比嘉周作    トーク&タップダンス

比嘉周作  トーク&タップダンス

後味の後味


番組が終了して、一ヶ月が経とうとしています。
この、番組を振り返るには中途半端な時期に、なぜ今更…(笑)。
本当は、番組終了後、一週間以内に書くつもりでしたが…。

裏話、といっても、本当に暴露したいことは書けません(笑)。
自分以外の人たちに迷惑がかかると、とっても後味が悪い、というのを、かの番組で学習したばかりですので(笑)。

放送中、比嘉がよく「いやあ、怒られちゃいましたよ」と言っていたのを、
比嘉流の冗談だと解釈してくださった優しいリスナーさんが多数いらっしゃいましたが、
本当に怒られていたのです、実は(笑)。

まあ、それらの中で、比較的表に出してもいいと判断し、かつ、面白いと思われることを、ここで無軌道に書いていきたいと思っています。
あ、内容は、随時加筆していく予定です。(4/4)

第1話「物事の始まりがこれ」
放送が始まる一週間ほど前のこと。実は、この時点では、番組名が決まっていなかった。
いや、正確には決まりかけていた。
比嘉周作命名、安里重信、大絶賛・大賛成のその番組名とは、

「みっちー(仮)」

ラ・テ欄に、こんな名前の番組があったら、そりゃあインパクトあるよなあ、という、
あまりにあまりな発想で、番組名は決まるところだった。
ちなみに、当人たちは大まじめでこの名前を採用しようとしていた。

幸い、理性と常識ある方の親切かつ適切な進言により不採用になったものの、
誰も止めなかったら、番組名は果たしてどうなっていただろうか。

ちなみに、番組開始前、番組内で使う音楽の素材の編集に付き合ってくださったM氏が、
いくつかあった番組名の候補の中から、
「あ、この名前はいいんじゃない」
と誉めてくださったので、番組名は「アフター・フレーバー」に決定した。
実に自主性に欠ける二人ではないかと、今後の自分たちの人格形成に大いに役立てたいエピソードだと思う。(4/4)

第2話「専門用語」
番組スタッフ(パーソナリティ比嘉周作と構成作家安里重信)の間だけで使っていた用語が多数あるので、ここでまとめて紹介していきたい。

「乾杯」…番組放送中、CMや曲を流している間、つまり、声がオンエアされていないときに行っている比嘉と安里の儀式。お互い、今後の目標を誓い合うのだが、決まりがある。実現することを前提に誓うこと。そして、決して否定的なことを言わないこと、である。

「MEGUMI」…パーソナリティ、比嘉周作のテンションを記録的なまでに高める呪文。本人の名誉のために付け加えておくが、別にいやらしい意味はない。

「スーチーパイ」…MEGUMIと同様、士気を飛躍的に高める呪文。ただし、効果範囲は安里に限られる。ちなみに、安里が今なお、セガサターンを引っ張り出してプレイしているという未確認情報がある。

「くさい」…定期的に、スタジオ内に異臭が立ち込める状態のことを言う。スタジオ内には比嘉と安里の二人しかいない、つまり、加害者と被害者しか存在しないため、番組も後期になると、いちいち口に出して「くさい」とは言わなくなった。言わなくても、犯人がわかるからだろう。

「お仕事」…構成の安里の仕事のひとつ。ネット上からレコメンドなインフォメーションを探し出すことを言う。これに熱中するあまり、次の進行の指示を比嘉に伝え忘れたことが多々ある。

「インツー」…ゲームをする、ゲーセンに行く、という意味の隠語。近くに偉い人がいるときなどに主に使う。他にも「ピコピコ」「上海」などあるが、「インツー」が最も多用された。(4/8)

第3話「ゲスト」

いろいろあるが、伏字よりはカタカナ表記がいいだろうと思われるので、多少の読み難さはご容赦願いたい(いまさら…)。

フクヤママサハル氏の物真似をする男がいる。その名をヒガシュウサクという。
ヒガシュウサクというのは、ラジオのパーソナリティで、とにかくしゃべる、意地でもしゃべる、否応無しにしゃべる、口達者な男である。
その話術で今日の地位を築いてきた男である。これでも一応、誉めている。ここまでは。

で、このヒガシュウサク氏、番組中にフクヤママサハル氏の物真似をやった。
「どうもぉ、フックヤママサハルでぇす」
公共の電波に流れていくヒガ(もしくはフックヤママサハル氏)の声。
番組構成スタッフのアサト氏は、一応これもギャグだと認識していた。というよりも、ギャグであってほしいと祈っていた。

時間は数時間前にさかのぼる。

昼。アサト氏の携帯電話に、ヒガシュウサク氏から電話がかかってきた。
ヒガ「あ、アサト?今日、すごい人と偶然お話する機会があってさ、実は今、隣にいるんだよ、すごい人が」
アサト「誰?」
ヒガ「ちょっと待っててよ。今、代わるから。…
   …あ、どうも。アサトさんですか?はじめまして」
アサト「はい、はじめまして…?」
すごい人「あ、ぼく、フックヤママサハルです」

という電話だった。
これまでも、似たような電話がヒガ氏からアサト氏に何度かかかってきたことがある。そのときは、うまくはいえないが、本当に有名な方とご一緒していたりした。だから、一応、万が一の可能性を捨てきれなかった。
さらにアサト氏はフックヤママサハルの正体を看破できなかった。つまり、ヒガ氏とは別な人が「フックヤママサハル」を演じているかもしれない、と疑ってしまった。正確にいえばそう、だまされた。

