Running&Climbing

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洞爺湖マラソン2009

洞爺湖マラソン2009


2009年5月24日(日)



『半年ぶりの大会』


昨年11月のフルマラソン挑戦会が終わると一気にランニングへの意欲が低下して同月は大会込みで161km。以降92km~116km~167km~155kmの有り様。その間の1月に老骨に鞭打ってバレーボールを再開し、一つのボールを仲間で追う魅力を再び取り戻したものの、それと反比例してランニングの意欲は更に落ちる一方。「エントリーをすればモチベーションが上がってくるのじゃないか」と今年もサロマ湖100kmウルトラマラソンに申し込みましたが、その淡い期待は裏切られたのでした。とにかく意欲が高まってきません。月に4~5回通うバレーボールの練習の方が楽しくって楽しくって。
しかし雪解けというものは確実にアウトドアスポーツへの意欲を掻き立てるものなのですね。3月下旬の朝里湯の花ランを皮切りに毎週末の土日で必ず合計40kmを走ることを自分に課し、それを確実に実行していきました。普段のコースが全くの平らなので多少なりとも起伏ある場所を選んだのと、軽い筋トレも4月から始めて体幹を鍛える努力もしました。その結果4月は走行距離が318km。伊達ハーフマラソンを不参加にしたことで毎週末をLSDに充てられたことが良かったのでしょう。バレーボールの練習も4回だったかあったので、実に忙しい月でした。

大会当日は4時55分に自宅を出発しました。走友会のメンバーを車で拾って一路洞爺湖へ。途中の中山峠や道の駅ではないキレイな公衆トイレで用を済ませることができたのでお腹の具合も心配ありません。現地到着は7時25分でした。その直前にふと携帯電話に目をやると、走友であるyagiさんからメールが届いています。椎間板ヘルニアの手術をして今回の大会を無念のDNSとなったyagiさんがエールを送ってくれたのです。ありがたいことです。危険と知りつつ運転しながらお礼のメールを返しました。

毎年愛用している駐車場へ落ち着き荷物をガサガサやっていると、隣りの車の主が戻ってきます。何気なしに顔を見るとUGさんでした。再会はいつ以来でしょう。たしか去年の札幌マラソン前日のナンバーカード引き換え場所以来ではないか、と。短時間ですが旧交を温め互いの健闘を祈りますが、これがスタート前・レース中・ゴール後に大勢の走友と再会する序章だったのです。

集合場所へ着いてからは例によってエネルギーをふんだんにお腹に詰め込みます。おにぎり、バナナ、梅干、パン、素甘、アミノバイタルプロetc。水曜日から飲み始めたメダリストもチビチビ。仮設トイレの近くに陣を張ったので2度足した小用もとても楽でした。

芝生走路小学生仮設トイレ


ここでもう一度携帯に目を落とすとメールがもう一通。私がもっとも敬愛する大ベテランランナーの走太郎さんです。今月初旬の練習で足を痛め、今日は敢えて不参加にするそうなのです。しかし去年でサロマンブルーを果たした走太郎さんの判断は賢明なのです。お礼のメールを返します。

羊蹄山中島


今大会初めて陸連登録ではなく一般参加。3時間以内のプラカードからかなり後方に並ぶ。今回身に着けるウェアは上下黒。ショートタイツは生涯で2度目のこと。前にはいづみさんの姿がある。ふと横を見るとそこには旧知の仲であるひでさんが。美波ちゃんはさぞ大きくなりますます愛らしくなったことでもあろう。握手をしてお互いの健闘を誓う。走友会のOさんの姿が見える。我々仲間を目で追っているようだ。手を振ったが気付かない様子。これだけの人数じゃ、さもありなん。フルマラソンの時はいつもなのだが今回もアップはゼロ。5kmまでをアップと見なそう。洞爺湖から吹き付ける風は強烈。5度目の参加で随一だろう。これは10km~15kmがキツそうだな。靴の紐を締め直す。その弾みかナンバーカードの裏に貼り付けていたアミノバイタルプロがストーンと落下する。アチャ~ッ!100円ショップの安物テープはやっぱりダメだな。ショートタイツにはポケットがないし、仕方がないのでタイツの中に仕舞い込む。頼むからインナーの中にまで入り込まないでくれよ。今日の目標は5km:24分30秒前後を維持して確実にサブ3.5達成。一気に練習量を増やしたことが吉と出るか凶と出るか神のみぞ知るのだ。だがしかし、俺はそれを吉と出すのだ。そして約束を交わした走友2人をサブ3.5へ導くのだ。必ず。

号砲一発。



『太腿が・・・』


ひでさんと「のちほど」と握手を交わしてまずは足踏み開始。徐々にランナーの帯が蠢き出し、走路の一番左端を進みます。ロスタイムは手元で28秒(正式には29秒)。私の常である呼吸法(2度吸って2度吐く)をすることでまずはリズムを作ります。
右折を2度繰り返して公道へ。まもなくおおひろさんの姿を確認しますが走路の端同士だったので声をかけることは控えます。走友会のOさん・Nさんと合流。しばらく並走してOさんは前方へ。同じくIさんが追い付きほどなく前方へ。1km通過タイムは5分30秒。ロスタイムを差し引くと約5分といったところか。練習では到底こんなペースじゃ走れないのに。2km通過は11分10秒。4分40秒まで上がってしまっています。Nさんと「これが大会なんですよね。少し落としましょう」と短い会話を交わします。

