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第22回サロマ湖100kmウルトラマラソン2
第22回サロマ湖100kmウルトラマラソン2
『大会当日』
ジャスト3時間就寝して起床は1時37分。携帯電話のタイマーを2時、ホテル備え付けのそれを2時05分にしていましたが全く不要でした。緊張は全くしていません。まずはトイレへ。ミネラルウォーターをチビチビやりながらおにぎりをガブリ。その数3個。3時を過ぎた頃、廊下や階下が騒がしくなってきました。このホテルはサロマ参加者用に3時から朝食がOKだそうなのです。脇ズレ防止用にワセリンをたっぷり脇の下に塗り込み、乳ズレ防止用のテープを貼り、洗顔をして今日の荷物である赤と青のビニール袋を手に1階へ。時は3時25分。まもなくCHOCORUNさんとNO.71さんが登場し愛車へ。ごく至近のホテルサンシャインへ出向くと既にサロマな勇者たちが気合いを充填させて待ち受けていました。
ここから30分のドライブを経てスタート地点である湧別町へ。なんとか雨は持ち堪えてくれています。前日残念な思いをした前夜祭の行われた建物の前に駐車して荷物を持ちスタート地点付近へ。芝生上で荷を解きスタート前の光景を撮影なんぞしようとデジカメを探すとその姿が見当たりません。思い出しました。車を離れる際に貴重品は車内に置いておこうと敢えて持って来なかったのです。しかし一生に一度かもしれない緊張感溢れるこの風景を記録しておかないのはいかにも無念。愛車へととって帰ります。小走りに荷物の場所へ帰ってくる途中でテント泊か車中泊をした風情のみっちぃさんが歯磨き中。照れた表情が可愛らしい。のちにこの方には幾度励まされたことか。
ポツラポツラと雨が落ちてきたスタート付近を撮影開始。
仮設トイレへ続く長蛇の列はやはり『大』の用足しを狙ってのもの。私は幸いホテルで済ませることができたので心配無用です。
走友会の名誉会長とカントクさん、そしてU山さんとお逢いします。走友会からもこの大会には大勢参加されますが大半が50km。100kmに参加は私を含めて3名の様子。身体の不自由な名誉会長、よくこの遠くまでおいで下さいました。
スタート25分前の様子。この段階で私の走る意欲はまだゼロ。まだまだこれからです。
尿意を覚えたのでトイレへ。ここでも『小』の列はいたってスムーズ。しかしこのスムーズな行為がこのあと思いも寄らぬ現実を招くことになります。軽く屈伸などして一応準備。今回の想定ラップは6分/km。それを55kmまで死守しその後は落ち込みを極力抑える計画なのでアップは無用なのです。防寒と汗拭き用の軍手を嵌めモニュメントの前で記念撮影。全員が満面の笑みを湛えているこの光景がよもや採用されるとは・・・・・(意味深長)
午前4時59分、私は第22回サロマ湖100kmウルトラマラソンのスタートに立っています。左側にはOgamanさん、カントクさん、tanさん。右側にはBeanさんご夫婦。振り向けばマイクさん。歩道上にはこれから50kmのスタート地点に移動するCHOCORUNさん、NO.71さん。単独参加だったらどれほどの不安感と緊張感に襲われていたことか。しかし私には仲間がいてくれます。苦しいところで励ましあえるであろう仲間がいます。 ついにカウントダウンが始まりました。
5・4・3・2・1・号砲。13時間を自分のことだけに使える大会スタート。
『前半戦』
スッカラカンにしてきた500ラップメモリーの時計をピッ。無事に稼動しています。2週間前の走友会練習会で突如誤作動が起きてしまい、急遽ヨド○シカ○ラで交換したカシオPHYS。今日は頼むぞ! 足踏みをしつつCHOCORUNさんとNO.71さんに軍手を嵌めた白い手を振ります。(行ってきま~す。50kmレースも頑張って下さいね) 自己計時でスタートゲート通過は1分51秒後。こんなものでしょう。何せ私の前には2,000名がいるのですから。
今日のテーマは6分/kmで55kmの緑館まで粘り、休憩を挟んで遅くとも午前11時30分までにそこを出発。70km地点を午後1時に通過して~80kmを7分/km、~90kmを8分/kmで通過し、ラストの10kmを歩くようなスピードまで落ちてしまったとしても12時間50分台でゴールするというもの。またトイレと給水ポイント以外では歩かず立ち止まらずを守るというもの。
