中国茶・台湾茶と旅行 あるきちのお茶・旅行日記(旧館)

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2008.05.29
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カテゴリ: 旅行
上園茶荘に出かける前に、ご飯を食べなければ行けません。
そこで、途中にある農安街の丸林魯肉飯で軽く食事をしていきます。

魯肉飯とハマグリスープ

魯肉飯とハマグリスープ

ここの魯肉飯はフツーに美味しいのです。
上園の前後に寄るには最適の場所にあるので、思わず寄ってしまいます。


丸林魯肉飯 本店
住所:台北市農安街105号
TEL:02-2594-2396
営業:10:30~21:00(旧正月は休み)


※民族店の方が良く紹介されているようです。本店はローカルな店構えです。




さて、やってきた上園茶荘。
当ブログをご覧頂いている方には、お馴染みですね(^^;)

今日も林さんは店にいません。
日本のゴールデンウィークなのに、お客さんが少ないようです。
観光ガイドブックには載ってないから、知っている人以外、来ないんでしょうねぇ。
#このブログが、お客を減らしていたらどうしよう(汗)


昨日と同じように、お店の入り口に書いてある電話番号に電話してみます。
今日は携帯に転送されると、あっさり繋がりました。

あるきち:こんにちは。お店の前にいるんですけど

林さん:今、すぐ行きますから、待っててください


と、待つこと5分ほどで自転車に乗った、林さんが到着。
只今、午後2時です。

相変わらず、お店は雑然としています。
#このおかげで、サンプルを出すたびに、あちこち探し回り、それをしばらく待つ羽目になります(^^;)

上園茶荘


あるきち:どうですか、今年の春茶は。

林さん:良くないね。天候の問題。梨山はこれからだけど、この分だと難しいかもしれないね。


とのこと。うーむ、ここのお店では冬茶を狙うしかないか。
#1つのお店で「今年は良い」「今年は悪い」というふうに言われても、どんなときにも良いお茶は必ず少量はあるので、全面的に鵜呑みにするべきではありません。


林さん:サンプル届いたのあるから飲んでみる?

ということで、テイスティング開始です。
上園茶荘は、本当にいい加減な(←失礼)淹れ方をします。

奥の湯飲み茶碗に茶葉をパサッと放り込んで熱湯を注ぎ、しばらくしてから、手前の器に移す。
これを茶杯に取り分ける。
それだけです。茶藝の先生が見たら、卒倒しますね(^^;)

上園テイスティング中

こういう淹れ方なので、鑑定杯とほとんど一緒です。誤魔化しがききません。
茶葉自体に問題があれば、即座に味に出てしまいます。
ある意味、茶葉には厳しい淹れ方です。茶葉の本当の実力が分かると言いますか。

しかも、これで7,8煎試します。下手をすれば10煎以上。
サラリと淹れるとはいえ、茶葉にとっては過酷な耐久レースです(^^;)


最初に阿里山のお茶を2つばかり飲みました。
林さんはどちらも納得していないものだそうです。

1つは、割と悪くないです。
特筆するべき程ではないですが、バランスは悪くない。
でも、買えませんね、このレベルでは。味わいに厚みが足りないのです。


しかし、もう1つは・・・

あるきち:これ、発酵が足らないですね。味わいも香りも薄い。包種茶みたいな軽さですね。

林さん:天候だね。曇っていて、萎凋が十分にできなくて発酵が進まなかったんでしょ。


うーむ、発酵が浅いという現象面の指摘だけだと、回答としては30点ですね(^^;)
生産時の状況まで突っ込まなければダメでした。
#私、このお店にいるときは、極力「何も知らないヤツだ」と思われないように振る舞います。なぜなら”意味分かる~”攻撃を受けたくないからです(^^;)。しかし、その副作用として、以後、話がどうしてもマニアック(専門家的)になります。読んでいる皆様、ご容赦を。


どうやら茶摘みの日は天気が悪かったようです。
お茶を飲んで、こういうところをズバッと指摘できるかどうかが、茶商のポジショニングに繋がります。
これが重要なんだよなぁ。


さて、私らのような素人が「天気が悪い日に製茶した」と聞きますと、

そんなもの天気を見て、天気の良い日に茶摘みをすりゃいいじゃないか

と単純に思ってしまいますが、茶農家の現実を知ると、それがただの理想論・机上の空論であることが分かります。


台湾のお茶業界は、茶摘み人の人材難に陥っています。
茶摘みという仕事は、急な傾斜面を上り下りしながら、手摘みで茶を1つ1つ取っていく仕事。
暑いですし、虫も多い。キツイ労働です。それでいて、給料も高いわけではないので、若い人は誰もなりたがりません。
新しい人がなかなか入ってこない世界ですから、茶摘みをする人は、年々高齢化・減少傾向にあります。熟練した茶摘み人の絶対数が、年々減っているのです。

そのため、毎年必要なだけの茶摘み人を確保することが、茶農家にとっての悩みでもあります。
人が足らないなら、家族で何とかしろとも思いますが、茶農家自体も高齢化していますし、子供たちは都会に働きに出ていたりしますから、家族で何とかなるようなレベルではないのです。
日本と一緒で、そもそも大家族は少なくなっていますし。


