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【書評】思考と行動をつなぐ:柴崎友香著『あらゆることは今起こる』発達障害について、私たちはなんとなく知っているようで、よく分かっていない。芥川賞作家でもある著者が長年抱えていた、自身が発達障害ではないかという懸念に診断がついた時、何を感じ、自分の行動をどう分析していったのか。発達障害を“言葉”で捉える一冊。ここ数年、「発達障害」という言葉はずいぶん知られるようになった。2004年に定められた発達障害者支援法で、発達障害は「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものをいう」と定義されている。大きくはこだわりが強くコミュニケーションに困難を持ちがちといわれるASD(自閉スペクトラム症)、じっとしていられない、集中しづらいなどのADHD(注意欠陥・多動性障害)、読み書きに困難を抱えるLD(学習障害)の3つに分けられているが、どれか一つというより複数の特徴が表れることも多い。2016年には日本全国で48.1万人が発達障害だと医師によって診断を受けていて(厚生労働者による調査)、年々その数は増えている。多くの場合、両親や本人が日常生活を送る中で困難を感じたことが受診・診断のきっかけだ。といろいろデータを紹介したが、「ちょっとこだわりが強い」とか「集団行動が苦手」「コミュニケーションが不得意」などという行動の特性として表出するため、「××が苦手な人」と言われるだけで、本人だけではなく周囲も発達障害の可能性に気が付かないまま大人になり、生きづらさにつながることが多いとも指摘されている。本書の著書で芥川賞作家でもある柴崎友香さんが、自身が発達障害ではないかと思ったきっかけは『片づけられない女たち』という本を読んだことだった(少し長くなるが引用する)。長らく「片づけられない女」として家では怒られ続け、小学校では常に忘れ物回数のトップランナーで机からカビの塊と化したパンがしょっちゅう出てくるし、事務職で勤めた会社でも書類を何十分も探し回っていた。「女たち」というタイトルによって自分だけではないのだと思ったし、「不注意」の特性を持つ人たちがいることを知ることができた。そこに書かれていたのは、まさに自分の日常生活で、明らかに「私のこと!」だった。思考と行動を言葉でつなぐ柴崎さんの場合、何に困っていたか。それは「一日にできることがとても少ない」ことだった。その時点で、「多動」、いわばマルチタスクが特性とされる発達障害のイメージとやや異なり、「えっ?」となる。だからこそ、言葉のプロである著者が自らの発達障害について本を書く意味があると思う。メディアなどではステレオタオイプ化されて扱われやすく(映画『レインマン』のような天才型とか)、「〇個当てはまると発達障害の可能性が高い」などという診断表も多く出回る発達障害だが、当事者の目に世界はどう映り、何に困っていて、どんなふうに考えているのか。柴崎さん自身の視点や感覚に加え、医師やカウンセラーとのやりとり、周囲からの関わりなども含めて丁寧に描かれる。例えば柴崎さんが感じている「一日にできることがとても少ない」のはなぜか。「多動」は頭の中で起きているのだった。(中略)とりあえず、常に複数の考えがランダムに流れ続けているし、なにか外からの刺激があるとさらに次々思い浮かぶ。それは必ずしも言葉や文章になっているわけではなく、身体感覚そのものだったりもする(あのときのあの暑さ、とか)。その結果として、「身体は一歩も動けないまま時間が経って、そして洋服の山も片づかない」頭の中で起きていることを言語化してもらうことで、読み手には自分とは遠く離れたところで起きている誰かの障害の話ではなく、自分と同じ世界にいる他の人の物語としての納得感が生まれてくる。例えば、旭川駅から美瑛(びえい)駅に向かう時。余裕があるからと旭川駅でのんびりした後、電光掲示板で確かめたはずが(おそらくきちんと確認できていなくて)なぜか同じ時刻に出発する別の電車に乗ってしまい、反対方向に行ってしまうとか。出かける準備をしていると、雨が降ったらとか、エアコン効きすぎて寒かったらなどいろいろ気になってあれこれ詰め込み、肝心のおみやげを入れ忘れてしまうとか。点で切り取ると「遅刻が多い」とか「忘れ物が多い」とか、発達障害の特性とされることが多い事象が、柴崎さんの思考と言葉でつながれると、「ああ、そう考えるからこういう結果につながるのか」とか、「あっ、そこでミスってるわけか」と、ぐっと距離が縮まってくる。「あんた、ずっと大変そうやったもんな」柴崎さんは、発達障害の診断を受けたことを家族に伝えたとき、弟にこう言われたそうだ。「そうなんや。あんた、ずっと大変そうやったもんな」“大変”。それは、周りと同じように行動できないから。社会の規範を守れない時があるから。「こうしなければいけない」の型に合わずに四苦八苦する姉の様子を、弟はそう見ていた。柴崎さん自身、発達障害が「できない」ことばかりを、その要素に挙げられていると指摘する。そしていつしか自らも、自分が困っていることを「できないこと」と考えてしまい、恥じて隠そうとしてきた、とも。発達障害という言葉が広がるのと同じタイミングで、多様性(ダイバーシティ)とかインクルージョンという言葉も広がってきた。これらは、実は関係があるのではないか。人の行動の特徴を、目に見える「点」で捉えて周囲と比較するから、「できる」と「できない」という分類になる──たとえば時間に間に合うと間に合わない、部屋がきれいと汚いなど──とすると、点ではなく、思考と行動を結んだ線を捉えていくことでこの二分法も変わっていくんじゃないか。本書を読み、そう感じた。そして、「できる・できない」の二分法から自由になった先に、ダイバーシティ&インクルージョンが待っているような気がする。【nippon.com】あらゆることは今起こる (シリーズ ケアをひらく) [ 柴崎 友香 ]芥川賞作家が自ら書き綴った自分自身の事。ちょっと覗きたくもなりますね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.14
