鎌倉日記(極上生活のすすめ)

詩を言葉にした民族


もしくは、文字での表現のプラス面とマイナス面だ。

アイヌの人たちは、「文字」と言う表現媒体を持たなかった。
しかし、民族には、伝承したいことがある。
それは日常会話から子供に聞かせる童話から子守り唄や、ちょっとしたことわざまで・・。

アイヌの人々は、声の「言葉」を口伝するという形で、残していった。
人間の声を詩にして伝えようとした。
ユーカラに代表される叙事詩。

「ユーカラ(yukar)とはアイヌに伝わる叙事詩。
萱野茂氏によると「ユカラ(ラは小さく書く)」が適切なかな表記である。短いものから数十分かけて語られる長いものまであり、物語といった見方もできる。」

「アイヌの人々が、文字を持たないというアイヌ語の特徴を利用し、自然の神々の神話や英雄の伝説を、言葉による豊かな表現で、語り伝えてきた。
しかし、アイヌ人が減るとともにアイヌ文学の中枢をなすユーカラが消えていっているため、言葉の強弱や音程の豊かさが普通の言語より重要視されるユーカラをどう保存するかが問題となっている。」

「アイヌの独自文化やアイヌ人の考え方をよく反映しているがため、アイヌの文化や言語を知るための重要な研究対象となっているが、知里幸恵がローマ字で筆録するなどしたユーカラは研究者達によって公開を制限されているものも多く、またアイヌ語を理解しない研究者が邦訳をして出版したものが、正しいアイヌ語として通用している場合があることも問題である。」  フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

文字ではなく、言葉だけで、表現した民族の言葉は美しい。
アイヌの暦は、
「日がそこから長くなる月」と呼ばれる現代の暦の3月ごろから始まる。
そのあとは、「鳥が出て鳴く月」、「ひめいずいを取り始める月」、
「はまなすを盛んにとる月」
「木の葉の初めて落ちる月」、「鮭の来る月」
「足の裏が冷たくなる月」、「たいまつで魚を取る月」
「弓が折れるほど狩をする月」
「海が凍る月」という言葉で表現される。
そして、
「あともどりする月」は、閏年のことだ。

言葉で伝える民族は、その人たちの声とともに、この世から消滅していくのだろうか。
いっさいの痕跡を残すこともなく・・・。

母親から聴いた子守唄の声は、いつまでも、心の奥底に残っているというのに。




© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: