全10件 (10件中 1-10件目)
1
![]()
わたしはコンビニで買い物するのが苦手です。あの無機質な明るさ、こまごまと並んだ商品の多さ、店員さんの画一的なような応対。でも、便利さに負けて時々利用してしまいますから、うるさく言うことはないのですが。それの雰囲気を好きっていう人がいるのでおもしろい。いえ、そこで働くと普通の人間になれる近道だというのです、この小説の主人公恵子さん。コンビニで18年間も、アルバイトで続けているってんです。本人の好みとは言え何なんでしょうか。コンビニでマニュアル化して働くと生き返るのだそうです。ところで普通じゃないってどんなことなんでしょ?みんなと同じになれない?すなわち、学校を出て、定職に就き、しかるべき年齢に結婚して、子供を持つ、収入がたりなければ、または充実したくて働きに出る。という道をたどらないということ?まあそういうことをしていないと、あれこれはなしのタネになるのはほんとうです。恵子さんもそういうことで悩みます。とりあえず偽装結婚でもすれば何とかなるかと追い詰められます。そして結末は?どこにでもあるコンビニが舞台になっての人間洞察は、確かにその目の付け所が面白いですね。
2019年01月31日
コメント(3)
![]()
テレーズ、あなたのような女がいるはずはないと多くの人がいう。という文章で始まるこのフランスの小説、ひさびさにわたくしどぎもをぬかれましたよ。もしかして今年一番のヒットかもしれません!この衝撃的なおもしろい小説を知らなかったなんて・・・。「免訴です」と弁護士はテレーズをふりかえり、・・・夫毒殺の疑いで裁判にかけられたテレーズは、夫の証言で免訴になりました。ほんとうは実行犯だったのに・・・。裁判所を出て夫のいる家庭に戻るため、汽車や馬車の長い道中に「なぜこんなことになったのか?」と思いわずらいながら帰っていくテレーズの描写がなんともリアル。いや、遠藤周作氏のものすごい迫力の日本語訳に圧倒されます。(遠藤氏はこの作者モーリアックに、このヒロインに心酔された由)テレーズは家と家のつり合いもほどよく資産があり、平凡だけど性格よくやさしい夫ベルナールと何不足ない条件の結婚をしました。けれどもテレーズは結婚後すぐに夫がうっとうしくなりました。なぜ?テレーズはさんざん考えるのです。自由だった少女時代が終わってしまった悲しみ?夫の凡庸さに辟易?「アルジュルーズ」という仏南西地の果てのようなランド地に住む寂しさ?もっと知的で会話のできる男に会いたい?娘も生まれますがテレーズは悩み続けます。あるきっかけで毒殺のヒントを得て実行します。夫のかかりつけ医に発見され裁判にかけられますが、夫や父が体面を重んじたいため、免訴に持ち込まれまてしまいます。それでテレーズは助かったのでしょうか?幸せになったのでしょうか?いえいえ、そこからまた苦しみが始まり結末を迎えます。・・・ベルナールは道幅に合わせて作られた人間だった。このパリで別れる最後の場面も鬼気迫ります。夫との性格不一致、昔、それこそお見合い結婚がほとんどだったわたくしたちのまわりでは当たり前によく聞く話です。恋愛結婚でもそうです。結婚して一緒に暮らすということはそういうことです。でも、それだからといって夫を殺してしまおうとは、ほとんどの人が思いませんでしょう。テレーズは思ってしまうのです。けれどもこんなことはありそうです。思いは心奥深くに隠し、静かに夫が先に死ぬのを待っているかもしれません。そのほうがもっと怖いかもしれません。人の心はかりしれないのです。
2019年01月30日
コメント(0)
![]()
題名は素敵です、でも葉室麟さんの作品をかなり(16冊)読み込んでおりますと「おんなじだなあ」と思うような展開になりますのはしょうがないのでしょうか。ストーリはよくできています。子どもの頃村塾で教わった懐かしい先生が非業の死をとげ、真相を追う成人した教え子たちの死闘。先生の教えがじわっときいてくる、ほのぼのとした後味。「・・・ワールド」ってよく言いますが、それをマンネリ化させないのが作家の腕の見せ所、作家にとっては苦しいところなんでしょうけど。といってももうお作品は増えないのですから読者というのは我儘ですね。
2019年01月23日
コメント(4)

去年もかかったのに、またまたインフルエンザにやられました。もちろん予防注射済みなんですが、そして拾ってきたのがわたくしなら、どうやら夫にまでいってしまったのかという状況で。「部屋別々、食事別々、同じ空気を吸ってはいけない」などとお医者様におっしゃられても、こんな狭いコンクリートの住居では無理でござんす、せめて外に出て広げないようにするばかりです。頭は重く、身体のふしぶしは痛いやら、せき込みはひどく喉は腫れ上がり、食欲減退。誰にも看病もしてもらわず、むしろ夫の看病に時間とられておりますけど(笑)「孫のセンター試験が天候よろしく無事済んだ由」のラインでホッとしたのが慰めですね。だらだらしているので読書は進みますが、感想メモまでは根気ありません。というわけで・・・しばらく・・・。東京の空はきれいになりましたね
2019年01月21日
コメント(7)
![]()
「いよいよ杉村三郎さんのハードボイルド探偵活躍の巻」あっという間に読んでしまいました、そうですね、宮部さん期待は裏切りません。短編「聖域」「希望荘」「砂男」「二重身」みんなそれぞれいい。インフルエンザのもうろうとした中でしたので読み直ししたいくらい。このシリーズは杉村三郎の伝記みたいなもの「杉村三郎がいかに杉村三郎になったか」がわかるようになっています。さらさら読めて(文章がこなれていて)事件や事情はハードだけれど、すこしもハードボイルドではないです。この探偵さんは少々優しすぎかなあ、作者もそう考えていらっしゃいますね。わたしにはそういうのも必要です。
2019年01月20日
コメント(0)
![]()
バスジャック犯人が示す「人を操る」人間掌握術描写にはおぞけをふるいました。ほんと嫌らしいまでのやり方で読んでいるこちらまで怒りがおきますよ、でもそれは宮部さんの筆の力。おまけにバスハイジャックされた人質・被害者たちにも、連帯か裏切りかという試練を課す内容のストーリです。人間の隠された嫌な面の本質的なものを追求しているのです。詐欺で騙される時、そこまでいかなくても人を貶める意図の行為をされたらとてもとても嫌なものです。あやつられたと感じた屈辱は心の傷になって残ります。それをこの『ペテロの葬列』はとことん描き込んであります。しかも平易な言葉の描写で。宮部さんの真骨頂です。そんな作者のうまさはさておき、もう一つの読みどころは主人公杉村三郎がいよいよ探偵業になるらしいというところですね。このシリーズが面白くなりそうだと読み出したのですけど、どんなハードボイルドになるのかこれからが楽しみです。
2019年01月18日
コメント(0)
![]()
ストーリーは複雑ではないが、場面場面の切り替えも多く、やや専門的な説明が多方面にわたっているので、初めは戸惑う。しかし、誠実な文章が盛りだくさんな内容にもかかわらず読みやすく、初めての作家だったけど好感がもてた。行きつ戻りつが最初面食らったが、読み進むうちに慣れ、例えば父親の釣りの趣味、北海道犬、天文、キリスト教、書物の歴史などなどの、むしろ読み手の知識がためされるように思った。近年文学の中に知識を矯めるような、あるいは微に入り細を穿つような、文学は詩歌、叙情、思想、哲学、歴史だけではないというような作品に出会う。明治から平成に至る北海道を中心に暮らした三代の家族物語。光を当てられるのがその一族それぞれのひとであって、ひとりの人物が主人公ではないというのも、人間それぞれの普遍をみつけ、描こうとしているように思う。日常に起こったり遭遇したり行動することのあくなき探求をしずしずとなさっている。
2019年01月13日
コメント(2)
![]()
本屋の平積みでこの本に目が止まったとき、正直「何事だろう」と思ったのでした。うっかりしていたのですが、2016年に映画化されていたのですね。それで再び見注目されたのでしょうね。SF空飛ぶ円盤小説ものといい、著者が純文学の三島由紀夫氏いい、書かれた年代が1962年(昭和37年)といい、当時話題になっていいのです。1962年ころと言えばSFは別世界の文学で、むしろ漫画的な軽いジャンルでしたよ。解説の奥野健男さんの文章にも雑誌に連載中「大丈夫か?」とはらはらしながら読んでいらしたとか。でも大丈夫、あれよあれよという間に引き込まれて、設定時代を忘れてしい現代にも通じる暗喩・比喩がありました。特に人間に化けているとされる宇宙人たちの派閥争いの議論は圧巻です。