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子ども禅大学 発達障害の可能性拡げる保護者と児童対象「学びの場」〈横須賀市・三浦市〉障害のある子どもと保護者を対象にした学びの場「こども禅大学」が、横須賀・三浦市内3カ所の寺院を会場に始まっている。企画しているのは一般社団法人こども禅大学の大竹稽代表(三浦市南下浦町金田在住)=人物風土記で紹介。発達障害をポジティブに捉え、保護者同士の悩みや不安を共有する場として運営していく。主に小学校低学年から中学生、その保護者が対象。雑談交流会や発達障害児を子に持つ当事者の講演などを通して、障害が持つ特性との付き合い方や才能の伸ばし方、考え方を周知していく。大竹さんが大学時代に追究した「禅」をテーマに「自由な学びの場」を発信している。2022年の文科省の調査によると、発達障害の可能性がある児童生徒の数は小学生は約10・4%で、10年前より増加傾向にある。大竹さんは個性に応じた教育支援の拡充が必要とされている現状や自身の娘も自閉スペクトラム症(ASD)と診断されたことで当事者意識が芽生え、今春から県内各所の寺院で実施してきた。9月からはクラウドファンディングで募った資金などを元に一般社団法人化。現在は試験期間で来年4月頃正式開校する予定という。拠点となっている満昌寺(横須賀市大矢部)と貞昌寺(同市馬堀町)では毎月第2日曜日、福泉寺(南下浦町)では毎月第4木曜日に2時間ほど実施。そのほか戸塚区などの寺院でも定期的に学びの場を開いている。11月10日には満昌寺を会場に市内外から5人の保護者らが参加。大竹代表の妻の侑子さんの娘との関わり方や考え方を共有する時間も設けられた。娘が発達障害と診断されてから「周囲の人に言うべきか」など葛藤やショックがあったというが、「大切なのは他人と比較するのではなく、可能性を拡げてあげるのが親の役目」という考えに至った経験を共有した。その後の交流会では、子どもが通う学校の情報交換なども行われた。場所を提供している満昌寺第31世住職の永井宗寛さんは「寺子屋のように、大人も子どもも気軽に遊んだり学んだり。そういう場として寺を提供していけたら」と話し、今後も前向きに協力していく考えだ。タウンニュース[gooニュース]大竹夫妻(右)の話に耳を傾ける参加者ら(=11月10日、満昌寺)(タウンニュース)発達障害との診断の受け入れ方など多くの方の集いと救いの場になりそうですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.13
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ぼくとパパ、約束の週末自分の好きなサッカーチームを決めるため、ドイツ国内のスタジアムを巡る自閉症の少年とその父親の旅を実話に基づいて描き、本国ドイツで100万人を動員するヒットとなったヒューマンドラマ。幼い頃に自閉症と診断された10歳のジェイソンは、生活に独自のルーティンとルールがあり、それが守られないとパニックを起こしてしまう。ある日、クラスメイトから好きなサッカーチームを聞かれるも答えることができなかった彼は、ドイツ国内の56チームを全て自分の目で見てから好きなチームを決めたいと家族に話す。父ミルコは息子の夢をかなえるべく、ドイツ中のスタジアムを一緒に巡ることを約束し、多忙な仕事の合間を縫って週末ごとに旅をしていく。父ミルコ役に「100日間のシンプルライフ」のフロリアン・ダービト・フィッツ。「5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生」のマルク・ローテムント監督がメガホンをとった。2023年製作/109分/G/ドイツ原題または英題:Wochenendrebellen配給:S・D・P劇場公開日:2024年11月15日【映画.com】珍しくドイツからの発信、ですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.12
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障害者の解雇、4279人 3〜7月、就労事業所の閉鎖で障害者が雇用契約を結んで働きながら技能を身に付ける「就労継続支援A型事業所」の閉鎖が今春から全国で相次ぎ、3〜7月に少なくとも4279人の障害者が解雇されたことが14日、厚生労働省の実態調査で分かった。障害福祉サービスの対価として国が事業所に支給する報酬を4月の改定で引き下げたのが要因。厚労省が社会保障審議会部会に示した。 解雇したA型事業所の経営状況は大半が赤字だった。障害者の年間解雇者数は、一般企業なども含めて最多だった2001年度の4017人を上回る見通しだ。 4279人は、いずれもA型事業所で働いていた。うち949人は8月末までに再就職先が見つからず求職活動中だった。936人は企業や他のA型事業所などに再就職し、2073人は雇用契約を結ばずに働く「B型事業所」に移ることが決まった。 A型事業所は7月末時点で約4470カ所あり、障害者約8万7200人が利用。共同通信が8月に行った調査では3〜7月に329カ所が閉鎖され、約5千人が解雇や自主退職となった。共同通信社【Web東奥】その後の対応が気になりますね。行き場を失ったままでは生活の基盤が成り立たないですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.11
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学校は窮屈すぎる…適応できない自分に苦しむ発達障害の息子。「どんな子にも居場所と学びを」。不登校の受け皿へ注目される「多様化学校」発達障害の子どもたちへの指導や支援を含めた特別支援教育がスタートして今年で18年目となる。学校関係者や保護者らに広く知られるようになり、特別支援学級などで学ぶ児童生徒は急増。教員不足や学びの質といった課題も見えてきた。鹿児島県内の現状を報告する。(シリーズ・かわる学びや@鹿児島~特別支援教育の今=10回続きの⑨より) 伊佐市の男性(18)は小学6年生から、学校を休みがちになった。じっと座っていることが苦手になり、授業に集中できなくなった。勉強についていくのにも苦労し、級友とも疎遠になる悪循環に。自閉症スペクトラム障害と知らされたのは高校入学後だった。 学校に事情は相談したが特別な支援はなく、月10日ほど休む生活。「授業中でも友人の席に行って質問できていれば、もう少し登校できたかも」と振り返る。 「学校は規律が徹底され、窮屈すぎる」。鹿児島市で高校1年から小学2年まで3人の息子を育てる母親(43)は、発達障害のある長男、次男が不登校を経験した。 「2人とも、通いたいと思っているのに適応できない自分が嫌で苦しんでいた。もう少し緩やかな環境にしてほしい」と訴える。療育手帳を持つ三男も最近、学校に行くのを渋るようになったという。 ◇ 文部科学省が10月31日に発表した調査結果では、不登校の小中学生が2023年度に初めて30万人を超えた。11年連続で前年を上回り、新型コロナウイルス禍だった20年度以降は約15万人増加。鹿児島県内の公立でも4570人に上る。 文科省は今回の調査で、障害に関する項目を新たに設定した。学校に「障害(疑い含む)に起因する特別な教育的支援の求めや相談があった」は、小学生8.8%、中学生5.9%。県内では小学生8.8%、中学生6.6%だった。 発達障害への対応が、不登校の一因となっている可能性を指摘する声は少なくない。文科省も増加要因の一つとして、特別な配慮が必要な子への指導、支援に課題があったと分析する。 ◇ 不登校の児童生徒の受け皿として注目されるのが「学びの多様化学校」だ。起立性調節障害の子に配慮した登校時間、個別学習や習熟度に合わせた授業などが特徴だ。5月現在、全国に35校が開設されている。 県内に公立の多様化学校はまだないが、志布志市教育委員会は10月、将来の設置を視野に、有識者らによる学びの多様化基本構想策定検討委員会を発足させた。