「思考と直覚」人間の霊魂を思考/サルトル37/ニーチェ6(六百五十三) ニーチェは哲学を志向するも、其の哲学思考は古代ギリシアの古代文献を研究するにも関わらず、ギリシア思想の要とも云えるギリシア観念論からは一定の距離を置き、専ら、古代ギリシアの文化である芸術に興味と関心を示します。其の基底にはニーチェは学生時代から音楽に強い関心をもち、生涯を通じて音楽に強い憧れがあったことが観想出来ます。殊(こと)にアドルフ・ヒトラーも憧愛したヴィルヘルム・リヒャルト・ワ(バ)ーグナー(独: Wilhelm Richard Wagner)の熱狂的支持者であり、念願叶って1868年には対面をしています。更には、ワーグナーの妻コジマの知遇をかち得て、増々、賛美の念が高まります。ニーチェはスイスのバーゼルへ移住してからというもの、同国のルツェルン市トリプシェンに住んでいたヴァーグナー夫妻の邸宅に23回も通ったことが記録される程心酔していました。この31歳も年下のかけ離れたニーチェをワーグナーは自己のグループの集まりへ誘い入れ、バイロイト祝祭劇場の建設計画を語り聞かせてはニーチェを感激させ、片やニーチェは1870年のコジマの誕生日に「悲劇の誕生」の版型となった論文の手稿をプレゼントするなど、二人は年齢差を越えて親交を深めています。この辺りに、ニーチェ思考の心底が顕れています。彼の思考を左右するのは論理的観念論や倫理学ではなく、人間の霊魂さえ揺れ動かす芸術が至高のものでした。此れが後の彼の思想と運命に決定的な要素となり、人生的には悲劇の様相を帯びます。 cap-hiroのプロフィール 哲学・思想 ブログランキングへ