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物欲☆あんず雨
変身居士
[変身居士]
「風神の門」の魅力が、ギュッと詰まっているような回です。
登場人物たちのキャラクターがさらに深く掘り下げられ、物語が大きく動き始める回でもあります。
才蔵in九度山の『明日こそ幸村暗殺』は、ひと月以上続いているとのこと。(桜の頃から、蝉の啼く頃へ…でござりまするゆえ、も少し長逗留なのでは…)
登場人物の皆々が、時勢を語りながら「暑い暑い」と連発するシーンが続くのでござりまするが、扇子バタバタしまくりの俊岳さまや板倉さまを拝見するのが楽しかったり~。(俊岳さまには、『夏くらい、総髪やめてポニーテールに…』と余計なお世話を申し上げたくなりまする)
才蔵のもとに、なかなか山を降りて来ない彼を心配した耳次が尋ねて来ます。
何かと出遅れて、貧乏クジばかり引いて来た耳次の身の上が語られ、同情をおぼえたらしい才蔵の描写が良い感じでござりまする。
幕府は京都所司代を通じて公家の締め付けを強め、九度山では一同が憂慮。
青姫の件から言っても、幕府の公家への圧力は何年も前からあり、すべてが後手後手の大坂方に勝ち目は無いという才蔵の意見。
才蔵クン、なんだかいきなり賢いキャラになってるんスけど…。この九度山長逗留の間に、勉強もしていたのでござりませうか~~。
肩車してあげた村の子供に、白髪を発見されてしまう幸村。
この回序盤で、九度山来訪の治作さんにまで年齢を尋ねていた幸村さま、実は、ご本人こそがおおいに年齢を気にしている事が判明いたします。
幸村「治作どのはまだ…」
治作「52(才)でございます。『まだ』ではなく『もう』52です」
幸村さま、治作さんの『天然・グサリ発言』に、内心打ちのめされたことでござりませう…。ちなみに慶長18年(1613年)現在、幸村さまは45才。(満年齢だと46?)
関ヶ原敗戦で九度山に蟄居させられて以来、人生の盛りたるべき時期に13年もの無為な年月を過ごして来ているのでござりまする。
才蔵の言葉に豊臣家行く末の不安を思い、父・真田昌幸の無念の病死を回顧、さらには己の年齢を顧み、幸村さまの『あせり』はピークに…。普段、鷹揚に構えている人ほど、いったん焦ると変に暴発してしまうのでござりませうか~。
幸村は山へ入り、『変身居士』へ。
普段のジェントリーな雰囲気から一変、野獣のようないでたちで山中を徘徊。猪(?)の生肉をかじったり、雷雨の中、刀を振り回して大暴れ。
山中で一人になるなら…と暗殺好機到来とばかりに様子をうかがう才蔵もビックリ。すっかりフリーズ状態。
幸村の様子に圧倒されて…と申しますより、『引いている』というふうに見えたりも…。(それに加え、振り回してる刀に落雷するんじゃないかとヒヤヒヤ??)
才蔵は、山での幸村の様子から、彼の内奥の苦悩を感じ取ったようです。
幸村の名を心の中で連呼し、山中を駆ける才蔵。大声で叫ぶ才蔵。彼の中で何かが変わった瞬間が伝わって参りまする。
そして、山から下りた才蔵が幸村のことを呼び捨てではなく「幸村どの…」と呼んでいることに佐助が気付きます。
さらに、幸村が大坂方に味方したい目的が単なる出世や名声欲ではなく、『生きる』ということの純粋な意味を問う種類のものだと知り、心を動かされます。
自分は、自分の人生で何がやれるのか…。生きるということを自分自身に問いたい。
「そういう欲は煎じ詰めれば『屁』のようなものだが、ひらずに死ぬのはなんとも口惜しい…。」
飾らない、だが心からの言葉で語る幸村に、才蔵は突き上げる思いに駆られ、叫びます。
「俺を使うてみないか?おぬしが何かしたいというなら、手を貸してやる!」
しばしの沈黙ののち、「お頼み申したい」と、静かに力強く答える幸村。
才蔵にとっての、『己に出来る仕事』と『人生を生きる意味』とが重なる瞬間です。
生まれて初めて、心から尊敬・信頼し、命を預けて働こうと思える相手に出会えたのです。
『命を狙う者』と『狙われる者』として出会ったはずの二人…。
男同士の心が熱く結ばれるいいシーンでござりまする~~♪(私めのポンチ文では再現しきれんとです)
(でも幸村さま、内心『フッ…、落ちたな…』とか思うてたりも??)
このあと佐助にも「おぬし、幸村さまに惚れたな!」とか言われるのでござりまするが、このシーンでちょっと笑えるのが、前述のセリフを言う前に、佐助が背後の障子をサッと閉めるあたり。
男が男に惚れる話だからって…。障子閉めたりすると逆にいかがわしいムードが漂うんスけど…。(腐女子を喜ばしてど~する)
このあと、急に味方に就くと言い出した才蔵を怪しむ入道の言葉に、熱く焼けた炭を握りしめて己の誠心を示す才蔵。
「伊賀の古い作法でござる…」
人から誰かを刺せと依頼されたときに、承知したことの証しとしての作法…。
静かな表情で、火傷の手を開きながらのセリフに惚れ惚れでござりまする。
幸村をはじめ、佐助、小助、疑っていた入道もおおいに感服。
この時から才蔵は、真田陣営にとって無くてはならない大事な人間になったのです。
(右手に火傷したら、すぐ仕事がある場合に支障があるのでは??というツッコミがよぎりまする…)(労災認定不可)
さて当面の目的は駿府の大御所(家康)暗殺。
時期は幸村の指令を待つということで、才蔵、佐助は耳次(と鬼嫁・お雪)を伴って山を下ります。
大坂では、今回初登場、隠岐殿の兄・大野修理治長(伊丹十三さん)と初会見。
身分の高さを鼻にかけたような尊大な態度と、大坂方にとって邪魔になったから青姫を殺せという冷酷さに、才蔵、マジギレ寸前。
数日前、青姫は獅子王院に大野屋敷から奪われ、黒屋敷へ。
才蔵に会わせると騙されて連れ出された青子は、会えない日々にご機嫌斜め。
「笑わぬ者は、私は好かぬ!」と獅子王院に八つ当たり。獅子、表情は変えないながらも、内心 ショックの様子…。
才蔵は、機知を働かせて獅子王院や俊岳の裏をかき、見事青子を奪還。
(この前後も見どころ満載なのでござりまするが、いい加減長くなりましたゆえ、省略をば…)
青子を無事大納言家に返し、さらには、表立って所司代に青子の警護を頼むことで彼女の安全を確保するよう大納言に進言。
頭脳明晰、行動あざやか、前回『肥溜め』に落ちた同じ人とは思えませぬ…。
さあ、一同にとっての『時節到来』が待たれまする。
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