DERICIOUS!

DERICIOUS!

桜に仰ぐ 6


「貴方の素敵さは本物だから、私には分かっているから、負けないで!自暴自棄にならないで!って、心の中で叫んだけど、全然届かなかった。心の中で応援するだけじゃ、何の役にも立たない。だから私が、世界を変えるしかないの」
モエはテルの邪魔というか野党の立ち位置からテルにネガティブな指摘をしていく中でも、テルの明るい性格等に惹かれ、好きになっていく。
モエは頼重に「お前ネトウヨかよ。赤の奴らみたいだよな」と指摘されると、「私は赤じゃない!!」と強く否定する。
芸能界で性接待が採用されるのは結局は芸能界という異国系集団、朝鮮人のやり方が採用されているから。私はあいつらと同じやり方で女性の権利の保護を推し進めていく気はないと主張する。むしろ、男を利用しながら男から金を巻き上げる、復讐のようなやり方で勝とうとしている赤のやり方に嫌悪感しか持っていない。
頼重はモエを好きだとテルに言う。テルは俺はああいう強い系の女子は苦手だと言う。
ここに、微妙な三角関係が出来上がる。。。

朝パン、昼休みに音楽と問題出題。

情熱が大事やと思う。あと見た目。美里を上げてうちの母親男友達に絶大な人気があるなんでか美人なだけ、だから見た目大事と言う。
アンケートをもう一回とろう、アンケート用紙に工夫。文面も見た目、工夫する。
学食に生徒が集まる事は生徒達の交流の場を増やす事に繋がるなんとしても学食問題少しずつでも改善したい。

見た目であろうと心の美しさであろうと、美しさは本物でないといけない。
柳田萌咲と、後から登場したネコ柳が被ってきてしまったので、柳田の方を高杉に変更。
ネコちゃんは、クラスにいる時も『ごめん寝』スタイルで漫画を描いていて、だけどテルがネコちゃんに生徒会の広報依頼を入れるようになってから、クラスメイトに気軽に話しかけられるようになるのだが、それを嫌がって漫研の教室で休憩時間を過ごすようになってしまう。ネコちゃんはテルが良かれと思っていた事を嫌がっていて、「勝手に憐れむな、可哀想がるな。人は皆違う」といら立ちを見せる。
「他者を自分から隔離して、深く入り込まないと、出てこない物語だってあるんだ。適当ななれ合いなど、俺にとっては最も不要なもの。興味本位でよく知りもしない第三者から干渉を受けていると、それまで作り上げた物語が突然虚に感じたり、不要に感じて破り捨てたくなってしまう時もある。だけどアマやんが、俺に慣れ合いを強要しようとした訳じゃないって分かってる。アマやんは俺を生かそうとしてくれただけ、結果的にこうなった。ただ、俺には次から次へと浮かんでくる物語を絵にするのに無駄な時間はさけないし、いちいち話しかけられるんじゃ、気が散って集中出来ない。だから、困ってる」

勝っているだけが、強いのではない。負けないで抗い続ける事も、強いことだと思うんだ。
たとえば普通の生活、何も動いていない、勝っても負けてもないような時でも、
負けないでいることは、強い事。
弱い事とは、悪に落ちることを言うのだと思う。
悪を行う事を、正当化すること。
それを弱さを許すというのだ。

渡辺庶務長は篠宮と小学生の頃から度々クラスが被ったりで、篠宮の事をわりに良く知っている。篠宮は下級生が思っているほど、完璧じゃないと言う。
メカ音痴、お金が苦手、片づけるのが苦手。
トップに立てる人間が雑務まで得意な訳じゃない。上には上にしか出来ない事があるけれど、下にしか出来ない仕事もある。
そして、上が堂々として立派に仕事をこなしている組織は、一番下がしっかりと仕事をしていると言う、だから庶務は大事な仕事だと。
庶務は雑務だが、組織の土台、土台がしっかりとしていないと、上はガタガタになる。
テルは渡辺庶務長が篠宮の弱点の話をする時に、感心して「実は庶務長も、庶務の仕事も舐めていた、一番下の仕事だからって。だけど実際に渡辺先輩の統率下で働いてみて、生徒会執行部の全体を支えてる大事な役職なんだと分かった。見直したと言う。実際、沢山の新一年生を指導する一番大変なトップ、庶務トップって、力のある人がやらないといけない大事なポジションなんですねと。


見た目問題で逆説的に美里が自分が海士部史郎の子孫やと知れた後の職場での扱われ方の変化に、結局キレる。
美里の母親は男勝りに育てられ、常に戦ってきた、わりと下民を見下すタイプ。美里は母親の珠典(つかさ←男でも女でもつかさと名付けるつもりだった)を反面教師に見て、あんな風に他者と関わったら邪険にされるのは当然と気をつけてきたつもり、だけど結局職場で、それまでの態度とは一辺、悪いように色々なことを言われる。結局、見た目でしか判断しない一般の人間、見た目というのは世間体、体裁、容姿、印象つまりイメージでしか物事を判断しない、そういうヤツらばっかりしか居ないという現実と向かい合い、つい母親の言っていた物言いが出てしまう。
「だから、嫌なんや、あんたらみたいな下衆」
「それがあんたの本音か」
「何が、本音や?!見た目や世間体一つ、イメージごときでコロコロ態度変える、あんたらが一体何を見て、何を判断してるって言うんや?!体裁だけ整えといたら良いだけの、『問題ない』ことだけを良しとするアンタらが、一体私の何を見てきたって言うんや!いい加減にさらせ、あんたらが自分の頭使って自分の目で見てる現実なんて、一つも無いわアホどもが!」
上のような事は母親のツカサがよく言っていた言葉。仕事先でキレて帰って来た美里が、家に入って頭を抱える。
「母さん、ついにやってしもた」と言う美里に、テルは選挙に無所属で立候補することを勧める。
「俺も母さんや、会った事もないおばあさんが庶民に、その人の見せかけ一つでコロコロ態度変えるって、ホンマにあるよなって実感してるよ。やけどな。。。テレビとかメディアに洗脳されやすいっていうことは、悪く洗脳する事が簡単なんやったら、逆に、良く洗脳してやったらいいだけって事なんやないかな。心の芯に訴えて、民意を動かす。日本を諸外国に都合よく洗脳しかけてくる赤の奴らがマスメディアや政治家に潜んどるって言うんやったら、良く洗脳する政治家になったらいいんや。悪く洗脳するんがテレビやったら、良く洗脳するんが良い政治家ってこと。母さんは、それになったらいい。『自分が変われ』では何も変わらない。自分だけが良い人ってそれはただの庶民や。自分が良いだけを頑張る程度では、悪く洗脳されとる他人は増えても減っても無い。自分が変わるだけでは社会は変わらない、自分が他人を変えないといけないんや、やっぱり。自分だけでなく、他人をも良い方へ変えていけるんが、良い政治家なんやて。母さんはそれにならんと。だって、海士部史郎の子孫なんやろ?引き継いだ使命なんや。俺は、母さんがやる事に意味があると思う。俺も支えるさかい、一緒に名乗りを上げよう」
「母さん、知っとるか。政治家ってな、その辺の主婦でも『やります』って言ったら、出れるんやで。
スグル先輩が言うとった、日本の女性の中には、男性に引けを取らないサムライ魂が備っとるんやって。母さん、もう、男じゃないとダメな時代じゃない。母さんが、やったらええ」

園芸部顧問の家庭科の先生に、テルが「植物って、育てても結局枯れてしまうけれど、それって虚しい事なんだろうか」と尋ねる。
先生は「植物は青々としている時だけに存在価値があるわけじゃない。一つ植物を植えた花壇は、その植物が枯れてしまった後、以前と同じ花壇ではもはやない。植物は育った場所で枯れ、枝葉を落とすことで自分に適した土壌を作り上げている。そこに種を残す。枯れてしまった後に何も残していないわけではない。適した土壌で種が芽吹けば、前回よりも強く美しく成長する、そうやってどんどん環境を自身に適したものへ改良していける。人間の為の観賞価値のあるなしで考慮したら、枯れてしまえば価値は無いかもしれない。けれど植物にとってはそうじゃない。植物は一度芽吹けば後は自分の力で育ち花を咲かせるシステムを小さな種一粒に構築している。葉や花を枯らす事にも、植物にとっては大きな意味がある」

「海士部はいわゆる軍国少年やったんや。戦争賛美の気質が、政界での彼に対する懸念の一つではあったな」←スグルは政治家を目指しているので、過去から現在の政界の動きに詳しい。テルはスグルに、さり気なく海士部史郎がどんな人物だったか聞くシーン。