25年度中に方向性をまとめる。 市教委は現在、不登校の児童生徒を支援する「学びの多様化教室」を開設し、専門相談員らによる学習指導や体験活動を行っている。通所者の増加を受け、教員を配置できる多様化学校も含めた議論を始めた。 初会合では、市教委が東京都内の多様化学校視察を報告。スクールカウンセラーを中心にコミュニケーションを学ぶ授業など、特色ある取り組みを紹介した。福田裕生教育長は「どんな子にも居場所と学びを担保できる、よりよい在り方を検討したい」と意気込む。 ◇不登校とは 文部科学省は、病気や経済的理由がなく1年間で30日以上欠席することを不登校と定義する。2023年度の問題行動・不登校調査では、全国の小中学校で不登校だった児童生徒は、過去最多の34万6482人。鹿児島県内の公立小中高校でも、6年連続最多の5432人だった。文科省は同年3月、不登校対策の指針「COCOLOプラン」を公表。分校、分教室でも開校できる「学びの多様化学校」のほか、校内教育支援センターの設置、オンラインといった多様な学びの場の確保など支援体制の整備を促している。 南日本新聞社【YAHOOニュース】受け皿を大きくすればするほど、現場での教員不足は明確であり、益々混乱しそうですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.10
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教員が足りない…広がる発達障害への理解と裏腹にケアは手詰まる。「怠けているだけ」。無慈悲な言葉が孤独を加速させる発達障害の子どもたちへの指導や支援を含めた特別支援教育がスタートして今年で18年目となる。学校関係者や保護者らに広く知られるようになり、特別支援学級などで学ぶ児童生徒は急増。教員不足や学びの質といった課題も見えてきた。鹿児島県内の現状を報告する。(シリーズ・かわる学びや@鹿児島~特別支援教育の今=10回続きの②より) 「特別支援学級から外れてもらっていいですか」。鹿児島市で中学3年の長男を育てる母親(53)は進級前、学校からの突然の要請にショックを受けた。理由を問うと「先生が足りない」の一点張り。「高校へ行きたいなら支援級では合格できない」とも言われた。長男は3歳になる前に自閉症スペクトラム障害の診断を受け、地元小学校では6年間、支援級に通った。中学も2年生まで一部教科を支援級で受け、卒業まで在籍を望んでいた。 コミュニケーションに課題があり、たまにパニックになってしまう。これまでも同級生のいじめや嫌がらせに傷つき、修学旅行には参加できなかった。 3年になり、通常学級の授業だけに。ついていけない教科もあり、塾通いが必要になった。「ひとりぼっちの時間が増えて、教室で孤独を感じる」と漏らす。気軽に教員に相談できないのも悩みだ。 外見から周囲との違いは分からない。母親は「やればできるのに怠けていると思っている教員も少なくない。生きづらさを抱える子どもたちに、学校は時間を割けないということだと受け止めた」と肩を落とす。「『支援級を利用できない可能性がある』とくぎを刺されて慌てている。どうしたらいいのか」。県内でスクールカウンセラーを務める40代女性は今年、複数の母親から相談を受けた。小中学校への就学相談で、教育委員会から告げられているという。支援者仲間の間でも驚きが広がっており、「教員や教室が足りず、支援級を増やしたくても増やせない状況になっているのでは」と推測する。 県内では、支援級が2けたに上る大規模校や、半数近くを占める小規模校も珍しくない。内壁で仕切って教室を増やす学校もある。 県教委は23年度、ニーズの高まりを受け、義務教育課内の特別支援教育室を課に格上げした。萩之内靖課長は「そもそもの全体の教員が足りていない」ともどかしげに語る。教科担任制の中学校では、支援級が一つ増えることで担任1人だけでなく複数教科の教員が必要となる学校もある。一方、保護者の理解が得られず、支援につなげられない児童生徒は今も少なくないと、学校現場の関係者は口をそろえる。 小学校で特別支援教育コーディネーターを担う40代女性教員は、子の障害を受け入れられなかったり、周囲の目を気にしたりして葛藤する保護者を多く見てきた。「親自身も何かしら発達障害的なものを抱え、うまく社会生活が送れていないケースもある」という。 子どもだけでなく、家庭に寄り添い、ケアできる態勢整備は道半ばだ。 ◇発達障害とは 生まれつきの脳機能の障害とされる。特定の物事にこだわりがあり対人コミュニケーションが苦手な「自閉症スペクトラム障害(ASD)」、落ち着きがなかったり衝動的に行動したりする「注意欠陥多動性障害(ADHD)」、読み書きや計算が苦手な「学習障害(LD)」などの総称。知的な遅れを伴うこともある。言葉の遅れや多動など、親が子どもの発達に違和感を覚えたり、自治体の乳幼児健診で指摘されたりして発覚するケースが多い。いずれも障害の程度は個人差が大きく、必要な配慮もそれぞれ異なる。【南日本新聞】特別支援教育が始まって18年、丁度長男が高専を卒業した頃で、全くわが家はその恩恵を受けることはなかったけど、その間も、学校現場では試行錯誤が多方面で模索されているようですね。枠組みだけ用意して配置される教員不足では、全く事が運びませんね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.09
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自閉症の姉を持ち「発達専門」の小児科医になった女性 自分の子にも“発達特性”が発覚し決断した「新たな道」姉が最重度自閉症だったことがきっかけで、発達専門の小児科医になった女性がいる。自閉症への理解がまだ進んでいなかった時代に、妹としてさまざまな「悔しさ」を感じ、医師を志して夢を実現させた。だが今度は、自身が出産した長男に発達特性があることが発覚する。現実が受け入れられず、泣きじゃくった日々を経て、女性は医師として当事者の母として「新たな道」を歩み始めた。発達専門の小児科医・西村佑美さん(42)。仙台市に育った西村さんは、2歳年上の姉が最重度自閉症だった。 時代は昭和で、インターネットもない情報不足の世の中。自閉症への理解もあまり広まっておらず、逆に「親の育て方が悪い」「愛情が足りない」などの偏見にさらされることもあった。西村さんの母親に注がれる視線も、例外ではなかったという。 「大変なお姉さんを持った、かわいそうな妹」「不幸な家族」 西村さん自身も、周囲の大人たちに勝手なレッテルを貼られた。本人の思いは、真逆だったにもかかわらずである。「生まれた瞬間から姉と一緒ですから、私にとってはすべてが当たり前のことでした。自分がかわいそうだなんて思ったこともありません。会話はできませんが、姉はいつも自由にふるまって、キラキラしている。母が私より姉に目をかけるので、姉をうらやましいとも感じていました」 それでも周囲の大人たちは、「話しても何も分からない子ども」だと決めつけ、赤ちゃん言葉で姉に話しかける。 