先頭集団とすれ違います。いつもの年ならばそっちに目を奪われてしまう私ですが今年は封印。私を追い抜きざまにはやと丸さんがかけた声を聞いてGOさんとすれ違ったことを知ります。唯一手を振って大目標達成を祈念したのはLEONさん。LEONさんも私に気付いて手を振り返してくれました。
小山をグルッと1周して今度は後続ランナーの長~い帯が続きます。ここでも人に酔ってしまうのを避けるために真っ直ぐ前を向いて走ります。唯一気が付いたのはマミックさん。現在私の趣味1・2を争うバレーボールに誘ってくれた張本人で、2008北海道マラソンの際もお世話になりました。残念なことにマミックさんが私のほぼ真横に来た段階で気付いたので声をかけそびれてはしまいましたが。


5km地点通過:25分20秒。


太腿がキツくてたまりません。普段6分/kmのゆっくりでしか走っていないのが突如5分/kmを下回るペースを刻んでいるのですから当然ですね。なんというのでしょう。(乳酸が溜まっている)という表現が適切でしょうか。とにかく苦しくって苦しくって。
スタート地点にいったん戻ります。石畳が足裏を刺激します。しかしそれは太腿のキツさを軽減してはくれません。苦しい苦しい苦しい苦しい。湖畔沿いの道を抜けてサンパレスの前へ。ここで荒い息づかいのHITOMIさんを抜き去ります。この方も苦しそう。


10km地点通過:49分38秒。この5km:24分18秒。



『ランニングハイ』


ようやく給水所がありました。自分に1杯とNさんへも1杯。喉が乾いていたので本当に(ようやく)というのが本音です。鮮やかなパステルカラーのウェアに追い付きます。おまちゃさんです。 「こんにちは」 「おっ、調子が良さそうですね?」 「いえいえ」 短い会話を交わしながら己と異なるその引き締まった体躯に羨望の眼差しを注ぎます。

「genさん、こんにちは」 「おおっ!しばらくです!」 「こちらこそ。今日NAOJIさんは参加しているのですよね?」 「ええ、していますよ。キロ7分ぐらいでゆっくり走ると言っていました」 「そうですか」

こんな風に仲間と会話を交わすと不思議なことにそれまであれほどキツかった太腿の疲労感がどこかへ消え去ってしまうのです。仲間って良いな。走友会のエースであるAさんも私に一声かけて軽やかに抜き去っていきました。

ここでレース前に私がサブ3.5に導く手助けをする約束をしていた人と合流できます。しげたさんです。「○○(本名)さん」 「おおっ!いましたね?」 「ここから一緒に行きましょう」 「わかりました」

しげたさんと時折り会話を交わしつつNさんの様子も振り返りながら今大会随一の上り坂を通過します。そこを越すと今度は同じく今大会随一の下り坂を通過。スピードに乗ってしまうのを自制します。


15km地点通過:1時間14分20秒。この5km:24分42秒。


典型的なランニングハイですね。スタート前にあれほど吹き荒れた風は治まり、太腿のキツさもどこへやら。左前方に見える羊蹄山も頂にかかった雲以外はクッキリと見通せます。楽しい楽しい楽しい楽しい。大会って良いな。
名物おばあちゃんが陣取る私設エイドでバナナを半分いただきます。女性教祖様のこうめさんに追い付きます。私はこのカリスマランナーを知っていますが、先方は私を知る由もないので横から抜かせていただきます。Nさんはしっかりと付いてきています。


20km地点通過:1時間38分57秒。この5km:24分37秒。


左折したところにエイドステーションがあるのを知っているので、ショートタイツの中に忍ばせておいたアミノバイタルプロの封を切り口の中へ。そしてエイドで水をもらい今度は胃の中へ流し込みます。(よしよし、上手くいったぞ。これが落下したのがスタート前で助かったよ)
バナナ半分を2本いただき、1本を自分の胃袋へ。残りを半分分けしてしげたさんとNさんへ。


ハーフ地点通過:1時間44分25秒。予定通り。


しげたさんが「このままのペースで行けば3時間半を切れますね?」と話しかけてきますが、「イヤイヤ。フルはハーフの倍じゃありませんよ」とサブ3.5の経験者として話します。
途中に工事中の箇所があり、その先には延々と車の列が続いています。あまりに長い通行止めにイラついたドライバーが誘導員に食ってかかっている姿があったので心の中で手を合わせます。(行楽シーズンに交通規制をして申し訳ない)
北海道マラソンクラブの安さんに声を一言かけて抜き去りますが、この辺から右足首に疲労感と痛みを覚え始めました。


