疑問を感じた。
「あからさまにおかしいぞ。」
「そうだよ~。何かあったの?」
 朝倉とみっくんに追及され、さらにしどろもどろになる旭。
「えぇっと・・・。」
 旭が何かを言いかけようとしたときに玄関の扉が内側から開かれた。
「旭、どうしたんだ?」
 中から出てきたのは、二十歳くらいの若い青年だった。
「寿樹さん・・・何でいるの?」
「何でって・・・お前を訪ねてきた以外に何がある?」
 旭の質問に不思議そうに答えた寿樹は首をかしげていた。
「もういいよ、いるんでしょ?武さんも・・・。」
「当たり前だろ。」
「はぁ・・・。」
 寿樹の返答に、旭はため息をついた。
「ちょっとみんな。外で待っててくれる?」
「いいけど・・・。」
 現在の状況に付いて行けないでいた6人は、旭がそう言ったきりその場に取り残されてしまった。
「どうなっているのだ?」
 杉並でさえも現在の状況を把握できないでいた。

旭邸 居間

「武さん、寿樹さん。」
「どうした、旭?」
「色々と突っ込みたい事があるんですが・・・。」
「何でも言ってみ。」
 軽々しく寿樹が答えた。
「どうして、来たの?それに・・・この荷物は何?」
 旭が指差した先には、ギターやらドラムやら音楽機材が大量においてあった。
「お前、これが何か分からんのか?」
 寿樹が不思議そうに旭に聞き返した。その答えに、旭は少し呆れ顔になりながらも言葉を続けて言った。
「ごめん。質問が悪かったね。とにかく、どうして来たの?」
 旭は改めて聞き直す。
「週一でお前が本土に来るだけじゃ、やっぱり練習もなかなか進まないだろ。その点、お前は一人暮らしで家もそれなりに大きい。やる事は一つじゃないか。」
 寿樹は笑いながら旭を説得しようとしていた。
「武さん~~。」
「俺は知らん。勝手にこいつが決めて、俺はついてきただけだ。」
 旭は助けを求めたものの、もう一人の青年の武はあくまでも冷静を保っていた。
「まぁ、これからよろしくな、旭。」
「はぁ・・・。」
 再びため息をつき、身を翻して玄関に向かった。

 旭が再び居間へと戻ってくると、玄関前で待たせていた6人を連れてきていた。
「そいつら誰だ?」
 寿樹が初対面の人たちに発したのがその言葉だった。
「旭君、この人たち誰なの?」
 ことりが怪しむような表情を浮かべて話した。
「うんとね、武さん、寿樹さん、この人たちは学校の知り合いで、寿樹さんと武さんとはちょっとした知り合いでね・・・。」
「知り合いとは・・・ふむ、少し興味があるな・・・何やら、部屋の隅のほうに色々とものが置いてあるのだが・・・。」
 杉並が、寿樹と武の持込物に目をやりながら問い掛けている。
「えぇっと・・・。」
「・・・う~~~~。」
 旭は答えるのに戸惑っていた。
「ちょっとそこのお前!」
「俺の名前はこいつではない。」
 寿樹が困惑する旭を助けるべく発した怒号も、杉並は察していないのか・・・ひらりと受け流していた。そんな二人は、寿樹の一方的な勘違い(杉並は狂人)ではあるが、いがみ合っていた。
「なぁ、俺たちのこと別に言っちまってもいいんじゃないのか?」
「う・・・ん、そうだけどさ・・・。」
「何か困る事でもあるのか?」
「・・・学校であんまり目立ちたくないんだよ~~。」
 旭は、本当に困り果てたていた。武がどういっても、二人との関係をばらしたくないみたいであった。
「まぁ、自己紹介でもさせたら?今のままだと寿樹が暴走するぞ。」
「うん・・・そうだね。」
 今のまま放っておくと、いつ寿樹が杉並相手に切れるか分からない状況であり、杉並を除いた5人も何をしていいのか分からないみたいで、戸惑っている。

小一時間後

「で、みんな。お互いの事は分かった?」
「まぁ、取りあえずはな・・・。で、お前らの邪魔しちゃ悪いからさ、武と二人でそこらへんぶらついてくるよ。」
「ありがと。」
「まぁ、礼には及ばないさ。」
 旭の気持ちを察したのか、寿樹は武を連れてどこかに出かけていった。武はそれに無言で付いて行く・・・。」
「ごめんね、みんな。」
「ううん、別にいいよ。」
 ことりを始めに、一同が同じような返事を返す。
 で、その後完璧に旭に対する質問モードに入り、そのまま夕方まで攻められっぱなしであった。

4月29日



「・・・。」
(不思議だな・・・ここは何処なんだろう?・・・見覚えがある気がする。)
 ここは、大きな桜の木の下であった・・・この島で一番大きいと言える桜の木であった。
「君は・・・誰?」
「え?」
 旭は突然、見知らぬ女の子に声を掛けられた。その女の子は、金髪のツインテールに蒼い目。それに、幼い外見をしていた。
「そう・・・君が・・・そうなんだ。」
 旭は何の事だがさっぱり理解できず、見知らぬ少女に声を掛ける事にした。
「あなたは・・・誰?」
「僕はね・・・魔法使いなんだ・・・。」
「魔法・・・使い?」
「そう、でもね・・・。」
「何?」
 何かを言いあぐねている様子で、多少言葉を詰まらせていた。が、暫くすると口を開いた。その時の顔は・・・さっきまでの可愛らしい表情とは打って変わって、真剣そのものだった。
「もうすぐ、この島に変化が訪れるんだ。君にはあまり詳しくは話せないんだけど、困る人がたくさん出てくるんだ。」
「どういうこと?」
「それはね・・・力が無くなる・・・。君もその一人だと思う。だけど、君は大丈夫だと思うんだ。でもね、君みたいに強い人ばかりじゃない。与えられていた力に、すがり続けていた人もいるんだ。その人を支えてほしいんだ。この変化の原因は僕にあるし、僕のわがままでもある・・・身勝手なお願いかも知らないんだけどね。」
 垂れ流すように話し続ける少女に旭は困惑しながらも頷いた。そして、旭は一つだけ質問をした。
「一つだけ・・・聞いていいかな・・・その、支えてほしい人って誰のこと?」
「それはね、君はすぐに気づくと思うから・・・僕から言う事じゃない。だけど、これだけは言えるよ。その人は凄く身近にいる・・・そして、君にとって誰よりも大切な人だということを・・・。」
「分かったよ・・・。」
「それじゃあ。」
 そう言うと、少女は視界から消えて、目の前が真っ白になった・・・。その後、旭は目を覚ました。


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