2015年04月29日
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団栗や 屋根をころげて 手水鉢              手水鉢=ちょうずばち

ぬれ足で 雀のあるく 廊下かな

汽車 過ぐるあとを 根岸の夜ぞ長き

名剣は 土に埋れて 蚯蚓鳴く                蚯蚓=みみず

野菊やらん 汽車の窓より 見ゆる也

ある月夜 ことごとく 籠の虫を放つ

毒茸や 赤きは真赤 黄は真黄                毒茸=どくたけ=毒きのこ

蟷螂や 二つ向きあふ 石の上                蟷螂=とうろう=かまきり

十一人 一人になりて 秋の暮

ひとりゆれ ひとり驚く 鳴子かな               鳴子=なるこ

引かで鳴る 夜の鳴子のさびしさよ    漱石

黒キマデニ 紫深キ 葡萄カナ

のちの月 葡萄に核の くもりかな               核=さね

芭蕉忌や 吾に派もなく 伝もなし               陰暦10月12日

旅の旅 又 その旅の 秋の風

柿くふも 今年ばかりと 思ひけり

どう見ても 案山子に耳は なかりけり

ひろびろと 日の落ちかかる 刈田哉

遠山に 日の当たりたる 枯野かな    虚子

稲つけて 馬が行くなり 稲の中

はちわれて 実もこぼさざる 石榴哉             石榴=ざくろ

はちわれて 実をこぼしたる 石榴哉

一つづつ 橋持つ家の 菊の花

秋晴れて 塔には さはるものもなし

柿熟す 愚庵に 猿も弟子もなし

掛稲に 螽飛びつく 夕日かな                螽=ばった=蝗=いなご

貧淋し 喰へぬ木の実の 落る音

砧打てば ほろほろと 星のこぼれける           砧=きぬた

秋高き 天文台の ともしかな

柿くへば 鐘が鳴るなり 法隆寺

もてなしに 栗焼くとて 妹がやけど哉            妹=いも

秋の空 物干竿の 高さかな

紅葉折て 夕日寒がる 女哉                 折て=おれて

鵙鳴くや 十日の雨の 晴際を                鵙=もず 晴際=はれぎわ

その角を 蔦にからめて なく鹿か              蔦=つた

やや寒み 文彦先生 髯まだら                文彦先生=大槻文彦 髯=ひげ

牙は折れ 毛は兀げて 象の肌寒し             兀げて=はげて

草の戸や 天長節の 小豆飯                 天長節=天皇誕生日 明治天皇 11月3日 小豆飯=あずきめし

粥にする 天長節の 小豆飯

犬が来て 水のむ音の 夜寒かな


正岡子規 俳句 4






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最終更新日  2015年04月29日 12時44分57秒
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