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2024.05.21
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カテゴリ: 詩の頁
終活をしていたら、詩を書いていた日々の同人誌が出てきてびっくり!
すっかり忘れていた人たちの名前も懐かしや♪
こんなのもありました!
「廓ことば」
昔 街のはずれに街が作られた
そこは花街
廻れば大門の見返り柳
おはぐろどぶに灯火うつす賑わいに紛れ
女たちはふるさとの訛りをすてて
廓の女になった

津軽の女は口重く廓ことばをつかう
津軽の野に立ちのぼる
陽炎のにおいを失くして
ふるさとを忘れた
廓の女になる

近江の女はなつかしく廓ことばをつかう
江戸に下った誇りをもって
初めてまとう絹の冷たさも
ゆかしく振舞う
廓の女になる

廓ことばの「わちき」はわたし
女からふるさとを奪い心を奪う
不条理にも疑いにも目をそらし
考えを持たない女を作る

今も街のはずれに街がうまれる
立ち並んだ文化住宅で
妙に腰を低くして女たちがつかう
標準語に似せた言葉たち
ふるさとの訛りを忘れたそれは
現代の廓ことば
得意気に街に反乱する
語尾だけが長く残るそのことば
ことばからはじまる精神の画一化

この新興住宅街におはぐろどぶはないが
わたしひとり背筋の凍る思いで
跳ね橋の番屋の暗い陰を
凝視しているのだ

「齢」
三十とか四十とか五十とかいう数は
中年女の疲れた皮膚や世間ずれした心や
人生の澱のようなものが連想させられて
私の一番嫌いな数だ
だけど
三百とか四百とか五百とかいう齢は
少しもみにくくはない

三百歳の女は きっと
永遠のいのちを持つ美しい女
肌にたるみやしみはなくて
ほっそりとしてたくましく

はたちの女とはちがう
何でも知っている女の自信にあふれて
男の心を射すくめるだろう

私もほしい
永遠を新鮮に生きられる心と身体を

たった四十年生きただけで
こんなに疲れ 汚れてしまったのだもの

*今読み返すと、何をそんなに年を取ることに焦っていたのかと笑えてしまいます!





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最終更新日  2024.05.21 17:39:30


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