第1ターム



初めてのこのターム(全10回)は、「インシュラー・ハーフアンシアル体」を学びます。
材料はA3パッド・18インチ定規(45cm)・黒インク・平ペン・H3の鉛筆です。


【第1回/30 Sept 2004】  「I・h・c・o」

カリグラフィーの歴史についての話を聞く。教会の入り口部のアーチが尖っている時代は文字も尖った文字があり、アーチが円を描くときには文字も緩やかなカーブを描くとか。歴史を反映した文字の歴史は奥が深い。ケルズの書のコピーをもらい、改めて文字の美しさに感動。初の平ペン先とペンを購入し、扱い方・インクのつけ方等教えてもらう。初めておろすペン先は、コーティングされているので、インクが乗りにくいそう。なので、ライターで5秒熱し、そして瞬時に水につける。それで準備完了だそうだ。このタームは丸い感じの「ハーフアンシアル体」を学ぶことになっている。まずは、すべての基本になる「I・h・c・o」を教わる。単純なまっすぐな棒の「I」でさえもかけない。たった1.5cm位なのに、ゆがむ。「c」も「o」もきれいな丸にするのはとても難しい。これは見た目のように簡単にはいかなさそうだ。万年筆を使ったことさえも皆無に等しい私にはペンにインクをつけ、きれいな色を紙に乗せることだけでも苦労する。



【第2回/ 7 Oct 2004】    「n・n・m・h・e」 (一つ目のnは実際は少し形が違う。)

家で2、3時間練習したおかげで出だし快調。少しでも毎日ペンに触れることが大切だと思ってなるべく時間を作るようにしている。先週の復習をしたあと、ケルズの書に使われる特別な「n(実際はHに形は似ている)」を習う。続いて、よく知っている「n」を書く。これは上のアーチ部分が本当にうまくいかない。上向きにペンを動かすときにインクがかすれてしまう。続いて「m・h・e」。ひたすら練習。先生は順番にひとりずつ回って適切なアドバイスをくれる。「home」と書いてみましょう、と。まだ8文字足らずしかアルファベットを習っていないのに、単語が書ける!うれしい。これは小学校一年生が初めて自分の名前に登場する平仮名を習得したときの喜びに似ているかも。「n」をふたやま続けて書く「m」も難しい。ひたすら「home」の練習をした。



【第3回/14 Oct 2004】   「s・a・q・p・R・k」

基本は「n」らしい。初めに「n」の練習をする。先週も数回練習したので上達していることを信じて書き進める。「come」と書くように指示される。そうか、前回までに習った文字でこれも書けるのだ。気が付かなかった。続いて「s」。これは少しトリッキーだ。一筆書きのように見えるが、3筆も必要。上下のバランスもなかなかうまくいかない。「s」ばかりの練習に飽きたら先ほどの「come」に「s」をつけて「comes」の練習。となりのおばちゃんKayやItaとおしゃべりしながら、でも皆呼吸するのも忘れそうになりながら真剣に練習。すごく楽しい。先生が回ってきたら質問をしたり、アドバイスをもらったりする。その一言一言が役に立つ。ホンノ少しのことなのに、コツというものがあるんだ。続いて「a・q・p・R・k」を立て続けに教わる。今週の家での練習はたいへんだ。



【第4回/21 Oct 2004】   「l・b・u・w・y・F・T・g」

今日も前回のレッスンの復習からスタートした。変な力が入っているのか,指が痛くなる。レッスンのない週中は3~4日練習しているのだけど,練習のしすぎかしら。いや,そんなことはない。NotenとDriesの両親よりもずっと年上に見える先生が今日はいきなりノートパソコンをカバンから出した。そして,生徒を4名ずつ前に呼び,パソコンの画面の前に来るように言った。何かと楽しみに待っていたら,「ケルズの書」の全ページ収録されたCD-ROMの一部を見せてくれるというのだ。実は,それはNotenとDriesがNotenの大学の売店で既に目をつけていたもの。大学図書館では,クリアケースに大切に保管された「ケルズの書」の見開き2ページずつしか目にすることができない。(日によってページを変えるそうです。)なので,このCDRを買えば,詳しい解説とともに,各ページのクローズアップを見ることができるのです。パソコン画面で見る「ケルズの書」もやはり美しかった。みんなため息を漏らしつつ,美しい配列の文字,装飾の数々を鑑賞した。興味深かったのは,書き誤ったところの補正の方法。かわいく絵柄でごまかしてあるところもあった。