「ああ、そやった、傘、置きっぱなしのままやった」
俺はCクラスの傘立てに、油性ペンで海士部と書いた名前がやや消えかけた、白いビニル傘を持ち上げると、教室を出た。
下駄箱から出て校門を出た時に、通りにスグル先輩の姿が見えて、俺は速足に追いかけた。
「先輩も、今帰りですか」
「おお、海士部か。途中まで一緒に行くか」
「はい」
そう言いながら、帰りかけた時のことだった。通りの先の曲がり角の辺りに、なにやら雰囲気の怪しい、短ランの学生達が4人ほど、誰かを待っている素振りでじっとしている。
「ああ、またおるわ。お前、先帰り」
「あいつら、先輩待ってるんですか?」
「女がどうのこうのって言って、知らんて言うたんやけどな。一週間前くらいにも来たんやけど。海士部は危ないで、先急ぎ足で帰り。関わらん方がええで」
「先輩は、どうするんですか?」
「どうするって、俺一人やったら、どうにでもなるで」
「そんなん、嫌です。一緒にいきます」
「何て言ったらええやろな。まぁ単純に、足手まといになるで、帰ってくれと」
「い、嫌や。俺かて、男やで」
「お前、何か出来るんか、柔道とか空手とか」
「何も。そやけど一人より二人とちゃいますか」
「う~~ん、どうやろなぁ。痛い目にあっても知らんぞ」

二人で会話を続けながら、見た目不良にしか思えない4人の側を通り過ぎようとしたのだけれど、そのうちの一人が「何無視しとんや!」と大きな声を出して俺達を呼び止めた。
「なんや。ていうか誰や」
「俺の女が、お前に酷い事されたって言うとんや。落とし前付けさせてもらうわ」
「誰かも知らん女の事なんか、知るか」
「お前に覚えは無くても、俺らにはあるで」

不良の4人がニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら俺達の前に立ち塞がり、殴りかかって来ようとした時に、スグル先輩が俺を背中にしてそいつを避けた。
「せいぜい逃げ回ってもらおか」
一人と3人に囲まれて、俺は先輩の背後で足が固まってしまっていた。こんな事ならカッコつけずに逃げれば良かったと本気で思った。
するとスグル先輩は「はぁ」とため息を漏らして、「すまんけど、この傘借りてええか?」と俺に振り向いた。俺は無言で頷いて、傘を両手で先輩に手渡した。
こんな華奢な人が、ガタイの良い四人に立ち向かえるのか、ええいこうなったら俺も男や、たとえ負け戦でも、相手の腕にかみつくくらいの事はしてやると、先輩の背中を見つめながら、心に決めた時やった。
「多分この傘、もう開けへんようになるやろけど」
先輩がそう言った時に、前の3人が先輩に向かって来た。先輩は傘を振り下ろし、道路周辺に突き抜けるような声で「面ーーーー!!」と叫んだ。俺はその声にびっくりして、動けずに固まっていた。あんな細い体の、どこからそんな大きな声が出るのかと。
先輩は彼らの動きをヒラリヒラリと交わしながら、「胴ーーーー!!、面ーーーー!!」と大きな奇声を上げて、不良達の脇腹と頭に、思い切りビニル傘を叩きおろした。不良達の動きは思いのほか鈍く、それは先輩の動きが俊敏であったせいで余計にそう見えたのだけれど、見ている間に先輩は、「籠手ーーー!!、胴ーーー!!」と3人の不良どもを成敗していった。不良どもは手や脇腹を押さえて道路に倒れ込んでいる。「面」を打たれた一人は、頭が朦朧としているのか、額に両手を当ててうずくまっていた。
「道着も無しに直接打たれたら、頭はヤバかったか、まぁ、ビニル傘やし、どうも無いやろ」
「す、凄い。。。」

道路には、既に他の生徒達のギャラリーもいて、皆固唾を飲んで見守っていた。女子達は、「篠宮先輩、頑張ってーー!!キャーーカッコいいーー!!」と黄色い声援を上げている。俺はその真ん中で固まり、先輩の優雅な、舞うような剣術に一緒に見入っていた。その時に。
「おい、お前のカッコがつくんも、これまでやで」と言った後で、俺の背後にいた一人が俺の後ろから首回りを太い腕で固め、俺は「あっ!!し、しもた!!」と言いながらあっけなく捕まってしまった。
先輩が、「だから、逃げろって言うたんやけどな」と残念そうにしている。

「す、すんません!!」
「何やってんのよーーチビ!!」
「いやお前ら、見てるだけやなくて助けろや!」
「こいつがボコボコにされるんが嫌やったら、土下座しろ」
「弱ったなぁ」
俺は頭をかいているスグル先輩と不良の間で、どうしようどうしようと焦った。不良の腕に爪を立てて握り込んでみても、不良の方は微動だにもしない。
「土下座の理由がさっぱりやけども。土下座するくらいでうちの大事な生徒守れるんやったら、しよか」
「ダメーー!!スグル先輩、不良になんて負けんといてーー!!」
「おいお前、何とかして逃げろや!!」
「いやだから、お前らが俺助けたらええやろが、何人かで来たら出来るやろ!」
「俺らは、ただのギャラリーやし。恨みも買いたくないし」
「は、薄情な」

「しゃあないで、土下座くらいしたるわ」
先輩がそう言いかけた時に、俺かてスグル先輩の土下座する姿なんか、絶対見たないし、させたないと本気で思った。そして、「俺はケンシロウや、今直ぐケンシロウになるんや。。。」と心の内で自分に唱えた。男の弱点は、股間や。股間を狙うんや!
「あ、アタァ嗚呼!!」
俺は出来る限りの力一杯に、不良の股間に向けて右手の握りこぶしを振り下ろした。後ろに向けて振り下ろした拳は見事に股間に直撃し、不良は「ウッ!!」と言って一瞬腕の力を緩めた。俺はすかさず腕を振りほどいて逃げた。

「ようやった。十分やで」
スグル先輩はそう言うと、「突きーーー!!」と言って相手の腹に向けて傘を立てた。
しかしながらスグル先輩は、股間を押さえた不良の腹の前で傘の先をピタリと止めた。
「ホンマに突いたら、内臓いってまうやろで止めたるわ。どうする?」
スグル先輩が不良に向かってそう言うと、不良は頷いて、無言でびっこ引きながら逃げていった。道路で見ていた生徒達のギャラリーが、ワッと歓声を上げた。

「篠宮センパーーーイ!!マジやばい、カッコ良すぎ!!」
「撮れたーー、めっちゃ良い写真撮れたってぇ!」
「私にも頂戴!!」
「マジかっこええ。俺でも惚れるわ」
「ヤバかったなぁ。さすが生徒会長」

「先輩!!どこもケガないですか」
「うん。それより、傘あかんようになってしもたわ」
「そんなん、ええですよ。ビニル傘なんてまた買ったらええし。でもそれ、ください。俺の宝物にします」
「お前も、ようやったな」
「先輩の為やったら、俺、ケンシロウにもなれるんやて。スグル先輩、素敵でした。傘の剣を手に、まるで優雅に舞いを舞われているようでした」
「お前の方こそ、どっか痛ないか?」
「全然、どこも。それより、足手まといにならんで済んで、ホンマに良かったです」
「巻き込んで、悪かったな。俺のせいで絡まれたんやで」
「良いです、俺、今以上に自分を誇らしく思った事無いです」
「ほな、帰ろか。皆も、帰り!」
先輩が通りにたむろしている生徒達に一声かけると、皆散り散りに帰り始めた。俺は先輩と分かれた後で、やや折れ曲がったたビニル傘を、自分への銅賞のように大事に持って帰った。

「口で言って聞く相手じゃないんや、中韓の奴らは。止めてくださいって言って止めるくらいやったら自衛隊もミサイルも要らんやろ。いずれにせよ戦後、条約で抑制されとるように見えても、殺し合いで自国が多くをとるっていう戦いは結局続いとる。命がけやで、戦時中やなくてもな。。。誰かが、命がけでこの国守っとんや」




「ほやけど先輩、想像力一つで相手が敵にも味方にもなるって言うんやったら、良いように思い込んでた方が、自分にとっても相手にとっても良好な関係が築けるとは、思いませんか」

「弱さやって、言うけども、それはダメな事なんですか。先輩、友達が、一切皆苦、一切皆空だと、仏教の話をした事があるんですけど。先輩は、世界の全部は苦しみやって、思いますか?」
「そんなもん、弱い奴らが自分に都合良い事言ってくれるからと集まって支持されただけやろ。思い込み、信じ込むだけで事実を有ったり無かったり出来る訳が無い、事実と向き合わない場所には何もない。あえて言うなら、何の変化も無い場所で半分寝たふりして過ごそうっていうのが仏教やろ。苦しみだって、乗り越えたら喜びになる。乗り越える努力もせんで、思い込みやら説教だけで苦しみを消化しようなんて、甘いんや。所詮弱者の為の信仰、勝てばいいだけ、それだけやろ。苦しみから逃れようって言って半分寝てるだけの大仏よりは苦しくても勝てんでも、勝つまで戦っとる奴らの方がずっと偉いわ」

「確かに、勝てればいいんやとは思う。だけど、勝ってる人には勝ってる人の苦しみがありますよね。俺は、全部が苦しみやと言うよりは、一切は皆、弱いものやと思うんです。それは人や動物だけでなく、地球でさえ、空でさえも。一つ一つの存在はそもそも弱く、ただ一人の人間としての自分であるだけでは、ただただ弱い生き物やと。強さを競う競技もありますよ、柔道とか、スポーツでも、様々な強さを。だけど、そういう一部分の能力の話ではなくて、もっと根源的なことというか。誰もが皆弱く、それでもそこに在る事が出来るのは、毎日普通に過ごせてるのは、お互いが息をするように、弱さを許し合っているからだと思うんです。よく、『愛とは、強いものか、弱いものか、どっち』っていう話になるけど。それぞれが存在する事を許すっていうのは、弱さを許すことで、そして愛というのはそれそのものが強いか弱いかではなくて、弱さを許すことを愛すると言うのだと思うんです」

