僕と月

《僕と月》

僕は夜が好き
月と一緒に遊べるから
だけど今日は、雨・・・・
話し相手が居ないまま夜が明けていく

僕は毎日思ってる
お月様の所に行きたいと
僕は毎日話してる
どうしたら行かれるのか?と

お月様は答えます
『天に還るまで、ここには来られない』と

僕は聞きます
『天に還るには、どうすればいいのですか?』と

お月様は毎日優しく微笑み僕の話を聞いてくれます
だけど・・・
今日は雨降り

明日は逢えるかな
雨降りの日の夜は嫌いです
独りぼっちになってしまうから…

少しずつ夜が明けていく
月の影がゆっくり消えて
空が白く光ってる

月のいた場所をじっと見つめ
僕は呟いた

『月は何故消えてしまうのだろう…』
『僕の嫌いな朝…』

お日様がゆっくり昇り僕に話しかけてきた

『ねぇ、暖かいでしょ?夜の身も凍るような冷たい風も吹かないし』

僕は目を閉じた
月と話しがしたかったから
目を閉じれば真っ暗…
月が見えるかもしれない

お日様の 暖かい風がゆっくり眠りを誘ってきた

僕には友達もいない
何のために、ここにいるのかもわからない
ふっと…月の話しを思い出した

『天に還る…』

明日は月に聞いてみよう
天に還る方法を…

雨が上がって
月が顔を出すのを待っていた

僕は お日様に背を向けて
知らん顔して風の香りを楽しんでいた

『お月様が出たら 真っ先に聞こう』

僕は 夜になるのが待ち遠しかった
暗くなるのを じっと待った

・・・やがて
風の香りも夕焼けの香りに変わり
背中に当たっていた お日様も静かに沈んでいった

じっと空を見つめ 一番星に挨拶をした

ゆっくりと空に闇が訪れ
月が星の光を浴びて金色に輝き始めた

「お月様 こんばんは!」

僕の声は嬉しくて いつもより大きな声になっていた
月は目を丸くして驚いていたが
すぐに 僕に気づいて

「また昼寝をしていて 眠れないのかい?」

と、言って笑っていた

笑っている月に僕は真剣な顔で

「お月様に聞きたいことがあって待ってました」

「それに…昼間は起きていても楽しいことはありませんから…」

ちょっと 拗ねて聞いてみた

月は不思議そうな顔をして訪ねた

「ほほー 私に聞きたいこと?
     それは どんなことだい?」

僕は答えた

「昨日の前の日 天に還らなければ 
       そこには行かれないって言ったでしょ?」

月は なおも不思議そうな顔をして

「ああ 言ったとも
     それがどうしたんだい?」

僕「天に還るって…どうしたら還れるのか教えてほしいのです
    ずっと 暗い空で輝いていたいのです
      どうか あなたの隣に行かせてください」

真っ直ぐと月を見て頼んでみました
月が願いを叶えてくれると信じて…

月は しばらくの間黙っていましたが
優しい声で言いました

「天に還る…それは…今のキミには できないよ…」

僕は 月をじっと見つめ 

僕は月に向かって叫んでいた

「何故?還れないの?」

「僕は、月の隣に行かれるのならなんだってするよ
     なんでもできるよ…死ぬことだって怖くないよ」

僕はの瞳は涙で濡れ始めた
月の返事を待ってるのが とっても長く感じながら…

月は目を伏せそっと囁いた

「キミは なんでも出来ると言った 
       なんでもすると言った…」

僕は黙ってうなずいた
続けて月はこう言った

「天に還るために キミは お日様と仲良くしなければいけない
                   できるかな?キミに…」

僕は驚いて聞いた

「何故?お日様と仲良くしなければいけないの?」

「お日様は 昼間に出ている…僕は明るいところは嫌いだよ」

涙を流しながら月に向かって お願いをした…
しかし 暗闇は去り東の空が明るく輝きはじめた

月に「おやすみ」を言うこともできずに…
静かに明るい朝の陽射しに包まれていった

僕は月の言葉を何度も何度も頭の中で繰り返した

『お日様と仲良く…』

僕はどうしたらよいのだろう…
月に見放されてしまったのだろうか…
とっても淋しい気持ちになった

僕が昼間の お日様と仲良くしたら
月とは もう話すことも会うこともできない
大好きな闇に溶け込むこともできない…

明るくなった空に向かって 大きなため息を1つ吐きだした


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