本の虫の読書ノート

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2023.04.05
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カテゴリ: ミステリー






今、認知症の高齢者による運転事故が多く、社会問題になっているが、
その認知症かもしれないという老人が交通事故を起こし、
フリージャーナリストが取材するという形で物語はスタートする。

86歳の老人がコンビニに車を突っ込み、店長を死亡させたという事故が起きた。
週刊誌の編集長から依頼を受け、フリーのライター俊道律は取材を始めた。

運転していた落井正三は、どうも認知症気味だったという話だった。

先ず、俊道律が死亡した店長のオーナーでもある父親・宏に会いに行くと、
息子の死を嘆くどころか、事故現場の金銭的損害ばかり気にしていた。

加害者の落井正三は、福井と岐阜の県境に聳える野伏ヶ岳の、
福井県側の麓にある埜ヶ谷村という小さな村落に住んでいた。

運転していた軽トラックも本人所有のものではなくて、
村人が車検が切れたので放置してあった車だった。

埜ヶ谷村に行ってみよう、と俊道律は思った。
そして、彼はその村には奇妙な風習が残っていることを知る。

俊道律は調べれば調べるほど不可解な村の様子に困惑し、
親切そうな村の人の態度が、逆に疑惑を感じるようになった。

認知症の運転事故という一つのテーマに織り交ぜて、災害や人口減少という
現状から村の存続を願う強い思いが底辺にあって考えさせられました。

認知症を匂わせて、ある意図で事故を起こした落合正三の
思いやりが切ない作品でした。



夫75歳、運転できるのは80歳位までかな~?と話すようになりました。
運転免許を持たない私は、隣に座っているだけですが、それも怖い。

精神科医の和田秀樹医師は、高齢者だからといって運転免許返納を
家族が強制しては、余計認知症になりやすいと書いています。

だから、認知症も怖いし、事故を起こしやすくなる不安もありで、
他人事では無い思いで読んでいました。



悪い夏 (角川文庫) [ 染井 為人 ]
海神 [ 染井為人 ]






















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Last updated  2023.04.05 05:04:24
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