(あれ、米山先生や)
日曜日に暇つぶしに本屋へ出かけた時、店内に米山先生の姿を見つけて、俺は声をかけた。
「米山先生」
「海士部君。参考書でも探しに?」
「本屋さんは休みの日によく来るんです。冷房効いてるし、読みたい本タダで読めるし。文房具物色するのも楽しいし。先生は?」
「僕は、生徒用に新しい参考書と雑誌と」
「教育熱心なんですね」
「海士部君。。。暇つぶしで本屋に来てるんだったら、ちょっと時間、良いかな」
米山先生が本を購入した後で、俺は米山先生に誘われ、近くの喫茶店に入った。

「いらっしゃいませ、ご注文は?」
店の一番奥の席に向かい合わせで座ると、店員がやってきて注文をとった。
「僕はアイスコーヒーと。。。海士部君は何がいい?何頼んでも大丈夫だよ」
「じゃあ、マジでお言葉に甘えて、メロンソーダでもいいですか?」
「もちろん。じゃあ、アイスコーヒーと、メロンソーダで」
「アイスコーヒー一つと、メロンソーダ一つですね?かしこまりました」

「俺、喫茶店て入った事ないんですよ。もし入ったら、メロンソーダ飲んでみたいってずっと思ってて。今日、夢が叶いました」
「面白い子だね。何だったら、フルーツパフェも頼んでいいよ」
「ほ、ホンマですか?」
「いいよ。どうぞ」

二人で向かい合って、しばらくお互いに黙った後、俺は「先生、何が目的ですか?」と尋ねた。
「先生、まさか俺を買収するつもりじゃないでしょうね。俺の母親に、お金で好き勝手する大人には気をつけろって、釘刺されてるんです。俺、絶対に体売ったり、しませんからね」
俺がそう言うと、米山先生は笑いながら眼鏡の下の目を拭って、「大丈夫、心配しないで。そんな目的無いから」と言った。
俺はホッとして、「じゃあ、何が」と聞きかけた時に、店員がアイスコーヒーとメロンソーダーを持ってきたので俺は言葉をつぐんだ。
店員の女性がそれぞれの前に飲み物を配置して引き返していくと、俺は先生の顔を見た。すると先生は「どうぞ」と言い、俺は両手を合わせて「いただきます」と言った。

「美味しい。。。世界で一番美味しい飲み物や。。。」
「良かった。君は飲みながらでいいからね。スグル君の事なんだけど」
「実は、先生とスグル先輩が生徒会準備室で揃ってる姿を見た事があります。その時、先生と先輩ってどういう仲なんやろかって、いぶかってました」
「うん。実は、僕とスグル君は、スグル君が幼少の時からの付き合いなんだよ」
俺が細くて先の小さなスプーンで、メロンジュースを含んだバニラアイスを堪能しながら頷くと、先生は話を続けた。
「僕の親は税理士なんだけどね。ずる賢い親で、主に金持ちを相手にした帳簿作りと、確定申告書の作成を生業にしてたんだ。そして金持ちの御宅にお邪魔する時には、必ず僕や兄や、妹を連れて行った。そして僕達兄弟に、そこの御宅のご子息と、仲良くなっておけと命じたんだ。父親のやり方は姑息ではあったけれど、お金持ちの御宅に一緒に連れていかれるのは嫌いじゃなかった。美味しいお茶と、高級なお菓子をよばれて、広くて美しくて清潔なお屋敷でお菓子をいただく優雅な時間は子供心にも特別なものだった。僕が16歳の時に、初めてスグル君と出会った。スグル君は当時4歳で、僕とスグル君はその時からの長い付き合いになった。スグル君は幼い頃から本当に可愛くてね。お母様譲りの、見目麗しい顔立ちで、美しい邸宅にぴったりと馴染むような、上品な子供だった。僕が篠宮家に連れていかれた時には、いつも『お邪魔します』という気持ちでいたけど、スグル君は彼の豪邸に相応しい、格式高い建物の中で、大事に育てられたお坊ちゃんだった。僕の父は篠宮家に行くたびに、スグル君と「仲良くなっておけ」「取り入っておけ」と何度も言ってきたよ。父は僕も税理士になると思い込んでいたし、兄と姉は税理士になったけれど、要するに金持ちの家に取り入って、若い内から顧客を獲得しておけと指導したかったらしい。だけどね、僕は教師になった。金に汚い父親への小さな反抗だった」
「じゃあ、BLでは無いんですね?ボーイズ・ラブ」
「最近の子達は、そのネタが好きだよね」
先生はそう言って笑った後、空になったメロンソーダを見て、「デザートも食べる?」と尋ねた。
「良いんですか?いただきます」
「パフェでいいかな?」
「はい。喫茶店でフルーツパフェを食べるのも、夢だったんです」
「いいよ。すみません」

「はい」
「フルーツパフェを、一つ」
「かしこまりました」

「えっと、どこまで話したかな」
「先生が、お父さんに反抗して、教師になったところまで」
「ああ、そうだったね。何となく父のやり方が好きでなかったのも理由なんだけど、僕が高校生の頃に、尊敬出来る先生がいたんだ。僕の理想の父親像、ああ、この人が僕の父親だったらどんなに素敵だっただろうって、思ったのも理由かもしれない。こんな風になりたいと思ったのが、その先生だったのもあって、僕は教職の道へ進んだ。父親は、僕が教職に就く事に、特別反対もしなかったから、意外ではあったんだけどね。上二人が税理士をやってくれたから、跡継ぎも出来たし、それで気が済んだのかもしれない。」
先生はそう言った後で、アイスコーヒーを一口含んだ。そして、「ここからは、スグル君の話なんだけど」と続けた。
「スグル君の家は、この界隈でも特に有名な資産家で、彼の父親は、スグル君にとても厳しい人だった。僕は父と毎年定期的に彼の家を訪ねて、その間僕はスグル君の相手になっていたんだけども。彼は幼い時分から、剣道、弓道、楽器、華道、茶道を極めるように育てられていた。彼の母親は日舞の先生で、自宅の教室で生徒さんを教えていたのだけれど、スグル君は幼い頃は母親の教室で生徒さんから可愛がられながら、彼自身も本当は日舞に興味を持っていた。だけど、彼の母親は日舞を教えなかった。かれの父親が、『舞うなど女性のやる事』と、断じて許さなかったんだ。彼の母親は父親の教えを守らせ、なおかつ母親の母性を彼に見せないよう、素気のない態度でスグル君に接した。父親の厳しさに、母親が甘さを許すと、スグル君は厳しさに耐えられなくなる。だから彼の母親は決して、幼い彼が泣き出しても彼を抱擁したり、優しく接したりなどしなかった」

