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2006.03.03

映画千夜一夜　デボラ・カー

(9)

テーマ：女性について(55)

カテゴリ： M【映画】　女優

■ 映画千夜一夜　（淀川長治　蓮實重彦　山田宏一）　中央公論社

オビにはこう書かれている。
無類の映画好き三人による一大座談会
　これぞ映画の大殿堂

私がＢＢＳにコメントするきっかけとなったのが、映画ＢＢＳである。
中学・高校と、女性への憧れと文学趣味を兼ねたものとして、映画が、それも洋画が好きだった。
映画雑誌なども買い込んで、好きな女優の記事や写真をあきずにながめていたものである。
ブロマイド屋に行って、女優さんのブロマイドを買い込んだりもした。

私的な意味でインターネットには入っていなかったが、映画ＢＢＳというものを見つけて、魅入られるように入り込み、コメントを書きだした。

だから、この本を買い込んだのだが・・・。
この本は、以前、持っていたのだが、この三人のうちの蓮實重彦という人物が大嫌いなので、一度、古本屋に売り払ったのだが、やはり、映画話題を読み直したくて、買い直したわけである。

なにしろこの本は、サイズはＢ６版とやや小振りだが、800ページほどあるという本であるから、内容の紹介など大変なのでやらない。

ただ、あの淀川長治さんが、存分に独特の映画談義と、ハリウッド・スター達との思い出話をしているので、嫌いな評論家がひとり混じっていても、がまんをするのである。

と言いながら、私は以前一度、読んだことがある。
私の映画知識ではわからない個所も多いが、楽天のたいていの人よりは、洋画にくわしいかもしれない。
専門のＢＢＳに行けば、私など、それほどのものではない。

ただ、年の功で、実際に、50年代・60年代の映画を観たという強みはある。

○　今パラパラとめくってみたら、淀川氏が、「この女優のために映画を見に行こうという女優は、マリリン・モンローとキャサリン・ヘップバーンだと話している。
山田氏は、キャサリン・ターナーとシャーロット・ランプリングだと言う。

○　私が蓮實重彦を大嫌いな（笑）理由の大部分は、この本の中で彼が、「デボラ・カーは頭が悪そうな顔をしている」と言う大暴言をはいたからである。
これに対して、淀川氏が激怒？する。

淀川「こんな事生まれて初めて聞いた（後略）」
淀川「僕は綺麗だと思うね」
淀川「そんなこと無い　どうしてあなた　そうおっしゃるの　どうして馬鹿なの　ちょっと言ってくださいよ」

その他、言葉を尽くして蓮實重彦をなじるのだが、蓮實重彦はがんとして「デボラ・カーは、馬鹿な顔をしている」と言い張るのである。
しかも、その理由が「馬鹿な女の役が多い」と言うことであったり、説得力に欠けるのである。

あげくの果ては、イングリッド・バーグマンまで、馬鹿な顔といいだすのである。

まあ、この激論は以前読んで、私も激怒！したのだが、デボラ・カーの作品がこの議論の中に出てくる。

それは
○ 白い砂　
○ 黒水仙
○ お茶と同情
○ クォ・ヴァディス
○ 王様と私
○ 地上より永遠に
○ キング・ソロモン
○ 旅路
○ 悲しみよこんにちは
○ 旅
○ イグアナの夜

デボラ・カーは私の一番好きな女優のひとりである。
今、テレビで盛んに「名画20本のＤＶＤ」というのを宣伝している。

その中にデボラの作品が三本入っている。

○ 黒水仙
○ クォ・ヴァディス
○ キング・ソロモン

この三本である。
「黒水仙」では、デボラ・カーはヒマラヤの奥地の尼僧院の院長を演じる。
彼女にもっとも適した？役柄のひとつが尼僧役であると思う。
「白い砂」でも、尼僧役である。
特に、黒水仙のデボラ・カーは、異常なほど綺麗である。
蓮實重彦ごときに文句をつけられるものではない！

しかし、デボラ・カーが一番綺麗なのは「クォ・ヴァディス」の中であったと言う意見が映画ファンには多い。
私も「そうかな？」と思う。

「キング・ソロモン」は、アフリカ冒険活劇のはしりである。
貴婦人タイプのデボラ・カーが、実際にアフリカロケに挑んでいる。
当時の映画は、ＣＤなど夢のまた夢であったので、実写を中心にしていたから出演者はたまらない。
デボラ・カーは、病に倒れて撮影が滞ったらしい。
デボラ・カーは、ある英国のリーダーズ・ダイジェストとも言うべき雑誌に、この映画のロケ地の土人、と言うと不味いな、現地人のある部族についての記事を起草している。
馬鹿ではないのである。
それに彼女は有名な読書家で、私と同じように？？、万巻の書を書庫に持っていたという。
ヴィヴィアン・リーの成功に気をよくしたハリウッドが、「イングリッシュ・ローズ　英国の白バラ」と呼ばれていたスター候補第一のデボラ・カーを、英国から招いたのだが、その際、彼女は、自分の本をすべてハリウッドの自宅に運んだという。

