以前「えんぴつでなぞる奥の細道」が大ブレイクしました。現代はちょっとした俳諧ブームです。自動車やバス、あるいは飛行機といった交通機関が当たり前の現代に、むしろ俳諧行脚のようなスローライフに現代人はあこがれているのかもしれません。
俳諧の巨星であるとともに、旅の達人・松尾芭蕉が「奥の細道」の旅程の中で、山中温泉に異例の長期滞在をしたことで有名です。この史実から、後世の歴史家にいろいろな憶測を呼ぶ結果となりました。山中温泉ゆかりの文豪といえば、まずこの芭蕉が思い浮かぶくらいです。著作もずいぶん多くあります。
※ 山中温泉と「奥の細道」にスポットをあてたもの
※ 芭蕉と曾良
いろいろな過去を背負って山中温泉にたどり着いた人々。怒り、悲しみ、恐怖、絶望感 ・・ 表面上の華やかさとは逆に、この町にはドロドロした情念が交錯しています。複雑な山中温泉絵巻の絵師として深く関わるのが、旅館の女将さんかもしれません。
「おあねさん」は ある老舗旅館 の若女将、吉本加代子さんによる作品で、身の周りの人間模様を綴ったヒューマン・エッセイです。一読、筆者が優れた文学的素養の持主、ということが伺えます。卓抜な文才がありながら、嫌味な表現も、予定調和的なオチもありません。筆者自身をとりまく群像を、冷静な観察力と深い愛情とともに、筆を抑えた表現で描いています。旅のガイドブック以上に山中温泉を楽しめる作品。是非ご一読をお勧めします。
■ 辻政信 関連書籍
先日吉田茂元首相の暗殺計画が報じられていました。クーデターを企てたのは元参謀本部士官ら、旧日本軍幹部です。しかし、実行グループのリーダーを陸軍参謀の僚友、 辻政信
が説得し、未遂に終わったというのです。この辻政信たる人物、山中出身者ではセレブ中のセレブです。しかし、太平洋戦争に深く関わったこともあり、地元でもタブー扱いです。その後、政治家への道を踏み出した辻政信は、インドシナで忽然と姿を消しました。天才戦略家なのか、日本を破滅に追いやった狂気の人物なのか ・・ 後世の歴史家にとっても関心は高く、先般も津本陽氏の著作に盗作疑惑が起こるなど、今でもしばしば話題にのぼります。ただ、自著『潜行三千里』が見当たらないのが残念・・
●辻政信 / 旧・石川県江沼郡東谷奥村字今立出身、ノモンハン・マレー・ガダルカナルの作戦参謀。詳しくは 『山中町史に残るビッグネーム・辻政信』