「お待たせしました~」
「あっ、パフェ、俺です」
「ごゆっくりどうぞ~~」
フルーツパフェに目を輝かせながら、僕は先生の話に意見した。

「だけど、そのおかげでスグル先輩は、剣道も弓道も、何でも出来るんですよね」
「そうだね。それは彼の強みを育んだ、確かに。だけど彼は彼の家柄と彼の完璧さのせいで、友達と呼べる友達が居なかったんだ」
「そんな事、ないですよ。生徒会のメンバーだって、スグル先輩と仲が良さそうですし」
「彼が本心から気持ちを許せる、同列の友達、というべきかな。小学生の時分から、彼は同学年のクラスメイトの中では有名人で、彼以外の生徒は彼を、上か下かという見方しかしなかった。彼自身の勝気な性格もあるけれど、彼は従わせることは出来ても、つるむような人間関係に関しては不慣れだった。常にトップを求められた彼にとって、友達付き合いなど必要ないものだったのかもしれない。彼のような多くを持つ人間に対して、人は寛容さを見せてはくれない。少しでもスキを与えれば、それを弱みに攻撃の対象にされてしまう。彼は物心ついた時から、少しの弱みも見せられないという環境の中で生きるしかなかった。しかしながら彼は、それこそがトップの生き方だと、自らの宿命を受け入れてきた。海士部君、パフェをすごく美味しそうに食べるね」
「めっちゃくちゃ美味しいですよ!先生も、食べますか?」
「いいよ、海士部君が食べて。えっと、どこまで話したんだっけ」
「スグル先輩の、友達問題」
「そうだ、スグル君の友達。彼にとって唯一、友達というか、自分の気持ちを素直に見せられた相手といったら、彼が幼い頃に飼う事を許された、インコのピー助だったかもしれない」
「インコ、ですか?」
「インコというか、鳥ってね、とても賢いんだよ。特にインコは、主人の名前や、主人が覚えさせた言葉を反復してくれる。幼少の彼がどうしても生き物を飼いたいと言ったら、一羽だけ鳥を飼っていいと。それで彼は自分の部屋で、インコを飼って、ピー助と名付けた」
「スグル先輩とインコ、想像がつかへんけど」
「彼にも、幼い頃があったんだよ。同学年の友達らしい友達が居ない彼は、学校から帰ると部屋に戻って、インコに一生懸命話しかけた。『ピー助、可愛いね』『ピー助、今日学校でテストがあって、満点だったんやで。凄いやろ?』『ピー助、僕の名前はスグルやで』『ピー助、おしゃべり出来るんやろ?偉いね』沢山話しかけ続けた時に、ピー助は彼の言葉を理解してかしないでか、『スグル、偉いね』『スグル、可愛いね』『スグル、偉いね』と話すようになった。それを嬉しそうに、僕に教えてくれたスグル君の、弾けるような笑顔がね。本当に可愛くて、可愛いだけでなく、気の毒でもあって。あんなに頑張っているのに、それをご両親は決して褒めない。彼に、そこで満足して欲しくは無いからと、安易に彼の優秀さを、褒めたりしなかったんだ。だけどピー助は、彼を素直に褒めた。もちろん、それは彼が自分でピー助に教えた言葉だったけれど、鳥というのは本当に賢いんだ。恐らく彼の名前がスグルだということ、ひょっとすると彼の気持ちも、理解していたんじゃないだろうかと僕は思ってる。そして、彼が『内緒やで』と言って、二人きりになった時に見せてくれた舞。彼は母親に内緒で、日舞の稽古をふすまを少し開けて見て、母親の動きを覚えた。母親が生徒さんに指導するのを聞いて、ふすまの後ろでひっそりと覚えていたんだ。それを時々、僕に見せてくれた。素人目にも、彼が日舞の才能が有る事は分かった。筋が良い、というのかな、ハッとさせられるほどに美しい所作、指先まで通った神経、それに加えて、あの美貌。本当に、多くの優れたものを、一挙に集めて閉じ込めたような男の子だった。そして、美しいだけでなく強い。少なくとも高校で顔を合わせるまで、僕はスグル君は美しいだけでなくとても強い子、強く育った子だと、安心しきっていた」
「高校っていうのは、うちの高校ですよね?」
「そうだよ。僕は大学も東京で、教職免許を取得した後も、関東で仕事していたんだ。だけど3年前に地元へ戻ってきて、そこでばったり、スグル君と再会したんだ」
「先輩が、高校一年の時ってことですか?」
「そうなんだ。スグル君の高校生活と、僕の地元への配属が重なって。スグル君は当然のように、生徒会執行部へ仮入でやってきた。僕はその時から生徒会執行部の顧問を任されていたので、スグル君が仮入でやってきて顔を合わせた時には、嬉しくてつい手を振ってしまったよ。そしたらね。スグル君は僕の顔を見て、一瞬泣きそうな顔をしたんだ。だけどそれはあくまでも一瞬で、直ぐに気丈な面持ちに戻した。その時の彼の表情が、ずっと頭から離れなくて。僕は教師になって、やはり正解だったと思った。『ああ僕は、スグル君の為に、スグル君のような生徒の為に、教師として有ろう。スグル君のような高見を目指す子を、本気でサポート出来るような先生になろう。この子がほんの僅かにでも心を素に戻せるような、誰にも見せられないで隠し持っている弱さを、ほんの僅かでも預けてもらえるような、彼らの止まり木であろう』、そう思ったんだ」
俺は細いスプーンですくったスポンジケーキの部分を口に含み、モグモグと口を動かしながら「それ、ホンマですか?」と訝しんだ。
「スグル先輩、剣道めちゃくちゃ凄いんですよ?泣きそう?見間違いやないですか?」
「ハハ、どうだっただろうね。ひょっとすると、見間違いかもしれない。だけど、彼はだから、幼少期からの知り合いである僕には、気持ちを許してくれているんだ。断じて、ボーイズラブの関係があっての事ではないんだよ。恐らく、唯一かもしれない、彼が気持ちを許せる相手といったら、彼より目上の人しか居ないだろうから」
「それって、米山先生がスグル先輩にとって特別やっていう、自慢みたいにも聞こえるんですけど」
「そんな風に受け取られると、困ってしまうんだけれども」
「やけど、だから先生関東弁なんですね。ジモティーやのに、抜けないんですか?」
「長かったからね。何となく自分に、しっくり来るんだ。そやけど直そうと意識したら、直るよ?」
「ホンマや。やけど、米山先生は関東弁でいいです。俺もその方が米山先生らしい感じがする」
「うん。だからね、何が言いたかったかというと。スグル君の友達、というのは恐らく彼が拒否するだろうけれども。海士部君が彼にとっての、敵でも、従者でもない位置の生徒に、なれるんじゃないかって僕は思ってね」
「俺ですか?俺は、スグル先輩を既に慕ってますよ。既に従者ですけどね」
「まぁ、皆そうなるわけだけれども」
そう言うと米山先生は、沢山話し続けたのが疲れたのか、アイスコーヒーをわりに多めに飲んだ。そして、ふぅと一息入れると、「たった一人でも、いいんだよ」と加えた。
「そんなに沢山でなくていいんだ、彼のように、高みを目指し続ける人間にとって、心をほんの少しでも預けられる相手というのは。同じ高い山同士だからこそ、共有出来る本心でもいい。互いが互いを写し合えるような、一人ではないんだと思えるような。全く居ないと、いつか心が折れてしまう。だけど、沢山とは向き合えない。たった一人、二人でいい。それだけで、荒波も高波も超えていける、そういう仲間、というかね」
「米山先生、ご両親みたいですね」
「いいや。本当の親というのは、近過ぎて、案外野暮になってしまうものだよ。僕と僕の父親との関係のように。恐らく適度に離れた所にいるから、俯瞰に見れるし、泥臭さも無い、人と人というのは、関係が近いほどよじれてくる、僕のは、本当の親ではない他人だから出来る事でもあって。ああ、食べ終わったね。そろそろ出ようか。長く引き留めてしまったね」


「ご馳走様でした~~」
「いいえ、どういたしまして。お母様は元気かな?」
「元気で、明るいですよ。いつも通り。ただ、今日の先生の話聞いて、思ったんですけど。。。」
「ん?」
米山先生が会計を済ませ、喫茶店を出た時に美里の話になり、俺は独り言のような気持ちで先生に言った。
「うちの母親、いつでも明るいんです。俺に怒鳴ったり、殴ったり、不平不満漏らしたり、全然した事がない。感謝しなさい、相手を敬いなさい、明るくて元気で、前向きで。だけど、母さんはどうやって息抜きしてんのかなって。母さんの弱さ、誰に預けてんのかなって、ちょっと思った」
「母強し、とは言うけれども。きっと、お母さんも海士部君には見えてない所で、ストレス発散してらっしゃるよ。君がお母さんの元気の素なのかもしれないし」
「そうだと、良いんですけどねぇ」
「もし何か僕に出来る事があったら、頼りにしてくれていいからね。君の担任教師として、出来る限りのサポートはするから」
「はい。先生、よろしくお願いします」
「うん。どうしようか、送っていこうか?」
「いいです、歩いて直ぐなんで」
「じゃあ、ここで。また学校で」
「はい。さようなら。今日はご馳走様でした」
「どういたしまして」




「あっ、先生。スグル先輩は?」
「スグル君?居るとしたら、生徒会準備室じゃないかなぁ。よく、過去の記録を読み直したりしてるから」
「ありがとうございます。行ってみます」

準備室の前でコンコンと一応ノックをした後、「スグル先輩、いらっしゃいますか?」と声をかけた。返事はない。ドアを引いてみたけど、鍵がかかっていた。
「ここには居てはらへんのかな」
生徒会室の方も同じように引いてみると、ドアがスライドして開いた。俺は静かな教室にそっと入り、教卓の前を通って準備室のドアノブを回してみた。開いている。
「スグル先輩。。。」
俺が覗き込むようにそーーっとドアを押し開けると、先輩は窓に向けて置いてあるテーブル席の前で、腕組をして座っていた。机の上には、開かれたファイルが置いてある。
「あっ、良かった、先輩。。。」

(寝てはるわ。。。)
スグル先輩が少し首を下に傾けて、腕組をしたまま仮眠に入っているのに気付くと、俺は話しかけるのを止めて、ゆっくりと準備室に入り、少し先輩に近づいてみた。