「地上より永遠に」は、日本軍の真珠湾攻撃の前後のハワイの基地を舞台にした、ある種の反戦映画である。
しごきやいじめは日本軍だけの特技ではなかった。
特に米軍の中では人種差別もからんでいた。
フランク・シナトラ扮するイタリア系の兵士は、その跳ね返りの気性や、イタリア系であると言うことで、下士官連中から過酷ないじめを受けて死亡する。
日本人が「ジャップ」という蔑称で呼ばれることがあるように、イタリア人は「ウォップ」という蔑称を持っている。
英語で言うと「WOP」である。
これを説明すると、WOP=WITHOUT PAPER つまり書類（入国許可）無しに密入国した野郎達・・・と言う意味である。

デボラ・カーは、この基地の将校の妻である。
しかし、夫の部下である軍曹（バート・ランカスター）にひかれて不倫関係に陥る。

デボラ・カーは、この映画に出演するまでは、ハリウッドの時代劇・史劇（コスチューム・プレイという）にばかり出演していた。
いや、出演させられていた。

彼女は、見るからに英国の上流階級の女性・貴婦人という容姿であるから、米国の一般女性を演じるには多少の無理がある。

ハリウッドは、当時、次々と映画化していた史劇に彼女を投入した。
「ジュリアス・シーザー」
「クォ・ヴァディス」

なるほど、確かに、彼女の品位ある美貌は、この種の映画にピッタリではあったが、彼女自身としては、そんな役柄に不満を持っていた。

彼女は、もともと、あのジョーン・フォウンテインや、「赤い靴」という映画に主演したモイラ・シアラーと同じ、英国のバレエ団「ロイヤル・バレエ」のバレリーナだった人である。
正確には「ロイヤル・バレエ」の前身のバレエ団であるが。
ジョーン・フォウンテインは四年先輩ということだから、ジョーン・フォウンテインとデボラ・カーが同じフロアで踊っていたことがあるのである。
ただし、デボラ・カーは、当時のバレリーナとしては長身(170cm)のためバレエをあきらめ、演劇の道に進んだ。
（オードリー・ヘップバーンもバレリーナだったが、同じく170cmと言う慎重のために映画女優になっている）
だから、単なるお姫様・王妃役では不満があっても当然だったろうと思う。

事実、彼女は後に「旅路」という映画の中で、極めて地味な容貌の、神経症のオールドミス役を演じている。
私としては、あまり観たくない映画だが、一応ちゃんとビデオを持っている。

この不倫の人妻役には、当初、ジョーン・クロフォードが予定されていた。
不倫の人妻という役柄にピッタリの人である。
しかし、クロフォードとの出演交渉がうまく行かないでいる間に、デボラ・カーのマネージャーが、なんとこの不倫の人妻役にオファーを出した。
プロデューサー側は最初、貴婦人タイプのデボラ・カーなど候補に考えられなかったが、そのうちにプロデューサーが「う～～ん」とうなって、彼女の起用を決めた。
夫との不仲で、それに不妊となったために、男あさりをして、もがいているふしだらな女に、デボラ・カーである。
このミスマッチが、意外にいいのではないか？
プロデューサー側は、この点に気がついたのだ。

私としては、この「地上より永遠に」のデボラ・カーが一番、魅力的に見える。
まぶしいほど美しい。
女神の様だと思う。
それに彼女の演技も素晴らしいと思う。

　　　　　　　～～～～～～～～

次の日記につづく

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最終更新日 2006.03.03 15:54:21
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■コメント

Re:映画千夜一夜　デボラ・カー(03/03)

ベニガラトンボさん

私の知っているデボラ・カーは
「王様と私」「ここより永遠に」「悲しみよこんにちは」だけです。
めっぽう美しい女優さんですよね。
「黒水仙」に興味を持ち、ネット検索してみましたら、出演者の中にジーン・シモンズの名前があり、
懐かしさ倍増でした。

蓮見氏は、そんなところでも暴言を吐いていたんですね。
彼の文章を私は読み進むことができません。
こちらの血のめぐりが悪いことがまず前提にあるのですが、体温の感じられない文章というか、そんな感じで苦手です。

