ミュータントウオーズ・新人類戦記-飛鳥京香作品

ミュータントウオーズ・新人類戦記-飛鳥京香作品

ミュータント・ウオーズ●第4回


ミュータント・ウオーズ(超人類戦記)●第4回
(1978年作品)
第一章 激 怒
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/
(■30年前の小説ですので、設定がその時代です。)

●第4回


銃声がやみ、カンボジフ兵が現われる。生き残っている人間を調べ始める。
クチニンの虐殺の報復のために侵入してきたカンボジア軍(クメールルージュ)


 生きている人間には、とどめをさしている。
銃床でなぐりつけているのだ。皆若い。十四・五才だ。
表情は堅い。手にしているのは中国製の自動小銃である。ソ連製カラシニコフ
AK47突撃銃のコピーだ。
 クメールルージュは、ゆっくりと、気を失左っている竜の方へと近づいてきた。

 背後で突然、爆発がおこった
迫撃砲らしい。
クメールルージュ達は散開し、爆発のあった方へ走っていく。

 竹やぶから大男が走りでて、竜を背にかつぎあげ、再び竹やぶの中へ駆け込石。その聞
わずか数秒、カンボジフ兵は誰も気がつかなかった。

 やがて、竜は小さな農家の二つに寝かされていた。あたりの田んぼの中には戦闘中に死
んだすい行の死体がころがっている。
竜は息を吹き返した。竜のもの前には知人が立っていた。
「ハイニン、あんたか」
 竜は起き上リ、あたりを見渡す。
「助けてくれたわけか。すまん。他には」
「お前さんだけだ」
 竜は遠慮なくハイニンの蜃を急がめ。まわす。‘
「あんた、なぜ、こん々所に来ているんだ。あんたの実力ならば政府の役人に忿っているム
はずじゃないか。もど解放牧線の馳えらが配のあんたならば痙」
 「いや、ベトテムが統一されて、俺の役目はもう終ったのさ」

 ハイニンは、心なしか寂しそうに見える。
ベトナム社会主義共和国誕生時、旧解放戦線、陽臨時革命政府の人々陰ほとんどこの政
府に名をつらね々かった。中央や地方の役所は大部分、北から来た官薫胚休汐t固順洛れ


 それどころか、かってのゲリラ闘士達は人民から隔離されていた。彼らはあまりにその
地の住民と密接な関係にありすぎたからだ。

「一体、これぱどういう事だ。俺達、日本人にどっては理解に苦しむことだぜ、こいつは。
かつて、米帝国主義と戦ってきたあんた方がこうして戦っているとは々」
「竜、ちょっと外をのぞいてみろ」
 屍臭がただよっよいた。村の方々で死体が散乱している。

「たとえば、あの赤ん坊を見てみろ」
 頭から脳漿が流れ出ていゐ。
 「あいつらは、両足をつかみ地面にたたきつけたんだぜ」

その時、繁みが動いた。
竜とハイニンは身構えた。
茂みの中から、若い娘かふらふらと歩き出してきた。
足どりがおぼつかない。今まで隠れていたのだろう。

年の頃は十七、八才だろう。
少女のあどけなささがまだ残っているようでもある。

 二人はその少女に近づいた。
「大丈夫か」
 ハイニンが声をかけ。少女はかすかにうなづく。
「よく生き残れたものだ」
 その少女の顔を、竜は眺めた。うつろな表情だ。しかしその眼差し何か底知れぬ恐ろし
いものが秘められているようだ。竜には少女の顔に記憶があった。

小一時聞ほど、たつうちに村へ人々が帰ってきた。
カンボジア兵が襲ってきたため、すぐに逃げおおせた人達だった。
親、兄弟を殺された人は、肉親の死体をみて、くずれ落ち、泣き始めた。

 竜やハイニンにとって伺度も目にしている光景だった。
(続く)
作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所
http://www.yamada-kikaku.com/


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