眠っている先輩を、下から覗き込んでみると、普段のキリッとした表情、鋭い眼光を微塵も感じさせないほど、あどけなく幼く見えて、俺は人が眠っている姿というのがこんなにも無防備であどけなく、幼く見えることに感動していた。
この人、喋ったり動いたりしてないと、こんなに無防備になるのか。そう思った時に、やはり人っていうのは、抗う事なく存在する時、無防備で、弱いものなんだ、人は完全に強い存在なんかじゃないんだと、思い直した。それから、スグル先輩の幼少期の話をしてくれた米山先生が言っていた事を思い出して、その時は信じられなかったけれど、目の前の先輩と、米山先生が聞かせてくれたスグル先輩の過去が、無理なく俺のなかで先輩という一人の人物に一致した。
その時に、俺の中で何かが音を立てた。立てたように感じた。そしてその後に、「俺は、今までこんなにも美しい人間を、見た事がない」と強く思った。
胸がドキドキしてきて、顔が赤くなるのが分かった。えっ、ちょっと待った、俺、ストップ!!ま、まさか、これって恋?!俺、今恋してるのか?!俺の初恋、まさか相手、男?!
俺は動揺しながらも、もし俺が携帯電話を持っていたら、きっと写真を撮っていたと思った、だけど俺は今、カメラなんて持ってない。だとしたら俺は、目の前のレアなスグル先輩の姿を、しっかりと目に焼き付けたい。
俺は音を立てないように、スグル先輩に見入った。開いた窓から入ってきた風でカーテンがなびく。
(めっちゃ、キレイや。。。だけど、キスしたいとか、そういうのはない。。。この気持ち、何なん。。。でも、ちょっと触りたいかも)
俺がもっと近づいて、スグル先輩の肩にちょっと触った時に、先輩がビクッとして起きた時「誰や!?」と叫んで立ち上がった。俺は両手を捕まる寸前の犯人のように上げて固まった。

「なんだ、君か。。。すまん、良い風が入っていたからか、気持ちよくてうっかり眠っていた。何か用かあったんだろう?」
先輩が立ったまま開いていたファイルを閉じ、椅子を机に戻しに行きながらそう言った。俺は何を話せばいいかとやや混乱していて、眠っている先輩の姿を見ながら思い出していた幼少期の先輩の話を思い出し、思わず「ぴ、ピー助は」と口に出してしまった。
「どうして、君がピー助の事を知っている。ああそうか、米山先生。。。あの人、案外おしゃべりなんだなぁ。インコの話が聞きたくて来たのか?ピー助は今、二代目だが。。。」

スグル先輩が今でもピー助に話しかけている姿を、脳裏に想像してしまった。先生が言ってたのは、ホンマの話なんや、ドキドキと心臓の音が高まってくる。俺は考えるよりも先に、叫ぶように必死に、懇願していた。

「スグル先輩。。。俺にも、止まってください!俺も、貴方が疲れた時には安心して休める、止まり木になりますから!!」
俺はそう言って、両手を大の字に上げて伸ばした。すると先輩はきょとんとした後に、軽く握り込んだ右手の指の腹を口元に付けて、クククと笑いをこらえていた。俺は唐突に必死に叫んだ自分の姿を省みて、恥ずかしくなり手を下ろした。
「君、顔が真っ赤じゃないか。。。」
スグル先輩はそう言って、今度は隠さずに笑いながらファイルを戻しに行った。
(笑っとる。。。笑っとる先輩、初めて見た、めっちゃ可愛い。今日、激レアの日や、激レアスグルとの出会いの日や)
俺は恥ずかしくなりながら一緒に「ハハハ」と仕方なく笑った。先輩は戻ってくると、「何を言うとんや。お前、政治家目指しとるんやろう。そやったら、俺なんぞ踏み潰していけ」と言った。
俺は悲しくなって、「なんで、そんな悲しい事言うんですか?!」とまた叫んだ。
「政治家は、競技やないでしょう?!政治家はあくまでもサポーターや!」
「いや、違う。選挙で勝ちあがる、どんな世界にもトップを目指す戦いがある。それから逃げるな」
「逃げてないですよ!自分のベストを尽くすだけ、それで負けるんやったら、しゃあないことや!」
「先導者っちゅうのは、圧倒的な力で、国民を引っ張っていかないかん。お前も男やったら、勝ちに行け」
「俺は、俺は。。。いいです、先輩には、きっと何と言っても、分かってもらえへん」
俺は心底悲しくなって、泣きながら準備室を出た。先輩は驚いていたようだったけれど、俺はそのまま生徒会室から出て廊下を走った。よく分からなかったが、言葉に出来ないくらい、悲しかったのだ。

「あいつ、俺になんか用があったんちゃうんか」


「俺が、あんたに言いたいんはなぁ、自分を、踏み潰すとか、モノみたいに、言うなやって!あんた、ホンマは自分を、父親の為の道具みたいに、思てんやろ?!なんで自分で自分を、大事にしてやれへんのや!あとなぁ、あんたと横並びになんて、この高校で、誰もなれへん!誰一人あんたと同列でつるむなんて、出来へん、けどな、あんたはあんたしか持たれへん、平凡な友達同士の間にある関係性とはまた全然別の、他の奴らには無い凄いもん、持ってるって言ってんや!それは、心からの尊敬とか、憧れとかや、俺かて、あんたの為やったら、ケンシロウにだって、なれるんや!!愛を、取り戻すんや!!」


「海士部が、泣きながら俺に怒ってる最中に、実はちょっと笑ってしまいそうになってたんやけどね。なんでこいつ、俺の為に泣いてるんやろかって、ケンシロウて、おかしな奴やなぁと思いながら、なんや柔らかい気持ちにもなってきて。陰口言われたり、ケンカふっかけられたりはしょっちゅうでも、泣きながら怒られるっていうのは、生まれて初めてかもしれへんかった」
「悔しかったんだろうね、海士部君。君の方にそんなつもりは無くても、裏切られたと感じたのかもしれないよ」
「俺も弱くなったもんや。海士部にやったら、もし選挙で競ったとしても、負けてもええかもしらんと、思ってしまいました」
「スグル君と海士部君は、相反する違う強さを持ってるってだけだよ。僕は、トップに立つ人間というのは、スグル君のような人だと思う。海士部君のは、あれは愛なんだ。愛というのは、強いものでも、弱いものでもない。だけど愛の強さというのは、強い人間にとってはとても強く感じるものなんだろうと思う」
「愛。。。俺が、両親から与えてもらえなかったもんや」
「いいや、違うよ。君が受け取ってきたのは、父の愛。。。それが愛であったと、君が子供をもうけた時には実感するだろうから。海士部君が君に与えようとしたのは、母の愛。彼は母親の愛を受けて育った。君は父親からの愛を。出来ればどちらもを持っていられたら、良かったのかもしれないけれど。だから君達は、お互いの持っていない部分を補い合える」
「遥来さんは、俺の為に海士部を生徒会に誘ったんですか?」
「いや、そうではないよ。君の存在は、海士部君の為にもなるから」

「俺、スグル先輩って、理想の父親像に近いんかもしらんなぁって思ってます。米山先生が、理想の父親の話をしはって、自分の理想の父親って、スグル先輩のような男かもしれないって、その後に思うようになって。先輩は、理想の父親ってどんな人ですか?」
「理想の父親。。。考えた事も無かったわ。俺、父親を好ましく思ったりはしてないけど、尊敬はしてるんや。俺より剣術が強くて、絶対に勝てへん父親に。口うるさく育てられて、愛されてないんやって、思い込んでたけど。俺にとっては、父親は自分の父親以外、おらへんわ」
「それって、めっちゃ幸せやないですか?」
「幸せか。そうかもしらんな。俺は、十分に幸せなのかもしらんな。なんや、お前と向き合っとると。。。俺は俺のままで、何も変わってないのに、心持ちが全然違ってくる。そのせいで、同じ自分やのに、『悪くないな』って思えてくるから、不思議やわ」

スグルは、高校を卒業したら、やってみたい事があると言って「政治家は、お前に託すわ」とテルに言う。親にも話は付けた、東大を首席で受かったら、それを蹴ってショービズの世界に進みたいと。
「海士部に、自分を取り戻せって言われてから、自分が何をやりたかったのか、考え直してみたら。俺は政治家よりも、母の日舞に惹かれていたんやったと気付いてな。それで、華道と日舞と剣術を合わせたような、メイドインジャパンの舞台に立つ予定や。俺は俺で、天辺とったるで。お前に、日本は託したでな、海士部」
海士部はそんなん出来ひんと泣く。スグルはやってみろ、男やろと諭す。

テルが二年に進級し、三学期を迎える時分に、スグルが世界に羽ばたいているというニュースが学校中に回る。
「みんなで見よう」と言って、ユーチューブにアップされているスグルのショーを、生徒会室にあるパソコンで、生徒会のメンバーで見る。米山先生も一緒。