薄暗くどんよりと曇った走路、右左折を繰り返します。素敵なウェアに身を包んだ宿命のライバルtanさんの姿が見え隠れしています。今日は長いお付き合いになることでしょう。長い直線後左折すると前を行くランナーの姿が延々と見通せます。磯の香りが鼻を付きます。私はこの匂いが大好き。スタート地点のスポーツセンターを挟んだ反対側らしき場所におわすはCHOCORUNさんとNO.71さん。加えて決して大きな町とは呼べない湧別町なのに沿道には地元住民の姿がギッシリ。まだ朝の5時過ぎだってのにありがたいことです。
感覚的には想定ラップの6分/kmを遵守しています。しかしこれはあくまでも感覚的なもの。(早く5km地点を通過したい。早く体感と実際のタイムの際を発見したい) その一心でペタペタスタスタ(略称:ペタスタ走り)と足を進めています。
5km地点通過:33分10秒。ロスタイム1分51秒とその後の渋滞を割り引くとほぼ想定どおりか。
海からも山からも離れ単調な走路が続きます。サロマ完走請負人であるURCのメンバーは小さな旗を手にしての参加。驚異です。高名なメンバーも多くあちこちから声をかけられたりかけたりしています。この人達に付いて行けば13時間以内でのゴールは間違いないなのでしょうがちょっと私の想定タイムよりも遅いので追い越します。tanさんの姿に追い付いてはまた離されるの繰り返し。カメKAYOさんも順調かつ力強い走り。竜宮台へ。
10km地点通過:1時間03分17秒。この5kmのラップ:30分07秒。精密機械のようなラップです(笑)
この軽い上りでなんとも言えない違和感が下腹部に出没。尿意です。何とかトイレまで我慢しようとしましたがあえなく挫折し走路反対側の草むらで今日1度目の用足し(反省) 左は林で右はサロマ湖。その遥か遠方にはこれから我々が至る対岸の姿がボンヤリと。沿道にはサロマ湖での漁業を生業にしている風情の住民の姿が大勢。小学校低学年と思しき女の子が2名大声で「頑張って下さ~い」と連呼する姿に身を震わせ私は両手を振りました。「ありがと~」の言葉と共に。突如左側の草むらから登場したのは有名作家のYさん。立ちションかな(笑)
先頭ランナーが登場します。山陽特殊製鋼の選手を含む5~6名の集団。速い。まるでハーフマラソンのように。しばらくは視線を右前方へ注ぐひとときが続きます。1994年リレハンメル冬季五輪複合男子金メダリストであり素晴らしい紳士でもある阿部雅司さんが通過。「阿部さん、ガンバです!」「ハイ、どうも!」 こんな見ず知らずの男に・・・。続いて4月29日の小樽40kmランにでご一緒した山元さん。真っ直ぐ眼を前に向けて一心に走り去っていきました。お次はヨーイチさん、はやと丸さん。ヨーイチさんは「ガンバ!」とエールを送ってくれましたがかずきさんには残念ながら気付きませんでした。その後はもう誰が誰やら。しかしハッキリと気が付いたのはサロマの女王ことKさん。左を見るといづみさんがトイレ待ち。しかしその後あっという間にいづみさんには追い抜かれてしまいました。さすがは全国区だけありますね。
右側の駐車場内にあるトイレは男女問わずランナーの姿がギッシリ。今はセーフですがこの先腹痛が起きないようにと念じました。
15km地点通過:1時間33分42秒。この5kmのラップ:30分25秒。立ちションをした割りにはまあまあかな。
敬愛する大先輩ランナーの走太郎さんとエールの交換。これが単独走になってしまっていた私にどれほどの安心感を与えてくれたことか。左側にオホーツク海、右側にサロマ湖が見えてくると走路がいっそうごった返し始めます。ようやく折り返しが近づいたようです。サロマ湖太鼓に後押しされつつ第一折り返し地点。(子供も太鼓を叩いているよ)などと思いながら三角錐の物体にしっかりとタッチして記念にします。ここでまたもや出没したのが尿意。今度は走路から左側に外れてトイレへ。折り返し後のサロマ湖太鼓は後方から聞いてしまいました。ここから先の知り合いはトン子さん、mamikさん、puaさん(順不同) 私を遥かに上回る高速ランナーのpuaさんが後方にいることが不可解ですれ違いざまに「○さん、どうしたんですか?!」と尋ねてしまいました。この謎解きはのちほど。この先ではOgamanさんとすれ違います。さすがの有名人らしく私の前を行くランナーとひっきりなしにエールの交換をしておいでだったので私から声をかけるのが躊躇われたほど。
20km地点通過:2時間03分46秒。この5kmのラップ:30分04秒。すれ違うランナーの姿で気合いが入りペースアップしています。
ここで私を襲い始めたのが重篤な精神的疲労感です。