(2006.03.04 00:17:19)

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Re[1]:映画千夜一夜　デボラ・カー(03/03)

alex99 さん

ベニガラトンボさん
＞私の知っているデボラ・カーは
＞「王様と私」「ここより永遠に」「悲しみよこんにちは」だけです。
＞めっぽう美しい女優さんですよね。
＞「黒水仙」に興味を持ち、ネット検索してみましたら、出演者の中にジーン・シモンズの名前があり、
＞懐かしさ倍増でした。
私は、ジーン・シモンズも好きな女優さんでした。
特に「大いなる西部」では、魅力的でした。

ジーン・シモンズとデボラ・カーは、下記の作品で共演しています。
○　隣の芝は緑
○　王妃エリザベス
○　黒水仙

同じ英国出身と言うことで、個人的にも親友だそうです。

＞蓮見氏は、そんなところでも暴言を吐いていたんですね。
＞彼の文章を私は読み進むことができません。
＞こちらの血のめぐりが悪いことがまず前提にあるのですが、体温の感じられない文章というか、そんな感じで苦手です。
-----
「傲慢と偏見」という言葉は、彼にためにあるような言葉ですね。

それでも、蓮實教の信者は、いっぱいいるようですが。

(2006.03.04 01:19:07)

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Re[2]:映画千夜一夜　デボラ・カー(03/03)

ベニガラトンボさん

alex99さん
＞私は、ジーン・シモンズも好きな女優さんでした。
もしかしたらそうではないか、と推察申し上げておりましたが、ほんとに当たるとは（笑）

＞特に「大いなる西部」では、魅力的でした。
おかげさまで、プロローグのテーマミュージックが卒然と頭の中に沸きあがってきました。
バール・アイブスの男優助演賞は、もっともだと
思います。あれだけ個性的なら、ほかの役者はたいてい食われてしまうでしょうけれど。
「ベン・ハー」で大躍進する前のチャールトン・ヘストンは儲け役でしたね。

この作品や、「リオ・ブラボー」「シルバラード」のような西部劇は好きです。
アル中の汚れ役ディーン・マーティン、スルメイカ的味わいのウォルター・ブレナン、美脚で鳴らしたアンジー・ディキンスン、愛くるしい顔のわりに響きのよい男性的な声の持ち主で、女の子をキャアキャア言わせたくせに、なぜか無表情で歌っていたリック（リッキー）・ネルソンが出る「リオ・ブラボー」は
特に気に入っています。

＞「傲慢と偏見」という言葉は、彼にためにあるような言葉ですね。
ジェイン・オースティン健在なら、一筆モノしてもらいますのにね（笑）
(2006.03.05 11:58:23)

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Re[3]:映画千夜一夜　デボラ・カー(03/03)

alex99 さん

ベニガラトンボさん
＞alex99さん
＞＞私は、ジーン・シモンズも好きな女優さんでした。
＞もしかしたらそうではないか、と推察申し上げておりましたが、ほんとに当たるとは（笑）
-----
私は、わかりやすい男なのかも知れません。（笑）

＞＞特に「大いなる西部」では、魅力的でした。
＞おかげさまで、プロローグのテーマミュージックが卒然と頭の中に沸きあがってきました。

映画では、荒野を疾走する馬車の車輪の映像ですね。

＞バール・アイブスの男優助演賞は、もっともだと
＞思います。あれだけ個性的なら、ほかの役者はたいてい食われてしまうでしょうけれど。
＞「ベン・ハー」で大躍進する前のチャールトン・ヘストンは儲け役でしたね。
＞
＞この作品や、「リオ・ブラボー」「シルバラード」のような西部劇は好きです。
＞アル中の汚れ役ディーン・マーティン、スルメイカ的味わいのウォルター・ブレナン、美脚で鳴らしたアンジー・ディキンスン、愛くるしい顔のわりに響きのよい男性的な声の持ち主で、女の子をキャアキャア言わせたくせに、なぜか無表情で歌っていたリック（リッキー）・ネルソンが出る「リオ・ブラボー」は
＞特に気に入っています。
-----
アンジー・ディッキンソンは、品がないという美点はあるのですが、何となく男をひきつける・・・。（笑）
自伝ビデオ（輸入盤）を買ってしまいました。
マリリン・モンロー暗殺？の夜の、近所でのパーてーにも参加していました。

＞＞「傲慢と偏見」という言葉は、彼にためにあるような言葉ですね。
＞ジェイン・オースティン健在なら、一筆モノしてもらいますのにね（笑）
-----
それですら、腹が立ちます。（笑）