そんな人不足の状況ですから、茶摘み人たちは当然予約制です。
茶農家は茶葉の生育状況を見て、茶摘みに最適であろう日を予測し、「何日に茶摘みに来てくれ」と前もって予約を入れておくわけです。

ですので、茶摘み人たちと契約した日が天候の悪いときに当たると、究極の選択をしなければなりません。

茶摘みを決行するか、見送るか

です。

しかし、見送るとなると、それはそれで問題があります。

次に茶摘みの人たちが来る日程は分からないのです。
茶摘みシーズンの茶摘み人は、売れっ子芸能人のようなスケジュールですから、次にやってくる頃には伸びきってしまって、収穫のタイミングを完全に過ぎてしまっているかもしれません。
そうなったら、まともな商品になりません。茶農家は大きなリスクを抱えることになります。


だから、天候が悪いときでも無理して茶摘みをして、製茶してしまうわけです。

しかし、そうなると美味しいお茶に仕上げるのは困難になります。
たとえば雨が続いている時であれば、当然、茶葉の中の水分量は標準よりも多めになってしまい、味や香りが薄くなります。水分で成分が薄められてしまうわけです。

さらに製茶の環境を考えても、天気が悪いと最悪です。

雨や曇りであれば、日光萎凋に重要な日光を得ることも難しくなります。
さらに、湿気も多いため、茶葉の水分を飛ばしにくく、室内萎凋も難しくなります。
こうなると、こもった香りのお茶に仕上がってしまいます。
卑近な言い方をしますと”部屋干しで生乾きの洗濯物”をイメージすると良いかもしれません(嫌な例えだ・・・)。
味わいと香りの透明感が無くなってしまいます。

日光萎凋や室内萎凋・発酵といった烏龍茶の大事な製造工程は、天候が悪いと難しいのです。
製茶の体験 が、こういうところで効いてきます。一度やっていると、感覚でスパッと理解できます。


対策としては、空調コントロールされた製茶工場で製茶をする(いわゆる空調茶)とか、茶師のテクニックで何とかする、ということになりますが、それとて限界があります。

結局のところ、 天候という天の恵みがなければ、いかなる良い茶産地、良い茶師をもってしても、美味しいお茶にはならない のです。
これが農作物である、お茶の大変難しいところです。

だから、お茶の製造工程を知っている・現地の状況に精通している人ほど、 「産地名や茶師の名前だけでお茶を選ぶことはナンセンスだ」 ということを言います。

しかし、難しい反面、お茶は正直です。
お茶作りの全ての結果は、味や香り、茶殻の様子にストレートに出てしまうのです。

もちろん、茶藝のテクニックや器の選択をすることで、お茶の欠点はある程度までカバーすることは可能です。それが茶藝の面白みでもあります。

しかし、上園みたいな淹れ方をされると、悪い部分は、明確に出てしまいます。
この飲み方は本当に厳しい。しかし、本当に良いお茶を見極める、確かな方法です。
#お茶の限界点・問題点を見極める技術が“評茶”なのです。この話は、また別の機会でご紹介しましょう。


「こういう農家の事情をきちんと知っていないと、良いお茶は仕入れられない」と林さんは言います。
私もそう思います。


いくつか春茶を試飲しましたが、どうもピンと来るものがなかったので、「うーん」と不服そうにしていると、林さん、冬片と不知春を出してきました。
#どこのお茶屋さんでもそうですが、客のレベルを見ているようです。美味しくないので満足していれば、そこで打ち切るわけです。合理的!

あるきち:これは、どこのお茶ですか?

林さん:梨山と同じぐらいの標高のところ

あるきち:というと?

林さん:梨山は土壌が古くなってきているので、新しいところを開拓しているの。翠巒というところなんだけど。

#林さんは、土壌が新しい程、良いお茶が出来るという考えの持ち主です。

あるきち:ああ、梨山の山を越えた南側ですね。梨山は台中縣ですけど、翠巒は反対側だから南投縣になるんですかね。

林さん:そうそう



試してみると、この2つは、とても美味しいのです(^^♪

冬片の方はじっくりとした甘さがあります。
発酵も上手く行っていて、少し蜜っぽい香りも感じます。
うーん、これは、あるきちのストライクゾーンど真ん中ですね(^^)

一方の不知春(今年の初めに摘んだお茶)は、爽やかさのあるお茶です。
引っかかるところの無いスムーズなお味。
林さんは、よく「上品さがあるでしょう」という表現を使いますが、まさにそんなお茶です。品があるのです。


林さんは、春先のお茶よりも冬茶、冬片、あるいは不知春を好みますが、その理由は先に挙げたように天候の問題も大きいと言います。
これらの時期の方が、気候が安定しているので、良いお茶になる確率が高いということだそうです。
#あくまで1つの考え方として、私は受け取ります。1人の先生が絶対に正しいということは、お茶の世界には無いのです。あれもこれも正しいのです(そう思わないと、やってられません)。

この2つのお茶は、それだけでもかなりのレベルなのですが、お茶の世界はさらに深く広いことを、このあと思い知るのです。

上園茶荘の話は長いので、続く。


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え、話がマニアックすぎますか(^^;)





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Last updated  2008.05.29 00:45:45
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