三部仕立てのショーの一部。真っ暗の舞台に、ぱっとスポットライトが当たると、スグルが袴を着て、腰に真剣をそなえて立ち、一度礼をする。軽めの拍手が起こった後、和風の音楽が流れ、クロコが脇からサササとやってきて、大きな竹と、その上部を支えるワイヤー仕立ての支柱をスグルの前に置き、スグルが真剣を抜いて「はっ!」と一声上げると同時に、スパンと竹の下部分を切り落とす。切り落とされた竹の下側の部分はクロコが回収し、曲線の支柱に支えられた竹の上部は、スグルの後ろ両脇に設置された、巨大な剣山の上に、何人かで差し込まれる。スグルが七本ほどの丈を同様に真剣で切り落とし、それらは左に3本、右に4本ずつ、巨大な剣山に差し込まれる。
スグルはそのようにして、支柱に支えられた大ぶりの植物の下側を真剣でどんどん切り落とし、クロコによって移動された花が左右に並べられる。全ての植物を切り終えると、スグルはクロコにカット済みの花や木を手渡されながら、それを巨大な剣山に、次々といけていく。左右に巨大な生け花の背景が出来上がると、それらの上にライトがパッと付き、ライブで舞台に仕上がった巨大な生け花が浮かび上がる。スグルが真ん中に戻ってきて、真剣を腰から外して床に置き、剣を持たずに剣を構える素振りをした後で、会場の人々に向けて大きな奇声を上げて「メーーン!」と言いながらすり足で前進した後、深くお辞儀をすると、大きな歓声が沸き上がる。直ぐに舞台は暗転し、音楽が切り替わる。
スグルは早着替えで装いを新たに、日舞を舞う。手には扇子ではなく、真剣を持っている。真剣をゆったりと振りかざしながら舞う姿に、会場から度々拍手が起こる。背景には大きな生け花、その前でスグルは舞う。もちろんその姿は、現代の牛若丸と評され、外国ではこの2部の踊りは「USIWAKA」と呼ばれている。
最後のシーンで、スグルは布を頭から被った、女性の着物で和傘をさして現れる。スグルが舞台の奥から、スポットライトを浴びて前に進むと、両脇からシノビの者が現れる。女性の姿のスグルが、開いた傘を前にもってきて、姿を隠したかと思うと、傘を持ち上げた時には早着替えで再び袴の姿になっている。そして傘を閉じ、ゆっくりとした動作で、舞うようにシノビの者達を閉じた傘で切っていく。激しい切り合いの表現は、琴と三味線の速弾きで表現され、シノビの者が去るとスグルは傘をもう一度開き、姿を隠すと再び女性の着物に早着替えして、パッと生け花にスポットライトが当たった後に、奥へと進み、両端の生け花の前で傘をさした姿で少し腰を落とし微笑み、ゆっくりとした琴の音の音と一緒に暗転して、3部の舞台は終了。
そこで拍手が沸き起こり、スタンディングオベーションで迎えられる。スグルはまた袴に戻っていて、両手を上に掲げて拍手を受け止めた後、お辞儀をする。
海外での舞台はそのようにして、大成功に終わる。

終わりに、スグルが出てきてこう言う。「最後の三部は、私の親友へのオマージュで、彼に対する感謝の気持ちで作りました」と。そして、「日本の女性の中には、男性に劣らない、サムライ魂が宿っている、ということも表現しました」とも言う。
テルが、「親友やて。。。俺が一番、嬉しいコメントやん。。。そやけど、こんな凄い人と横並びになんて、なれへん。それに。。。スグル先輩が、遠くに行ってしまったみたいで、めっちゃ悲しい」と言うと、米山先生は「スグル君は、きっとこう言ってるんだと思うよ。『お前が俺の親友になりたいんやったら、ここまで来い』って。スグル君は、君に葉っぱをかけたんだね」
テルは「そんなん、俺には無理やぁ」と弱音を吐く。米山先生は、「スグル君は、そうは思ってないみたいだよ。君なら出来るって、君より信じているのかもしれない」と言った。

スグルが日本に戻ってきていて、テルが会いたいと言うと家に呼んでくれる。
テルは、生徒会会長選挙で勝利する前に容姿もそれまでのぼんやりとした坊ちゃんカットからオールバックにビシッと整えた、その後で自分が海士部史郎の子孫だということが周囲にバレて、周囲の自分に対する反応がギクシャクし、次第に180度変化してしまったことで、酷く落ち込んでいた。
テルはスグルの家に呼んでもらって、お庭のテラスのベンチに並んで座り、久しぶりの挨拶の後に、「何もかも、スグル先輩が言った通りでした」と打ち明ける。
「俺は、何も変わってない、中身は何も。やけど、俺がそれまで自分の長所やって思ってきた、感謝したり、他人の良い部分にスポット当てたりも、ホンマは嘘やったんやろって、言われてしまう。優しさって、こんなにも無意味なモノやったんやろかって。自分に対する自分以外の他人の反応が、それまでと180度、変わってしまった、それまでの皆が、嘘やったみたいに。頼重には、『だから俺がそう言ったやろ』、って。スグル先輩も、俺のやり方は、弱さやって。俺はそれでも、自分さえ信じる気持ちを持ってさえすれば、裏切られる事なんかないやろって、その時は思ってた自分の気持ち一つやろって。だけど今は。。。何をどうやっても、悪くしか受け取ってもらえない。俺のやり方では、もう誰にも納得してもらえない」
「すまんな。。。俺にも言わせてくれ、『だから、そう言ったやろ』って。だから、人間ていうのは、自分よりも下におるヤツにしか、寛容にはなれへん。俺は、お前に優しくしてやれるで?まだ俺の方が、上におるでな」
スグル流の笑いのつもりで言った言葉に、テルは目を伏せて頷く。
「俺がスグル先輩より上やった事なんて、どちらにしても今まで一度もないですよ。俺はずっと、普通の幸せが手に入ってる友達とかよりも、下やって思ってきたし。ましてや、スグル先輩に対してなんて」
「まぁそう卑下するな、そんなつもりで言ったんじゃない、冗談やがな。普段めったに冗談を言わない俺が」
「冗談?。。。ホンマの事やないですか」
「お前、ホンマに落ちとるな。申し訳ないけどな、今そうなったお前の方が、他人から自分より上やって思われてるお前の方が、俺にやっと近付いたなって思える。以前のお前より、今の方がよっぽどな。お前は苦しんでるのに、悪いけども」
「そっか。俺は今、それまでの知り合いとの関係はギクシャクしてても、失った物ばっかりじゃなくて。失う時には、手に入ってるものも、あるんやな」
「お前が、それまでよりも高い所におる証拠や。それがホンマの戦場やで。厳しい戦場には、仲間もおるっていう事やな」
「あはは、じゃあ、今やったら先輩、俺の止まり木で休んでもらえますか?」
「何、強がっとんねや」
スグルはそう言うと、テルの肩にそっと手を添える。スグルを見るテルの顔はもう涙目。
「今はお前が、俺の止まり木で休む時やろ」
テルはスグルに肩を支えられながら、下を向いて泣く。悔しいのか、悲しいのか、どうしてこれほど苦しいのか、言葉に出来ずに泣く。


私が思い返してみても、高校生であった頃の自分時間には、特別な輝きがあった。
受験という人生の最初の戦いを勝ち取り、それまでの与えられたままの環境から、一歩踏み出し自力でつかみ取った、最初の3年間。子供でもないけれど、大人でもない、そこから先には夢だけが広がっていて、何にでもなれる、何処へでも行ける、自由の象徴のような特別な時間。
若さがあり、自由があり、夢があり、純粋な恋愛があり。もし人生の中でほんの僅かな時間だけ、人の体に本当に羽が生えるとしたら、それは高校時代だろう、そんな人生のターム。
街で見かける高校生の制服姿がとても眩しいのは、自分にとってあの時代が、より特別であったからだろう。

人一人でさえ、強い部分と弱い部分を併せ持っている。その人の全部が他者より弱いという事は無く、負けている部分と勝っている部分が混在している。自由と不自由、人が人と一緒に生活するというのは、どちらもが互いの部分的な強さと弱さを許し合っている、もちろんその関係性に、完全な平等も満足も存在しない。例えばある時に不満が針が触れるほどに蓄積し、バランスを失ってケンカになってしまったとしても、その一時のバランスの不和によって全ての関係性が否定されるわけではない。視点が偏ってパーツだけを全部と思い込んでしまうと関係性は崩壊する以外の決着を得ない。というような事をもう少し簡単な言葉で。

テルは片親の自分を幼い頃から弱い立場に立たされる存在である事を自覚しながら生きている中で、そこに得るものがあり、それを実感として持っている事を悪い事とはとらえていない。生徒会に入り、生徒会長の優(スグル)から、テルの性分、他人に対して感謝の気持ちで接したり、良い部分にスポットを当てるような、その性分を「お前が本当に人の上に立った時には、お前はお前のその性分のことで酷く悩むに決まっている。お前のそれは弱さで、人の上に立つ人間に対して、下衆どもは寛容さを許す事などない」と言い切る。実際にテルは事実そのようになっていく現実、それまで寛容に扱ってくれた人達が少し辛辣な評価をテルに下していくことに悩まされることになるのだが、何とか自分がその他大勢よりも弱いのだと自覚していた頃の自分のまま、そのままの自分で人を先導出来ないものかと思う。それは一部分のことであって、全部ではないからと。その一部分に気持ちを引きずられ、それを全部と信じてしまう事、それこそが弱さであり、負けなのではないかと。人が人を愛するというのは、逆に強くないと出来ない事なのだと。人が人を弱く見ようとするのは、その人が自分を相手より弱いと自覚するからだと。その弱さを、許せないだろうか、それこそが愛であり、それこそが強さなのだろうと。
「愛など、幻に過ぎない。幻に過ぎないのだという事実とお前が向き合うようになった時に、お前は俺の方が正しかったと首を垂れるだろうよ。いいか、強さっていうのはな。それでも前に進む事なんだよ。それでも足を引っ張ってくる下衆どもに同化などしてくれるかと、負けてやるかと、己の志を、正義を貫く事なんだよ。全てに裏切られ、愛に絶望し、たった一人になってもな」
優にそのように諭されても、テルは愛を捨てない方法は無いか、誰しもが持っている誇りを尊重するような良い方法がないかと模索する。
しかしながらテルは美里が子供を身ごもり、その子を産んだ時に、本当の他者に対する嫉妬心、それが人を殺そうとするほどのものだという自分の気持ちと正面から向き合う。テルは、沢山の苦しみを引き受ける立場にあるのだが、この物語のもう一つのテーマが「一切皆苦、一切皆空」であるところにも焦点が当たっていくように書きたい。