(2006.03.06 02:08:59)

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Re:映画千夜一夜　デボラ・カー(03/03)

・'☆'・:*: さん

探している映画があります

こんにちわ。

ダメもとな、連想ですが、まだどなたもお答えがないのでひとつ…。

探していた母親が売春婦の女将(風)だった、というと、「エデンの東」を連想しますね。1955年の映画なので時代的にはまずまずでしょう。
ただ、ここはラストシーンじゃないし、モノクロ映画でもないのですけどね。まあ、あまりカラフルな感じではない、地味な落ち着いた色調の映画ではありました。
このサイトの「クラシック映画セレクション」の中にも記事があります。

まあ、気長に、もっとお詳しいかたの登場を待っていただいたらいいと思いますが。
http://www.game-fc2blog.com/chaos (2007.03.29 15:37:10)

返事を書く

探している映画があります

・'☆'・:*: さん

こんにちわ。

ダメもとな、連想ですが、まだどなたもお答えがないのでひとつ…。

探していた母親が売春婦の女将(風)だった、というと、「エデンの東」を連想しますね。1955年の映画なので時代的にはまずまずでしょう。
ただ、ここはラストシーンじゃないし、モノクロ映画でもないのですけどね。まあ、あまりカラフルな感じではない、地味な落ち着いた色調の映画ではありました。
このサイトの「クラシック映画セレクション」の中にも記事があります。

まあ、気長に、もっとお詳しいかたの登場を待っていただいたらいいと思いますが。
http://www.game-fc2blog.com/chaos (2007.03.29 15:40:02)

返事を書く

Re:映画千夜一夜　デボラ・カー(03/03)

・'☆'・:*: さん

探している映画があります
こんにちわ。

ダメもとな、連想ですが、まだどなたもお答えがないのでひとつ…。

探していた母親が売春婦の女将(風)だった、というと、「エデンの東」を連想しますね。1955年の映画なので時代的にはまずまずでしょう。
ただ、ここはラストシーンじゃないし、モノクロ映画でもないのですけどね。まあ、あまりカラフルな感じではない、地味な落ち着いた色調の映画ではありました。
このサイトの「クラシック映画セレクション」の中にも記事があります。

まあ、気長に、もっとお詳しいかたの登場を待っていただいたらいいと思いますが。
http://www.game-fc2blog.com/chaos (2007.03.29 15:41:16)

返事を書く

Re:映画千夜一夜　デボラ・カー(03/03)

naga さん

私も「映画千一夜」に腹が立ちました。蓮見氏は「邂逅」のアイリーン・ダーンがすばらしいレディだと言ってますが、ケーリー・グランドは「ガンガディン」の象の口よりアイリーンは（演技が？）くさかったと言ってます。デボラ・カーは演技の間の取り方がとてもすてきで、MGM入りした第一作で共演したクラーク・ゲーブルはこの気品有る女優にどう扱って良いやら、たじたじの体でしたね。「結婚専科」でシナトラやディーン・マーティンに並んでいる紅一点のポスターをはじめて見た小学生の時がデボラ・カーとの初めての出会いでした。８６歳で亡くなったのですね。
(2007.10.19 20:34:13)

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Re[1]:映画千夜一夜　デボラ・カー(03/03)

alex99 さん

nagaさん
＞私も「映画千一夜」に腹が立ちました。蓮見氏は「邂逅」のアイリーン・ダーンがすばらしいレディだと言ってますが、ケーリー・グランドは「ガンガディン」の象の口よりアイリーンは（演技が？）くさかったと言ってます。デボラ・カーは演技の間の取り方がとてもすてきで、MGM入りした第一作で共演したクラーク・ゲーブルはこの気品有る女優にどう扱って良いやら、たじたじの体でしたね。「結婚専科」でシナトラやディーン・マーティンに並んでいる紅一点のポスターをはじめて見た小学生の時がデボラ・カーとの初めての出会いでした。８６歳で亡くなったのですね。
-----
コメントを下さってありがとうございます。

アイリーン・ダーン！（笑）
映画俳優の評価なんて、結局、評論家でも、好き嫌いで決まるんですよね。（笑）

本当にデボラ・カーは、典雅で淑やかで気品があり、バレリーナだった前歴から、身のこなしや手の使い方が美しかった。

クラーク・ゲーブルも「口臭」があって、共演の女優に嫌われていたそうです。

「結婚専科」は、テレビ放送を録画してあるのですが、ここでも彼女、綺麗ですよね。
フランク・シナトラとも、ミスマッチです。（笑）

(2007.10.19 21:50:17)

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