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友和・百恵コンビ映画
大正末期、伊豆への旅に出た一高生の川島は、天城街道で旅芸人の一行と道連れになる。やがて出会ったうら若き踊り子、薫との淡い恋が始まるのだが…。
川端康成による同名小説の6度目の映画化で、時のアイドル山口百恵の初主演映画である。そのクオリティの高さも手伝って、クリーンヒットとなった作品だ。相手役には三浦友和が起用され、以後2人は次々と映画やテレビドラマなどでの共演を続けていき、ついには結婚へと至ることになる。
監督の西河克巳は、かつて63年にも吉永小百合主演で『伊豆の踊子』を撮っていた。ここでも安定した手腕を披露して多くの信用を得、その後も引き続き百恵&友和コンビの映画を多数演出することになった
2 潮騒
伊勢湾に浮かぶ歌島を舞台にくり広げられる、島一番の金持ちの娘、初江と漁師の新治。りりしくもさわやかな若き男女の、身分を越えた愛。三島由紀夫の同名小説は、これまでに5回映画化されているが、これは4回目の映画化作品である。
肉体と精神のバランスを重んじる三島のたくましき理想主義を、これがコンビ2作目となる山口百恵と三浦友和は、巧まずして体現している。嵐の小屋のなか、ずぶ濡れになった2人が互いに衣服をはぎとって裸になり、抱きあうラブシーンも、すこぶる健康的、かつかわいらしく表現されているのがほほえましい。叙情を重んじる映像美のなかに、思春期のときめきや青春の躍動感などの要素を盛りこんだ西河克己監督の達者な演出も、もっと評価されていいのでは。(的田也寸志)
3 絶唱
山口百恵、三浦友和の共演作品第3弾。大地主の息子と山番の娘という、身分違いの男女の悲恋を描いた、大江賢治による同名小説の三回目の映画化。
山陰地方の名家・園田家の一人息子・順吉(三浦友和)は、山番の娘・小雪(山口百恵)を愛していた。しかし父・惣兵衛(辰巳柳太郎)は、身分の違いを理由に反対し、町の実業家の令嬢・美保子(木内みどり)との結婚を順吉に迫る…。
あまりにもストレートな恋愛劇。「ロミオとジュリエット」さながら身分違いの恋に駆け落ち、親の反対に徴兵と、ふたりの愛情の深さを試すように襲いかかる不幸の嵐。それでもこの映画が涙を誘うのは、名匠・西河克巳監督による誠実な演出、山口百恵のはかなげな美しさ、昭和の男を真面目に演じた三浦友和の演技もさることながら、辰巳柳太郎、菅井きん、大坂志郎、花澤徳衛らベテランたちが脇を固め、ドラマに風格を与えていることも見逃せない
4 風立ちぬ
「風立ちぬ。いざ生きめやも」の一節で知られる、堀辰雄の同名小説の再映画化。
太平洋戦争の最中である昭和17年、初夏。軽井沢にある水沢欣吾(芦田伸介)の別荘には、療養中の一人娘・節子(山口百恵)の友人たちが集まっていた。そのひとり、結城達郎(三浦友和)は、密かに節子に好意を寄せていた。悪化する一方の戦局も考え、達郎は節子との結婚を誓うが、結核に冒された節子の病状も悪化して行くのだった…。
百恵・友和による純愛映画の一編で、本作の山口百恵は、結核で身体を蝕まれていく薄幸の美少女を演じている。愛し合うふたりを裂く要因として戦争があげられるあたり、“リメイク・コンビ”と揶揄された百恵、友和の映画ならではの保守性と言えるだろう。それでも本作も含めてこのコンビの映画が多くの観客に支持された理由は、陳腐とも言える内容にも関わらず、確かな手腕を持つスタッフが真剣に取り組んでいたからだ
5 春琴抄
明治のはじめ、大阪の菜種問屋の娘であり、9歳で失明したお琴と、ときに彼女のわがままに耐えながらも影となって献身的に仕えていく佐助。谷崎潤一郎による同名小説の5回目の映画化であり、倒錯的ともいえる2人の究極の純愛を、やはりコンビ5作目となる山口百恵&三浦友和が見事に演じきっている。
百恵の感情をあらわにした「動」の演技と、三浦のひたむきな「静」の演技の対比の妙が見事だ。2人とは気心の知れた西河克己監督も、ここに至り、両者の役者としての成長を確信。耽美派の原作に沿いつつも、一方では若々しさを見失わない演出を施している。佐藤勝による美意識に満ちた音楽も、すばらしい効果をあげている。(的田也寸志)
6 泥だけの純情
百恵、友和のコンビとしては、これが初の現代劇にあたる。原作は藤原審爾。
新宿でチンピラにからまれているところをヤクザの次郎(三浦友和)に助けられた外交官の令嬢・樺島真美(山口百恵)。次郎と再会した真美は自分の誕生パーティに彼を誘うが、彼女の純粋な思いとは裏腹に、次郎はふたりの住む世界が違うことを思い知らされてしまう。
