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La Seine (c) T.F. |
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今まで、かなりの回数、パリには行っているけれど、 その夏の間、私は学校が準備したサンジェルマン・デ・プレにある、小さなホテルに暮らしていた。朝、7時に起床し、1階にあるカフェテリアで焼き立てのクロワッサンとカフェオレで目を覚ます。 “バゲット”と呼ばれるフランスパンに、ジャンボン(ハム)とフロマージュ(チーズ)という、いたってシンプルなサンドイッチを持って、近くのエッフェル塔前の公園まで行き、ベンチに座ってランチを食べる。私はそのルーティーンの虜になっていた。 午後はほとんど課題のための撮影にでかけた。 |
(c) T.F. |
夏の夜は遅く来る。 10時まで暗室で現像とプリントを続け、外にでるとまだ明るかったりする。 レストランで食事を終えてホテルまで歩いて帰るのは、たいてい深夜12時を回っていた。 それなのに、サンジェルマン大通りにさしかかると、カフェ・フロールの前で足が止まる。 暑くもなく、寒くもなく、撮影もし、プリントも終え、 これでカフェオレを飲まずして帰れるものか、 そういう気分になるのは仕方がない。それが、ほぼ毎日のことだった。 今でもその夏を思うと、冒頭のヘミングウェイの手紙の一節が浮ぶ。 11月。 写真展出品のためにドイツへ向かう途中、数日、再びパリに寄ることになった。 どうして冬のパリはあんなに寒いのだろうと、 |
(c)1999 T.F.
CD "Rencontre"(ポリドール)の中ジャケットに使った写真の別ヴァージョン。 個人的にはこちらのほうが好きだけれど、アルバムにはあっちのほうがいいと思って使った。 |
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