「善行を行おうという時大抵一人だが、悪行を行う時は大勢だ。弱いヤツは自分が弱いと知っている。だから数で勝ろうとする。そしてそいつらの怖いところは、自分の考えを捨て去って大勢と同化するところだ。自己が自己であるという存在意義と責任を放棄した集団ほど、怖いものはない。そいつらは、自己を既に捨て去っている、捨て身の迫害をしかけてくる。それは戦時中の特攻隊がお国の為に命をかけたやり方とは、全く違う。誰の幸せの為でもない、自分達の不幸を他者にも押し着せる為にやるんや、それが呪いや」

「銃を持つから、犯罪が生まれる、兵器を持つから、戦争が生まれる。。。これまで、憲法第9条を保つ事が、戦争を抑止する最善の法と思ってきた。けれど結果的にこの国は、ゆっくりと侵略されかけている。善意につけ込み、道徳心につけ込み、弱者の姿をした侵略者たちが、日本人が長い歴史の中で培ってきた大和魂を嘘によって捻じ曲げ、軽薄で楽なだけの精神を良しとするようそそのかし、滅ぼそうとしている
。この国を侵略者達から守るには、憲法第九条改正しかない。それが海士部史郎の意思だ。戦争をする為ではない、この国を本物の国家たらしめ、本当の意味で戦争を、終わらせる為に」

「もし買うなら、最新のを買えよ。法律っていうのは毎年改正されてるからな。六法全書を読めば、現在の国の全様が見えてくる。国家が何を許し、何を罰すか」

「この世界の人口の6割。。。いや、8割は、何も考えてへん、誰かに言われた事をそのままやるだけの能無しや。信じるって、何や。自分の頭を一切使わんことか」

「弱者の論理は、やっかいだぞ。弱者は自分達が強者の犠牲になっていると考える。私達は被害者だと。その上で自分達が強者に対してやるいかなる迫害と差別も正当化する。自分達が揶揄される時には人権侵害だと声高に被害者ぶる。ダブルスタンダードというやつだ。こいつらを管理する事こそ、社会を安定させる要だ」

「私達日本人は、誇り高き信念を貫きそれを実現する為に、命をかけられる民族や。おまんま喰いそびれるからって汚れを行いそれを美談にする、史実を偽り、顔を偽り、自らを偽る、腐れ外道とは、ここが違う!!」
美里はそう言って、強く握り込んだ右手のこぶしを胸の上に当てた。
「私達の心の中に眠らされている、大和魂を、再び奮い立たせましょう、そして、この国を、弱者の姿をした侵略者達から守り、美しい日本を、再生するんや!!」

一応、全体的なイメージとしては、高校生の時のような気持ちを、死ぬまで忘れずに生きたいね、というオチの話にするつもりで。
大学を出て、就職したというところの描写の後、ただいまとアパートに帰ってくる描写で、3年経過してる、3年という時間が、社会人になった時には全く同じクオリティーのまま過ぎ去っている。同じ3年という時間の対比、高校生活の3年と、社会人の3年は、時間は同じなのに自分にとって全く違う。
この物語の中の一番の胆のシーンが、ここかなと。

訳あって主人公の名前を考え直しました。名前くらい適当に決めてるモノ無いから
良いんだけどね、物語の進行具合によってはまた変えるかもしれないし。
この物語、当たり前ですけども、フィクションですのでね。
登場人物は実際には存在していません。ただの小説、まだあらすじですが、ですので当たり前ですからね。

タイトルもTHE・高校生から、自分の中で第二候補がTHE・日本人になったんですけども、日本人が日本人の大和魂を取り戻すというのがテーマの話になってきたので。
だけど、ちょっとダサいよなぁとなったので、「桜を仰ぐ」に今のところは。
日本を象徴する花と言ったら桜、桜を仰ぐというのは、四季の中でも一番気持ちのいい季節であり、一年の新たな始まりを告げる桜を見上げるということは、また一年無事にこの季節を迎えることが出来たという喜びの表現でもあり、物語の中にも、「来年も貴方とこうして桜の花を見上げたい」というようなパートを入れるつもりでいます。桜の花を見上げる度に、一年頑張った自分と、桜という美しい花とその季節と、日本という国と、様々のご縁に感謝する、日本人の心の深くに共通する美しい感情の情景が桜を見上げるという行為にあるような気がするというか。
「桜を仰ぐ」というタイトルの書物は既にあったので、「桜に仰ぐ」に変更しました。
桜を仰ぎ見る時に、必ず春の空と重ねて見るところにも、この物語の中では意味があり。戦死者を弔う、というのも盛り込みたくて。日本という国家の為に、命をかけた戦死者の方々を、命がけで日本の為に生きた方達を、忘れてはいけないという気持ちを込めたい。戦争で命が果てる時に、国に戻って、もう一度桜の花が舞うのを見たいと、思ったに違いない戦士の方々の為に、桜を見上げる時には、日本の雄姿達にも見せるような気持ちで見るのだ、と海士部史郎が言っていた、というシーンも入れる。

「女だろうと、朝鮮だろうと韓国だろうと、関係ない!!自らの価値を示し、世界をひれ伏させる!それが被害者なる存在でなど、叶うものか!!自らを高め、その価値を世界に証明し、彼らが自ら頭を垂れる、『本物』にならねばならぬ、見せかけの価値で得られるのは、見せかけの勝利のみぞ!!心は偽れぬ、他人の心ではない、自らの心は!!自らの心が認めぬもので、自らが納得する事など、永遠に無い!!」

「命なんか、かけんでもええ!輝航は、輝航が望む未来を実現したらええんや!!」

自分の中で。。。ゆっくりと書き進む中で、当初「高校生という輝かしき時代」がテーマであったこの小説、道を外れて、出来てきました。。。もう、大筋は出来ているので後は書くだけなんですが、けっこう熱い小説内容になるかな、とは思っています。もうお気づきの方もいらっしゃるとは思うんですが、海士部史郎というのは、安倍っちです。安倍っちを、蘇らせる!あくまでもフィクションなので、もちろん事実とは違うキャラクター設定です。安倍っちに、もしご子息がいたら。。。大和魂を受け継いできた私達日本人は皆、安倍っちの子供達なんや。。。憲法第九条について、真剣に、皆でもう一度どうするか、考えてみようよ。そういう内容の小説になります。
安倍っち以外のキャラクターは。。。大きな影響を受けている実在の人物もいますが、小説の中で生きている、想像上のキャラクターです。もう私の中に、輝航も、米山先生も、亀原君も、スグルも、それぞれ一人の人間として存在していて、少しずつ動き出している。海士部氏も、安倍っちと全く同じではありません、もちろんですが。私が小説の為にこさえた人物です。なので、この話はフィクションというか、小説の中の登場人物は小説の中で、私にとっては完全な個人として存在する、実在しない人物ですので、この物語はフィクションですよと、改めて断っておきます。
もう、了の文字を添えるまでの大きな話の流れは頭の中にあって書くだけの所まで出来ている。いわゆるあらすじですね。。。
ここからが、問題なんですよね。。。私、あらすじまでは書けるんですけど。。。細部を埋めるのが、完全でないというか、個性が必要というか。。。
物語というのは、整合性は必須なので。。。そういう所をきっちり筋通すっていうのは構造の問題なので、ある程度決まってくるんですが。

海士部氏 宝示さんは上からの気持ちが反発を産むとおっしゃったけれども、心の中で、実はあの場の男達よりも自分の方が上だって、思っていたでしょう?
私は、誰と向き合う時にも、「私の方が下でございます」という気持ちで接するようにしている。貴方は、彼らが私が誰もが逆らえないほどの権力者だから強烈に信頼を向けていると、思い込んでいるかもしれない。尊厳を与えられれば、人は自ずとその人を尊ぶ。心意気だけいいのです、やってごらんなさい。

