Running&Climbing

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第21回さっぽろ祭りマラソン

第21回さっぽろ祭りマラソン


2006年6月11日(日)



『最初で最後であろう次男との親子ペアマラソン』


小柄な女房から小さく生まれた次男。11年前の4月20日だったかが出産予定日だったにもかかわらず3月26日に2,645gでこの世に生を受けました。3月生まれの悲しさで小さな頃から小さく、幼稚園~小学校中学年までは整列すると常に一番前。運動会等では写真を撮りやすいメリットもあり、チャカチャカとそのすばしっこさでは右に出る人はいませんでした。現に幼稚園~小学校低学年までは毎年リレーの選手になりそれは親を楽しませてくれたものです。
父親同様(食)に目がない次男。とにかく小さな身体でよく食します。(食)に次いで好きなことが読書。外で遊ぶよりも家で読書をするのが好きな子で、そのおかげもあってか思わぬ漢字を読めたりして親が驚くこともしばしばありました。しかし(食)が好きなインドア派のデメリットは明白。(肥満)です。4年生ぐらいから腹回りの醜いものが目立ち始め、運動会の徒競走では幼少時の華々しさはどこへやらで最下位を争うまでに。花形リレー選手だった長男とは正反対ですが、家族中唯一血液型がO型で細かいことを気にしないタイプの次男はそんなことお構いなし。「お兄ちゃんはお兄ちゃん。僕は僕」ハッキリしています。

そんな4月のある日、いつも通りに給水という名の晩酌をしていた私がふと閃きます。
「H(次男)も今年は6年生かぁ。親子ペアマラソンに出られるのも今年が最後だ。どうだ、H。お父さんと一緒に親子ペア3kmに出てみないか?お金は父さんが出してあげるよ」
5秒間沈思黙考の末、彼の口から出た答えは、「うん、出てみる」
一番驚いたのは何を隠そうこの私。走ることが大嫌いな次男からよもや是の返答が戻ってくるとは思わなかったから。そして驚くと同時にうれしくもありました。

6月11日7時10分、再来週に控えた中間試験に向けた勉強をするという長男を自宅に残し、女房次男を伴って出発。予定通りに市内の私の実家で両親を乗せて会場である真駒内公園に向かいます。去年までスポンサー契約をしていた消費者金融のアコムが特別協賛へと変化し、大会名そのものから冠が外れてしまった今年は参加者が去年に輪をかけて少ないような気がします。2年前までCMキャラクターとして来道していたタレントの小野真弓さん、五輪ランナーの宇佐美彰朗さん、そして小幡佳代子選手を初めとしたアコム陸上部の面々の姿もなし。寂しさに拍車がかかります。
一昨年長男とこの大会に参加した際はこの表彰台

表彰台

を目指して号砲一発親子の縁を切りゴールに向かったものですが今年はそんな野望は皆無。とにかく次男と十数分間を共有できるだけで幸せなのですから。
徐々に賑わいを増してきた芝生の隅にシートを広げて陣取ったのが7時40分頃。紙製に変貌を遂げたナンバーカードを胸側だけにつけます。去年までは布製のナンバーカードを胸と背中の両方に取り付けたものだし、永年(といっても私は過去参加した4年間)参加賞として手渡されていたTシャツが布製の小型リュックサックに変わっていたのも実に意外でした。

広場

洞爺湖マラソン以来の再会となる敬愛する大先輩ランナーに軽くご挨拶。真駒内競技場内で9時15分スタートのフルマラソン参加者と歓談しその勇姿を数枚撮影。鼻息荒いランナー達が集う大会に比べこの大会のフルマラソンは実にのんびりしています。私が参加した去年同様スタート2分前になってもまだワイワイガヤガヤニコニコと歓談。前方はガラガラ。1分前になってからようやく「さて、そろそろ行きますか」ってなもんだもんなぁ(笑)
同一コースを2周回する過酷なレース参加者を見送り、

フルスタート

自分がストレッチ開始。
9時40分がスタート時刻の親子ペア3km。軽く汗を掻いたところで真駒内競技場へ再入場。男女3kmと親子ペアが混在した参加者達はやはりのんびりとしています。今回次男に言い聞かせたことは4点。(胸を張る)(腕を振る)(吸った息は全部吐き出す)(苦しいところではお父さんが手を引っ張る)というもの。それを再確認すると彼は頷きました。カスタムインソール付ライトレーサーの紐を縛り直して号砲を待ちます。外には女房。右前方には父の姿。左横には同じ種目に参加する高速ランナーUさんが愛娘と。

そして号砲一発。

アコムスタート



『次男の荒い息づかい』


勇壮な平岸天神太鼓が我々を見送ります。未明まで降り続いた雨で競技場内の走路はあちこちに水たまりが。それを避けるべく私を含めたランナーは飛び跳ねています。そんな姿を見た父が愉快気に笑っているのが見えます。振り向くとUさん親子の姿も見えます。半周したところで先頭ランナーが早くも競技場から消え去る姿さえ。速い!一昨年はその姿を追走すべくスピードアップしましたが、今日は傍らを懸命に走る次男を気遣います。
競技場を出ると走友のOさんとSさんの姿が。大声で声援を送ってくれています。私は反射的に傍らを指差して「次男!次男!」と猛アピール。次男も頑張っている姿を見て欲しかったからです。真駒内公園内走路は乾燥していて申し分なし。レース中にあれこれ次男に指示を出しても無意味と判断し(胸を張る)ことだけ伝えます。1km先の上り坂はこのコース最大の難関。次男の息がより荒くなるのが聞こえてきました。「引っ張ってあげるか?!」「うん!」
1・2・1・2・1・2・1・2・1・2・1・2・・・・と声を出して次男を元気付け、自分へのエールにも変えます。「もう二度とないであろう次男との親子ペア参加。よくぞ俺と一緒に参加する気になってくれたものだ」と感慨にすら浸りながら「もう少しでてっぺんだからね!」
急な坂の頂上からは少々ペースアップ。「どうだ!大丈夫か?もう少しだけスピードを上げてみようか?」「ううん、ダメ。僕、苦しい」「よっしゃ、わかった!じゃこのまま行こう」
時折り真駒内公園散策者の応援をいただきながら坂を下っていると前方にOさんとUさんの奥様の姿が見えてきます。Oさんは例によって大声で「頑張れよ~!」「は~い!」 Uさんの奥様は今年もベストショットの画像を撮って下さいました。ありがたいことです。
グルッと左カーブ。オーバーペースが祟ったのか歩いている少年の姿が。しかし追い抜くと突如走り始めて追い抜かれ、またトボトボ。こっちがまた追い抜くと意地になってまた追い抜きにかかります。そこの少年、それは一番体力を消耗する走り方だよ。しかし傍らの次男の息づかいはますます荒くなっています。
1・2・1・2・1・2・1・2・1・2・1・2・・・・と並走していると競技場を出てすぐのところで声援を送ってくれたSさんの姿が。手を振ってアピールするとSさんはまた声を返してくれました。次男と同学年の息子さんを持つSさんの目に我々親子はどう映ったことでしょう。
中央橋に向かって左折すると母の姿を発見。懸命に声をかけてくれています。次男に「ほら、おばあちゃんも見てくれているよ」「うん」 
橋を渡り切って右折するとその先100mがゴール。「最後は頑張ってダッシュしよう!」「うん!」 最後の力を振り絞り彼は猛然とダッシュ。一時は2m程私を先行するほどのダッシュ。私の目にはその小さな背中が逞しく雄々しくさえ映り、走りながらちょっぴり胸が詰まりました。
手を繋ぎはせずとも必ず同タイムでゴールしようと決めていた我々親子の目に、

アコムフィニッシュ

が飛び込んできました。
体感で最後は5分/kmを大きく下回るスピードでゴール。この場で公開することは差し控えますが、その瞬間を激写した女房の画像に記録されている次男の表情は微笑ましくもあり涙ぐましくもある秀作です。

「よく頑張ったな、H。疲れたか?!」「うん。でも疲れたけど楽しかった」

「お父さんと一緒じゃなかったら3回ぐらいは歩いちゃうほど苦しかった」(後日談)

2006年6月11日(日)午前9時58分50秒。二代目アザラシ親子、最初で最後の親子ペア3km参加完走。一生心に残る思い出です。
決して人気大会とは呼べないこの大会ですが私は大好き。来年は単調な走路を2往復するコースが過酷極まりなくもある反面、参加人数が少ない故にストレスなく走ることの出来るフルマラソンの部にエントリーすることでしょう。




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