25km地点通過:2時間03分21秒。この5km:24分24秒。



『ランニングハイの終焉』


ついに来ました。ランニングハイの終焉です。キツくなってきました。しげたさんとNさんを気遣う行為がシンドくなってきました。27km付近の直線では当然ながらずーっと前方を見通せるのです。右に駐車している収容バスに駆け込む人の姿は私を手招きしているようにさえ。しかしそうはしません。何故ならばしげたさんとNさんと一緒にサブ3.5を成し遂げるのだから。高校生が手渡すスポンジにも助けられました。

旧洞爺村役場から正午を告げるサイレンが聞こえてきます。Woooooooo~。まだ28kmの財田キャンプ場付近を走っていた私は2005年~2007年と違って今日のローペースを自覚します。


30km地点通過:2時間27分39秒。この5km:24分18秒。


今年も30kmの天使達の姿が見えてきて私の胸がグッと詰まり目の奥から涙が込み上げてきました。バナナと水とスポーツドリンクと氷砂糖を受け取り、例年ほどではないにせよ「ありがとう!」とお礼を言います。鷲づかみした氷砂糖をほとんど無駄にしてしまったのは反省点です。
前夜祭で杯が進み過ぎたらしき走友へ一声かけてひたすら前へ。

ここから待ち受けるのは『大小いくつもの入江でゴール地点の洞爺湖温泉街がなかなか近づいてくれない地獄』です。それが近づいてきました。しげたさんとNさんを気遣う余裕はなくなり、(この大きな背中を見失わないで下さい)の一念です。と同時に下半身全体の重篤な疲労感にも襲われています。はやと丸さんとtanさん、更にはフ○ングの女性ランナーを抜き去ったのは何キロぐらいだったでしょうか。


35km地点通過:2時間52分09秒。この5km:24分30秒。


湖畔からちょっと離れた37km辺りで肉体の異変を感じます。それは右乳首の痛み。内心(おかしいなぁ。ちゃんと乳ズレ防止のテープを貼ったのに)と首を傾げつつランシャツの内側に目をやると、右どころか両方のテープが剥がれてしまっているではありませんか!スタート前に感じた(その弾みかナンバーカードの裏に貼り付けていたアミノバイタルプロがストーンと落下する。アチャ~ッ!100円ショップの安物テープはやっぱりダメだな)は繰り返されたのです。ですが残りわずか5km付近で助かりました。
この辺りだったかで「3時間半を切れるぞ!頑張って!」と声をかけられました。いつの大会にも(例:つくばマラソン、2008北海道マラソン)通過タイムからゴールタイムを予測して檄を送ってくれる応援のプロというのはいるものですね。


40km地点通過:3時間17分41秒。この5km:25分32秒。ついに5分/kmペースを上回ってしまう。


この先に待ち受ける1kmのダラダラ上りが毎年キツいのです。4月より再開した筋トレでムキムキ(でもないな)の腕を振ることで脚をも動かすよう努めます。この段階でサブ3.5はほぼ確実だったので、あとは3時間28分台を目指すこととします。ここで追い付き追い越したのが奇怪な装束に身を包んだランナー。上下真っ黒のウィンドブレーカーを着て汗だくで走っているんだもんなぁ。減量中のボクサーじゃあるまいし身体に悪いですよね。

左折して急な下りを耐え右折します。ここに市内屈指の老舗スポーツショップのYさんがいました。この方の実力から判断するにとっくにゴールして後続ランナーの応援にここまで戻ってきたのかと思いましたが、後日RUNNETや道新スポーツを読むとそうではなかったようです。恐るべしはフルマラソン。


石畳の上を懸命に走る。フ○ングの高名美女ランナーが走路脇にいる。遥か彼方に見えていたゴールゲートがようやく近づいてきた。腕を振り脚をひたすら前へ。今の段階で目一杯のレース展開をした自負がある。しげたさんとNさんは俺の後ろ姿を見てくれているだろうか。いや、実力者の2人だからきっと大丈夫だろう。35km過ぎからはずっと喘ぎっぱなしだった俺だが、最後ぐらいは笑顔でゴールしよう。 「○○(本名)さーん」と呼ぶ声が聞こえる。ちかたんだ。サポートと写真のプロのちかたんだ。どうもありがとう、ちかたん。


そしてゴール。しげたさんもNさんも立派にサブ3.5を達成した。自分のことのように満足感を得られた。
今年もこの大会に参加して良かった。本当に良かった。


40km~フィニッシュ:3時間28分24秒。この2.195km:10分43秒。



~5km:25分20秒。

5km~10km:49分38秒 (24分18秒)

10km~15km:1時間14分20秒 (24分42秒)

15km~20km:1時間38分57秒 (24分37秒)

20km~25km:2時間03分21秒 (24分24秒)

25km~30km:2時間27分39秒 (24分18秒)

30km~35km:2時間52分09秒 (24分30秒)

35km~40km:3時間17分41秒 (25分32秒)

40km~フィニッシュ:3時間28分24秒 (10分43秒)


~ハーフ:1時間44分25秒。

ハーフ~フィニッシュ:1時間43分59秒。



横断幕2フィニッシュ表彰台全員集合





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