近代日本文学史メジャーのマイナー

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2018.08.04
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カテゴリ: 明治~・劇作家
『平田オリザ戯曲集2転校生』平田オリザ(晩聲社)

 人に勧められて、平田オリザの新書を一冊読みました。ひと言で言えば、日本国の文化政策についての提言という内容の本でしたが、確かになかなか興味深い本でした。
 そこで、筆者平田オリザについて少しググッてみると、とても評価の高い方であることが分かりました。

 本職が劇作家並びに演出家でいらっしゃることは、何となく知っていましたが、その評価がまた高い。(でもこれはまー、当然ですかね。本職の評価がまず高いから、それ以外の部分についても高くなるんでしょうね。)

 新しい日本の演劇世界を拓いた人物のごとき高評価であります。
 「現代口語演劇」とか「静かなる演劇」とかいう言葉で、その評価の一端が書かれてありましたが、しかし私は今まで氏の戯曲を一冊も読んだことがなかったので、これは読まねばならないだろうと思いました。

 実は私は演劇青年であった時期などないのですが、それでも戯曲にけっこうはまった時期がありました。
 今ではたぶん年に2回くらいしかお芝居も見に行かなくなってしまいましたが、それでも現代の演劇について、興味引かれるものを持ち続けているつもりです。

 ただ現代演劇は、こと「戯曲」というレベルで論じることはもはやできなくなってしまい(あたかも、CD鑑賞だけのオペラ理解が不可能なように)、だんだんと戯曲も読まなくなってきました。(第一書かれていることの意味が、戯曲の活字からだけではさっぱり分かりません。)

 などという経緯もありましたが、ともあれこの度、一冊(図書館で借りて)読んでみました。

 ……で、どうなんだ、と考えると、……うーん、とつい唸ってしまうのですが、……、あ、それよりまず、この演劇は1994年に青山円形劇場で初演が行われたそうですが、田舎者の私は「円形劇場」なるものが東京にあることを知らず、まずそのことを一人おもしろがりました。
 なるほど戯曲のト書きにも、第一場から第四場まで、順に「東西南北」の方を向いてしゃべることになっています。

 次におもしろがったのはその本の表記のスタイルで、3段組になっています。
 3段組になっているといっても、内容の重い全集本などにあるような中身のみっちり詰まった3段組ではなくて、3段にそれぞれ書かれたセリフは、それを縦に貫ぬく同一時間に発声するという仕組みになっています。

 と、この2つをまず私はおもしろがったのですが、すでにもうここから極めてオリジナリティの高い筆者の演劇が浮かんできます。それは、

  1、セリフは観客に向かってしゃべられるわけではない、ということ。
(上記のシステムだと、一人の観客に向かって発声されるセリフは全体の1/4しかありません。)
  2、少なくないセリフは同時に複数発声される、ということ。

 これはいったいどんな舞台ができていくのだろうかと思いつつ読み続けました。
 ほぼ、1時間の舞台だそうです。ということは戯曲もさほど長くなく、すぐに読めます。
 私は2回、読んでみました。

 というのも、まずストーリー的にいえば、大きな事件や展開はなく、よく似た感じの文学作品を思い浮かべると、「ミニマリスム」と呼ばれた小説、例えば保坂和志の小説(氏の最近の作品は私は全く知りませんが)のような感じでした。

 私はこのタイプの小説は別に嫌いじゃないので、けっこう楽しく雰囲気を読んでいたのですが、でもこのタイプの作品は、「わかった」という感じにはなりません。
 だから、とりあえず2回読みました。

 上記に、保坂和志の小説みたいと書きましたが、保坂和志の小説には確かに全く「現実の裂け目」めいたものはでてきません(たいていの小説は何らかの現実の裂け目を設定し、それを梃子に何かを語っていくように思います)が、この戯曲にはあります。

 それは、「謎の転校生」です。
 なぜこの学校にやってきたのかまるで分からない(転校生自身にも分からないとなっています)転校生がやってくるという「裂け目」です。しかしストーリーは、それを梃子にする、あるいはその謎解きをする、という方向には全く進みません。それは、ほぼ運命論的な転校生の存在であるようです。
 で、実は、その「運命論的」なセリフは、いろんな所に散りばめられたりしています。