言い表すことのできない「悔しさ」を感じていた西村さんだったが、そこはまだ幼い子ども。大人たちから、姉は普通の人とは違うんだと刷り込まれるうちに、思春期に入ったころには、西村さん自身も「姉は自分とは違う存在」と思うようになってしまっていた。「障害当事者と家族に、寄り添う医師になりたい」 そう決意したのは高校2年の時のことだ。 姉が暴れないように、主治医は鎮静剤を処方していた。眠気が強く出るため、姉が鎮静剤を嫌がっていると感じた母は、主治医に治療法を変えるように願い出たが、聞き入れてもらえなかった。 キラキラさを失った姉と、娘を守ることができず「情けない」と何度もこぼして苦しむ母の姿を、目の当たりにしたことがきっかけだった。■姉はどれほど悔しかっただろうか 2年の浪人生活を経て、医学部に合格。2011年には大学病院の小児科で勤務を開始し、発達障害の診療について学び始めた。 自ら選択した道を突き進んでいた西村さんだが、その時、予期せぬ現実に直面する。 すでに結婚していた西村さんは、12年に第1子となる長男を出産した。その長男が1歳半のころ、ある事実に気が付く。 言葉の発達が遅い。自分と目を合わせない。他の子どもより動き回る……。医師として、長男に自閉症の特性があることを認めざるを得ない状況。だが、その一方で、ひとりの母親として、簡単にその現実を受け入れることはできなかった。「当時の自分がどんな様子だったのか、まったく思い出せないのですが、夫に聞くと、寝ている長男のそばで毎日泣いていたそうです」 だが、そんな西村さんに転機が訪れる。ひとつは発達支援をする臨床心理士に、長男への接し方を学んだことだ。 ほめ方や、叱り方などについて、使う言葉や態度を少し変えてみるだけで、長男は驚くほど変わっていった。できることが増え、かんしゃくを起こす回数も減った。 もうひとつは、重度自閉症の日常をつづった本がベストセラーになった作家・東田直樹さんの存在を知ったことだ。 東田さんは会話はできないが、文字盤を使って意思表示ができる。その事実に、西村さんは大きな気付きを得た。「接し方を変えただけで成長した長男もそうですが、言葉を話せない=なにも分からない、では決してないんですよね。話せなかったり、体が上手に動かなくて意思表示ができないだけで、ちゃんと分かっているんです」 思えば、姉こそがそうだった。 違うと思っていても、言葉で表現できない。身ぶりでも伝えられない。主治医から処方された鎮静剤も、嫌だったけど、伝えられなかっただけではないのか。 「勝手に『話しても何も分からない人』にされて、姉はどれほど悔しかっただろうか。分かっていることを分かってもらえなくて、絶望していたんじゃないだろうか。妹なのに、そのことを理解してあげられなかった自分自身にも、悔しさを覚えました」■「ママ友ドクター」としても寄り添いたい その後、都内の大学病院の小児科で発達専門外来を担当するようになったが、当事者の母でもある西村さんは、次第にジレンマを感じるようになった。医師は患者のプライバシーに立ち入らないという不文律があり、診察室で当事者家族と向き合うだけでは、抱える不安に寄り添いきれていないのではないか。 専門医として、同じ当事者の家族として、今よりもっと寄り添いたい――。医師を目指すことを決意した「原点」への思いが、さらに強くなった。 20年、3人目の子どもの産休に入ったことをきっかけに、診察室から“旅立つ”決心をする。自らを「ママ友ドクター」と名乗り、発達障害などの子を持つ母たちに寄り添う活動を始めた。 オンラインや対面で、母親たちとつながる。「ドクター」ではあるが、医療行為はしない。専門医として培ってきた知見を生かし、子育ての仕方についてのアドバイスしたり、子供が診断を受けていない場合、受診する必要性の有無を判断し、信頼できる医療機関を紹介したりするなど、対応する幅は広い。 「専門医であり、当事者家族でもある自分だからできる、新たな発達子育て支援サービスをつくる」。それが西村さんの目指した形だ。今年10月には「日本小児発達子育て支援協会」として社団法人化し、代表理事に就いた。 当事者の母親同士は、初対面でも打ち解けるのは早い。普段は言えない思いを吐露し、涙する母親もいる。西村さんが大切にするのは、そんな母親の不安に寄り添う姿勢である。 向き合っている母親が、何に一番苦しんでいるのか、ていねいに話を聞く。彼女たちが抱きがちなネガティブな思いを、前向きな言葉に変換して、視線を上げてもらう。どうしていいのか分からない、という不安の壁を少しずつ崩しながら、一緒に前に進む道を模索する。 発達特性のある子どもを育てる親は、より大変なことが多い。それでも、西村さんはこう話す。 「長男は言葉の成長が遅かったですが、その分、私に口答えするようになったことですら、涙が出るほど感動するんです。私たちの子育ては、とても大変だからこそ、ほんの小さな成長にめちゃくちゃ感動できる。大変さに、お釣りがくるくらいだと感じています」 同じ当事者の母として、なによりも伝えたい思いだ。 AERA dot.【YAHOOニュース】兄弟児さながらに生きる人生もまた、輝いていて素敵ですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.08
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障害者グループホーム「恵」事業所を神戸市の法人に一括譲渡へ組織的に利用者から食材費を過大に徴収していたとして、国からいわゆる「連座制」の適用を受けた障害者向けグループホームの運営大手の「恵」の全国のおよそ100の事業所などについて、神戸市の法人に一括譲渡することで合意したと厚生労働省が発表しました。東京・港区に本社がある障害者向けグループホーム運営大手の「恵」をめぐっては、ことし6月に利用者から組織的に食材費を過大に徴収していたとして厚生労働省がいわゆる「連座制」を適用したことから、事業所としての指定の更新などができず、順次、運営できなくなります。厚生労働省によりますと、恵が運営するグループホームは愛知や埼玉、千葉など12の都県におよそ100事業所があり、利用者の希望を踏まえた上で継続的に福祉サービスを確保するよう国から行政指導を受けて、恵は事業の譲渡先の調整を続けていました。その結果、神戸市に本社があり、介護や障害福祉事業などを行う「ビオネスト」にすべての事業を一括譲渡することで8日合意したとの報告を受けたと厚生労働省が発表しました。譲渡するのは障害者向けのグループホームを含む全国の障害福祉サービス事業所など、あわせて246か所で、来年1月末をめどに譲渡を完了する方針で調整を進めることにしています。「ビオネスト」は希望すれば現在のグループホームの従業員なども受け入れ、運営を引き継ぐ方針だということです。新たな運営事業者として事業所のある自治体の指定を受けるための手続きを進め、指定が認められると希望する利用者は現在のグループホームで引き続きサービスを受ける形になる見通しです。厚生労働省は「指定が行われればそれで終わりというわけではないので運営を引き継いだあとも円滑に事業が行われているか、国としても随時把握していきたい」としています。