魂の叫び~響け、届け。~

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「その辺で彼女を解放してあげてはくれませんか?ヒノエ・・・。」


静かに響いた涼しげなその声にヒノエくんの腕が僅かに緩む。

その一瞬の隙をつき、扉へ向かって駆け出した。


「弁慶さんっ!!」


細身なのに力強い腕が、そっと庇うように背中へと添わされる。




「ちっ・・・。アンタまさか、扉の外でずっと聞き耳立ててたんじゃないだろうな。」


「まさか、君じゃあるまいし。たまたま通りかかっただけですよ。

 助けを呼ぶ女性の声に知らぬ振りなど・・・・男として褒められた物ではありませんからね。」



「どーだか・・・。」


「嫌がる女性に無理強いなど・・・熊野別当の名が泣きますよ?」



「――――仕方が無いな。思わぬ邪魔も入った事だし、今日のところは退散するよ。

 けど、いつか必ず、


   お前の方からオレが欲しいと言わせてみせるさ。」




嫣然とした笑みを残し緋色の髪を靡かせて出て行く背中を見送り、ホッと安堵の息をついた。


「・・・大丈夫ですか?」


「あ・・っ、はい!助けて頂いてありがとうございました。」


掛けられた声に顔を上げ、身体を離そうとした瞬間、

背中に回されていた腕に力が篭もる。


まるで、離そうとする身体を許さないかの如く。



「君は本当に可愛い人ですね・・・。その笑顔も、声も、何もかもが僕を魅縛して放さない。」


美しい白い指にゆっくりと頬をなぞられ、ゾクリとした感覚が背筋を這いのぼる。


「あ、の・・・、弁慶・・さん?」


「これではヒノエを窘める資格はありませんね・・・・。


 けれど・・・君の瞳を覗き込んでしまった者が、この罪深い誘惑に抗えるはずもない。」




「その・・・放して、下さいっ・・・!」


「ここまで僕の気持ちを波立たせておいて、このまま遠くへ飛び去るつもりなのですか?



 放したくない、と言ったら・・・君はどんな表情を見せてくれるのかな。」



「―――弁慶さん・・・。」


「朝が来るまでここに、――――僕の腕の中に・・・いて、くれますね?」



弁慶さんの打ち寄せる感情の波に“否”をとなえられずはずも無く、

私に許されたのは・・・ただゆっくりと、目を閉じる事だけだった・・・・。





◆弁慶ED◆
呼ぶ名前を間違えましたかもしれません。実は誰より、弁慶は危険だと思います…。(笑)



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