 例えば、赤ん坊は何も知らないで生まれてくるとか、カフカの『変身』のザムザが死んだ時、家族はしょうがないかなって感じていたとか、赤ん坊が生まれるHOWはわかるけれどWHYはわからないとか、ふっと何かが横切ったような感じのするセリフがあります。

 そこまででいいのかなとも思いますが、でももう少ししっかりした形として理解したいと思いませんか。
 そこで私は、急遽、今度は平田オリザの演劇理論関係の本を2冊読んでみました。

 次回、その報告をします。続きます。すみません。


 よろしければ、こちらでお休み下さい。↓ 





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Last updated  2018.08.05 15:09:55
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Re:新しい日本の演劇世界を拓いた(前編)(08/04)  
iisaka7282  さん
初めてご連絡させて頂きました。
私、株式会社スプリックスの 飯 坂 と申します。
突然のご連絡で大変失礼致します。

こちらのブログを興味深く読ませていただいております。
多様な文学の名手たちとその著書についての考察がわかりやすく記述され、大変参考になります。
ちょうど最新の記事では平田オリザ氏の名前が目に留まりまして、以前に小説『幕が上がる』が話題になったことを思い出します。
学生演劇にスポットを当てた渾身の青春小説でしたが、特にクライマックスシーンの描写には胸を打たれました。
また『俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末』のブログも併せて拝見していまして、こちらからも管理人様の読書観や俳句の感性に楽しませていただいております。

弊社では、学校の先生方向けに授業準備のための無料情報サイト
「フォレスタネット」を運営しております。
この度、貴ブログに投稿されている記事の数々を拝見し、
是非私共にお力をお貸し頂けないかと思いご連絡致しました。

「フォレスタネット」は全国の先生方が実践等を共有し合うことで
先生方の授業準備をご支援するサイトです。
総数10万点以上の教材や実践例等の情報を掲載させて頂いております。
他にも、授業内で使える小噺、小ネタ、学級経営に関するもの、
先生方自身のスキルアップに繋がる情報も掲載致しております。

しかし、全国の先生をご支援する為に
より多くの情報を揃えていきたいと思っております。
つきましては、貴ブログにございます記事について、
是非フォレスタネットへ掲載させて頂けませんでしょうか。
掲載作業の一切は全て我々の方で進めさせて頂き、管理人様のお手間はとらせません。
また、記事を掲載する際の名義は管理人様の名義のまま掲載させて頂きます。

様々なジャンルが溢れる昨今においても純文学への支持は根強く、教科書に載っていた夏目や太宰をきっかけにして文学の世界にのめり込むケースを耳にすることがあります。
教育課程において個人の感性を磨くためにも読書は最適の手段ですし、少しでも多くの本に触れてもらいたいと学校の先生は試行錯誤しています。
そんな子どもの興味の窓口を広げる上でも、こちらのブログで取り上げています内容は非常に貴重な情報となるかと存じます。

ご不明な点も多々あるかと存じますので、何なりとご質問頂ければと存じます。
この度は突然の不躾なお願いとなり、大変申し訳ございません。
ご検討の程、何卒宜しくお願い申し上げます。

ご連絡いただける際は下記のメールアドレスまでお願い致します。
m.iisaka@sprix.jp (2018.08.31 17:11:55)

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シマクマ君 @ Re:思っていたよりも「重く」ない(02/21) 純文さんへ  あたたかいお返事ありがとう…
analog純文 @ Re[1]:思っていたよりも「重く」ない(02/21)  シマクマ君さんへ。  おや、思わぬお方…
シマクマ君 @ Re:思っていたよりも「重く」ない(02/21)  いつも読ませていただいてます。あのせ…
analog純文 @ Re[3]:無理筋仮定を考えてみる(12/28)  七詩さんへ、重ねてのコメントありがと…
七詩 @ Re[2]:無理筋仮定を考えてみる(12/28) analog純文さんへ 私もときどき読書日記を…

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