宝示は刑事裁判の弁護士を担当しているが、刑事裁判は証拠が揃っている時しか裁判にならず、確実に逮捕の見込みがある案件しかない。しかしながら、証拠が揃わずに、民事に流れてしまう事件がある。宝示はそのような、確実に犯行を行っているのに無罪になり、民事でも大した刑にならないまま野に放たれた犯人を、殺害するグループに意を決して入った。
暗がりに集まった奴らにしか、出来ない事がある。明星特攻隊は犯罪者の暗殺部隊。
宝示は流れた事件の情報を持っているので特攻隊に加わる事が許されたが、女は宝示しかいない。宝示は女だからという理由で、直接殺害する任務には就かせてもらえない。
弁護士をやってきて、犯罪者の中には、とんでもない常軌を逸した奴らが存在するのだという事実を知った。その中には、何十人という殺人を行うという鬼のような輩もいる、女性を何人もレイプした後で、残虐に殺し、それを食べるという誠の鬼も。そしてそのようなヤバい犯罪者は全員、通名で日本に残っている朝鮮人であるという事実も。
半島系の殺人鬼、レイプ魔は、それを頭で良い悪いと考えて犯すのではない、まるで息をするようにやってのけるのだ。日本という島国に、とてつもない犯罪者が紛れ込んでしまった、誰かが殺らねばならない、もちろん半島民の全員が犯罪を行うわけではない。殺さずにはおれないという血を持った奴らを、私達明星特攻隊が、根絶やしにする。そいつの嫁も子供も抹殺する、日本に異常殺人者の血が増殖しないようにするには、誰かがやるしかないのだ。
宝示はだから子供も結婚も、明星特攻隊に入隊した時点でその願望を捨てた。何故なら、私も殺人鬼だからだ、そうだ私はケモノになるのだ、ケモノを殺すケモノに、聖なるケモノに。
宝示は殺人犯の殺害時に外で見張りをやらされるだけの役割に不満を持つ、私の心意気を見くびるな、私とて、この国を守る為に、既に命を捨てた覚悟だ、そう言って特攻隊の奴らを説得し、殺害メンバーに入れてもらう。
しかしながら実際に、家の中に侵入し、嫁を他の隊員が殺した後で、「子供はお前がやれ。お前には子供を殺す程度の力しかないだろう」と言われ、無抵抗に怯えている子どもの首をかっ切ろうとする。
だけど、結局出来ない。どうしても出来ない。涙を流しながら躊躇しているうちに、他のメンバーが躊躇いなく目の前でその子を殺害する。
宝示はそれ以降、メンバーから外されてしまう。宝示自身も、自分の軟弱さに心底落胆する。
何が命がけだ、何が特攻隊だ、いい気になっていただけだった、私は、聖獣でも何でもない、いくじなしの人間でしかなかった。

海士部史郎は宝示が明星特攻隊の一員であることを知っていて声をかけた。その事もわりに早い段階で宝示に伝える。宝示は特攻隊を退団した後、曙倶楽部に潜入しているスパイを見つけ出すことに務める。
それが民事の奴らであったことを突き止めた時に、海士部に報告すると「検討はついていた、やはり」と言った。宝示はその時に、海士部に提案する。
私は、殺す事は出来ずとも、増やす事は出来るのだと気づいた。悪党が幅を利かせて増殖していくというのなら、それを抑え込む正義も、増やしていかなくてはならない。この国には、貴方のような人物が必要なのだ、貴方は遺伝子を残すべきだ、それは国務でもあると私は思うと話を持ち掛ける。
私が貴方の子孫を残す、もう奥様からの了承は得た。私を愛してくださらなくてもいい、どうかこの国の為に、決断をなさっていただけないだろうか。

そのようにして海士部史郎と宝示が密会し、妊娠が発覚した後で、海士部史郎が突然心不全で亡くなる。もちろん薬物を盛られて殺されたことが判明するが、オフレコのままになる。
宝示は明星特攻隊に、必ずや海士部史郎の仇をとってくれと言って、尾崎と形だけの婚姻をし、その後直ぐに離婚すると子供を守る為に弁護士を止め、京都まで戻る。
そこまでが宝示の話。

尾崎は日帝時代に日本人が朝鮮のインフラ整備でやって来た時に日本人と結婚して日本に移り住んだ日本人と朝鮮人のハーフ。尾崎の母親は朝鮮人の中でも裕福層で、日本人の旦那と結ばれた時に日本に移住することを望んだ。朝鮮の低所得層は特に地上の地獄のような環境、親が子供を犯す事も女性が性暴力を受ける事も捕食される事も当たり前という劣悪な環境だった。
宝示が尾崎と一緒にいる時に朝鮮人の悪口を言いかけて、「すまん、お前も半分朝鮮人やったな」と言って謝ると尾崎は「何を今さら。ホンマの事やろ」と言って笑う。
「俺の母親は日帝時代に朝鮮から日本へ逃げてきた。日本人のオトンと知り合うまで、自分がどれだけ悲惨な国で生きてきたのか、ホンマには知らんかった。うちのおカンは、そこそこ裕福やったで。やから朝鮮の中でも環境には恵まれてた方や、そやけども。自分が朝鮮人だからという理由でどんな酷い扱いを受けたとしても、『それでも日本の方がマシや』って移住し、日本に帰化した。そら、酷い事も言われたで。そやけど日本人はこっちが大人しくしとったら、口は出しても手は出さん。道歩いてるだけで突然襲われて犯されるなんてこと起こらんやろ。せっかく辛抱して日本に移住したのに、日本が韓国と似たような国になってしもたらこっちに来た意味ないでな。お前らの掃除に、付き合ったるわ」
「私は、お前がなんぼか朝鮮人でも、お前の事、好きやで」
「なんや、ほんなら一発やるか?」
「アホぬかせ。私は結婚もせん、子供も産まん。明星特攻隊に加わった時、子孫を残す願望なんぞ捨てた。凶悪犯罪者を殺す私もまた殺人犯や。絶対に、血は残さん。どんな理由があろうとも、意図的に行われた殺人は死刑になるべきなんや。記憶は遺伝子に引き継がれる。殺人鬼の血も引きづがれる、そんな血は途絶えさせんとあかん」
「レイプも人間が人間を喰う事も、殺人も、『何がダメなのか?』って本気で思っとるような奴らが、うじゃうじゃおるんや、あの国には。それどころか、『それはあかん事なんや』ってモラルの方が悪いんやと思っとる。完全なサイコパスや。そんな奴ら、殺したらええ。そやけども、もし俺が誰かを娯楽目的で殺すような事が起こったら。。。その時はお前が、俺を殺してくれ」
「尾崎は、大丈夫や。大丈夫なんやで、結婚もして、子供も産め。そして、大事なんは、お前のようなマトモな朝鮮の血が、世界に羽ばたいていく事や、それが国を変えるって事や。両手で数えられる程度の人数でいい、本物になるんや。ノーベル賞でも何でも、世界に誇れる技術でも。たった数人の偉人が、国のイメージを良くするんやから」
「それがごっつう難しいから、俺は記者なんてヤクザな仕事しながら、後ろ暗い奴らとつるんどるんやけどなぁ~~。日本でもヤクザが風俗取り仕切っとるけど、戦後日本に残留した朝鮮人のヤバい奴らが日本のヤクザに混ざっとる、日本のヤクザの2~3割が親玉まで全員朝鮮人、在日の人数と日本人の総人口の比で考えたら、朝鮮人のヤクザの割合多すぎるでな。パチ屋やっとんも完全朝鮮人やし。ヤクザかパチ屋じゃなくても、経歴も名前も嘘っぱちの記者か芸能人か、行き着くところ裏社会や」
「簡単やない、そやけど、簡単やない事を成し得た時の方が、喜びは大きいやろ」
「簡単やない事を成し得んかった奴らも、犯罪を犯す衝動にかられない、平和な日本を保ち続けたいよな」
「お前たまに、日本人より日本人っぽい事さらっと言いよるよな。そうやその為に、我ら明星特攻隊はおるんや。犯罪者に焚きつけられて、我も我もと犯罪を犯す奴らが増える、それが普通のモラルになる、気を抜いたら簡単に起こるんや、そういう現実は」

トップを殺そうとする労働者階級の奴らというのは認知症の老人みたいなものだ。組織は人体と同じで、手足を動かしているのは脳だ、脳から脊髄を通じて手足という末端を動かす。脳が死ねば手足はちぐはぐに動くか意図せぬ支障をきたし、最終的には死ぬ。それを理解していない、何故なら彼らは脳ではなく手足だからだ。

もしも労働者である貴方が努力し、同じ彼らを保護せんと確固たる地位を築き上げた時には、貴方達は貴方達の因果によって殺されるのだ。何も出来る事がない民に仕事を教えそれを取りまとめるようになった時、そいつらが「もっとよこせ」と言って貴方を十字架にかける時には、そいつらがいかに残虐で自分本位で頭も性格も悪い粗悪な人物像であるかということを嫌と言うほど知るだろう。その時にはもう貴方はこの世界に居ないかもしれないけれどね、何故なら貴方が守ろうとした性悪の労働者が、貴方を地祭りにした後だから。

人の心は腕力ではなく、愛に従う。
暴力ではなく、実力に、魅力に。
腕っぷしで体をねじ伏せる事は出来ても、
本当に心を従わせることは愛にしか出来ない。

「アホにはアホの自由がある。実害が生じてないのなら、放っておいてやれ」
バカは暴力にしか従わない。だからバカと勝負をする時には
殺し合いをするしかない。
バカは自分だけを尊重し自分達が守れさえすれば何をやっても正義だと思っている。
バカに慈悲を与えても心の中でそれを弱いだのとバカにし感謝などしない。
こいつらは、相手を殺し何もかも奪いつくすまで攻撃を続けてくる。
だから殺すしかないし、相手は恐らくそれを求めている。


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