その後,習った新しい文字は「l・b・u・w・y・F・T・g」。今日はお椀方の文字のグループを習った。いっぱい教えてもらって嬉しい。もう少しで全アルファベット制覇だ。これでNotenの本名も書ける!Driesは,未だに以前に習った「m」と「n」の上部の山部分がインクがどうしてもかすれ気味になってしまい,伸び悩んでいる。。が,今日みんながとても苦労していた「u」「w」はすぐにコツをつかめたみたいで,自分でも上手だな!って思う文字が書けた。こういう文字もなくちゃぁね。来週は,バンクホリデーでお休みになるので,2週間あく。しっかり練習しようっと。(この時代の文字は,大文字小文字の区別がないそうなので,実物の形に近い文字をここには記載しています。だから,見出しの文字は大文字小文字が混ざっています。)



【第5回/ 4 Nov 2004】   「d・v・y・x・z・&・,(カンマ)・.(ピリオド)」

この2週間、結構まじめに2日に一度は練習したせいか、今日のレッスンではとても満足のいく文字が書けた。まずは、「d」。二通りの文字を教えてもらった。次に習ったのは、"diagonals"と言って斜線が含まれる文字群「v・y・x・z」。今日で、アルファベットがすべて終了した。これでどんな語も文も書ける(はず)。数個の単語を練習した。次に教えてもらったのは、"serif"と呼ばれるひげのような文字の飾り。「m」や「n」などの左上のペンのスタート部分を少し太くして見栄え良くするのだ。そして、基本の書き方以外の遊び文字も教えてもらった。たとえば、「x」の左下部分をすこし長めに伸ばしたり、「m」の一番右側の縦線を丸くしてみたり。基本がマスターできれば、色々と個性を出して遊べるのもカリグラフィーの魅力。最後にならったのは、"ampersand"という名の「&」に値する文字二通りと"punctuation"「カンマとピリオド」。これで正真正銘ひととおり終わった。そこで先生がお手本になる文章をくれた。

       ・The five boxing wizards jump quickly.(31文字)
       ・Jackbaws love my big sphinx of quartz.(31文字)
       ・The quick brown fox jumps over the lazy dog.(35文字)

日本語には、「いろは歌」というものがある。かな文字48文字をすべて、そして一度だけ使った「歌」だが,英語にも「pangram」と呼ばれる、似たようなものがある。その一例が上記の文。すなわち、アルファベット26文字をすべて使った文のことだ。(26文字ちょうどのはないのかなぁ。)いずれにしても,英語にもこのようなものがあるなんて。これからは、ひとつのアルファベットをひたすら書き続けるよりも、単語や文章で練習した方がよさそうだ。文字と文字との間隔のバランスを目でよぉく見ながら、自分の美しいと思うバランス、配列を見つけていく。なかなかセンスも問われるでないか~。来週は、自分の名前を書き、色付のペンで少し豪華に飾りをつけ、しおりを作るらしい。Driesの本名には、実はDriesが一番苦手としている文字がふたつも入っている。今週は、いい初作品めざして要集中練習!です。



【第6回/11 Nov 2004】   「文頭に使う飾り文字」「オリジナルしおり制作」

前回の予告通り,自分の名前入り「しおり」の作成する日。今週一週間は,Driesは本当によく自分の名前の練習をした。(それと同時に,先週教えてもらった文もよく書いた。)まるで小学生が漢字練習帳にひたすら同じ漢字を書き続けるかのように・・・。「しおり」作成に入る前に,まずひとつ新しいことを教えてもらった。今やっているインシュラー・ハーフアンシアル体は,基本的に大文字と小文字との区別がないようなので,キャピタルレター(いわゆる大文字)というのはないのだが,ケルズの書やダローの書,そしてリンデスファーンの福音書などで用いられている,文頭の飾り文字を教えてもらった。これは,今まで習った文字を一回り大きく書いて,少し豪華に飾りをつけたり,大胆に力強く書いたりしたものである。飾りには,ケルトの結び目を思い起こさせる渦巻き状のものや,花や枝を連想させるものなど,さまざま。特に決まりはないようで,他の文字とのバランスや文字自体が生み出す印象を考えながら,個人のセンスに任される。^^ その後,この新しく習った飾り文字を自分の名前に取り込み,30分ほどひたすら練習した。いよいよ本番。「しおり」になる本番用の小さな画用紙が配られ,そこに先生の言うとおりに線を引く。今書いている文字は,幅がペン(2.5cm)の4つ分で1cm。その1cm線と線の間に書くわけ。今までにない緊張感。(先週,シニードの誕生日カードを書いたときも緊張したが,あれはやり直しが何度でも出来たので,今日ほどではなかった。)やっぱり,清書として作品を書くときはドキドキして手が震えそう。(カリグラフィーにおいて,手が震える,というのは救いようがない・・・。)なんとか書き終えたが,文頭の大文字が少し角ばってしまって悔しかった。その後,色ペンを使い,自分の名前の文字の回りにケルズの書を真似た飾り模様をプラスしました。が,大失敗はなかったし,初めての作品としては,なかなか良いとしよう。(自画自賛?!)

