北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2006.12.06
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テーマ: 中国&台湾(3305)
まずは NetEaseの記事 より。
中国最大のインターネット検索サイトである『百度』が日本進出計画を発表
『百度』の国際化戦略が正式に動き出しました。『百度在銭網絡技術公司』董事会主席兼CEOの李彦宏さんは昨日、2007年に日本の検索サイト市場に進出し、日本語による検索サービスを提供、国外においてGoogleやYahoo!などの巨頭との競争に挑む、と発表しました。
李さんによると、日本進出のタイムラインは準備中ですが、すで日本人社員を雇用し始め、東京オフィス設立の準備を進めているとのこと。日本進出後は、アジアやその他の地区の市場に進出する計画もあるようです。
『百度(Baidu = バイドゥ)』は中国で最も利用されている検索サイトです。2005年8月にはアメリカのNASDAQで株式公開を果たしました。とは言え、この『百度』が日本市場に殴り込みをかけることになったのには、 ちょっとした台所事情 があるようです。

Alexa によると 世界4位のアクセス数 を誇る 『百度』 。中国での検索サイトのトラフィックでも、2位のGoogle(26.9%)を大きく引き離して、46.5%のシェアを誇る『百度』ではありますが、 広告収入では中国トップのポータルサイトである『新浪網(SINA.com)』の7.38億RMBに大きく水を空けられており、『雅虎中国(Yahoo!)』とほぼ同じ3億RMB程度でしかない のです。これは中国のインターネット広告市場シェアの10%に届きません(以上 iResearch のデータより)。

中国のポータルサイトをご覧になっていただくとお分かりになると思うのですが、FlashやGIFアニメーションをコテコテに使ったPicture in Pictureなどの広告があちこちで輝いています。広告を出す側も見る側も、こうした派手派手な感じがお好き、と言うお国柄なのでしょう。
いっぽう、『百度』のトップページも検索結果ページも、Googleに習って(か、真似てか)いたってシンプルで、バナー広告一つありません。検索画面の右側に、Googleで言えば"アドワーズ広告"(検索ワード連動型広告リンク)が表示される仕組みなのですが、その表示内容が意外と使えないのです。人気ワードになると競札で高値を付けてくれた広告主に売り渡すのでしょうが、どうも怪しげな企業(よく解釈するなら、いわゆる"ロングテール"のしっぽが、お金持ちだったりするのでしょう)ばかりが並んでしまって、必要とする情報にたどり着けないことが多いのです。こんなこともあって、中国ではユーザーが検索ワード(コンテンツ)連動型広告リンクをあまり信用しないようですし、大企業もあまり積極的に広告として利用していないようです。

きっとそんなこともあって、 アクセス数が多いのに中国ではあまり広告収入を得られていない『百度』 は、なんとか日本で広告収入を確保しようと考えている感じです。確かに『百度』が中国と同じように日本でも利用数でトップシェアを確保できるとすれば、広告収入は中国のそれよりきっと多くなるとは思います。でも、『百度』ユーザーは、日本でそこまで増えるものでしょうか?

『百度』の魅力はなんと言っても"MP3検索"です。
音楽系のファイルだけではなく、Flashやrmファイルも対象となるので、MTV(ビデオクリップ)なんかも、かなり正確に探し出すことができるのです。2002年当時『捜狐(SOHU)』の検索サービスが圧倒的なシェアを誇っていたのに、短期間のうちに『百度』がトップシェアに躍り出たのは、"MP3検索"の人気が大きかったはずです。
基本的には、『百度』によりリスト化された"MP3検索"の結果をクリックすると、直接音楽ファイルの再生が始まります。無料で試聴やダウンロードが可能なサイトのファイルに直接リンク付けされているのです。歌詞もテキストで提供していますが、こちらは明らかに『百度』サイト内のコンテンツになっています。 日本でこんなサービスを提供できたら、あっという間に大人気になるでしょう。

でも『百度』の"MP3検索"は、中国だからこそ(!?)できたサービス。
検索結果から得られる音楽ファイルや転載されている歌詞の多くが、著作権をクリアにしていないものなのです。たどり着く音楽ファイルのほとんどは、著作権無視のサイトにアップロードされているものです。当然のことながら、国際レコード連盟などの著作権者団体は抗議しているわけですが、『百度』側は「対象ファイルをリスト化しているだけ」と主張しているようで、いまも係争中です。
Youtube人気などで、ネットにおける著作権のハードルは随分下がりつつあるようにも思えるのですが、この"MP3検索"というサービスは、たくさんの音楽ファイルが無料でネット上に公開されていなければ、あまり役に立たないのです。日本では取締りが厳しいのか、倫理観が強いのか、著作権侵害が疑われるコンテンツは、ほとんど公開されていませんから、中国(人)のサイトを頼ることになるのでしょうか...。日本人が聴きたがりそうな音楽(最新の日本のポップスや洋楽)も、随分中国(人)のサイトにはアップロードされていますから...。とはいえ、 日本でこんなサービスを提供したら、あっという間に大問題になってしまうでしょう。

『百度』のCEO李彦宏さんは、中国語と日本語の類似性を指摘した上で「日本のサーチエンジンユーザーが既存サーチエンジンのユーザーフレンドリーな代替サービスとして百度の強力な日本語検索技術を認めてくれることに自信を持っている」( gooニュース )そうですが、うまく行きますでしょうか....。
Alexa Global Top10サイトのうち3つが中国語サイト です。これはやはり 中国(語)のネットユーザー数が有利に働いているのであって、これらの中国語サイトが言語の壁を越えても優れていると言う結果ではない と思います。 世界第3位のネットユーザー数を誇る日本(語)のサイトが一つも入っていないのは、やはりそれだけ日本の市場環境が厳しい とも解釈できるはずです。
私としては、『百度』の日本市場進出が、簡単に成功するとは思えないのですが....。

一時はNASDAQ公開時の半値まで下がっていた 『百度』の株価 は、9月あたりから急に上がり始めて、今週は公開当時の初値を越えました。個人的にはビミョーな感じ。





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Last updated  2006.12.06 17:33:17
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