東京・港区に本社がある「恵」は、平成24年に名古屋市で設立されて以降、愛知県内や関東地方を中心に障害者向けグループホームなどの障害福祉事業を拡大していきました。厚生労働省によりますとことし6月の時点では、12の都県であわせて104のグループホームを運営し、定員はおよそ1800人にのぼりました。関係者によりますと、ほかの施設で利用を断られた重度の知的障害者などを積極的に受け入れ、暮らしの場を求める障害者や家族のニーズを背景に急速に事業を拡大させていたということです。こうした中、愛知県内のグループホームで利用者の食事の材料費が過大に徴収されていた疑いがあることが発覚し、厚生労働省は去年6月以降、恵のグループホームがある各地の自治体に対し、食材費の過大徴収や障害福祉サービスの報酬について不正請求していないかなどについて確認するよう通知しました。そして厚生労働省が法律に基づいて特別監査を行った結果、食材費の過大徴収は、ことし6月時点で、全国104の事業所のうち77か所で行われ、過大徴収の総額は、2億9900万円あまりにのぼることがわかりました。厚生労働省は会社が組織的に利用者から食材費を過大に徴収して売り上げに計上していたと認定し、ことし6月、いわゆる「連座制」を適用することを決めました。これによって恵の全国の事業所は指定の更新が認められなくなり、順次、運営ができなくなることからグループホームで暮らす障害者の家族などからは行き場の確保を求める声があがっていました。104の事業所のうち、愛知県内の3か所のグループホームについてはすでに別の法人へ事業譲渡していて、今回は残りの事業所すべてが一括して譲渡されることになりました。利用者家族 “今より少しでも環境がよくなって欲しい”愛知県内にある「恵」のグループホームに自閉症の息子を預けている父親がNHKの取材に応じ、「息子が継続してグループホームを利用できることはありがたい。今より少しでも環境がよくなって欲しい」と心境を語りました。愛知県内に住む60代の男性は、自閉症の30代の息子を県内の「恵」のグループホームに預けています。このグループホームは、食材費を過大に徴収し、サービス報酬の不正請求も行っていたとして、自治体から行政処分を受けました。過大に徴収した食材費として40万円あまりが「恵」から返金されたということです。男性は「息子からは食事への不満を聞いていた。実際の食事がどのようなものかわからなかったが、過大徴収の知らせを受けて息子の体重を計ると入居時と比べて8キロやせていて、職員への不信感が募った」と話しました。このまま息子を預けていいのかいまも悩んでいますが、ほかの法人が運営するグループホームは満床で入れないということです。譲渡先のめどがついたことについて男性は、「私たちも高齢になるため、息子の面倒を見切れず、生活できる場はグループホームしかない。継続して利用できることはありがたい」とした上で、「十分な食事がとれて普通の生活ができるよう、新しい会社にはしっかりとやってもらいたいし今より少しでも環境がよくなって欲しい」と話しました。そして、「これまでは息子の世話をしてもらっている以上、言いたいことを言えなかった。私たちが死んだ後も、息子が不自由なく暮らしていくために、新しい会社にはどのような運営をしようとしているのかを問い、要望も伝えていかなければならないと思う」と話していました。グループホームの運営大手「恵」の担当者は、神戸市の法人への事業所の一括譲渡について、「施設の利用者やご家族にさまざまなご迷惑をおかけして非常に申し訳ない。事業の譲渡先に関しては、厚生労働省や専門家の意見を聴いて決めており、適切なサービスを継続してもらえることは確認している。きちんと譲渡ができるように、努めていきたい」と話していました。専門家“業務管理体制 しっかり構築を”障害福祉に詳しい日本社会事業大学専門職大学院の曽根直樹教授は「利用者に対する継続的なサービス提供が確保される見通しがたち、事業継続の『スタートライン』に立った状態だ。ただ、およそ100か所のグループホームを一気に管理することになるため業務量も増えることから、運営は簡単なことではない。譲渡先の企業には利用者一人ひとりを尊重し、それぞれの障害の特性に応じた支援ができる職員を育成し、業務管理体制をしっかり構築していくことが求められる」と話していました。また、恵に対しては「まずは利用者や家族に謝罪をして、今後の不安を取り除くことが必要だ。譲渡が完了するまでは恵に運営の責任があることから改善できることは今からでも取り組むことが求められる」と指摘していました。その上で「障害のある人の住まいについて支援の質を確保しながら事業所数を増やしていくためにはどうしたらいいのかということを今回の教訓を踏まえて考えていくことが求められる。業務管理体制の強化や運営の透明性の確保、自治体による事業者への指導や情報共有の強化などを国や自治体が行っていく必要がある」と話していました。【NHK NEWSWEB】漸く朗報ですね。恵の最後の責任ある対応を願うばかりですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.07
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障害者の学びでシンポジウム 福祉と教育が急接近 文科省出向の社協職員が企画文部科学省に出向した社会福祉協議会職員の企画によるシンポジウムが10月26日、都内で開かれた。テーマは障害者の生涯学習。学校以外の場で障害者が学ぶ機会を増やそうと、各地の実践事例を通じ「共に学ぶとは何か」を議論した。文科省の実践研究事業に社会福祉法人が参加する動きがあるほか、厚生労働省が来年度、障害者の生涯学習のモデル事業を始めるなど、福祉と教育が急接近してきた。シンポジウムはピープルデザイン研究所(田中真宏代表理事)と文科省の共催イベント「超福祉の学校」のメニューの一つとして開催。オンラインで生配信し、障害者がボランティアと一緒に働く喫茶店が入った公民館(東京都国立市)などの取り組みを紹介した。厚労省がモデル事業企画したのは、文科省総合教育政策局の障害者学習支援推進室に2年間出向した長野県社協の福澤信輔さん。公民館や図書館といった社会教育施設を障害者の学びの場として有効活用するため、福祉分野の機関や人物との橋渡し役を担った。その後任で10月1日から同室に出向したのは横浜市社協の別田果菜子さん。社協では中高生向けのボランティア読本の制作に携わった。同室の星川正樹室長は「障害者の生涯学習を進めるには多様な人材が必要だ」とし、社協での経験に期待を寄せる。「障害者の生涯学習」は国連の障害者権利条約第24条に明記され、文科省は2017年度、障害者学習支援推進室を新設。学びの場をつくる実践研究事業には和歌山県の社会福祉法人一麦会も参加している。厚労省は25年度予算に障害者の生涯学習モデル事業として1億円を計上した。生活介護事業所が特別支援学校教員OBを雇用し、学習プログラムを実施するもので「画期的なこと」(星川室長)という。【福祉新聞】まさに社会の中での多様化ですね。多方面の方が関わることで一気に進む状況を生みますね。594万アクセス達成しております。いつもご訪問にコメント感謝です。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.06