ときどき大切な人にプレゼントするために何かをカリグラフィーで書いたり,ある一定期間毎に自分のための記念(総括?)として作品を残すことは,ステップアップしていくために大切なことかな。目標も出来るし,区切りとなるし,なによりもそのときの緊張感がいい,かも!次週は,クリスマスカードを作るそうです。今日は先輩方の作品を数枚見せてもらいました。Driesのレベルで出来ることはまだまだ限られているけれど,このような良いお手本をたくさん目にすることによって,Driesの奥底に隠されている(はずの)芸術センスが目を覚ましますように♪



【第7回/18 Nov 2004】   「クリスマスカード制作」

まずは,先週作った「しおり」が返却された。先生がラミネート加工がしてくれていて,ホンモノっぽく変身してる!!うれしい!Driesのテクニック以上の出来栄えで満足満足!この「しおり」を使って洋書でも読もうかしら。

今日のレッスンは,クリスマスカード作り。まずは,クリスマスの決まり文句を練習帳に練習。
カード作り。まずは,A3の用紙を四ツ折にする。そして,どの部分がカードの表紙,裏表紙,内側になるのか薄くメモ書き。その後,文字だけだとちょっぴり寂しいということで,先生が持ってきてくれたケルティックノットの図案をトレーシングペーパーに写す。写した図案を四つ折にしたA3用紙の好みのところに爪で押し付けるように写す。薄くついたその柄を細い黒のペンでなぞる。そのあとは,ガイドラインを書いて,いざカリグラフィーを書く。出来たこのA3用紙をA4に縮小コピーし,それをお気に入りの画用紙に何枚でもコピーする。そしてひたすら四つ折する。そうするとオリジナルのクリスマスカードが何枚も簡単に出来上がるというわけ♪そろそろ11月も終わる。クリスマスカードの準備を始めなくっちゃ。


   A3用紙
    ――――――――――――――
    |           |         |
    |   内側右    |   内側左  |  ←実際は実際「内側右・内側左」は上下逆にして文字を書く。
    |           |         |
    |―――――――――――――
    |          |          |
    |   裏表紙   |    表紙     |
    |          |          |
    ――――――――――――――--



【第8回/25 Nov 2004】   「ケルトノットを描く」「詩やことわざをバランスよく描く」

第8回目だ。初めてのタームも大詰め。この一週間はクリスマスカードの準備を始めたりしてたので,それに使う言葉ばかり練習していた。もうちょっとまんべんなく練習しなくっちゃ。でも,一番基本の26アルファベットは,結構スムースに描けるようになってきた。感覚がつかめてきたかな,という感触が少しある。

先週はトレーシングペーパーで写して描いたケルティックノットを初めから自分で描く方法を教えてもらった。今練習している,インシュラーハーフアンシアル体は,ケルトの文字でもあるので,この文字の横には,ケルトノットが描かれているのを見ることが多い。そうでなくても,アイルランドに住んでいると,店舗の軒先の看板やジュエリーのデザイン,土産物屋の商品などなどで,毎日あらゆるところでケルトノットを目にするので,あの柄が自分で描けたらいいのになぁ・・・と兼ねてから思っていた。ルールに沿って,きっちりと描けばいいのだろうけど,なかなか上手くいかず,難しい。練習あるのみなのかしら。でも,コレが上手に描けるようになると,Driesのような初心者が描くシンプルな文字だけでは単調になりがちなカリグラフィーに花を添えられる。がんばろうっと。