(解説の奥野さんはドストエフスキーのカラマーゾフの兄弟における「大審問官」の章のようだと)宇宙戦争は何も武器を取って戦うだけではありませんのね。しかも三島流唯美主義のきらびやかな文章。「人間に化けている」大杉家家族の生活をなんと巧みに描写してあることか。それにわたしには昭和37年という年代に注目してしまいます。そうでした、当時はソビエトとアメリカが核実験競争をしていて終末的な不安もありました。冷戦時代と呼び、ケネディ大統領暗殺もこの後すぐ、三島由紀夫氏に至ってはこれから10年たたないうちに衝撃的な死を選びました。「美しい星」になってほしい地球はこの小説が書かれてすぐ、月に到達したアメリカの宇宙ロケット乗組員の「地球は青かった」が今にして思えば皮肉なものです。翻って現代、世界戦争の危機は去っていません。中国が月の裏に到達したとか、北朝鮮が宇宙開発のため(うそ)大陸間弾道弾ロケットを飛ばすやら核実験やら、アメリカもロシアも何やってるのだか・・・。ますます複雑になりました。少しも安穏な世界になってません。
2019年01月07日
コメント(4)

ある方のブログ・レスに、こういうふうにありました。>今のブログの● 一人語り● 自分が発信するだけそういう双方向性の無い状況が非常につらく、耐えられないのですわたくしも耐えられないほどではなくても、アップした記事にコメントがないと「寂しいなあ」とは思っております。わたくしがブログを始めた2003年ころは、好きな本のことをいくらでも語れて、しかも「おんなじ考えだ」と思った方や「私はこう思う」方々がコメントをしてくださいました。そんなにたくさんの方ではなかったのですが、おひとり、おひとり誠実で実に内容のある、こちらにとっては目を開かれる思いのコメントをいただきました。わたくしもますます読書に燃えて、文芸書や世界文学的な傾向だった読書が、今読まれている本を数多く読むようになったのも本当でした。あれから15年・・・読書状況の変化だけではない、ネット状況の変化だけでもない、世界状況の変遷だけでもない、しかし確実に何か変わってきていると思われるのです。これを「年齢のせいで世の中についていけない」としたら悲しいですよ、淋しいですよ、なさけないですよ。わたしの好きな読書に限って言えば、そこに何があるか、今年は研究、というのはおおげさ、嫌がらないで現代の作家や話題作も読んで「何かわかるかもしれない」とそんな風に思っているこのごろです。
2019年01月05日
コメント(6)

本年もよろしくお願いいたします。今年は年賀状をゆっくり拝見することが出来ました。案の定住所変更通知を差し上げたのに、旧住所に出してくださったの方々がありましたよ。わたしも失敗しているのですよ(笑)特にパソコンなどで住所管理している場合ですね。翌年もそうしてしまって、戻ってきてやっと気が付くお粗末さ、なんてこともありました。添えてくださる自筆のひとことは嬉しいものですが、人間の心理がわかります。わたしたちの年になるとあちこち具合が悪くなるものですが、具体的にそれを書いてくださる事柄の時はは大したことなくて、何も書かない時にご本人が大変な時期なんてこともありますね。もちろんその方の性格気質もあるのですが、お正月ですから悪いことはかきたくない、心配かけたくないというお作法でもあると思います。弱みを見せたくないという負けず嫌いだったりすることもあるかもしれません。翻ってこのブログにアップするわたくしの内容もそういう方面になるとどうなんでしょうか。自分が切羽詰まったときに何か言えるかと考えますとわかりません、ちょっと自信がないよう・・・。時々余命宣告までいかなくても、重篤な病気になったとかおっしゃるブログがありますが、その勇気がすごいし、意志の強い人だなあと感心します。それに関係しますが、ひとの痛みを真に感じてどこまで理解することができるかどうかも、とても難しいことだと思っています。自己中心的な性格でなくても想像力がなかったり、ぼんやりと生きていたため、経験のなさで理解できないとしたら、せっかく思索できる人間として生まれた甲斐がないではありませんか。というわけで、今年は身動きが楽になったところで、もう少し深く物事を考えられる人間になりたいなあ、などとうじうじ考えております。思い出の風景
2019年01月01日
コメント(0)
全10件 (10件中 1-10件目)
1
![]()

![]()