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chiko619 @ Re:新参者(09/22) 「新参者」読みました。 東野圭吾さんは、…
kimiki0593 @ 相互リンク 初めまして、人気サイトランキングです。 …
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ こんにちは! 遅ればせながらあけましておめでとうござ…
Twist @ はじめまして^^ 先ほどこのロングインタビューを読み終え…
2011.02.06
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 それは、2001年7月のフェスティバルホール。
 宮本亜門さんの演出した、バーンスタインの「キャンディード」。
 学生時代に演奏したキャンディード序曲の流麗なメロディーが、私は大好きだった。

 しかも、レニーや小澤征爾氏とも関わりが深い、新進気鋭の指揮者の登場。
 ワクワクしながら出かけたそのステージは、期待に違わぬ素晴らしいものだった。
 歩く度にステージをミシミシと唸らす中島啓江さんの迫力も凄かったが、
 何と言っても、オケピットの中の佐渡さんからは、凄いオーラが沸き立っていた。

本著は、そんな佐渡さんの手による一冊だが、
小澤さんの『ボクの音楽武者修行』と並ぶ、素晴らしい出来映え。
ちなみに、私が小澤さんのステージを目の当たりにしたのも一度だけ。
1994年12月のザ・シンフォニーホール、ボストン響を指揮したベルリオーズの幻想交響曲。

それにしても、佐渡さんのサクセス・ストーリーは凄いの一語。
阪大オケを振ったビデオが事務局長の目にとまり、タングルウッドから招待状が届く。
そして、そこで小澤さんに出会い、さらに師匠レニーと出会うことになる。
さらに、ブザンソンなんかは、まさに千秋真一のモデルは、佐渡裕だとしか思えない展開。

しかし、それ以上に本著が魅力的なのは、人間・佐渡裕を包み隠さず、オープンにしていること。
高校生の時、レニーのチケット完売を諦めきれず、同級生と京都会館に忍び込むも御用となった話、
大学生の時、指導していた女子校の吹奏楽コンクール審査結果に不満で、控え室に乗り込んだ話、
海外に出かけ始めた頃、語学が苦手で、常に不安とコンプレックスを感じながら過ごした話等々。

さらには、レニーの言葉が関西弁で表現されているところが、何とも心地良く、
彼の人柄や、佐渡さんへの心遣いといったものが、よく伝わってくる。
そして、今年ついにベルリンフィルを振る世界的指揮者となった佐渡さんの
ターニングポイントともいうべき場面は、人生というものについて改めて考えさせられた。

  が、再び落とされてしまったのである。
  これは、僕が指揮者として活動を始めて以来、
  始めて自身を砕かれたと言っていい悔しい経験であった。
  しかし、その一週間後に、タングルウッドから招待状が届いた。(中略)
  もしこのとき採用されていたら、ダメもとのタングルウッドにわざわざ行くより、
  すぐにでも指揮者になれる可能性のあった
  “名古屋フィルの副指揮者”の方を僕は取っていたと思う。(p.60)

まさに、人間万事塞翁が馬である。





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Last updated  2011.02.06 16:21:08
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