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2016年02月05日
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テーマ: ニュース(96601)
カテゴリ: 歴史認識
 考古学者で愛知県立大教授の丸山裕美子氏は、7世紀頃に朝鮮半島から戦乱を逃れて日本列島にやってきた渡来人について、1月30日の朝日新聞に次のように書いている;

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 海外を中心に移民や難民のニュースが流れない日はない。日本は、といえば、先日法務省が発表した速報値によると、昨年、難民認定申請を行った人は7586人、認定されたのはわずか27人である。

 現在とは時代背景が全く異なるが、7、8世紀の日本は多くの難民を受け入れていた。660年に滅亡した百済(くだら)や、668年に滅亡した高句麗(こうくり)から、2千人をはるかに超える人々が海を越えて移住してきたからである。

 正史である『日本書紀』や『続日本紀(しょくにほんぎ)』によると、百済の王族や貴族らはその知識や技術で官僚に登用されたし、それ以外に、近江国(今の滋賀県)に400人とか700人、東国に2千人もの百済人が集団移住し、農業に従事していた。摂津国には百済郡(今の大阪市の一部)が、武蔵国には高麗郡(こまぐん、今の埼玉県日高市ほか)が置かれたが、後者は今からちょうど1300年前の716年に1799人の高句麗人が移住して建てた郡だった。

 さて、正史からは、科学展術の分野で重用された百済人・高句麗人や、官僚として活躍した百済王(くだらのこにきし)さん(もと百済王の子孫)や楽浪(さざなみ)さん(百済系)、高麗(こま)さん(高句麗系)などが知られるが、正倉院文書からは、8世紀の写経所で働く難民の子孫の姿がみえてくる。

 正倉院文書の中心は、写経所の労務管理のための事務帳簿である。働く人々の作業記録や給与支払いの書類が多くあって、写経する経師らの氏(うじ)名がわかるのだが、そのなかには正史でおなじみの氏族とは異なる、より多彩な姓(せい)が認められる。

 例えば、余(よ)さんや高(こう)さん。余は百済の王族の姓で、高は高句麗の王族の姓である。鬼室(きしつ)さんや難(なん)さんもいる。鬼室は、百済復興を計画した武将・鬼室福信(ふくしん)の一族であろうし、難も百済の姓である。

 王(おう)、荊(けい)、辛(しん)、楊(よう)などの一字の姓の人々もそうかもしれない。ちょっと変わった姓として、既母辛(きもしん)さん、答他(とうた)さん、達沙(たつさ)さんがある。既母辛は「支母末(きもま)」という百済系の姓の可能性が高く、答他は百済、達沙は高句麗にみられる姓である。

 試みに、745年の写経所で働いていた経師41人の構成をみてみよう。達沙さん1人、鬼室さん1人、難さん1人、既母辛さん2人と明らかな百済・高句麗からの難民の子孫が5人含まれる。王さんや楊さんら5人もおそらくそうであろう。他に陽胡(やこ)さんや忍海(おしぬみ)さんなど6世紀以前の移民の子孫も5人ほど見える。つまり4~5人に1人は百済・高句麗からの難民の子孫であり、3人に1人は難民・移民の子孫だったということになる。

 彼らは鬼室や王など姓は本国のものをそのまま使っているが、個人の名は小東人(おあずまひと)とか広万呂(ひろまろ)とあって、すっかり日本風である。日本生まれの二世、三世であるのだろう。

 写経所で働く経師らは、「試字(しじ)」という文字を美しく書けるかどうかの試験を受けて、採用された。彼らは泊まり込みで働き、一緒にご飯を食べて、共同生活を送っていた。並んだ机の隣は同じ経師で、同じように足をしびれさせつつ、毎日ひたすら文字を写していたのである。
(愛知県立大教授)




 この当時の日本は大陸の漢字文化を吸収するために多大な労力を費やしていた様子がよく分かる面白い記事です。また、朝鮮半島から渡ってきた人々がその仕事に大きく貢献してくれたことも、なかなか愉快な話です。国籍に関わらず、この頃の人々の努力の結果、今日の私たちの文化的な生活があるわけで、これからも私たちは様々な近隣諸国の人々との交流から、新しい文化を創造していくことでしょう。









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最終更新日  2016年02月05日 20時45分10秒


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