世界で一番愛する人と国際結婚

NYで美少年とダンス 2


特によくお花をくれるのは、南米出身の男性に多かった気がする。


バレンタインの時には、今までの人生で最初で最後であろう数の
赤いバラの花束をもらった。


エクアドルの男性と一緒に町を歩いていて、お花屋さんを見つけると、
いきなり赤いバラを渡されたこともある。


まさに酒とバラの日々。。。。



ある日、いつものように中南米の女の子達とクラブに行った。
彼女達のうちの一人が、最近気にいっているという場所だった。


いつも行くクラブとは違う、何やら軽快なラテンの音楽がかかっていた。
男女がペアになって、楽しそうに踊っている。
お客さんも南米系の人が多い気がした。


店の中に、彫刻のような美少年がいるのに気がついた。


ジロジロ見ちゃいけないと思いつつ、あまりの彼の美しさに
私はつい何度も見てしまっていたのだと思う。


その男の子は、私に近づいてきた。


すると、手を差し出し、ダンスに誘ってきた。



「ど、どうしよう~。私、踊れないのに。」



内心、叫びつつも、
あまりにもキレイな顔をした男の子の目に釘付けになり、
手をとられるままにフロアに出てしまった。


彼のなめらかなステップにリードされ、あら不思議。
くるくる踊り始める私。

何これ? 楽しい~♪



ダンスフロアに、バスケットに一輪ずつ赤いバラをくるんだ、
花売りがやってきた。


彼はそれを一つ買って、私に渡した。
私は赤いバラを一輪持ったまま、彼の肩に手を添えて、踊った。



恐らく南米出身であろう彼の身長は、168cmくらいで小柄だった。
ヒールを履いた私より、目の位置がほんの高い程度だったが、
そのお顔は絵に描いたかのように、完璧な美しさだった。


大人の男というのではない。たぶん20歳くらいの
あどけなさが残る顔。


セクシーでエキゾチックな目をした、甘いジャニーズ系(死語?)
のマスクに、私はクラクラした。


漆黒のまつげに縁取られた、情熱的な瞳で見つめられると、
心臓が止まりそうになった。



ああ、幸せ。この音楽、永遠に続いて。



彼は、私の気持ちを察したかのように、何曲も踊り続けた。



数曲踊った後、私達はテーブルに戻り、
彼が飲み物を買いに行ってくれた。



その時、踊り疲れた女友達が私を呼びにきた。
もう地下鉄がなくなるから出ようと。


「待って、せめてさっきの彼が戻ってくるまで。」


急いでバーに目をやったが、満員電車のような人で
彼をすぐには見つけられなかった。


私は、友人達に引きずられるように外に出て、最終の地下鉄に飛び乗った。


2、3日の間、彼の美しい顔が頭から離れなかった。
彼に会うことは、それきりなかった。



彼にリードされながら、何曲も踊った音楽。


それがサルサという音楽で、当時のNYでとても流行っていて、
その音楽に合わせたダンスがあるということを知ったのは、
そのずっと後のことだった。



© Rakuten Group, Inc.
X
Create a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: