物欲☆あんず雨

物欲☆あんず雨

影の群像



[影の群像]
いや~~、かつて初代「風神の門」BBSで語られていた伝説シーンの数々が、リアルタイムで次々TV画面に…。
感無量でござりまする…。

25年前、ビデオデッキは、まだまだ夢の高額家電でござりました。
多くの「風神の門」ファンは、たった一度きりの放映に精神集中、おのが目と耳にのみ映像音声を焼き付けたのでござりまする。
そして20数年後、ネット時代に初めて出会ったファン達がお互いの大事な記憶を語り合ったBBS…。脳内に再構築されたシーンの数々…。

第3話がHDDに記録されて行くのを傍目で確認しながら、一期一会の覚悟でドラマに対峙していたあの頃の真剣さを懐かしみました。
当時の『鑑賞力』には、今はもう到達出来ないような気がいたします…。

前置きが長くなってしまいましたが、今第3話は、才蔵が『とりあえず』徳川方に就いてみよう、と決めた回です。
決め手は『お金』…。フッかけた額より多めの報酬を約束してもらえたからです。
前話で隠岐殿に惚れた~~!と公言しつつ、恋と仕事はキッパリ別なあたりもイイ感じのキャラだったり。

とにかく!今話、私め的最大のハイライトは、『俊岳さま』の初登場!!
佐藤慶さん、大好きです~~vvvvv(いきなりミーハーファン発動)
世界一『総髪』の似合う俳優!!!
「真田太平記」の時、同じ髪型でご出演と知った瞬間、給料のすべてを注ぎ込んでビデオデッキを買おうと決意させていただきましたよ~~。(この甲斐性、『風神の門』の時に発動させとうござりましたが~)
総髪スタイルでは「子連れ狼」の柳生烈堂も素敵でござりましたが、やはりこの『俊岳』の、冷徹な役儀遂行の陰にある苦悩や『娘』への情愛を深く滲ませる静の演技に、より惹かれまする~~。

お国は自分の娘だ、と打ち明ける俊岳への、獅子王院の感激ぶりがもうラブリーでラブリーで…。
前回、俊岳との間に立つ徳永から「忍びは信用ならん」と吐き捨てるように言われているだけに、俊岳から受ける直接の信頼がどれほどうれしかったかが、観る者に強く伝わる構成です。
もっとも俊岳さまにしてみますれば、お国は間者だから容赦は要らぬ…と申しつつ、何ぞの折には守って欲しい…という親心からのお言葉なのでござりましょうが~。(獅子の感激も『計算』俊岳さま!?)

話が前後してしまいましたが、俊岳へ大阪方の動静を伝えに来た間者・お国の過去が回想も交え語られます。
関ヶ原の折の、悲惨な伏見落城。きっと母からは、城主一族として何があっても取り乱してはいけない、と言い含められていたのでしょう。眼前の母の死にも泣き叫ばない(泣き叫べない)幼いお国の気持ちが胸に迫りました。
加えて、正式に親子と呼び合えぬ父・俊岳との関係…。父への想いの証しとして、間者というつらい仕事に身を投じているお国の気持ち、初見当時は今一つピンと来なかったのですが、今はその健気さがわかりまする。
原作よりも濃密に構築された登場人物たちのキャラクター設定が、早くも輝き始めている感があります。

明かされた重大設定の今一つは、青子が徳川家に請われ『上臈』(この場合、作法指南とは名ばかりの公家からの人質)として江戸城に赴かなければならない運命である…という事実。
明るく、何の苦悩も無いように思われた青子の灰色の未来。
名実共に徳川の天下になるという事は、その悲しい人生に青子を追いやるということ…。

深く青子に同情しつつ、やっぱりきっぱり『情』と『仕事』は別物、爽やか笑顔で徳川への加勢を決める才蔵さま。(ある意味、最高の忍びだよ、アンタは)

俊岳からもらった契約金で、さっそく遊女遊びの才蔵さま。(観てる最中は三浦さんの爽やかさでスルーなのですが、文章で追って行くと相当なヤツですな…)
そこへ再度、大坂方への勧誘に…とやって来た佐助をも引き込んで、オタノシミの一夜。
徳川方から貰った金で遊んでしまった…と知った時の佐助の狼狽ぶりが楽しいです。ミソギをすればノープロブレム、と才蔵に誘われて素直に川に入るあたりもカワイ過ぎ。