続いては,「CELTIC WISDOM」とタイトルがつけられた一枚の紙が配られた。アイルランドの格言,ことわざ,詩などが数個並べられている。長いもの,短いもの,いろいろ。アルファベット全てが描けるようになった今,あとは文字同士,語同士,文同士のバランス,そして,用紙の中での文字の配置バランス等々の感覚をつかむのが次の課題となる。今週は,この短い文を使って練習だ。



【第9回/ 2 Dec 2004】   「練習&復習」「かわいいボックス作り」

一週間は,クリスマスカード作成に取り掛かっていたDries。今日の授業では特に新しいことを学ばなかったが,クリスマスと言うことで,カラフルなミニボックスを作った。このボックス用の画用紙にカリグラフィーで文字を書き,ボックスを組み立てるとそれが柄となって現れるのだ。カードといい,こういうボックスといい,カリグラフィーは色々なところに生かすことができていいな,と改めて思った。反対に色々な書体を学んでも,どこにどうやって生かすかどうかは,本人のセンス次第,ともいえる。他に特に習ったことは無いので,今日先生に質問し,教えてもらったことを以下にまとめておく。

  ・インクを充填するのに,その度にインク壺にペンを漬けているのだが,そうするとインクの付きがマチマチになり,
   あるときはたっぷり付きすぎたり,あるときは少なすぎたりして,文字の濃さも一定にならない。それを解消するのに,
   有名カリグラファーのデニス・ブラウン氏は,インクを含めた平筆でペンに充填するのだとか。文字を書く度に,
   平筆でペン先をなでるだけで,毎回同量のインクが充填されるという。そのうち試してみようと思う。

  ・今やっている字体には,大文字と小文字の区別はない。但し,文の一文字目だけを大き目に書いたりすることはある。
   その際,ascenderラインよりも高くならないように。例えば「christmas」なら,初めの「c」を大きく書くとしても,
   次の「h」の長い縦棒よりも低くなるように。

  ・「p」「q」の下に伸びる棒は,末広がりになるように重みをもたせた形にしてもよい。但し,「f」の場合は,
   十分に派手さがあるので必要ないとのこと。(デニス・ブラウン氏は,「m」「n」の足も広がった形になるように
   しているが,それは実際の羽根ペンを使って書いているから弾力があり,簡単に広げることが出来るからだろう,と先生。

いよいよ来週は,第10回目,最終回だ。



【第10回/ 9 Dec 2004】   「練習&復習」「数字の書き方」「エンボス」「チョークの粉で絵を描く」

今日は、いよいよ最終回。アルファベットの書き方も段段サマになってきた(はず。)再びひたすら練習をし、先生にアドバイスをしてもらう。その後、まだ習っていなかった数字の描き方を教えてもらった。今年のDriesのクリスマスカードには数字を使わなかったけれど、そういえば数字は必要かも。教えてもらえてよかった。その次に、またカードなどを描くときの絵を描くアイディアをもらった。少し知っているだけで、お手製のカードを少し華やかにすることができる。「エンボス」は、ある形に切り抜いた型紙を画用紙の下に敷き、とんがったもの(色の出なくなったボールペンなど)でその型どおりに押し付ける。そうすると、画用紙にきれいに型が浮き出るのだ。もうひとつは「チョーク」を使った色塗り。カラフルなチョークをカッターで削り、型紙の周りに粉を置く。そして、型を動かさないようにティッシュペーパーなどでその粉を画用紙になすりつけるのだ。結構芸術的なタッチの絵がかける!しかも簡単。カリグラフィーを少し華やかにするのにいいな。

今日,一番役に立ったアドバイス。先生がおっしゃるには,文字間の間隔は,あくまでも「感覚」と「センス」と「練習」で培うもの。ただし,コツはある。常に語のバランスを見る,というよりも,文字間のバランスを見たほうがいい。しかも,今から書こうとする文字の前の文字,とその前の文字だけを見ると良いらしい。つまり,常に,3つのアルファベットから成る語を書くつもりで,前ふたつの文字だけを見ながら3つ目を書くようにすると・・・不思議,いい間隔で書けます!これは今年最後にもらった貴重なアドバイスだった。


最後に先生からクリスマスカードをもらった。

   CHRISTMAS GREETINGS
      my tidings for you: the stag bells winter snows, summer is gone...
      cold has caught the wings of birds: season of ice: these are my tidings.


10回,あっという間のお稽古でした。
来年からの新たな10回はどんな文字を習うことができるのか・・たのしみだ~!!!



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