バンドの中心人物のレイ・デイヴィスによれば、1968年発表の本作『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ(The Kinks Are The Village Green Preservation Society)』は、“キンクスとの決別”になったアルバムだと言う。その発売までの経緯は、紆余曲折だった。まず、最初に12曲入りヴァージョンというのを作った(その結果、初期に一部で出回った12曲入りのものはレア・アイテムと化していると同時に、現在はデラックス盤のCDにこれら12曲+1曲が収録されたものがある)が、レイは納得がいかず、20曲入りの2枚組を提案する。ところがレコード会社(パイ・レコード)側は前作・前々作の売り上げを理由に2枚組案を却下した。結果、15曲入りの本盤が誕生することになる。当初のリリース予定を土壇場でキャンセルし、発売延期の十分な告知もできないまま、時間が過ぎ、今度はろくなプロモーションもなしに、15曲入りの完成版はひっそりと発売された。ビートルズが自己のレーベルを立ち上げて『ホワイト・アルバム』を発表し、ローリング・ストーンズが『ベガーズ・バンケット』で称賛をうける年のことである。
1. The Village Green Preservation Society 2. Do You Remember Walter? 3. Picture Book 4. Johnny Thunder 5. Last of the Steam-Powered Trains 6. Big Sky 7. Sitting by the Riverside 8. Animal Farm 9. Village Green 10. Starstruck 11. Phenomenal Cat 12. All of My Friends Were There 13. Wicked Annabella 14. Monica 15. People Take Pictures of Each Other