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差別解消の県条例なのに「障害のある人とない人を区別」 新潟で物議新潟県が制定を目指す障害者差別解消条例の名称をめぐって議論が起こっている。県は有識者会議での意見をもとに「障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例」を仮称としたが、タウンミーティングで複数の参加者から「障害のある人とない人を区別している」との意見が出たという。県は別の名称も含めて検討している。 この問題は、9月26日の県議会で小泉勝県議(リベラル新潟)が取り上げた。条例案は、「障害のある人が受ける制限や差別が、社会における様々な障壁(バリア)によって生じるものであることへの理解を深め」ることを求めている。小泉県議は「ある人とない人、と明記していること自体差別を感じる。(障害の)ある、ないは障壁の有無や立場で変わるもので、ひとりの人をある、ないで決め付けるものではない」と指摘した。 花角英世知事は「障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会、という条例が目指す姿をよく表している」などの理由で有識者会議では賛成意見が多かった、と議会で説明。一方で、障害の有無で区別しているという意見や、差別解消という趣旨が明確に伝わる名称の方がいいという意見もあるとして「県としては引き続き、様々な立場の方の意見を聞きながら、条例の名称案についても検討していく」と答弁した。 県によると、今夏に県内7カ所で行ったタウンミーティングでこうした区別を懸念する意見があったほか、有識者会議でも趣旨を明確にした名称の方がいいとの意見があったという。県は今年度中の条例制定を目指し、パブリックコメントを実施した上で最終的な有識者会議を開き、条例名の案を決めていくとしている。 障害者差別解消条例は、9月1日時点で全国41都道府県が制定している。全国では「障害者差別解消推進条例」という直接的な名称と、「障害のある人もない人も」という文言を入れた名称が混在しているという。【朝日デジタル】拘れば拘るほど、難儀な問題ですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.05
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障害者就労支援の新資格 創設に向け具体案(厚労省)厚生労働省は10月23日、障害者就労支援人材の資格創設に向けた具体案を「職場適応援助者の育成・確保に関する作業部会」(主査=小川浩大妻女子大副学長)に示した。総合的な知識、技能を検定する中級レベルの資格(仮称=障害者就労支援士検定)とし、学科試験を行う。今後、試験科目や範囲など詳細を詰め、2025年度以降にモデル問題の作成や検証をし、将来的に国家資格化も視野に入れる。 厚労省の「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」が21年3月にまとめた報告書に、専門人材の社会的、経済的地位を向上させるため、障害者就労支援人材の資格化を検討することが盛り込まれていた。23年度に作業部会が資格化に向けた課題を整理し、それを踏まえて厚労省が具体案を示した。 資格創設の目的は、障害者就労支援人材の認知度を高め、人材確保や処遇改善につなげる。各種研修と組み合わせて円滑な人材育成ができるようになり、障害者就労支援体制を強化することだ。 受検対象は障害者就労支援の実務経験3年以上の人、または職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修を修了し、障害者就労支援に従事している人。試験科目や範囲などの試験基準は25年度に開始予定の「基礎的研修」を参考に年内に議論する。関係機関などが業界団体を設立して検定を運営することを想定。将来的に初級、上級レベルも創設し、国家資格化も検討する。 ■研修体系を整理 基礎的研修の創設も、21年3月の検討会報告書に盛り込まれていた。就労系障害福祉事業所を含め、初めて障害者雇用、福祉に携わる人が基礎知識やスキルを学ぶ。14科目、900分、オンラインと集合研修で行われる。将来的に同事業所の支援員らに受講を必須化することを検討するとされている。 また、基礎的研修受講後、上級ジョブコーチ研修(25年度創設予定)、障害者就業・生活支援センター就業支援担当者研修などの専門研修を受けられるよう、研修体系を階層化する。福祉新聞【YAHOOニュース】就労者支援が充実してくると、就業体系も整ってくることでしょうね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.04
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「秘境駅清掃にハマってる」_JRから感謝状、発達障害男性と母親の人生を変えた掃除とは数多くの「秘境駅」があり、「秘境路線」として鉄道ファンに知られるJR飯田線。愛知、静岡、長野の3県にまたがる路線の人里離れた駅を毎週のように訪れ、無償で清掃している発達障害の男性がいる。愛知県半田市の髙橋祐太さん(28)。「僕にとって秘境駅清掃は娯楽」と、3年あまりたった一人で取り組んできた。その活動はいま、障害に悩み続けた母との関係を変えたばかりか、地域も巻き込んだ大きなイベントとして花開こうとしている。無人駅を一人で清掃静岡県浜松市北部のJR飯田線小和田(こわだ)駅。1936年12月の開業当時は、近くを流れる天竜川の水運の要衝として栄えていた。いまは近くに民家もなければ、駅に通じる自動車道もない。市によると2022年の1日あたりの乗客は5人に満たず、全国の秘境駅マニアがときおり訪れる程度だ。髙橋祐太さんはその無人駅に、往復8時間ほどかけて毎週末のように訪れ、ボランティアで清掃活動を続けている。2022年8月のある週末も、祐太さんは肩にかけたブロワ集塵(しゅうじん)機で、コンクリートの細道を覆う落ち葉を吹き飛ばしていた。駅周辺を管理している浜松市の担当者は「行政による環境整備は、住民が暮らしているエリアが優先になり、過疎地にはなかなか手が回らない。ボランティアで作業いただけるのはありがたい」と話す。祐太さんは、「掃除をした後の爽快感がたまらなくて。僕にとって娯楽の一部なんです」と楽しそうだ。そんな祐太さんは、子どもの頃から母親を悩ませてきた。自閉スペクトラム症発達障(ASD)や注意欠陥多動性障(ADHD)と呼ばれる発達障害の特性で、外出先で大声を出しながら走り回ったり、一つの行動だけに執着したりすることが絶えなかったからだ。息子の行動に悩む母親発達障害などをもつ児童生徒の特別支援学級の在籍者は、2007年度からは毎年約6,000人ずつ増えているという( 国立特別支援教育総合研究所調べ)。印刷業を営む両親のもと、名古屋市に生まれた祐太さんも特別支援学級で過ごした一人だ。母の明美さん(59)は、祐太さんの小学生時代をこう振り返る。「小学校の体育館に全校生徒が集まって校歌を歌う時、彼には周りの歌声が通常の5〜6倍の音に聞こえるようで、それに耐えられなくて逃げ出してしまったりすることもしょっちゅうでした」。外出先でのとっぴに見える行動で、周囲から好奇の目で見られることも多かった。セミプロとして音楽活動をしていた明美さんの影響もあり、ピアノ教室に通ったこともあった。ところが教室で走り回ってしまい、レッスンどころではなかった。「周りに迷惑をかけてはいけない」と思い、続けたかった教室は辞めさせた。このことを当時通っていたクリニックの医師に話すと、医師は「続けるのを我慢していたらいつか後悔してしまいますよ」と答えてくれた。「いつか『待っててよかった』思える未来が来る。そう思って崩れそうになる自分を励ましていました」と明美さん。祐太さんに変化が見え始めたのは、高校に入学してからだった。愛知県立春日井高等養護学校(現・春日井高等特別支援学校)は自主自立を重んじる校風で知られ、主体性を育む教育を受けた。2年生の時、就職活動のための自己分析を終えた祐太さんが語ったこんな言葉を、明美さんははっきりと覚えている。「自分はいろんなことに自信がついたり、自分で行動したい気持ちが増えてきた」ただ、その言葉が現実となるのには、それから数年を要した。祐太さんは学校の推薦で、自動車部品の製造・販売会社に一般雇用で就職。約3年間、名古屋市の自宅から半田市の工場まで通勤していた。障害の特性で、部屋の掃除など身の回りのことをうまくこなせなかったためだ。突然の自立宣言そんなある日、会社から帰宅した祐太さんが明美さんにこう告げた。「母さん、僕、うちを出るよ。少しずつでもできることを増やして自立したいんだ」すでに単身者向けの部屋を仮契約してきたという。祐太さんは明美さんに相談したら止められると思い、黙って準備を進めてきたのだという。驚く明美さんに、夫も「祐太が『一人暮らしをしたい』と思ったなら、やらせれば?」と賛成した。明美さんは「祐太が『自分で行動をする時』がいよいよ来た」と思ったという。2021年2月、祐太さんが一人暮らしを始めて間もなくのころ。アパートへ様子を見に行った明美さんは、ある変化に気付く。散らかった祐太さんの部屋の中に、見慣れないバールがいくつも転がっていたのだ。「これ、一体何に使ってるの?」。不安げに尋ねた明美さんに返ってきたのは、思いもよらぬ言葉だった。「最近、秘境駅清掃にハマってるんだ」祐太さんは週末のたびに、一人で各地を回るようになっていた。特に関心を寄せたのが山間部の豊かな自然。ガイドブックで小和田という秘境駅があることを知った祐太さんは、さっそく訪れた。自然の中の未舗装路を走るトレイルランが趣味だった祐太さんは、隣の中井侍(なかいさむらい)駅までの山道を走った。その時、ふと疑問がわいた。「この道はもっときれいなはずではないのか?」最初は近所のホームセンターで買ったバールで道に落ちた岩をたたき割り、山道からどかしていた。やがてブロワ集塵機やチェーンソーなどを購入。土砂や落ち葉、落石や倒木処理などを一人でするようになった。「交通費とか機材購入とかで給料の20万円くらいを秘境駅清掃に使ってましたね。完全に赤字でした」新たな出会いと広がる交流小和田駅近くの長野県天龍村で理容室を営む伊藤喬次さん(88)は、週末のたびに大量の清掃道具を背負って駅に現れる青年を、不思議に思っていた。「最初は何をやってるのか不思議でしたね。でも話してみたら不器用だけど良い青年で。ボランティアで清掃してるっていうから、『うちの空き家を使うか?』と聞いたんだよね」こうして祐太さんは、現地での活動拠点を得た。小和田駅を訪れた旅行者からも、感謝の言葉をかけられることが多くなった。地元の食堂「栃の木」は、祐太さんのために駅まで特別に弁当を配達してくれるようになった。「いろんな人の思いや支えの中で自分の活動が成立しているんだなって気付かされましたよね」と祐太さん。親子の間に生まれた変化当初は、ただただ楽しいというだけで始めた活動だった。しかし、村の人々との交流の中で、次第に責任感と誇りが芽生えていく。明美さんも、そんな祐太さんの変化を感じていた。「村の人々との交流が増えたからなのか、コミュニケーション能力が向上しているのを感じました。昔は私との会話も満足に成立しなかったのに」現地を訪れるようになった明美さんは、多くの人々と会話し、感謝される息子の姿を目の当たりにする。成長した息子の姿を見ることができて、本当にうれしかった。一方、不安もあった。祐太さんが清掃している秘境駅周辺の山道には、崖崩れの跡があちこちにある。清掃に同行した時にも落石があった。ヒルにかまれることも日常茶飯事だ。いつかは事故にあってしまうのではないか。そんな不安を解消するため、祐太さんの位置情報を明美さんがスマホで常に追跡できるようにした。明美さんは定期的に祐太さんの部屋に通い、掃除や洗濯、料理などを手伝うようにもなった。2人の関係は、確実に変わってきた。「信じてもらえば、人は最大限の力を発揮する」と専門家親子の関係はなぜ変わってきたのか? 東京で発達障害専門クリニックの院長を務める神尾陽子さんはこう説明する。「お母様のスタンスは、祐太さんの成長を信じつづけてこられたという点ではずっと一貫しているのではないでしょうか。発達障害かどうかにかかわらず、人はだれしも、信じてもらい、理解してもらえれば、持っている力を発揮したいという気持ちになり、その人の持っている最大限の力を発揮できるものです。祐太さんのことを深く理解し、信じておられたというのが、祐太さんにちゃんと伝わっているのではないかな、と思いました」神尾さんはまた、祐太さんの思いと行動は、母親だけでなく、地域の人や出会った人をも変えているのではないかという。「いつかはここでトレイルランを」祐太さんが危険を省みずに活動に没頭するのには、もうひとつ、大きな理由がある。「いつか、トレイルランのイベントをここで開催して、多くの人たちに山村の景色を楽しんでもらいたいんです」すでに計画は動き始めている。2022年8月、祐太さんはトレイルランのコースなどを企画書にまとめ、天龍村役場を訪れた。祐太さんの活動にかねて関心を寄せていた永嶺誠一村長(61)は、役場の職員らを会議室に集めて迎えてくれた。小和田駅から中井侍駅まで、山道約30キロを走る。祐太さんの説明に、村の職員は「走る人だけではなくウオーキングだけでも参加できれば、地域の高齢者たちも参加できて良いのではないか?」と応じた。永嶺村長は「実施するには村の方々との交流を重ねて、チームを編成していくべきではないか? 一人ではなかなか難しいよ」と助言した。そうした交流の機会を作ってくれる人も現れた。地域おこし協力隊員として活動していた小幡季輪(おばた・きりん)さん(当時60。2024年に病気のため逝去)だ。祐太さんの思いに胸を打たれた小幡さんは、地域の人々に祐太さんを紹介して回ってくれた。