世界で一番愛する人と国際結婚

遠距離結婚準備




年末にアメリカで話し合った時、結婚式は5月の終わりから
6月の初めにかけて挙げようとブランは言っていた。
ちょうど5月末に、ブランが1週間ほどお休みが取れるからだ。

私は、”恐る恐る”友人への婚約報告の後、
”恐る恐る”会場探しに奔走した。
何故、恐る恐るなのかと言うと、ブランの気持ちが変わったら
どうしようという不安が、まだあったからかもしれない。


私のほうは、ほんの一瞬の迷いもなかった。マリッジ・ブルーなど
ありえなかった。


あれほどに愛する男性を夫と呼べる。あれほどに素敵な男性に妻と呼ばれる。


何という、この上ない幸せ。


だが幸せと同時に、彼の気持ちが変わったらどうしようという不安も
まだあった。いっそのこと籍だけ先に入れてしまおうか。
さもなくば、幸せと不安に押しつぶされて、心臓発作を起しそうだった。


私の気持ちを察したのかどうか、結婚式の教会と会場を予約した1月の中旬、
ブランは2月に数日なら休みが取れるので、日本に来ようかと言い出した。


婚約者VISAの手続きが面倒だと思ったので、移民VISAの手続きも
早くしたほうがいいのでは、と思ったのだそうだ。


2月に先に籍だけを入れてしまって、VISAの手続きにかかろうという
ことになった。


ところが、どうやっても2月は私のほうが休みを取れなった。
例え、大使館や区役所に行くために、半日休むことすら
ままならないくらい、2月中旬は忙しかった。例えブランが来てくれても、
会うのは毎日夜の9時くらいからになってしまう。


「3月なら休めるけど、2月中旬は絶対に無理。ごめんね。」


私は泣く泣く諦めた。逆に3月は、ブランのほうが1日しか休みが
取れなかった。3月の中旬、私はブランの実家を訪れることにした。


2年前に初めて訪れた時以上に、ブランの家族に大歓迎された。
彼の家族と友人が、ささやかな婚約パーティを催してくれた。


婚約指輪は、ブランが選ぶものなら何でもよかったが、ブランの
友人の父親が経営する宝石屋に連れて行かれ、そこで好きなものを
選ぶように言われた。


そわそわと立つブランの横で、私はのんびりとソファに腰かけ、
そのお店にあったダイヤの指輪をほとんど全て試着して、その中から、
普段使いのできる、とてもカジュアルでシンプルなものを3点選んだ。
その3つの中から、最終的にブランに一つ選んでもらった。
結婚指輪のほうは、ブランが自分でシンプルなものを選んできた。



私達はその後、ウォルマートで安くキャンドルやリングピローを買い、
ティファニーで、プチギフトにする石鹸を大量に購入した。
街中のデパートをはしごして、親戚に配るギフトも買い占めた。
どこへ行っても、誰からもCongratulations!の嵐がおこる。


私の不安は消えていった。


一方、日本では、2月、3月の2ヶ月間、ウェディングドレス選びに奔走した。
昼休みは毎日タクシーでドレス選びに走り回っていた。


こうして、その2ヵ月後に、夢にまでみたブランとの結婚式を
迎えることになる。


つづく


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