外交官令嬢とヤクザの青年が、身分や環境の違いに悩みながらもお互いに惹かれあうものの、結局は心中という路を選んでしまうというストーリー。これまで過去を舞台にした恋愛劇を演じてきた百恵、友和のコンビだが、現代の恋愛を演じた本作で、時代を生きる観客たちの共感を得ることが出来た、ふたりのフィルモグラフィの中でも記念碑的作品。歴史的価値はともかく、1本の映画としての完成度は、中平監督版よりこの富本壮吉監督版のほうが上。鏑木創の哀愁に満ちた音楽に乗り、幸福そうに踊るふたりをスローモーションで捉えた安藤庄平のカメラ。その切なさに、ただただ涙。(斉藤守彦)
霧の旗
殺人容疑で逮捕された男が、高名な弁護士に依頼する。だが高額の弁護料が払えず獄死した。その妹が復讐のため弁護士に近づき、弁護士の愛人が殺人事件に巻き込まれると、事件のカギを握って弁護士に迫る。
松本清張原作のサスペンス小説、2度目の映画化作品。1965年の山田洋次監督、倍賞千恵子主演版では、社会派サスペンスの色合いが濃かったが、こちらは三浦友和を狂言回しの新聞記者に起用し、メロドラマ的な要素を強めている。注目すべきは山口百恵の演技で、ヒロインになりきった凄絶な姿は当時のファンを驚かせた。女優百恵の代表作のひとつといえるだろう。兄を関口宏、弁護士を三國連太郎が演じている。弁護士と愛人の関係が、純愛風に描かれている点も、さすが百恵&友和による正月映画という感じだが、作品のできもしっかりしている。(アルジオン北村)
7 ふりむけば愛
1974年の『伊豆の踊り子』以来映画出演してきた山口百恵と三浦友和が、共演8作目にしてリメイクではない初のオリジナル作品、初の現代を舞台にしたラブ・ストーリー、初の海外ロケ、そして初のベッドシーンに挑んだという、初めてづくしの作品。監督はCMでふたりを撮り続けてきた大林宣彦。脚本をジェームズ三木が執筆。
ピアノ調律師・石黒杏子(山口百恵)は、変化に乏しい毎日から抜け出て、自由な新しい女に生まれ変わるためサンフランシスコにやって来た。杏子はそこで出逢った田丸哲夫(三浦友和)と再会を約束して別れるが、当日やってきたのは哲夫の友人の松下であった。
CM出身の大林監督らしく、サンフランシスコの爽やかな風景、小椋佳作詞・作曲の主題歌をこのゴールデン・コンビのために用意して描いて見せた、今で言うMTV的な映像と音楽は確かに心地良い。ただしストーリーそのものがいかんせん陳腐すぎる。それでも山口百恵の美貌と演技は光っているのだが
8 炎の舞
世紀のスーパー・アイドル、山口百恵の引退20周年を記念して、彼女の主演作をDVD化。戦場で傷を負って送還された男と、彼に献身的な愛を注ぐ女の姿を描く。
9 ホワイト ラブ
世紀のスーパー・アイドル、山口百恵の引退20周年を記念して、彼女の主演作をDVD化。公募した原案を基に製作された、百恵・友和の主演コンビ10作目となる記念作。
10天使を誘惑
『八月の濡れた砂』などで知られる青春映画の名匠・藤田敏八が百恵・友和作品を監督した一編。
上杉浩平(三浦友和)はクレジット専門店に勤める佐野恵子(山口百恵)と同棲している。裕福ではない浩平を助けるため、恵子は店を辞めフルーツパーラーのウエイトレスの職を得て働くことに。
同棲とは? 結婚とは? 現代の恋愛のかたちを模索したオリジナル作品で、山口百恵はリアルな女性を演じるため、自ら藤田監督に「スッピン(撮影用の化粧をしないこと)でやりましょう」と提案した。本作公開前に結婚を発表した百恵・友和の姿と映画のキャラがダブって見えるあたりは、意図したものか否かは分からないが、多分にドキュメント的要素が濃厚と見えてしまう作品。(斉藤守彦)
11 古都
山口百恵の引退作品とあって、巨匠市川崑監督が登板。川端康成の原作をもとに、山口百恵が最初で最後の二役に挑戦した作品。
京呉服問屋の一人娘として何不自由なく美しく育った佐田千重子(山口百恵)は、中学生の時父母(實川延若/岸恵子)から実子でないことを知らされる。千重子は幼馴染の真一(北詰友樹)にだけ、自分の身上を打ち明けた。ある日千重子は友だちの正子(泉じゅん)と清滝川沿いの北山杉の村に行ったところ、自分そっくりな村の娘に出会う。苗子(山口百恵)というその娘と千重子は双児の姉妹だった。
京都の美しい自然を背景に、実の姉妹であるふたりの娘が偶然出逢い、そして別れる。たったそれだけの話であるが、市川崑の演出は、芸能生活のフィナーレを迎えた山口百恵を愛おしむかのようなタッチで、静かにショットを重ねていく。鑑賞後もじわりとした余韻が心地よく残る名編。(斉藤守彦)
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