たぶん、これがいけなかった。

小学生からの友人であるアサト氏をだましたことで、ヒガ氏は大いに自信を深めた。
そしてその日の夜の番組本番前の打ち合わせで、
「今日は、大物ゲストを呼んであるから」
と、満面の笑みでアサト氏に告げた。見事に引っかかったアサト氏に、それを拒絶できるはずもなく、運命の人物の自己紹介が電波に乗ってラジオで流された。

結果は、「トークバラエティのパーソナリティが、リスナーからネタを黙殺される」という悲劇の結末を迎えた。
それでも、ヒガシュウサク氏は繰り返し「フックヤママサハルでぇす」をその後も言いつづけた。
彼は本気で信じていたのだ。「俺のフクヤママサハルの物真似は、似ている!」と。
結果は変わらない。
合掌。(4/14)

第4話「キャラクターたち」
「俺のフクヤママサハルは似ている、いや、むしろ、俺がフクヤママサハルだ」と言ったかどうかは定かではないが、比嘉は多くのキャラクターを「自信を持って」番組内で演じた。全員を紹介することは困難なので、比較的出場回数の多かった方々をここで紹介したい。

「ミッギー」…某ボクシング映画の主人公のコーチ役を務めていた老人のそっくりさん。このネタをやるために、わざわざ例のBGMをどこからか探し出してきたほどの気の入れようだったが、苦労の割に見返りは少なく、しかし本人が幸せそうだから温かく見守ってあげよう、というほほえましい信頼関係がスタッフの中に満ち溢れていた。
しゃがれた声で畳み掛けるようにしゃべるのが特徴。喉をかなり酷使するというのに、その後もたびたび登場した。
ちなみに、この声帯模写に対するラジオ局スタッフの感想が安里に届けられたが、比嘉本人にあまりにショックが大きいお言葉だったので、いまだに安里の胸の中にしまっている。

「古比嘉周三郎」…フルヒガシュウザブロウ、と呼ぶ。警視庁の警部。殺人事件の犯人を、いまだかつてない斬新な観察力と推理力で次々と検挙していく名警部。どれくらい斬新だったかというと、

「犯人はあなたです!なぜなら、その面が気に入らないからです!」

というオチで毎回押し切ったくらいの新鮮な推理だった。強引もここまでいくと美しい。
この警部が登場するコーナーの企画を考えたのは比嘉、原稿を書いていたのは安里であるが、ほかのコーナーでは、一方が暴走すると、もう一方が制御するのだが、二人ともこのコーナーに関してはバランスをとる気がさらさらなかったのか、案の定歯止めが利かなくなり、数回で番組内から姿を消した。

「ヒガ・シュウ・チャン」…自称料理人。世の中にはさまざまな自称があるが、医者と料理人だけは自称で商売してはいけない気がする、という不安を世の中の人に訴えつづけたようなキャラクターだった。いわば反面教師か。
企画書には「比嘉周作が月に一度、リスナーに自作の料理をご馳走してそのリアクションを放送する」とあったのだが、結局彼はただの一度も料理を作らなかった。
一度、ゲストに「これ、ワタシが作ったネ」と言い張って、コンビニで買ってきた菓子パンを、コンビニ袋ごとゲストに食べさせたことがあった(実話)。
ちなみに、「ヒガ・シュウ・チャン料理長」は、その胡散臭ささと傍若無人な振る舞いが局内のスタッフに大いに受け、大人気キャラクターになったのだが、比嘉と安里は「時間が余ったから、料理長に二分くらいしゃべらせようか」くらいにしか考えていなかった。ことごとく計算をはずす番組スタッフもいたものである。

「ボラミちゃん」…未来からきた猫型ロボット。その立ち居振舞い、トラブルの解決方法などを見る限り、未来から来る必要を一切感じさせない。それどころか、われわれの未来はバイオレンスに満ち溢れているのかと、少しブルーな気持ちになってくる。
日本には銃刀法違反という、実に平和的な法律があるというのに…。
ちゃん付けで呼んでいるが、性別は不明。(4/18)

第5話「逆境ナイン」
生放送には、アクシデントがつきものだ。
原稿があがっていなかったり、時間が押したり、予定していたコーナーができなかったり、CDが音飛びしたり、トイレに行きたくなったり、飲み物をこぼしたり、面白いことを思いついて突然しゃべってみたり、それが意外とうけなかったり、いろいろだ。
しかし、アクシデントに強い男は存在する。

その一人が比嘉周作その人である。

以前、放送事故が起こったことがあった。音声がすべてOFFになった、つまり、無音状態になってしまった。
安里はひどく慌てた。当然だ。スタッフとして、一番起こってはいけない状態に出くわしてしまったのだから。
なんだかんだあって、何とか復旧した。その復旧後、比嘉の第一声は、もはや伝説の領域に達している。

「いやあ、みなさん、実は今、宇宙人が来てしまいまして…」

このときの宇宙人というのは地球外知的生命体のことと思われる。責任を勝手に負わされた宇宙人こそいい迷惑だ。この場を借りて、すべての宇宙人の方にお詫び申し上げたい。
そしてその後、何事もなかったかのように比嘉は番組を再開した。そのとき、安里は思った。
こいつには勝てねえ、と。
比嘉の瞳が、アクシデント前よりも輝いて見えたのは、気のせいだろうか。(4/25)


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