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『星の子』今村夏子ちいちゃんは小さい頃体が弱くて、両親は育てるのに苦労したという。湿疹で痒くて夜中に泣き止まないちいちゃん。夜泣きは続き両親は困り果て一緒泣いてしまうくらい。父親はの会社の同僚に悩みを打ち明けたの。そうしたらそれはお水が悪いと。聖なる「お水」を勧められ、それで身体を清め拭くといいと。もらってきて、拭いてあげてそして何か月かが経ち、湿疹が治り、あれよあれよという間に元気になったちいちゃん。大喜びの両親はお水のとりこになり、会からお水を買い、食料を買い、すっかり生活を会に頼るようになったのでした。ちいちゃんの両親はいい人たちなんだけど、これはなかなか悩ましいことよね。両親がそうでも親類やこどもたちまでが一緒に信じるとは限りません。ちいちゃんが成長していく中で、いろいろ事件が起こります。疑問を感じながらもお父さんとお母さんから、離れられない中学生のやさしいちいちゃんの愛と哀しみ。と、作者の筆は滑らかに、なめらかに優しいまなざしで語っています。そうです、傍から見ればわかりますね。そんなひとが知り合いにいるからわかるんです。ほんとにいい人たちなんですよ。
2022年01月29日
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『ゴルディアスの結び目』小松左京SFというより哲学小説、とても興深い作品。作者は渾身の力を込めている。「岬にて」孤島の岬で人生の終盤を迎える人々の姿に、宇宙とのつながりを見られるのか。「ゴルディアスの結び目」恐ろしいほどねじれてしまった心の闇、その固く複雑な結び目をほどくにはどうするのか、時間をかけてほどいていくのか、刃物で断ち切ってしまうのか。そこも宇宙のひとつなら、行ってみるしかない。「すぺるむ・さぴえんすの冒険」全地球の人々の生命を犠牲にすれば、絶対一人に授けるという「宇宙とは何かの悟り」どちらを選ぶのか、するとどうなっていくのか。「あなろぐ・らう”」人間に備わっていると思われる「実在意識」はどこから来たのか?宇宙からなのか。茫漠広大な宇宙の中の銀河系の中ののひとつ太陽系にある地球がいずれ滅びるとき。この最後の章のカップルの様子と景色の描写が美しい。しばらくおいて再読することにしたい。
2022年01月27日
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『むらさきのスカートの女』今村夏子むむむ、文章うま!すらすらっと読めてしまった。このごろの新進作家の文章は読み始め(あくまでわたしが)読み滞るような気がするのだから。しかし、ストーリー展開はすらすらとはいかない。「なに、これ!?」だいたい「むらさきのスカート」が「むらさきのストーカー」と読めてしまう困惑。わたしとて常識ガチガチの人間ではない。けれども得体の知れない行動にそうのは難しい。なんなんだ、なんなんだ?と読み進むうちに、やがてやって来る、じんわりとした寂しさ、人恋しさ。「むらさきのスカートの女」さん「黄色いカーデガンの女」さんお元気ですか?
