第6話・ラビット、present for


 神奈川県人に振られてしまったラビット。
 しかし、めげずに彼は生きている。
 だがなぜラビは振られてしまったのだろうか?
 その謎に迫る!

第6話 ラビット、present for you

 サッポロファクトリー、札幌の名所の一つなのだが、この日はラビと海ちゃんが買い物に来ていた。
「へぇ大きいんだねぇ」
 初めてきた海ちゃんはちょっと感動しながら中を見て回った。
「海ちゃん、早いとこ用事を済ませようぜ~」
 もともとは大通に遊びにきていたのだが、海ちゃんが実家にお土産を送ってやりたいという一言で、ついでにサッポロファクトリーに来ていたのであった。
「まぁそんな急かさないでくれよ。そのレンガ館とやらにお土産が売ってんでしょ?」
「ああそうだよ。俺も親と一緒に来た時にそこに行ったしな」
 ラビは何度か親と一緒に来た事があるらしく、意外と中に詳しかった。
「僕はちょっと見てくるから、ラビはラビで見てきなよ」
「そうさせてもらうわ」
 としばしの間二人は別れた。
 しばらくして海ちゃんはお土産を決めて買い終わっていた。
「さて、ラビはどこに行ったのかな」
 少し探してみると、アンティークや様々な置物が売っている場所にラビがいた。
 すぐに声を掛けようとしたが、なにやら腕組をして悩んでいる様子だった。
 しばらく見ていたが、商品を手にとっては戻し、手にとっては戻すという動作をずっと続けているのである。
(何を悩んでいるんだ?)
 と海ちゃんは思ってついに声を掛けた。
「何やってんの?」
「おお、海ちゃんか。実は神奈川県人に何か送ろうと思ってね。どれにしようか迷っているんだよ」
「はぁ、君もマメだねぇ。そのマメさが返ってうざかったりして」
 といって海ちゃんは笑った。
「彼女はそんな人じゃないよ。この前も福山の桜坂というCDを彼女に送ったら、ちゃんとお礼のメールがきたんだよ」
 こいつはいつの間にそんな事をしていたんだ・・?と海ちゃんは呆れ顔で思った。  
「で、何を送ろうと迷っているのよ?」
「うん、これなんだけどね」
 と見てみると・・
 一つは大きめな中世のお城の形の置き時計だった。様々な飾りつけがしてある。
 二つ目はネックレスで、翡翠のような薄い青の大きなごつい石(3cm以上はある)がついているものだった。
 はっきり言ってもらっても大迷惑な物だけだった。
「ラビよ・・君はどういう趣味をしてるんだ?」
「女の子はこういう物が喜ぶみたいなんだよ、海ちゃん」
 いったいどんな恋愛の教科書を見てんだよ。ちょっとは疑問を感じろよ!
 と思ってはみたが、やはり面白い事になるかもと考え直し、
「これで彼女の心はゲットだな!」
 と心にもない事を言う海ちゃんであった。
「よし、じゃこのネックレスを送る事にするよ」
 と明らかに変なネックレスを買ってしまった。値段は約3000円。
「これ下さい。それと郵送でお願いします」
「え?神奈川県人の住所を知ってんの?」
「まぁね」
 相変わらず抜け目がないというか、用意周到な奴だ。
「それじゃ速達で」
(しかも速達かよ!)と突っ込みを心の中で入れてしまった。

--その後--

 このプレゼントに対するお礼の言葉は無かったという。
 さすがにあのような物を急に送られてきては無理もない。
 ラビも「忘れているんだよぉ」と前向きな考えをしている姿勢には感服する。
 しかしこれらの努力は実らず・・・結果は前回の話し通りである。


[次回予告]
 様々な女性に手を出しつづけたラビットがついに天罰をくらう!
 それにより彼は女性に対して少々臆病に・・・
 ラビを襲った予想だにしなかった出来事とは?
 第7話 「ラビット、困惑」にご期待下さい

※この物語は事実を元に構成されたノンフィクションです

       総監督 海ちゃん



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