祐太さんも夢の実現に向け、ほかの地域のトレイルランイベントにボランティアスタッフとして参加し、運営のノウハウを学んでいる。駅周辺の整備だけではなく、高齢化で行き届かなくなってしまった近隣の茶畑の整備なども手伝い、地域住民らとの交流を重ねている。具体的な計画はまだまだだが、「数年内にイベントを開催したい」と意気込む。JR駅長からの感謝状「あなたは飯田線を愛し秘境駅を美化するとともに、秘境駅の魅力を内外に発信していただくなど日頃から弊社の業務に深いご理解と多大なるご尽力をいただいております。よってここに深く感謝の意を表します」2024年6月。JR東海飯田駅の駅長が祐太さんに感謝状を手渡した。祐太さんの地道な活動が認められた瞬間だった。深々と頭を下げて賞状を受け取る祐太さんの後方には、温かく見守る明美さんの姿があった。「祐太が小さい頃にいろいろと辛抱していたときのことを振り返ると、本当に成長したなと思います」発達障害がどのように表われるかは人それぞれだが、代表的なのは社会的関係の持ちづらさやコミュニケーション難しさだ。これらが当事者の日常生活にさまざまな困難を与えている。しかし、周囲の人があるがままの姿を受け入れ、時には支えてくれることで困難は少しずつ取り除いていくことができる。祐太さんの秘境駅清掃は、そのことを伝えてくれているようだ。【この動画・記事は、Yahoo!ニュース エキスパート ドキュメンタリーの企画支援記事です。クリエイターが発案した企画について、編集チームが一定の基準に基づく審査の上、取材費などを負担しているものです。この活動はドキュメンタリー制作者をサポート・応援する目的で行っています。】【YAHOOニュース】(動画あり)動画からも祐太さんの活躍の様子が窺えます。こんなにも地域に貢献し、交流を果たし、感謝状まで贈られるとはすてきなことですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.03
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療育が広がり認知上がる発達障害、保護者の抵抗感も減る? 特別支援学級の在籍数7.3倍に、顕著な「自閉症・情緒障害」は21倍 鹿児島県内の公立小中鹿児島県内の公立小中学校と義務教育学校で、特別支援学級(支援級)に在籍する児童生徒が2024年度、最多の9442人に上ることが2日、県教育委員会への取材で分かった。全児童生徒の7.4%に当たり、発達障害の子どもを加えた「特別支援教育」が本格導入された07年度の1300人に対し7.3倍となった。全国的に増加傾向で、県内はより顕著に表れている。特別支援教育に対する保護者らの理解が進んだことなどが影響しているとみられる。 県内の内訳は、小学生が24年度6975人で07年度880人の7.9倍。中学生は24年度2467人で、07年度420人の5.9倍だった。学校基本調査によると、全国の国公私立の小中学校と義務教育学校では23年度37万2795人で、07年度11万3377人の3.3倍となっている。 県内の障害種別の内訳は「自閉症・情緒障害」学級の児童生徒が24年度5200人となり、07年度の248人から21倍と大幅に増えた。「知的障害」学級は24年度4111人(07年度1028人)、「肢体不自由」57人(同17人)、「病弱・身体虚弱」43人(同4人)、「難聴」29人(同3人)、「弱視障害」2人(同0人)。 支援級の児童生徒数増に比例し、学級数も24年度は最多の1994(小学1443、中学551)となった。07年度484(小学318、中学166)の4.1倍に上り、教員の確保が課題となっている。 県教委特別支援教育課は、発達障害などに対する保護者の理解が深まったことや医学の進歩で診断が進んだことに加え、県内の特徴として就学前の療育の広がりを指摘する。 厚生労働省の調べで、0〜6歳児1000人当たりの児童発達支援事業所数が19年度、鹿児島県は2.05で、北海道、徳島県に次いで3番目に多かった。全国平均は1.02。同課は「手厚い療育を受け、学校でも引き続き特別な支援や配慮を望むのではないか」と分析した。◇「診断を受ける子どもが増え、保護者の抵抗感減った」神戸大学大学院・赤木和重教授(発達心理学) 特別支援学級(支援級)に在籍する子どもたちが急増した理由は、研究が進んでいないが、さまざまな要素が複合的に絡み合っていると推測できる。発達障害の認知度が上がり、検査や診断を受ける子どもが増えた。支援級で教育を受けることに対する保護者の抵抗感も、以前より減っている。学力向上へのプレッシャーや同調主義に押され、結果として通常学級に不適応とされてしまう子もいる。「ちゃんとしなければ」「できるようにならなければ」という意識が、立場の弱い子たちを追い詰めているのではないか。【dmenuニュース】無理して通常学級に入学しても、小学校は6年間あるので、加齢とともに学習面において可なりの努力を強いられるのも現実ですね。子どもにあった居場所の選択、今後も必要不可欠ね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.02
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発達障害、現場の警察官に求められる配慮とは 体験談など紹介 滋賀県警がセミナー発達障害の特性について理解を深める警察官向けのセミナーが、このほど大津市の滋賀県警本部であった。約50人が参加し、当事者の体験談などを通じて、現場で求められる適切な声かけや接し方を学んだ。 障害のある人への配慮を知って業務に生かそうと、県警が企画した。ともに自閉スペクトラム症の子を育てる、一般社団法人「チャレンジドLIFE」(草津市)代表の畠中直美さん(44)と、副代表のmikiさん(46)が講師を務めた。畠中さんは発達障害の特性として、相手との距離感が分からない▽言われた言葉通りに受け取る▽おうむ返しをする―などの傾向を挙げ、「現場の警察官にどう応じたらいいか分からず、トラブルにつながることもある」と指摘した。警察官とのやりとりを巡って、当事者が実際に体験した事例も紹介。職務質問されパニックになったケースでは、突然事情を聴くのではなく、名乗った上で「お困りのことはないですか?」と声かけしてもらえると、落ち着いて対応できると助言した。参加者同士でもどう接するべきか意見を交わした。 参加した県警捜査1課の東日下(あさか)榮子警部補は、普段から発達障害の人に対応することがあるといい、「相手の話をじっくり聞き、自分の言葉で話してもらうことが大切だと実感した」と話した。 畠中さんは「トラブルに巻き込まれないか家族は不安な思いを抱えている。困った言動には必ず原因があるので、一緒に解決のヒントを見つけてほしい」と呼びかけた。【京都新聞】質問されて答えられるかどうかなど障がいの程度に寄っての関わり方も身に付けて頂きたいですね。☄にほんブログ村にほんブログ村
2024.11.01
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