2022年01月26日
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『アクロイド殺し』アガサ・クリスティー山田風太郎『戦中派闇市日記』を読んでいて、昭和22年5月30日の箇所にクリスティーの『アクロイド殺し』を読んだ感想があり、昔読んだがすっかりストリーを忘れていたので、この箇所の日記を味わうには必須、と急遽再読した。まず、クリスティーの作品は忘れているといっても、わたしも謎解き慣れしているので(長年ミステリーを読んでいるので)、すぐにネタがわかってしまい、ちょっと肩透かしをされたようで残念。きっと昔に読んだときにはだまされたのかも(忘れましたが 笑)そして風太郎の日記を読んだのですが、彼の感想も厳しめでしたね。さすすがはイギリスでも賛否両論、喧々諤々、フェアかアンフェアかの問題作だったのだと、納得でした。
2022年01月25日
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『坂下あたると、しじょうの宇宙』町屋良平文学のジャンル中で詩が苦手なわたくしは、厳粛な気持ちで読みまして、やっぱりわからなくなりましたけど。高校生たちの4人の友情(恋愛感情)はとてもよく描かれて、これぞ現代のライトノベル風傑作だと、いえ、ラノベをそんなに知りませんが(無責任だ)つまりそこはすらすらとおもしろく、自分たちをしか見ていない高校二年生の文学志向たちの青春は、微苦笑を誘い好もしい。世界を成立させているもののほとんどを、いつもは気にとめていない。ほとんどの事物に関して人間は無頓着で大人になる。文学とか詩とかもそうなのかな、・・・(P87)そんな若さがヴァージニア・ウルフを読んで批評して、人生すべてわかったつもり。でも、わかるなあ(笑)さて、現代は小説を書く、詩を書くのはパソコンで入力ソフトを使い、ウエブサイト上に発表も当たり前、そこにAIがかかわってきてという展開は、真面目な小説執筆や詩作をコケにしてしまうのか、というスリルもあって「しじょうの宇宙」の詩情はどうなってしまうのか。思うんだけどこうして感想メモしていて、これも入力ソフト、言葉選びにけっこうAI入って来て、なんか打たされてる感じがあるんだなあと。でも、この便利さは手放せないし、ほんと、どうなって行くんでしょう、文学。
2022年01月20日
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『羊は安らかに草を食み』宇佐美まこと俳句仲間の86、80、77歳の「老婆3人旅」今どきありそうな話ですね。だだし番年長の益恵は認知症、80のアイは高血圧症と腰痛ひざ痛、77の若い(?)富士子は大量の薬を飲まなければならない病気持ち、仲良しが気楽な旅行をしに行くわけではない。と、すべりだしがうまい!興味そそられます。登場人物のひとこまひとこまの行動がさりげない描写なんですが、生き生きしているのです。好感をもちましたね。行く先も大津、松山、長崎の海は離れ島と、広範囲。その土地、土地は認知症の益恵が人生を送ったところですが、何があったんだろうか?とますますミステリアスです。訪ねた土地で益恵の知人に再会し、そして益恵の自費出版の句集から俳句がとりだされ、物語が進み益恵の過去が明らかになって行くのです。満蒙開拓団家族の子供としての体験。益恵の満蒙引き上げの物語は聞き知っているつもりでも、改めて考え込まされます。戦後生まれの作者は参考文献にて書き上げたと思われますが、繰り返し小説にして戦争の負の部分を明らかにしないといけないことですね。物語は旅の道連れの富士子やアイの過去事情も明かされ、3人に忍び寄ってくる老いが切ないのですが、しかし、そこは強靭な婆たち、驚く結末になります。ミステリー部分は弱い気がしますが、人生の酸いも甘いも嚙み分けた言ってみれば強い老婆たち(作者がはっきり命名してる)の描写力は素晴らしいですね。乞う期待の作家さんです。
2022年01月15日
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『播州平野』宮本百合子『伸子』『二つの庭』に続けて「作者分身」の歩みをたどる作品。小説は「ひろ子」(作者分身)が、網走に収監されている思想犯の夫の近くに行こうと、北海道に渡るため福島の弟の家でその機会を待ちながら、1945年8月15日をむかえ、天皇のラジオ放送を聴くところから始まる。戦争が終わったと喜びに沸くのではなく「その時村中が寂莫として音無し」という描写があり、さそぞかし複雑な気持ちだったろうと、わたしのように当時幼児だった者にとって臨場感を感じる。「無条件降伏」の占領下でどうなっていくのか、ひろ子が夫のためにどう行動するのか。もちろん事実(宮本顕治と百合子)は周知のことだからそれを頭に入れて読むのだが。終戦直後の混乱状況の中で、「ひろ子」と周りの家族や知り合いたちがどんな風に暮らしたか、ごくごく庶民的な日常の様子には、資料として目が見開かれる思い。夫の実家を訪ねるため、当時女性が群馬県から山口県まで列車に乗って旅をする描写は圧巻だ。人がぶら下がって走るあの混みようの列車はわたしたち古い映像で見るが、実際列車が途中で止まってしまうのは当たり前、一駅を歩いたり、宿に泊まったりで乗り継いでいくのだが、臨機応変交渉次第で、たくましく生きた人々の姿に感心する。戦後すぐ(1945年の秋!)の焼け野原のなかを列車が動いているというのもびっくりだ。旅の道ずれの人々の姿(物資不足の貧しい姿や戦傷者)の描写もリアル、暢気さもあるけれども、現実の厳しさ、そして辛辣さもありでおもしろいというか、読みごたえがある。ひとりの女性が自立して生きていくだけではなく、精神的に自律していく過程が『播州平野』の主題、同時に人間としての矜持、その屹立に感動する。作者が文学として表す人間への洞察力はさすが、文章は平明なんだけど。
2022年01月09日
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『馬を売る女』松本清張「馬を売る女」「式場の微笑」「駆ける男」「山峡の湯村」の4編娯楽読み物ミステリー、となると清張さんかクリスティーというのがわたしのお定まり。これは読んでないぞ、と暮れに本屋さんで手に取った文庫本。ちょっと贅沢な(余裕の=無駄な)選択でしたか。というのはこれらは清張さんが60代の終わりのごろの作で、この頃から古代史関係の作品に移行しつつあった時代ということで、まあ、清張味満載ではありますが、普通の味、気が抜けているような感じは仕方がない。ひとつ「式場の微笑」は味があり期待通りだったが、これは前に宮部みゆきコレクションで読んでます。ま、忘れてしまっていましたけど。でも、お正月ですからゆとりで…。
2022年01月07日
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なんでこう毎日が忙しいんだろう?とぼやいていたら、同い年友人の年賀状に「私達もう傘寿を迎えてしまいましたネ 1年が早い!!」とあり「おんなじだ!!」と笑ってしまいましたなぜって早い1年は、早く過ぎ去る1日の重なりなりですなんのことはない動作がゆっくりになって日々の暮らしのタツキがはかばかしく進んで行かないんですね特にコロナ以降は朝食が済んだら、昼食、お茶したと思ったら夕食の支度時間になり、食べたらあっという間にお風呂の時間で病院の消灯時間並みの就寝そして、その間に名もない家事やら本読んで、ブログをアップして…つまり全てにおいて、ちゃっちゃと出来なくなったというわけで若いときの「1年が早い」とは違うんだってば!去年のオリンピック ブルーインパルス ベランダ(5F)から今日いま、このベランダの外は雪降りしきり、白い景色です*****追記東京では珍しい、4年ぶりの大雪になりましたこういう時、家から出る必要ない身にはありがたいことになります2018年の東京大雪の時は用事があって東京にいて、朝外出20㎝の積雪(雪解け状態だった)にブーツがはまり、ぐしょぐしょなって難儀しました雪になれている土地からしたら、大げさだけど明日は最大の注意ですねビル群が見えなくなりました
2022年01月06日
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『からくり写楽』野口卓特徴ある浮世絵デフォルメ満載の「役者絵」の作者「写楽」が何者か、謎に包まれていたのですね。その謎を逆手に取って、謎をますます深めたフィクションです。江戸時代中期、「出版社」の蔦屋重三郎がある人の絵の芸術性に惚れ込んで、役者絵を描かせて売り出そうと画策しました。その人とは身分高き元藩主。江戸時代、お殿様の趣味となれば、匿名希望はもちろん、プロ意識はどうだろうかとか、身分への遠慮など障害がたくさんあったでしょうけど、側近を巻き込んで「東洲斎写楽」という名で世に出そうとします。果たして成功するのか、という趣向です。これは浮世絵の話ですが「読み物」とて同じでしょう。趣味が高じだ人の作品を売りに出すのはリスクを伴います、並大抵ではありません。浮世絵や江戸時代の出版事情(版画ですもんね)が作者の豊富な知識の語りで解ったり、物語の謎と駆け引きがなかなか面白かったです。ちょっと説明が饒舌すぎたところもありますが。ある作品が売れ、もてはやされるか、真に芸術的価値があるもか、興味尽きないものです。時代を経てしまうと作者が誰だろうと、作品が光っていれば永遠に残っていくものだなあと思いました。*****あけましておめでとうございますいつもこの拙いブログを読んでくださりありがとうございますことしも相変わらず、読んでは感想メモをアップしていきたいと思っております時々めんどくさくなる時がありますがそれこそ「それが老いなのだ」と鞭打っていきたいですねどうぞよろしくお願いいたします
2022年01月02日
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