この辺り、風神BBSでもかなり語られた『思い出』のシーンです。
川に入って寒そうに水浴びしてたよね?とか、軽妙な会話で忍びの伎倆を確認し合ったりしてたよね?とか、この時の二大忍者(そうは見えない)のやりとりは妙に皆の印象に残っていたようです。
そして当回ラストの、『大根丸かじりシーン』。
畑から引き抜いた大根を、袖でぬぐって丸かじりです。
才蔵ファンなら、誰もがもう一度観たかったシーンではないでせうか…。

このシーンがなぜ良いのか、今回改めて観て気が付きました。
畑から抜いたばかりの大根にいきなりかぶりつく、という行為そのものへの驚きもありましょうが、畑の番をしていた子供とのやりとりが素敵なのです。
大根を引き抜いてから子供と目が合い、「食べて良いか?」とちゃんと了解を求める才蔵さま。しばし首をかしげてから頷く子供。
並んで座って大根をかじり、そのあと畑を走り回って遊ぶ二人。それを少し離れた位置からあたたかく見守るような視点の映像。

お金と、自分勝手な気持ちばかりで動く才蔵。
でもそれは、子供の無邪気さと同じなのだと表現しているかのようなシーンだと思います。
誰もが、この無邪気で無鉄砲な男に呆れながらも惹かれ、その行く末を見てやろう…と思わせるようなひとコマ…。

思えば、この頃の水曜時代劇枠は50分。今より5分長いのですが、その5分の中にストーリーの流れとは直接関わらない、登場人物の人となりを見せるシーンが多めに取れたのでござりましょう。
ファンも、そういうシーンに『引っ掛かる』のだといたしますれば、1話が1時間~1時間以上という韓国ドラマの魅力の一端がうかがえる気がいたしました。
そう考えますると、去年の大河「新選組!」5分10分延ばしてでも、三谷節小ネタを盛り込みまくって欲しかったです。

人の気持ちを捉えるものは何か…。
深く考えさせても もらえる、「風神の門」三昧です♪



[影の群像]、俊岳さまが、家老の諫言を受けるシーンです。(補足)

このご家老・本多左門という老人がまた、いかにも戦国乱世を生き抜いて来た、という気骨ありげなご老人で、たいそうイイ感じなのでござりまするが、それはさておき、彼らの会話で俊岳さまの置かれた立場の複雑さがはっきりと判ります。

今までは漠然と、俊岳も、のちに登場する京都所司代・板倉勝重と同様『豊臣家を滅ぼすため』に暗躍している、と思い込んでおりましたが、実は俊岳のほうは『戦わずして、豊臣を徳川の臣下にする』ために動いておったのでござりまするね…。
こんな重要な事をスコ~~~ンと抜かしておりましたとは…。
俊岳さまファンとして、非っっっ常~~~に恥ずかしゅうござりまする~~!!
(恥ずかしさゆえ、一瞬、黙ってようかと思いましたが、件のシーンがとても気に入ってしまいましたゆえ、正直申告)

家老・左門いわく、忍びは毒、当家は忍びの裏切りにより伏見落城の憂き目を見ている。返す俊岳、毒でなければ薬にはならない。表立って動けないだけに、忍びを使う事は必要だ…という一連のやりとり。

「風神の門」でこの時代が好きになっていろいろ調べましたが、この頃の徳川家のシステムはかなり複雑です。
二代目将軍として江戸に在る秀忠。その秀忠に将軍職を譲り、駿府で隠居という形を取りながらも実権は手放していない大御所・家康。二元政治とも申せる状態で、双方首脳陣の豊臣家への思惑も微妙に違っていた事でござりましょう。(PC・ケータイ等、ござりませぬし…)

この慶長17~18年あたりでは、家康はもう豊臣家を滅ぼす気満々だったと思われまするが、心のどこかに、多大な出費と犠牲の出る戦を避けたい思いがあったやも…。

俊岳さまは、その家康の内心の意向を汲み取る、という形での隠密工作。
家康の意向云々より、関ヶ原の折の悲惨な伏見落城で、愛する者の多くを失ってしまった俊岳さまの、悲壮な思いゆえの行動のようにも思われます。
『戦』になることだけは、心底より避けたかったのでござりましょう…。
そういう視点で見ますれば、今後の俊岳さまのイメージが随分変わる気がいたします。(っと、申しまするか、もうかなり変わっております)(ますます好きになりました~~)

己の生きた証のために…と戦を望んでいる某武将のほうが、ヲイヲイってなイメージになって来てしもうたような…。
話が、先のネタバレ方向になりそうでござりまするゆえ、この辺で~~。

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