(20kmを2時間以上かかってるよ) (全体のまだ5分の1だよ) (左のずっと先に霞んで見えている対岸の芭露まで行けるんだろうか) (ゴールできる可能性が30%以下なのだったらとっとと楽な道を選ぶほうがいいんじゃないのか) (早くも歩いている人だっているじゃないか)
これらが次々と脳裏を過ぎってはまた消え去る、を幾度繰り返したことでしょう。こんな閉塞状態を打ち壊してくれたのがプロボクシング元WBC世界ストロー級及びWBA世界ライトフライ級2階級制覇の名王者、井岡弘樹さんの姿でした。取り巻きらしき2~3名を従えて誰かの応援に参じたらしき井岡さんの姿は私を奮い立たせてくれました。この辺りで終末らしきランナーを確認しました。
25km地点通過:2時間33分49秒。この5kmのラップ:30分03秒。よしよし。
左側の走路に入りしばらく行くと大きな給水ポイント発見。空腹感はありませんがここで初めて足を止めて飲み物とバナナに手を伸ばします。半分にカットしたバナナを2本腹に入れたと記憶しています。右に軽く上るカーブ。そこを過ぎるとパッと視界が開けました。漁村地域から森を抜け今度は畑作酪農地帯です。裸眼で視力が1.5ある私の目に再び延々と続く前走者の帯が見通せます。ここで突如ドーン!と花火が上がり大きな音に弱い私はビクッと怯みます。思わず「ビックリした~」と声が出たほど。これはどうやら害鳥除けの花火のようでその後も5分に1度ぐらいのペースで聞こえていました。
ジュンジュンの姿発見:「順調ですね~?」 「いや、そうでもないよ。結構シンドいわ~」
走友会の名誉会長の姿発見:「(走友会名)で2番目だよ~」 「わかりました~」
今振り返るとこの直線が一番堪えたかもしれません。沿道からは思いの外多い声援がかかり微風・曇り空のコンディションであるにもかかわらず。何故だったのでしょう。何が理由だったのでしょう。今も不明。しかしそんな苦しい状態に再びピリオドを打ってくれたのが井岡弘樹さんの姿でした。またお供を連れて沿道へ立っているのです。心配そうな表情で私の後方を見やっています。おそらくや誰か知り合いでも参加しているのでしょう。「井岡さん!」と声をかけると「ガンバ!」 感激。
左折すると30km地点通過:3時間04分24秒。この5kmのラップ:30分35秒。ゴメンナサイ。途中で立ちションをしちゃいました(猛省)
この風景にはハッキリと見覚えがありました。Beanさんからお借りした昨年大会のDVDで女子優勝者翔さんのダイジェスト版に映っていた場所だからです。そんなことを考えていると左前方のランナーが「さっきはどなたですか?」 「ボクシング元世界2階級制覇の井岡弘樹さんです」 「おお~っ、憶えていますとも」 「知り合いでも応援している風情でしたね?」 「ええ」 「私は今年初参加なのですがだんだん楽しくなってきました。さっきまではキツかったのですけど」 「この先はその繰り返しですよ。気持ちが切れちゃお仕舞いですからね」 「はい、わかりました。気だけは持ち続けます」 そしてこの方は後方へ。ありがとうございました。左折してしばらく行くと3桁ナンバーのランナーが一人。TAMOYANです。先週のおたる運河ロードレース以来の再開。「TAMOYAN!」 「オイッス!」 TAMOYAN、ゴールで逢いましょう。
エイドステーション発見。ここでもしっかりと足を止めてレモンを数切れと梅干を2個貪り食います。(クエン酸を摂取すべし)と本能的に感じ取ったからです。ところが平生ならば酸っぱさに顔を歪めるはずのこれらが全くそうは感じません。実感はないもののだいぶん乳酸という名の疲労物質が蓄積されていたからなのでしょう。
右側に井岡弘樹さん発見。3度目の出逢いです。今度こそハイタッチをしてもらおうと右側に寄ると後方からM社の大型車が近づいてきて我々を遮ります(涙)。そのナンバープレートを見て私は気付きました。それは同じ100kmに参加している走友会某氏の車でした。この大型車を代理の人が運転してコースを移動しているのです。残念ながら井岡弘樹さんとのハイタッチは来年以降のものへと遠ざかったのです。
オホーツク国道を左折してすぐが35km地点:3時間35分01秒。この5kmのラップ:30分37秒。エイドでの小休止による。
ここは車両規制のできない国道。歩道と車道の境界線があるようなないような微妙な走路を徐々に上っていきます。私は上り坂と下り坂どちらが得意か問われたら瞬時に上り坂!と答えます。そんな私ですので前を行くランナーを次々と捕捉します。別にペースアップはしていません。今までどおり、それまでどおりのペースを維持するだけでそうなるのです。
