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「石破総裁を実現する会」創設メンバーがひそかに集まったのは5月7日。これぞと頼む議員10人に声を掛けたが、出席は村上誠一郎、中谷元両氏らわずか5人。
議員の1人が石破氏に尋ねた。「岸田氏が幹事長にするから協力してくれと言ったらどうする」。その頃、岸田氏は面従腹背のあからさまな茂木敏充幹事長を更迭し、政権延命を図るのではないかとの観測が流れていた。
ところが石破氏は自分で答えず、山崎氏に「どうしたらいいと思いますか」と振った。山崎氏は「受けたらダメだ。弱気になるな。総裁選に出るべきだ」と励ましたが、石破氏は迷っていた。
1週間後、小泉氏と酒席を共にした山崎氏は念押しした。「息子(進次郎氏)が総裁選に出ないのは本当か」。「出さない」と小泉氏。「それなら今から石破を呼ぶぞ」。石破氏は小泉内閣の元防衛庁長官である。「構わんよ」。酒宴も半ばを過ぎた頃、石破氏が加わった。小泉氏は石破氏に総裁選に臨む心構えを説いた。
「総裁になるには、才能と努力と運が必要だ。努力の中では義理と人情を大切にするといい」
石破氏は「当面、岸田政権を支えることに徹します」と答えるばかり。まだためらいがあった。
6月下旬、国会閉会。7月4日に福岡市で、今も山崎氏を慕う地元支援者向けの講演会に石破氏が招かれた。会費1万円。普段は聴衆150人ほどだが、この日は約500人も集まった。
それでも石破氏は「出る」とは言わない。代わりに山崎氏が「次期首相候補に石破茂を推す」と宣言し、「政界随一の防衛通で、首脳外交をこなせる頭脳と胆力の持ち主」と持ち上げた。
8月14日に岸田氏が総裁選に出ないと記者会見した。10日後、石破氏は出馬表明したが、推薦人20人はなお微妙だった。創設メンバーの初会合に顔を出した5人ですら、3人は他候補支持へ転じたくらいだ。最後の20人目は、山崎氏が昔の人脈で口説いた。
第1回投票で石破氏の議員票は、進次郎、高市早苗両氏の約6割しかない46票。それでも陣営は「よくぞ伸びた」と感無量だった。「村上、中谷、岩屋毅、赤沢亮正4氏は絶対入閣だ」。山崎氏は何度もクギを刺した。
(専門編集委員)
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