ここで耳障りな電子音が聞こえてきます。すぐ前を行くランナーの時計がピッピッピッピッとラップを刻んでいるのです。その音から遠ざかろうとして追い抜けば追い付いてくる、後ろへ離れればこの人も落ちてくるの繰り返しでしばし私は苦しいひとときを過ごしました。
長い直線の先に市街地が見えてきました。湧別町芭露です。大勢が我々を歓迎してくれているエイドで小休止。とうとうすいかが登場しますがこれが大の苦手な私はバナナと梅干を手にしました。毎日女房がこしらえてくれるおにぎりにも入っている梅干なのに(梅干とはこんなに美味いものなのか)というのがそのときの偽らざる心境でした。
40km地点通過:4時間05分33秒。この5kmのラップ:30分32秒。足を止めているとき以外はどうにか6分/kmを保っています。
昨日ヨーイチさんの発想で通りかかった月見ヶ浜へ。その手前でみっちぃさんが熱烈応援を贈ってくれます。北海道弁丸出しのイントネーションで「頑張るんだよっ!」 「はいっ!」
その先には走友会の名誉会長が。こちらから手を振ると感激の面持ちで気付いてくれました。左折するとサロマ湖の水面が一望。プンと磯の香りさえ。フルの距離はもうその先。なのに意欲に衰えは生じません。それどころか意気揚々の意気軒昂。今までの大会ならばフルの距離が一杯一杯なのに今日は違います。ラップの違いだけじゃなく100kmをなんとしても走破する気力に溢れているからでしょう。20kmと25km過ぎでのあの気力の衰えはどこへやら。それにしてもRAKUWAネックが鬱陶しい。これはレストステーションで取り外しだな。
『写真を撮影しています。顔を上げてください』の看板が見えてきました。撮影してもらうに当たって邪魔になる前方の人影はなし。後方を気にする余裕もなし。ほぼ無心でここを通過したつもりですが7月4日に我が家に郵送されてきたサンプルには写真用にサングラスを外して真っ直ぐ前を向く凛々しい姿が写っています(笑)
フル地点通過:4時間18分34秒。
時刻は9時18分34秒。関門制限は10時30分。1時間11分25秒の貯金。
黙々と、しかし着実に前へと進む前走者。見たことはありませんが産卵するべく海を目指す母カメを連想させます。俺も頑張るぞ。ここで今大会最後の立ちション(猛省) フルの距離で4度とは予想外。昨日までの充分過ぎるウォーターローディングと今日の上がらない気温でさほど汗を掻かないことによるものなのでしょうか。
再びオホーツク国道へ。
45km地点通過:4時間35分50秒。この5kmのラップ:30分17秒。すこぶる快調。
大会最長距離記録を更新したエイドステーションで小休止。ここでも梅干とレモンを数切れ摂取。狭い橋を片側交互通行にしています。またもやずっと先を見通せる直線へ。テクテクと坂を上っていきます。この辺りで記憶に残っているバス停の名前は「町境」 ボンヤリとした頭で湧別町から佐呂間町へ替わりつつあるのだと理解します。いつ果てるとも知れない長い直線。キャンピングカー等幾度も見かける車の姿が。特定選手の私設応援団なのでしょう。スタート時とは異なり右側から照り付ける太陽が切ない。CW-Xの小さなポケットに忍ばせておいたアスリートソルト6~7粒を摂取。かぶり水の存在に気が付かず口中にしばらく塩ッ気が充満した状態でただひたすらに進みます。
50km地点通過:5時間06分47秒。この5kmのラップ:30分57秒。
時刻は10時06分47秒。関門制限は11時30分。1時間23分22秒の貯金。
ここから1kmごとに標識が立てられています。月見ヶ浜からご無沙汰していたサロマ湖が見えてきました。左側にその湖を見ながら走っているとtanさんの姿が見えてきました。おぼろげな知識だと54kmとちょっと先に今大会最大のレストステーションがあったはず。追い付き追い抜きざまに「tanさん、レストステーションに寄るの?」「当然!」こんな会話をしました。そこを目指して無心の走り。にもかかわらず富武士(トップシ)という地名を(サラ金の武富士みたいだな)と感じる余裕という名の邪念はあるのです(笑)
約54km地点のルートインホテルズ ホテル グランディアサロマ湖前到着:5時間34分。時刻は10時34分。
(提供:ジュンジュン)
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